【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 気を失った茉衣と天音に迫りくる天魔の間の手。

 そこへ烈夏が乱入、窮地を逃れ、雪姫が持ってきた薬によって2人とも目を覚ました。

 だが、このまま戦うだけではこの戦いには勝てない。そう判断した烈夏は指示を出した。

 茉衣は威迅と共に月刃の撃破、ついでに黒葉を連れ戻し、烈夏、雪姫、天音、黒葉の4人で天魔を撃破する。

 果たして天魔と月刃を倒すことはできるのだろうか?



 それではどうぞ!


第158話 2つの予想外

side三人称

 

 威迅のもとへ向かって走り出した茉衣はすぐに森へとたどり着いた。

 茉衣は力こそないものの、足の速さだけは威迅も目を見張るほどのもので、この足を鍛えれば力が多少なくとも戦えるほどにはなるだろう。

 

 そんな茉衣は森へ入ってすぐに少し異常を感じ取っていた。

 

「ここってこんなに静かだったっけ?」

 

 実は人里の周囲にある森には妖怪がたくさん生息している。

 その中には人を襲う妖怪もたくさん生息しているため、少し森に入っただけでも霊力が弱い人はすぐに妖怪に襲われてしまうのだ。

 だが、この森に生息している妖怪はほとんど弱い妖怪ばかりで、妖夢に鍛えられる前の茉衣でも倒せる程度の物ではあるのだが、森に入っても全くもって妖怪の姿がない。

 

 おかしい。

 いくら何でも静かすぎる。

 それは感じっていたが、今は威迅と合流するのが最優先。どんどんと森の奥地へと向かって行く。

 

「木が倒れてる」

 

 しばらく走ると激しく戦った跡が見えてきた。

 木はボロボロに砕かれ倒れ、そこら中の地面がえぐれていた。

 これは咲夜と月刃が戦った跡である。詳しくは月刃が神速の加護を使ったことによる衝撃波で出来上がったものがほとんどだ。

 そんな足場の悪い森に差し掛かり、茉衣は走るのをやめ、慎重に周囲を警戒しながら歩いていく。

 

 この惨状を見てゴクリと喉を鳴らす茉衣。

 こんな戦い、自分が出来るのだろうか。ついていけるのだろうか。

 そんな考えが頭の中をよぎる。

 

「ダメダメ、今は集中しないと……」

 

 茉衣は能力は無いし、霊力は少ないものの、狭い範囲内であれば霊力を周囲に放出して索敵することが出来る。その距離、およそ10メートル。

 これは霊力探知の距離としては狭い方ではあるが、それでも無いよりはマシだ。

 むしろ、能力で霊力を使い慣れていない人が霊力探知を出来るのは寧ろ凄いことだったりする。

 

「っ!」

 

 そこで茉衣の霊力探知に反応があった。

 方向は右。警戒しつつ、刀を構えながら霊力の反応があった方へと体を向けると、人影が見えてきた。

 その人物は両手を上げて敵対意識が無いということを示してきている。

 と言うか、ここは薄暗くて距離が離れているとよく見えないが、近づくことで姿がはっきりしてきて茉衣は刀を下ろした。

 

「お、お兄ちゃん……?」

「はぁ……妹に刀を向けられるのはきついな」

 

 茉衣に近づいてきていたのは威迅だった。

 茉衣の探知精度は良くは無いため、誰の霊力なのか判別することは出来ず、姿を見るまで威迅だとは気が付かなかった。

 一方、威迅は茉衣が威迅の霊力に気がつく前から茉衣が居るということに気がついて近づいてきていたのだ。

 

「それにしてもなぜお前がここに? お前は気を失っていたはずじゃ……」

「うん、でもね、烈夏さんと雪姫さんが助けに来てくれたんだよ!」

「なるほどな。やっぱりあの人はただじゃ起きないか」

 

