【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ついに天音の1件を解決したと思ったら間髪入れずに天魔との再戦。

 威迅、茉衣、黒葉の3人で立ち向かうが、なかなか倒せず、あと少しと言うところで防御されそうになった。

 しかし、突如聞こえてきた言霊によって天魔の剣と霊力の鎧が破壊され、ついに3人は大ダメージを与えることに成功した。



 それではどうぞ!


第153話 最高のお膳立て

side三人称

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 今のはかなり手応えがあった。しっかりと天魔の体をえぐった感触があった。

 もうこれ以上の絶好のチャンスを作れる気がしない。何せ天魔はそもそも簡単に隙を作れる相手では無いからだ。

 これでダメージがあまりありませんとか言われたら堪えるぞ。

 

「くっ」

 

 俺の体はまだ完治していないらしい。

 まだ治っていない状態でこれだけ激しく動いたら傷がまた開く。

 俺は思わず片膝をついてしまった。

 

 依然として振り続ける大雨。この雨が開いた傷口に染みる。

 

「お兄ちゃん!!」

 

 すると後ろから天音が大慌で駆け寄ってきた。

 その様子は今までのものとは違っている。

 今まで俺は何度も天音の前でボロボロになった。だけど、天音はいつも一歩引いた位置から俯瞰しているようで、あまり干渉してこようとはしなかった。

 だが、今の天音はまるでこの世の終わりのような表情をして心配しているようだった。

 

「お、お兄ちゃん大丈夫!?」

「あぁ、大丈夫だ」

「待ってて、今治すから」

「え?」

「"治れ"、"治れ"、"治れ"!! なんで治らないの!!」

 

 どうやら天音は俺の事を心配してくれるようになった代わりにすごくポンコツになってしまったようだ。

 焦りすぎて自分の能力の特徴である意思のある相手には効かないというのを忘れてしまっている。

 

 でも、これは俺を心配してくれてのことだからしっかりとお礼を言わないとな。

 

「ありがとな、天音。でも大丈夫だ。ちょっと疲れただけ」

「本当に?」

「勿論だ!」

 

 本当はかなり体が痛いけど、妹を心配させないようにそう言う。

 

「やっとあのデカブツを退けられたな」

「でも、あれはまたすぐに復活すると思うよ。お兄ちゃん」

「何言ってんだ茉衣」

 

 そこで俺と天音は威迅と茉衣の後ろの方を見て目を見開いて驚愕、そして再び臨戦態勢に入った。

 茉衣もそんな俺と天音の様子を見て何が起こっているのかすぐに気がついたようで、臨戦態勢に入る。

 

「これだけの威力でぶっ飛ばしたんだ。平然と立っているわけが――」

 

 威迅も鈍い訳では無い。

 むしろ、俺たちの中では1番戦闘に関しての勘は鋭いはずだ。

 なので、俺たちが気付いているのに威迅が気づかないはずがなかった。

 

 しかし、

 

「――無いだろ、科学的に考えて」

「現実逃避するな。あと、今は科学関係ない!」

 

 さすがの威迅もこの状況で現実を受け止められなかったらしい。

 

 それもそのはず、今ぶっ飛ばしたはずの天魔がまるで何事も無かったかのように威迅の真後ろで仁王立ちしていたのだから。

 やっとの思いでダメージを与えたのに平然と立ってられたら誰だって現実逃避をしたくなってくる。

 でも、今の攻撃は無駄ではなかったというのがその胴体に刻まれている傷が証明してくれているので、何とか俺たちはまだ希望を失わずに戦える。

 

 また激しい戦いが始まると、そう覚悟して臨戦態勢に入った俺たちだったが、天魔は武器を構えるでもなく口を開いた。

 

「天音ぇ、どういうつもりだ」

「……お父さんが思っているそのままだと思うよ」

 

