【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 威迅と茉衣のピンチに颯爽と現れた黒葉。

 ここから戦いはヒートアップしていく。



 それではどうぞ!


第150話 攻撃

side三人称

 

 纏っていた炎を消した黒葉はそのまま威迅の真横に立って刀を構えた。

 そんな黒葉を見て威迅は驚きながら問うた。

 

「お前、体は大丈夫なのか?」

「大丈夫。もうあんまり痛くは無いし」

「……記憶は?」

「大丈夫。もう、全部思い出した」

「そうか、ならいい」

 

 2人の間にこれ以上の会話は必要なかった。

 剣士は剣で語り合う。

 目の前には天魔という大きな壁。それを打倒すために2人は全力を尽くす、ただそれだけ。

 

「足を引っ張るんじゃねぇぞ」

「善処するよ」

 

 2人は同時に刀を構えると天魔へ向かって突っ込んでいく。

 さすがに今の一撃は効いたようで、天魔もよろめいている。今がチャンスだと判断したためである。

 

 黒葉は走りながら炎を刀に纏わせ、威迅は赤黒いオーラを刀に纏わせる。

 すると、急に天魔の霊力が高まったような感覚が2人に走ったため、一瞬のうちに目配せをすると、お互いに片足の裏を合わせ、蹴り合うことによって互いに吹っ飛び、その場から退避する。

 その次の瞬間には2人が元々立っていた場所に雷が降り注いできており、僅かな霊力の動きを感じ取れていなかったら2人は今頃この雷に焼かれているところだった。

 

「おっさん、そろそろ休んだ方が良いんじゃねぇかぁ?」

「悪いが、これっぽっちも疲れてなどいない!」

 

 威迅と天魔、2人の剣がぶつかり合い、周囲に衝撃波をもたらす。

 いや、ぶつかり合ってなどいない。烈夏との時と同じように触れ合わずに押しあっていた。

 そこへ黒葉が突っ込み、天魔へと刀を振るう。が、しかし。

 

「ガハッ」

「お前が俺の裏を取るなど100年早い!」

 

 刀が天魔を斬る前に蹴りを入れられてしまった黒葉。だが、黒葉はそれで諦めない。

 刀に纏わせていた霊力を全て手に集めると、そのまま自分に蹴りを入れてきた足に突き刺した。

 

「《インパクト》!!」

「ぐっ」

 

 インパクトの威力も合わさり、何とか黒葉は鉄のようなその肉体に刀を突き刺すことに成功し、一矢報いることに成功した。

 だが、黒葉はその勢いのまま蹴り飛ばさてしまい、家に激突し、その衝撃で崩壊した家の瓦礫が黒葉へとおそいかかった。

 

「くそっ!」

 

 それを見た威迅は一旦距離を取り、刀を伸ばして黒葉に巻き付けて回収すると、そのままハンマー投げの要領で回転し、遠心力を味方につけて天魔へと黒葉を投げ飛ばした。

 突然のことに一瞬驚いた黒葉だったが、すぐに状況を理解し、天魔へとロケットのような勢いで天魔へと急接近して斬り掛かる。

 

「ぶちかませ!!」

「猛暑《炎天下》!!!」

「《雷神剣・空》」

 

 黒葉の業火と天魔の轟雷がぶつかり合う、その瞬間の出来事だった。

 

「止めて」

 

 静かに戦場に響いた声。

 黒葉と天魔は同時に剣を振り、両者の剣がぶつかり合うその直前に突如として地面から弦が伸びてきて黒葉の足に絡みつき、思い切り下へ引っ張ると黒葉を地面に叩きつけた。

 これにより、相手がいなくなった天魔の剣は空振り、衝撃波を前方へ飛ばして建物を数軒破壊した。

 

「ぐえっ」

「……おい、天音。邪魔するな」

 

 攻撃が空ぶってしまった天魔は不満そうに背後へと視線を向ける。

 するとそこにはいつの間に来たのやら天音が居た。

 3人が戦いに集中していたからとかではなく、樹海を常に使っているか、はたまたとんでもなく周囲に集中していなければ存在に気がつくことが出来ないほどに自然にそこに立っていた。