 威迅は烈夏のことをかなり評価している。

 能力を持たないというのにあれほどの立ち回りができる。そして、もはやこれが能力だと言ってもいいほどの筋肉の扱いの上手さ。

 もし戦いに役立つ能力を烈夏が持っていたら威迅よりも圧倒的に強くなっていたかもしれないと考えると、その才能が勿体なく感じる。

 

「んじゃ、俺の事を迎えに来てくれたのか? 安心してくれ、俺もこれからあのデカブツのところに戻るつもりだったからな」

「ううん。私達の相手は超スピードの方大きい方は烈夏さん達に任せるよ」

「どういうことだ?」

 

 ここで茉衣は威迅にさっきの烈夏とのやり取りを全て話した。

 月刃を自分と威迅で倒すこと、そして黒葉を烈夏達のところに送って天魔は烈夏、雪姫、天音、黒葉の4人で倒すこと。

 

 やはり何度考えても不安しか無い作戦ではあるが、どちらもどっちかを倒したあとの消耗しきった状態じゃ勝てないことも確か。

 それならばいっそ手分けしようということだ。

 

「なるほど、つまり俺と茉衣であの超スピード野郎をぶちのめせばいいんだな」

「そういうことですね」

「しっかし、あっちには白愛の父さんと母さんが居るのは良いが、そのチームメイトが雑魚(黒葉)馬鹿(天音)って言うのは不安だな」

「あはは……」

 

 威迅の言い方に笑うしかない茉衣。

 

「だが、取り敢えず俺たちはあの超スピード野郎をぶちのめす、それだけだ」

「だね」

 

 合流することが出来た2人はどんどんと森の中を突き進んでいく。

 茉衣1人だけの時とは違い、索敵範囲が段違いに広くなったため、月刃を探しやすくなっている。

 だが、これでも妖怪が探知に引っかからないため、やはりこの森の様子は何かおかしい。

 

 少し走り、ついに威迅の探知に霊力が引っかかった。

 

「居るな。それも3人だ。1人は俺たちの目的である超スピード、銀河月刃。あとの2人は……雑魚とメイドだな。メイド、まだ生きてたか。これは好都合だ。こっちの戦力が増える」

 

 言いながら威迅はニヤリと口元を歪めた。

 実は威迅は咲夜が樹海の修行をしている時から少し気になっていたのだ。

 樹海を使える人は意外と存在する。なんだったら、茉衣が使っている霊力探知も樹海のなり損ないと言っても過言では無い。

 正確には樹海では無いのだが、本質は似たようなものだ。

 

 だが、あれほど精度高く樹海を使える人と言うのはそう多くは無い。

 咲夜ならば樹海のその先、樹海技を使えるんじゃないかと思っている。

 

「見えてきた!」

 

 森のど真ん中、そこで黒葉と咲夜が月刃と戦っているのが見えてきた。

 だけど、あんまり状況は良くないようだ。

 咲夜は腕と頭から血を流し、黒葉は地面に倒れていた。今にもやられてしまいそうなその状況に威迅は咄嗟の判断で動いた。

 

 刀を思い切り振りかぶるとまるで遠くに釣竿の浮きを飛ばすかのような動作で刀を振ると同時に黒葉へ向かって刀が伸びていく。

 黒葉の頭を踏み潰そうとしている月刃、だがそれよりも一瞬早く威迅の刀が黒葉の体を巻きとった。

 

「えっ!」

 

 想定していた衝撃と違ったからだろうか。黒葉は驚きの声を漏らした。

 

「てめぇの持ち場はあっちだ!」

 

 そして威迅は体をハンマー投げのように回転させて天魔がいる方向へと投げ飛ばした。

 刀がしなっていたせいでかなりの威力になってしまったが、死ぬことは無いだろう。

 