 そうか、どうして天魔の剣と霊力の鎧が突然消えたのかと思ったら天音が能力で破壊したということか。

 ということは天音は天魔を裏切って俺たちの見方をしたということ。それ即ち敵対行為だ。

 

 間違いなく天音は天魔側についていた方が安全だっただろう。何せ今俺たちは劣勢だ。

 そもそも天魔を倒せるかどうかわからないという状況。その上、月刃もまだどこかに潜んでいる。かなり絶望的な状況ということだ。

 なんでこのタイミングで俺たちに寝返ったんだ。今までの天音の様子からじゃ考えられない行動だ。

 今までの天音だったら俺たちに協力する姿勢を見せていても俺たちが天魔を倒せないということを悟ったら容赦なく叩き潰してきそうなものなんだが。

 

 その時、徐に天音が天魔へと歩き始めたかと思うと、1通の封筒を取り出すとそのまま振りかぶり――

 

 パァン

 

 封筒を天魔に叩きつけた。

 ゆらりと地面に落ち、少し濡れた封筒を天魔は手に取ってみると、その表情は怒りに変化し、天音を睨みつけた。

 

「天音、これの意味が分からないほど、お前は馬鹿じゃないよな!」

「えぇ、当然! 今日、この瞬間を持って、家族の縁を絶たせてもらいます!」

 

 その封筒に書かれていたのはにじんでいて読みにくくなっているものの、力強く書かれた絶縁状という文字だった。

 天音はいつでも天魔と敵対してもいいようにずっとこの絶縁状を携帯していたのかもしれない。

 そして、それを突きつけるタイミングは今日、このタイミングしかないとそう感じ、叩きつけた。

 

「わからないな。お前は俺の実力を知っているだろう? なぜお前は勝てぬ戦いに身を投じる」

「それはね」

「それは?」

 

 俺たちは実際に劣勢。一歩間違えたら敗北してしまうほどギリギリの状態。そんな俺たちに協力する意味とは?

 俺も気になって耳を傾けていると天音は少し言いよどんでいる様子で、もじもじとして耳まで赤く染めていた。なんだか恥ずかしそうにしている。

 少し嫌な予感がするぞ。

 

 ようやく覚悟を決めたのか天音は叫ぶようにして言った。

 

「もう1回黒葉お兄ちゃんに頭をなでなでしてもらいたいからだよ!」

「……」

「…………」

「………………」

「……………………」

 

 さっきまで殺伐としていたこの場所に突如として静寂が訪れた。

 まるで時でも止まっているかのようだった。振り続けている大雨の音だけが聞こえてくる。

 天音の返答を聞いて天魔もポカンとしていた。あんな親父の表情を見たのは生まれて初めてだ。

 

 それにしても……お、思ったより動機が不純だった~っ!?

 

 いや、なんか考えが大人っぽくなっていて、色々と思考をめぐらせて賢い感じになったと思ったら急にこの子アホの子になったぞ。

 それでいいのか!?

 表情を見たらわかる。もう天音は親父の目を覚まさせることなんてどうでも良くなっている。ただ、兄に甘えたいという欲望の詰まった目だ。

 まるで目の中にハートでもあるような目をしている。

 

 まだまだ子供だと言うのに一切甘えられなくて大人で居ることを強いられていたところに俺が撫でたことで反動で爆発してしまったか。

 つまり天音はしっかりしているように見えて特急の地雷だったわけだ。

 

 まぁ、何はともあれ天音が力になってくれるのは心強い。

 

「よし、天音。援護は頼んだ」

「任せてよお兄ちゃん♡」

 

 間違いなく語尾にハートが着いていたような気がするが気にしないのが1番だろう。

 

「黒葉、茉衣。あと、馬鹿」

「馬鹿!?」

「今の戦いで奴も俺たちでダメージを与えられることがわかった。一気に畳み掛けるぞ!」

 

 そう言って先陣を切って攻撃を仕掛ける威迅。

 それを見て俺と茉衣も攻撃を仕掛ける。

 天音は戦闘力は無いらしいから後方で支援だ。天音の能力があれば天魔は鎧も剣も作り出せない。

 敵にすればこれほど厄介な敵は居ないが、味方にすると心強い。

 

 天魔はさっきまでと同じように雷で大剣を作り出そうとしたが――

 

「"壊れろ"」

 

 天音が命令したことによって大剣は粉々に砕け散った。やっぱり大剣は天音が居る事で完全無効化できる。

 あとは降ってくる雷に注意すればいい。大剣の高火力でぶっ飛ばされることはもう無い!