 

「ごめんね。でも、その人はあたしの兄な訳だ。あんまり話したことがないんだし、最期に兄妹で話をさせて欲しいなって」

「早くしろ」

「わーい!」

 

 喜んだ素振りを見せると、ぴょんぴょんとスキップをしながら天音は地面に倒れた黒葉の目の前へとやってきて顔の前でしゃがみこむ。

 その気配に気が付いた黒葉はゆっくりと顔をあげると一瞬驚いたような表情を見せた。

 今、天音は黒葉のことを見下ろしているため、黒葉以外誰にも天音のその表情は見えないようになっているが、その表情はとっても冷え切ったものになっていて、見られているだけで殺されてしまいそうだと思ってしまうほどの冷たい目を黒葉に向けていた。

 

「ねぇ、黒葉君。ここは引いてくれないかな」

「どういう、ことだ?」

「さっきから見ていたよ。あなたたちの戦い。で、結論は付いた。あなた達じゃお父さんには勝てない。あたしはお父さんに確実に勝たなきゃダメなんだよ。だからあなたたちのことは諦めて次につなげるためにあたしはお父さん側に着く。だから黒葉君が敵対するっていうならあたしは実の兄をこの手にかけなければいけないわけだ。さすがにあたしにも人間の心っていうものがあるからね。あんまり黒葉君とは戦いたくないわけだよ。だから、ここは引いてくれないかな?」

 

 それは降伏勧告だった。

 確かにはたから見たら天魔に勝てる要素というのがどこにもなく、天音の判断は正しいといえよう。そして、1人間の感情として実の兄とは戦いたくないという思いも当然だ。

 ここで言うことを聞いて引くというのが賢い選択なのだが、この案件は理屈のみで片づけることが出来るほど単純な問題でもなかった。

 

「天音、俺はこの里が大好きだ。仲の良かった人たちだっていっぱいいる。ここで俺だけ逃げるなんて、できない」

「…………そうか……そうか、わかってたよ。黒葉君ならそういうって」

「ぐぅっ!」

 

 そこで天音は黒葉の腹に蹴りを入れて地面を転がしてきた。

 

「わかってた、分かってたけど、ここは素直に頷いてほしかったな!」

「っ!?」

 

 天音の蹴りを今度は間一髪のところで回避した黒葉は一瞬刀を構えて戦闘態勢に入ったものの、何を思ったのかその手に握った刀を鞘の中へと納刀してしまったのだ。

 代わりに素手を構える黒葉。

 ここで刀を構えない意味が分からなかったため、天音はそのよくわからない黒葉の行動に首を傾げた。

 

「どうして刀をしまったの?」

「刀を使っていたらどうせ壊されるし、それに天音の本心を確かめるため」

「は? あたしの本心?」

「そうだ。本当に俺たちを攻撃する気はあるのかって」

「あるよ、あるに決まってる。あたしはあなたたちの敵なんだから!」

 

 黒葉へと殴りかかる天音だったが、それを黒葉は特に反撃するわけでもなく回避に専念する。

 天音の体術はまるで子供以下のもので、普段剣術を扱っている黒葉なら避け方を考えるまでもなく、軽い動作のみで回避することが出来た。

 これだけで黒葉は天音が本気で自分を殺す気はないということを確信した。

 本気で殺す気ならば能力を使えばいい。だが、天音は能力を使うそぶりはなく、黒葉に殴りかかっている。

 

(何がしたいんだ? どういうことだ?)