 そして黒葉という的を失った月刃の足は勢いよく地面に叩きつけられ、小さなクレーターが出来上がった。

 黒葉とは違う、ぬかるんだ土の感触に不快そうに顔を顰めると、黒葉を掻っ攫った威迅の方へ視線を向ける月刃。

 2人の間にバチバチと火花が散る。

 決してそんな色っぽい話では無いのだが、その姿はまるで修羅場のようだ。

 

「兄弟喧嘩を邪魔しないでくれないかな?」

「馬鹿言うな。殺しは喧嘩には入らんだろう」

「兄弟水入らずを邪魔しちゃ無粋ってもんだ」

「既に(メイド)は入ってるじゃねぇか。なら1滴も2滴も3滴も同じようなもんだろう」

 

 月刃は明らかに不機嫌そうで、威迅は煽るような笑みを浮かべながら対話する。

 どっちも構えてはおらず、ただただ20メートル以上離れて対話する。でも、2人とも決して油断しているとか言う訳では無い。

 2人ともすぐに戦えるように霊力を己の武器に纏わせている。隙がない。

 

 見守る茉衣の額には冷や汗が滲み出していた。

 緊張が走る。

 

 その次の瞬間、先に動きだしたのは月刃の方だった。

 月刃が指パッチンをすると同時に世界が動きを止める。時計の秒針すら微動だにしなくなる。

 そんな世界で月刃は威迅へ攻撃するために動き出す。

 

 だが、この世界で動けるのは月刃だけでは無い。

 

「させない!」

 

 腕に傷を負っているものの、まだ無事な方の腕でナイフを構えて月刃に切りかかる。

 当然そんなものに当たる月刃では無いが、威迅の霊力の迫力が強すぎて近くに咲夜が居るということが頭から抜けてしまっていたので、思い出して「ちっ」と舌打ちをする。

 だが、咲夜が動くことが出来たとしても月刃には神速の加護がある。そこに絶対的な差が存在する。

 

「ぐっ」

 

 月刃の回し蹴りを脇腹に食らってしまった咲夜は真横に蹴り飛ばされるが、飛ばされながらもすぐさまナイフを月刃へ投げた。

 道具なら時が止まっている間も咲夜が触ったら手を離してもほんの少しだけ動き続ける。

 このナイフは月刃の体を掠めた。

 

「慣れて来てるな」

 

 咲夜は月刃のスピードに適応しつつある、そのことを認識し、表情を歪める月刃。

 ぶっ飛ばされ、背中を木に強打してしまった咲夜は思わず能力を解除してしまい、同時に月刃の能力の時間制限も来て世界の時間が動き出す。

 ――と、同時に月刃は背後に嫌な予感を覚え、背中や首を硬化すると次の瞬間、背中に鋭い衝撃を受けた月刃はそのまま前方へぶっ飛ばされ、何とか体勢を立て直して15メートルほどぶっ飛ばされたところで踏みとどまった。

 

「どうだ、俺も少しは強くなっただろう?」

「っ!」

 

 今の一撃で月刃にとって予想外だったことが2つあった。

 1つ目はまさか斬撃で硬化を貫通され、背中から血を流すことになるとは思っていなかったこと。

 そして2つ目は――

 

「よぉ、8年ぶりだな。あの時の屈辱、俺は1秒たりとも忘れたことは無かったぞ銀河月刃」

「そうか、思い出したぞ。お前はあの時の弱虫野郎か!」

 

 分郷威迅がここまで強くなるとは思っていなかったことだ。




 はい!第158話終了

 さて、月刃戦の役者は揃いました。

 次回は黒葉の身に何があったのかを少し書いたあと、また月刃戦に戻ってきます。

 時系列的には月刃戦よりも天魔戦の方が長くなります。

 ただ、途中までは玲音戦とは違って同時進行っていう設定で進めますが、とりあえず月刃戦を進める感じになります。
 そのあと天魔戦ですかね。

 あ、あと感想や評価を頂ければとても喜びます。

 それでは!

 さようなら
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