 

「ちっ」

 

 だが、それでも素で防御力が高い天魔だ。筋肉に力を入れて防御力を上げてきた。

 

「関係ねぇ!!」

 

 でもそれでも剣と鎧を奪えたのは大きく、威迅は天魔に攻撃を仕掛ける。

 それに対抗し、天魔は大剣が使えないので、その大きな拳を威迅の刀に叩きつけた。

 

 ぐっ!

 

 普通なら刀と拳がぶつかり合ったら防具でも無い限り拳の方が負けるはずなのだが、やはり筋肉アーマーの天魔だ。

 威迅の刀と互角に押しあっている。

 

「はっ、まるで鋼鉄に刃を突き立ててるみたいだな」

 

 このままでは吹っ飛ばされるかもしれない。だが、威迅はそうなる前に天魔の力を利用して飛び退いた。

 剣も強いし、拳も強い。

 天魔はそもそものフィジカルが化け物なんだ。

 

 でも、天魔を倒すためのお膳立てはされているんだ。

 天魔は攻撃力も防御力も下がり、こっちは4人、天魔は1人。都合よく月刃も近くにはいないようだ。

 俺たちが倒さなくて、いつ倒すんだって位だ。

 

「天魔!!」

「太陽、お前の力では真っ直ぐ来たところで勝ち目はないぞ!」

「わかってるよ!」

 

 俺は本を読むのが好きだった。

 天魔組にいた頃も、そして冬夏家にお世話になるようになってからも。

 俺は暇さえあれば本を読んでいた。

 

 その中でも好きだったのは戦闘物。

 特に知略を巡らせて戦っているものを読むと大興奮だった。

 だから俺も戦いでは頭を使うようになった。ただ、俺の身体能力ではついていけなかったのだが。

 戦っている今、集中して相手の動きを見ることは出来ない。でも、自分の力ならよく知っている。

 

 昔からへっぽこで、力も足りない。そんな俺だったけど、今の俺には姉貴に教わった妖力がある。

 師匠に教わった体の使い方も知っている。

 

 今までの俺じゃないってところ、天魔のその肉体に刻みつけてやる!

 

 刀に灼熱の炎を宿し、正面から切りかかる。

 この技は今、即席で考えた技だ。決まるかどうかは分からない。

 でも、初めは必ず決まる。

 

「《炎天(えんてん)――」

「正面から来て決まるわけないだろう」

 

 予想通り、俺の刀は簡単に右手で止められてしまった。

 ここまでは想定内。次からが天魔も予想できない攻撃だ。

 俺の攻撃は2()()()()()

 

「――双画(そうが)》」

「なっ」

 

 一瞬遅れて俺が刀を振った別の角度から炎の斬撃が天魔に襲いかかり、俺の刀を受け止めた腕を焼き斬り裂いた。




 はい!第153話終了

 黒葉の新技、《炎天双画》。

 通常、双剣は同時に2回相手を斬る技なのですが、この技はなんと妖力の斬撃があとから遅れて来ると言う初見殺しな技になっています。

 だから初めは必ず決まるって言ってたんですね。

 それにしてもあまりにも天魔が強すぎますよね。

 地味に天魔はこの東方妖滅録に出てくるキャラの中でもフィジカル最強だったりします。

 次回、また転機になると思います。

 それでは!

 さようなら
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