 

 その矛盾した天音の行動に黒葉は軽く混乱してしまっていた。

 だが、その間にも黒葉に考えさせないと言わんばかりに攻撃を止めることはなく続けて攻撃を続ける天音。

 

「どうして、どうして攻撃してこないの!!」

 

 声を荒らげるその姿はまるで癇癪を起こした子供のようだった。

 そして何やら焦っているようなそんな様子。

 天音にはなにか糸があるんじゃないかと考えて黒葉は思考を凝らす。

 

「お前らはあれ、助けないのか?」

「要らねぇだろ。あれはただじゃれてるだけじゃねぇか」

「だ、大丈夫かな」

 

 2人ともちらっと見ただけで天音が黒葉を殺す気がないと判断したが、茉衣は少し不安気な様子だった。

 2人が気がついているくらいなのだから天魔もその事には気がついているが、特に何もアクションを起こす気配は無い。

 そもそも普段からふらふらとしていて掴みどころのない娘なのだからそういう普通の枠組みに入れないようにしているのだ。

 だから天音に関しては自分に刃向かってこない限りは何もしないことにしている。

 

 だが、それにしてはいつもの天音と様子が違うため、天魔も気になってはいた。

 

「攻撃しなさいよ!」

「いや、だって、そっちだって俺に本気で攻撃する気ないじゃん」

「っ!?」

 

 黒葉がそのことを指摘すると、まるで図星を突かれたと言わんばかりの反応をしたため、一瞬で黒葉は黒だと判断した。

 天音は自分を攻撃する気は一切ない。そのことを確認することが出来た黒葉は攻撃するためではなく、対話をするために天音に向かって一歩踏み出した。

 

「止めろ」

「っ!」

 

 その瞬間、足元に生えていた草花が黒葉の足を捕えようと絡みついてきたため、とっさに一瞬で刀を抜き去って絡みついてきた草花を両断し、飛びのいて天音から距離を取った。

 どうしたのだろうかと黒葉は天音に視線を向けてみると天音はうつむいた状態でわなわなと震えている様子だった。

 

「…………いいんでしょ」

「え?」

「攻撃すればいいんでしょ! 今殺してあげるから!!!! 黒葉君を捕えなさい!」

 

 天音がそう叫んだ瞬間、周囲に生えていた草花は黒葉へと絡みつこうと動いてきて、大地や瓦礫、建物の壁ですら変形して黒葉を捕えるために黒葉の行く手を塞ぐように動く。

 草花を回避しようとしたら地面が揺れ動き、黒葉の体のバランスを崩そうとしてきたり、突如地面が盛り上がって段差が出現したり、瓦礫が大集合して黒葉の目の前に壁が出現したり、やりたい放題だ。

 次第に黒葉は思うように動けなくなってくる。

 

 だが、それらの攻撃は決して黒葉の命を狙おうとしている訳では無い。

 黒葉が躓いて転んだら地面はクッションのように柔らかく衝撃を吸収するようになるし、黒葉にダメージが入ってしまいそうな攻撃は意志を持っているかのように黒葉を回避していく。

 やっぱり天音は黒葉を攻撃する気なんて無かった。そのことを再認識したのも束の間、ついに黒葉は壁に四方を囲まれてしまって動けなくなった。

 

(まずい!)

 

 そう思って脱出を試みたが、時すでに遅し。

 上空から天音が壁を乗り越えて黒葉へと落ちてきたのだ。

 間違いなくこれは黒葉にドロップキックを食らわせようとしている。

 狭い空間だ。これでは充分に回避するスペースを確保できない。

 さすがにこれは自分への攻撃の意思ありと判断して黒葉も刀を抜いて構えた。

 

 だが構えた時、黒葉は聞いてしまった。

 本当に小さな小さな声。消え入るような、それでいて思わず漏れてしまったこのような、そんなか弱い声。

 

「お願い。もう終わらせて。お願い。私を――殺して」




 はい!第150話終了

 ついに150話ですよ。

 もう既に2章始まってから100話近く経っています。

 ただ、2章の終わりも見えてきているので、もう100話とかはならないと思います。

 あと1年以内に2章完結出来ればいいなぁ(遠い目)

 っていう感じですね。

 そして次回は天音視点での過去回想に入ります。

 果たして天音はどういう人生を送ってきたのか?

 お楽しみに!!!

 あ、それと2/11は僕の誕生日なので記念ということで最新話が投稿されます。
 よろしくお願いします。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

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