【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉と月刃が接敵、ついに戦いが始まった。

 しかし、黒葉の力ではどうやっても月刃には勝てない。

 そこへ咲夜が助けに入る。

 咲夜の持ってきた薬で回復した黒葉は咲夜と共に月刃へ立ち向かった。



 それではどうぞ!


第156話 異常事態

side黒葉

 

 師匠が月刃にナイフを突き刺した。

 これは俺たちの勝利、のはずなんだけど嫌な予感がしてならない。

 生きている生物からは多少なりとも霊力、妖力は漏れ出てしまい、完全にゼロにすることは出来ない。

 そしてそれが死んだらゼロになる。

 

 でも、今この場から微かではあるが、月刃の霊力を感じられる。

 つまりこれは――

 

 ポフン

 

 目の前にいたはずの咲夜にナイフを突き刺された月刃はポップな音を鳴らしながら煙となって消滅。残されたナイフは地面に落ちてしまった。

 やっぱりこれは偽物だったようだ。

 俺に攻撃をしてきた時は確実に手応えがあったため、ここにいたはずなのだが、いつの間にか身代わりと入れ替わっていたようだ。

 多分これも月刃の能力だ。

 

 その次の瞬間、なにかに気がついた師匠は俺の事を真横に突き飛ばすと、俺の背後の方向へとナイフを振るった。

 

「その華奢な腕のどこにそんな腕力があるんだ?」

「完璧なメイドですので」

 

 咲夜がナイフを振るった先には月刃が居り、月刃も拳を突き出してお互いにナイフと拳で押しあっている状態だった。

 どうやら身代わりを作り出した直後にあの超スピードで俺の後ろに回ったようだ。

 

「あなたの神速の加護、助走があまり無いと威力はあまり出ないものね」

「神速の加護?」

「こいつの力よ。こいつの超スピードは能力とは違うものらしいわ」

 

 加護、覚えがある。

 つい最近も紅魔館で接敵した時、月刃が加護って言っていたな。

 そして昔、銀河家に居た頃、文献を読んだことがある。

 

 加護という力は稀に発現し、能力の限界を超えた力を使うことが出来るようになることがある。

 加護は昔に多く存在した力で、同じ時代に似た加護が2つ以上存在することはありえないとされている。

 加護を持つ者が死ぬとその加護はあとの時代の者に発現する。

 

「昔見た文献では加護は失われたって見たんだけど……まさか、身内に発現してたなんてな」

「とにかく、あいつのスピードを攻略できなきゃ勝機はない。行ける?」

「正直厳しいと思う」

「そうよね」

 

 全く見えない、動体視力が追い付いていないというのにどう対抗しろというのだろうか。

 多分違うんだろうけど、感覚的には師匠を相手にしているのとほとんど変わらない。師匠も月刃のあれもほとんど瞬間移動のようなものじゃないか。

 その上月刃は能力喰いで恐らく色んな能力を使えるようになっている。

 

 正直、天魔よりもどう手をつけたらいいのか分からないぞ。

 

「2対1で数的有利をとったつもりかもしれないが、太陽は足でまといだ。この数的有利は無いに等しい」

「それはどうかしら。少なくとも私はこの子を足でまといだなんて思ったことは1度もないけども」

 

 俺的には結構今まで足を引っ張ってきた自覚はある。

 ゲン戦の時だって、更には俺がしっかりと自衛が出来ていれば月刃に拐われることだってなかったはずだ。

 今の負の連鎖は俺が足を引っ張ったことによって始まった。

 だと言うのに、師匠は俺を責めるでもなく、励ましの言葉をくれたのか。

 

「あなたが思っている以上にこの子は強いわよ」

「はっ、あんたも知っているだろ? 太陽の体は戦うのには向いていない。筋肉の密度は少ないし、霊力量だってその年齢の平均以下だ。鍛えたことで多少マシになっただろうが、戦いの才能があるやつが同じくらい特訓したら太陽の数倍、いや十数倍は強くなるだろう。そいつは弱いんだ」

 

 俺の体が戦いに向いていないということは自分自身でよく理解している。

 他の人にも何度も言われた言葉だ。

 でも、自分の手で大切な者は守りたかったんだ。

 

 すると師匠は俺のそんな気持ちを理解してか否か、月刃に反論して見せた。

 

