【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉&咲夜vs月刃。

 月刃のスピードに圧倒される黒葉だったが、咲夜は霊力を読むことで動きを掴む。

 だがなんと、超スピードの月刃の攻撃を動きを読めない黒葉が勘だけで防いでしまったのだ。

 これは明らかな異常事態。

 あまりの事態に月刃はバグってしまうのだった。



 今回は黒葉から離れて黒葉と威迅がぶっ飛ばされたあとの天魔側はどうなったのかっていう話です。

 天魔の前には気を失った茉衣と天音。万事休すか?

 それではどうぞ!


第157話 役者と配役

side三人称

 

「邪魔者は居なくなったか」

 

 黒葉と威迅をホームランした天魔は地面へと視線を落とし、茉衣と天音に視線を向けた。

 雷の直撃を食らって気を失っているだけ。少ししたらまた普通に動けるようになるだろう。

 

「この小娘はどうでもいいが、天音がまた歯向かってきたら厄介だ」

 

 天音の能力は相手の武器破壊をも可能にするチート能力。

 放っておいたらまたその能力が猛威を奮ってしまう。

 一度、この能力で天魔は武器を使えなくなったら、その力の恐ろしさは身をもって知った。

 唯一の救いは意思のある相手には効果がないという所だろう。だが、それもいつまでかは分からない。

 もし、天音が本格的に樹海を身につけたら、能力が拡張され、意思のある相手にも通用するようになるかもしれない。

 

 天魔にとって厄介極まりなかった。

 

「ここで消しておくのが吉か」

 

 今の天音は黒葉に心酔している。何があっても黒葉の味方をするだろう。

 だからといって黒葉を殺したら殺したで地獄の果まで追い回すくらいの勢いで殺しにかかってくるのは間違いない。

 このことから、ここで天音を殺しておこうと考えた天魔は大剣を構え、天音に向かって振り下ろしたその直後の事だった。

 

「この子はまだ小さいじゃないか。黒葉よりも小さい。まだ、死ぬには早いんじゃないかって僕は思うよ」

 

 天魔の剣が天音に直撃することは無かった。天魔の剣は阻まれたのだ。

 驚きつつも天魔は剣を受け止めた相手を見てニヤリと口角を上げた。

 

「相当に優秀な治癒師がいるみたいだな、冬夏烈夏」

「あぁ、おかげで元気が有り余って仕方がねぇ」

 

 天魔戦や玲音戦で受けた傷はどこへやら、烈夏の体からは傷が消え、霊力も回復し、元気を取り戻していた。

 このタイミングで万全状態の烈夏が出てくるのは天魔にとっても想定外、思わず顔を引き攣らせてしまった。

 

 鈴仙が持ってきた超回復の薬、あれは貴重なものでそんなに量は無いのだが、烈夏はこの戦いを勝ちに導くのに必要な人だ。

 玲音との戦いを見てそう確信した鈴仙は烈夏に薬を投与した。

 フランとルーミアの傷は烈夏程ではなく、疲れて眠っているだけなので、すぐに目を覚ますだろう。

 

 しかし、この超回復の薬、どうやら使用者の生命力に比例して回復力が上がるようなのだが、この男、凄まじい生命力。

 投与された瞬間にみるみるうちに回復し、そして完全回復してからものの30秒程で目を覚まして戦場へ向かったのだ。

 これには鈴仙達もあっけに取られてしまって呆然としていた。

 

「だが、お前1人で勝てるのか? この俺に」

「無理でしょ」

「は?」

「いや、そもそもよくよく考えてみてよ。僕、1回万全の状態でボコられてるんだよ? あの時は今よりもお前の体力があったからって今もそんなに体力削れてないじゃん。無理無理、クソですわ」

 

 自信たっぷりに敗北宣言をする烈夏。

 そんな様子を見て呆れたように天魔は言った。

 

「じゃあなぜ来た」

「そりゃーもちろん勝ちに来たさ」

「お前、1文で矛盾したことに気がついたか?」

「勝ちたいけど、僕1人じゃ勝てない。だから、少し考えた」

 

 烈夏は言葉とは真逆に天魔に勝つ算段が着いたとでも言わんばかりの自信のある表情をしていた。

 だが、実際は天魔に勝てるかは五分五分と言ったところ。でも、五分五分でも今までは1割程度しかなかった訳だからこれに賭けるしかない。

 そんな不安を押し殺して自信満々な態度をとる烈夏。

 

 そこでなんと、今まで気を失っていた茉衣と天音が目を覚ました。

 天魔の計算ではまだ気を失っているはずだったが、脅威の回復力に少しだけ驚き、一瞬だけ目を見開いた。

 

