今回は超久々に一人称です。
それでは前回のあらすじ
フランを何とか鎮めようと奮闘するルーミアと玲音を抑える烈夏。
ルーミアはついにフランの隙を着いて抱き締めた。
あと少しでフランが戻ってきそう、そんな時に玲音の流れ弾が2人に遅いかかる。
だが、なんとその流れ弾はフランがルーミアを庇って破壊してしまった。
それではどうぞ!
sideフラン
「うーん……ここは?」
目を覚ますとそこは1面真っ暗な空間だった。
私は吸血鬼で夜目も効くから何かがあるなら見えるはずなのに、何も見えないってところからこの空間には何も無くてただ真っ黒な床壁天井がある場所なんだと認識した。
ただ真っ暗な空間に私1人。
私はついさっきまでルーミアと一緒に玲音と戦っていたはず。
そして、ぶっ飛ばされて……それからの記憶がない。
ぶっ飛ばされたというのに傷があるどころか痛みすら存在しない。
いや、そもそもとして感覚が存在しない。
いま、私はこの場に立っているはずなのに立っているという感覚が存在しない。
まるで私は今ここに在るだけで、何にも干渉できないみたいな……。
「うん、それで合ってるかな」
「え?」
突如聞こえてきた声に驚き、私は弾かれるように声の聞こえてきた方へと顔を向けた。
そしてそこに居た人物を見て私はもう1回驚いた。
何せ、そこに居たのは私だったからだ。
「ん? どうしたの? まるで鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情をして」
ドッペルゲンガー? いや、でも違う。あれはドッペルゲンガーなんて言う陳腐な存在じゃない。
ずっと能力を使う時に自分の中に感じていた荒ぶる力、妖力、それがあのもう1人の私から感じる。
そう言えば昔、何かで読んだことがある気がする。
強い能力には意思が宿り、時折使用者の肉体の主導権を奪おうとして暴走することがあるって。
「もしかして、あなたは私の能力なの?」
「お、私が何も言っていないのに正解にたどり着いた。うん、そうだよ。私はアナタの能力」
「やっぱり……」
思ったよりもあっさりと認められたことによって拍子抜けしたが、それはつまり、今までの暴走の原因もこの人って言うことになる。
正直言って私は暴走時の記憶はぼんやりしていてあんまり覚えていないことが多いんだけど、それでも気がついた時には周りのものが壊れているんだから嫌でも察する。
私は暴走をして色々なものを傷つけた。だから私は部屋から出ないようになった。
でも、その原因は全て、この目の前にいる存在のせい。
「なんで……」
「ん?」
「なんで暴れるのよ! 私は暴れたくない! 誰も傷つけたくない! なのに、なんで!」
「分からない?」
「何が!」
「アナタが未熟だから」
「え?」
呆れた、そう言いたげな表情をした彼女は淡々と言い放った。
「どうしてアナタは私がただで協力すると思っているのかしら? 図々しいにも程があるわよ。私に体を乗っ取られるのはアナタが未熟だからに他ならない」
「私が……未熟?」
「そう、アナタは未熟。それはアナタ自身も勘づいていることでしょう? だからアナタは簡単に私に乗っ取られる」
そうだ。
私は未熟だ。能力の制御もままならないし、妖力の操作だってお姉様には圧倒的に劣る。
何より、私には吸血鬼特有の技、血液操作が使えない。
私は未熟だ。
ルーミアは凄いよ。
自分のやるべきことが分かっていて、仲間が動きやすいように立ち回っていて、樹海も使えて……。
それなら私じゃなくて、この体をもう1人の私に明け渡した方が、色々と上手くやってくれるんじゃないかって……。
「ねぇ、約束してくれる?」
「何を?」
「私の仲間を傷つけないで……それならあなたにこの体をあげてもいいって思ってる」
「バーカ」
「っ!?」
今まで冷静に私の事を淡々と責めてきていたもう1人の私の様子が急変し、下卑た笑みを浮かべた。
その変わりようにゾッとして思わず1歩、また1歩と下がってしまう。
「私にそんな約束を守る義理は無い。アナタの体を乗っ取った暁にはまずアナタの仲間を皆殺しにする」
「っ!」
「私達は外界では
さっきまでの態度はどこへやら。
狂気の笑みを浮かべ、目を真っ赤に輝かせて、まるで私のことを獲物を見るかのような目で見てくる。
いつも私が暴走している時はあんな感じなんだろうかと、そう思うと怖くて怖くて仕方が無くなる。
悪魔に願った私が馬鹿だったんだ。
「さっきアナタが気絶した時にアナタの体は乗っ取った。これから周囲にいるヤツらを皆殺しにする予定だ」
「そんなことはさせるか!! 禁忌《レーヴァテイン》」
咄嗟にレーヴァテインを作り出した私は悪魔に切りかかる。だけど、悪魔は私よりも早い速度でレーヴァテインを作り出したかと思ったら、私のレーヴァテインを軽々と受け止めてきた。
それだけでは無い。
まるで私を少し小突いた位の余裕ではじき飛ばした。
「く、くぅ……」
「勝てるわけないよ。そもそもその能力は私のだ。熟練度も何もかも上。さらにこの空間は私の空間だ。アナタの弱体化なんてお手の物さ」