「黒葉には何度も救われたわ。ゲンだって黒葉が倒してくれたし、盗賊には黒葉が居ないと勝てなかった。すごく、感謝しているのよ」

 

 普段の師匠からは絶対に出てこないような言葉の数々に俺は呆然としてしまった。

 意外と俺は師匠に信頼してもらえていたらしい。

 こんな弱い俺でも力になれていたらしい。

 

「黒葉を侮辱するなら私が許さないわ」

「ならばどうする?」

「私のナイフで蜂の巣にしてあげる」

「やれるもんならやってみな」

 

 その会話を最後に師匠はナイフホルダーから慣れた手つきでナイフを数本取り出すと左右に分けて持ち、左手に持ったナイフを月刃へ投げ飛ばした。

 しかし、それを月刃は軽く回避すると、目では追えないほどの速度で師匠に急接近して殴りかかろうとする。

 

 確かに目では追えない。でも、霊力を完全に消せる人なんて存在しない。

 動いたらその場所に霊力の軌道というものが残る。

 それを感じ取ればどう動いているか察知できるし、師匠は俺よりもその察知能力は高い。――だから

 

「慣れた!」

「っ」

 

 師匠は目には見えない拳を回避することが出来た。

 どうやら月刃は超スピードを制御しきれないみたいで、スピードが出過ぎていると急転換や急停止はできないみたいだ。

 だから回避してしまえば月刃は無防備になる。

 師匠はその場で回転し、回し蹴りを月刃の背中に叩きつけ、そのまま背後の森へ向かって蹴り飛ばした。

 

 だが、月刃もその程度ではあまりダメージにはならなかったようで、空中で体勢を立て直すと再び地面を蹴って駆け出した。

 

 やっぱり目で追えない。

 俺は師匠とは違って霊力の感知もそんなに出来ない。

 でも、なんだか――

 

 ガッ!

 

「なに!?」

 

 俺は徐に背後へ向かって刀を振ると、そこへ迫ってきていた月刃の拳とぶつかりあった。

 まるで金属同士が擦れあっているかのように火花が散っているが、そんなことはどうでもいいほどの衝撃が走った。

 

 確かに俺は月刃の動きを見ることは出来ないし、正確な位置を霊力を読んで掴むことも出来ない。

 でも、なんだかここに攻撃が来る気がしたんだ。

 つまるところ、ただの勘だった。そう、勘で月刃の攻撃を防いでみせた。

 ただの勘ではそう何度も月刃の攻撃を防ぐことなんて出来ないだろう。

 でも、これは異常事態だ。本来なら俺が月刃の攻撃を防ぐ術なんてあるはずないんだから。

 

 だからそんな異常事態に脳が混乱してしまった月刃の動きが止まってしまう。

 そんな隙、うちの師匠が見逃すはずがない。

 

「はっ!」

「ぐ、かはっ!」

 

 硬化して防御する術を持っていたはずの月刃だが、あまりの事態に脳の処理が追いつかなかったらしく、防御も無しに師匠の膝蹴りを腹に一発もろに食らって蹴り飛ばされた。

 20メートルくらいだろうか。吹っ飛んで最後は木に激突して地面に崩れ落ちた。

 

 初めてもろに食らった攻撃、しかもそれに繋げたのが雑魚と侮っていた己の弟である俺。

 ダメージはそんなに受けていない様子だったが、それでもこの状況に驚いて呆けていた。

 だから、俺は更にダメージを与えることにした。

 

 ハッタリでもなんでもいい。今はとりあえず出来ることは全てやる。

 

「どうだ月刃。あんたが雑魚と侮っていた弟は5年でここまで強くなったぞ」

「ばかな……馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!!! ありえない。こんなことあってはならない! あああああああああああ!」

 

 脳のキャパを超えてしまったようだ。月刃が発狂してしまった。

 でもこれでいい。月刃が冷静な判断力を()いてくれればあとは師匠が何とかしてくれる。




 はい!第156話終了

 ここで月刃を倒せるのでしょうか?

 しかし、月刃は一筋縄では行きませんよ。

 ちなみに黒葉と咲夜は刺し違えてでも月刃をここで倒す覚悟です。

 それでは!

 さようなら
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