 しかも、意識を取り戻したばかりだと言うのにボーッとしている感じは全くなく、一瞬で意識が覚醒したようにも思える。

 まるで強制的に意識を覚醒させられたかのように。

 

「ありがとう、雪姫」

「いえ、烈夏さんが意識を引き付けてくれていて良かったです」

 

 そう、要はミスディレクションだ。マジシャンなどが種がバレないように行う視線誘導。

 烈夏はそれを実際にやって見せた。

 自分がド派手に登場することで自分に視線を向けさせ注意を引き付ける。その間にこっそりと雪姫が動く。

 

 今回使ったのは目覚め薬。

 これを飲ませれば眠っている者、気絶した者を一瞬で眠らせることが出来る。

 もちろんこの薬も永琳製で鈴仙が持ってきたものを貰ってきたのだ。

 

「あれ、私気を失ってた?」

「みたいだねぇ。相変わらずあの雷は厄介だよ」

「これで役者は揃った。あとは配役だ。茉衣ちゃん、目覚めて早速のところで悪いんだけど、君はあっちの森へ向かってくれないかい?」

「え? 森に?」

 

 茉衣はただでさえ目が覚めたら烈夏と雪姫が目の前にいるという事実に驚いているというのに、更にこの状況で森へいけという烈夏の言葉に戸惑いを隠しきれなかった。

 烈夏の言葉をお前は足でまといだからさっさとどっか行けと言う風に捉えてしまったのだ。

 だが、すぐに烈夏の次の言葉がそんな考えを否定した。

 

「あっちに威迅君がぶっ飛ばされていったのが見えた。多分あれはまだピンピンしてるね。で、だ。あっちにはあの超スピードも居る。少なくとも天魔と超スピードを倒さないと勝利にはならないだろう。君たちにはあの超スピードを倒してもらいたい」

「え、わ、私がですか!? 無理ですよ!」

「いや、君なら勝てるさ。本当なら僕が行きたいところなんだけどね、僕は霊力探知が苦手でさ、あのスピードを対処出来ないんだ。でも、君ならその柔らかい筋肉を利用して小回りが利く戦いができる。それに、兄も居るんだ。彼はかなり強いぞ」

 

 茉衣は不安だった。

 本当に自分に敵を倒せるほどの力があるのか、このまま戦っていてもやっぱり足でまといなんじゃないか。

 考えた。

 考えて考えて考えまくった。

 

 前日も夜遅くまで頭が痛くなるほどに考えまくった。

 でも、答えは出なかった。あやふやな気持ちのままここに立っていた。

 

 今まで誰かに期待されたことなんて無かったのだ。

 見離されたことは無かったけど、期待されたこともなかった。

 中途半端だったのだ。

 

 でも、今茉衣は自分が烈夏に期待されている、そう思うことでどんどんと勇気が湧いてくるのを感じた。

 

「あと、黒葉はこっちに寄越してくれるかい? 黒葉は目はいいんだけど、多分超スピードにはついていけない。まだこっちの方が勝機があるんだ。頼めるかい?」

「分かりました。勝てるかは分かりませんが、全力でやってみます!」

「うん、よろしく」

 

 期待されている、そう感じた茉衣はやる気満々で威迅が飛んで行った方角へと走って行った。

 烈夏は全く表情を崩さずに見送ったが、実際は心配なことだらけだった。

 まず、月刃がどんな能力を持っているか知らない。本当に超スピードに対抗できるか、確証がない。

 せめてもう1人居れば違うのだが、もう月刃の方に割ける人材が残されていないのが現実だ。

 

「あとは、天音ちゃんだったっけ」

「はい! 天音です」

「君はこっち? それとも向こう?」

「黒葉お兄ちゃんの役に立てる方です!」

「うん、じゃあこっちだね。君は僕らと共に天魔と戦ってもらいたい。黒葉が来るまでは温存気味で時間稼ぎに専念だ」

「了解です!」

 

 ついに役者と配役が揃った。

 あとは戦うだけ、改めて対峙すると天魔からは本当に人間なのかが怪しいほどの濃密な霊力が溢れ出して来ている。

 最早無尽蔵なのではないかと思うほどだ。

 

 でも、勝てなければこの里はおしまいだ。

 

(例えこの身がこの場で果てようとも、この里を守るためならおしくは無い!)

 

 烈夏の覚悟を決めた最終決戦が今、始まろうとしていた。




 はい!第157話終了

 最終決戦が今、始まりません。

 次回は森へ駆け出して行った茉衣から始まります。

 烈夏の最終決戦はもう少し先です。

 それでは!

 さようなら
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