弱体化されている上に実力で私は圧倒的に負けていた。
思わず悔しさで地面を這いつくばってしまう。こんな程度じゃ守りたい人も守ることが出来ない。
黒葉には何度も助けられた。だから今度は私が助けてあげたい。
ルーミアも気が合う仲のいい友達になることが出来た。お姉様も唯一の肉親。咲夜だって私にすごく良くしてくれる大切なメイド。パチュリーだって、美鈴だって遊び相手になってくれる。
みんなみんな大切な人。
みんな守りたい。でも、今の力じゃダメなんだ。
勝てないんだ。守れないんだ。
『フ、ラン! 目を覚まして!』
突然声が聞こえてきた。
この空間で聞こえるはずがないと思っていた相手の声に驚いて私は顔を上げる。
『フラン!!』
「この声、ルーミア!?」
「な、何故ここに声が!?」
瞬間、虚無で私の妖力と悪魔の禍々しい妖力だけが漂っていたこの空間に暖かい霊力が入り込んできた。
まるでなにかに優しく包み込まれているかのような安心する温かさ。
「ど、どうなっている!?」
『フラン! 目を覚まして!』
「どうしてここに声が!?」
悪魔も驚いている。つまりこれは悪魔にとっても予想外の事態ということだ。
空間全体をルーミアの妖力が包み込んできている。
間違いない。妖力で他者に影響を与えるなんて、こんな芸当ができる可能性としては1つしかない。
『フラン、目を覚まして……こんなのフランらしくないよ。本当のフランはすっごく優しいんだから。私にも仲良くしてくれたし』
「やめろ、やめろ、やめろ! 離せーー!!!!」
外界ではルーミアと悪魔が戦っているんだろう。悪魔がルーミアの妖力に充てられて苦しんでいる。
ルーミアは暴れている私を優しく諭そうとしてくれている。退治する訳ではなく元に戻そうとしてくれている。
本当に、ルーミアはすごいな。
『お願い。今のフランを見たら、黒葉も悲しがるよ』
うん、黒葉なら多分悲しがってくれるだろうね。でも、それだけじゃないんでしょ?
『それに、私も悲しいな。だって、フランと出会ったのは結構最近のことだけど、でもこの旅で私は親友のように思ってたんだから』
うん、私も。
そのルーミアの声が聞こえた瞬間、私はレーヴァテインを作り出して悪魔へと駆け出していた。
悪魔はルーミアの霊力に充てられて苦しんでいる。
出し抜くなら今しかない。
「たぁぁぁぁぁぁっ!」
「だはっ!?」
私のレーヴァテインは見事、悪魔を背中側から胴体を貫通し、心臓を貫いた。
正直悪魔がこの程度でダメージを受けるとは思えないけど、ついに攻撃を与えられた。
「私にその能力、寄越せよ」
今度下卑た笑みを浮かべることになったのは私の方だった。
だが、それでも悪魔は最後に私の方へ振り返ってニヤッと笑って見せた。
「アナタにこの能力を扱い切れるかな?」
その言葉を最後に、私の意識は肉体へと戻っていた。
戻ってくるとルーミアが私を抱きしめてくれていて、私も直ぐに抱き締め返したかったけど、状況が状況だ。
戦いの最中、しかもなんかこっちに流れ弾のようなものが飛んできている。
だから私はルーミアの手をそっと離すと流れ弾に向き直った。
すごい力が湧いてくる。
能力の使い方がどんどんと頭の中に思い浮かぶ。
頭の中がどんどんクリアになって行って思考速度が加速した。
今なら勝てる気がする。
――
「ルーミア、私もあなたの事を親友だと、思ってるよ」
ルーミアにそう告げてから私は流れ弾の霊力弾に右手を叩きつけ、破壊した。
今までよりも確実に能力が強くなっている気がする。
そこで私は周囲に私の妖力が漂っていることに気が付き、なんとその霊力は私のマントへと変化した。
どうなっているんだろう。いや、今はそんなことはどうでもいい。
今なら勝てる気がするんだ。
「そうだね、暴れてたら黒葉が悲しむもんね。お姉様にも迷惑をかけてしまう。もうそんなことはしたくない。なら、この力を完璧に制御してみせる。これが私の能力、『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』だ」
はい!第145話終了
フラン覚醒! という事で、本格的に初めて出た狂獣技です。読みはビーストですね。
能力を司る獣を屈服させることで使うことが出来る力です。
狂獣技を使うことによってそれぞれ特殊な格好に変化します。
フランの場合、紫色の髪色になってマントを羽織ると言った感じですね。
狂獣技って樹海と比べたら話題に上がる回数も少なかったですよね。
ですが、真の樹海よりも狂獣技を使う人の方が先に登場しました。
果たしてどんな戦いを見せてくれるのか、お楽しみに!
それでは!
さようなら
銀河天音はどっち陣営だと思いますか?
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味方
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敵
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中立