【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 威迅を追って森へやってきた茉衣はすぐに威迅と合流することに成功。

 月刃の元へたどり着いた時には黒葉がやられそうになっていたが間一髪のところで威迅が天魔の所へと投げ飛ばす。

 ついに始まった咲夜、威迅、茉衣対月刃。

 果たして勝つのはどちらか?



 今回は黒葉が前話でどうしてあんな状況になったかをお送りします。

 それではどうぞ!


第159話 太陽は月には敵わない

side黒葉

 

 もっと月刃を追い込む方法はないだろうか。

 そう考えてみるとずっと不思議に思っていたことがあるのに気がついた。

 

 俺たち銀河一族には能力喰い(イマジンイーター)という能力が備わっている。

 それは相手の血を取り込むことでその血の量に比例した強さの能力を相手から奪うことが出来るという力だ。

 

 恐らくそれで今まで色んな能力や師匠の能力を奪って使ってきていたんだろう。

 そこで気になるのはさっきまでの戦いだ。

 俺は何度も何度も月刃の目の前で血を流してきた。俺に能力があるって言うことは月刃も分かりきっている事だろうし、能力を奪うには絶好の機会は何度もあった。

 

 例え月刃の拳に俺の血が付いていても払い落としたのだ。

 

 この行動、月刃の性格を考えたら少しおかしいということに気がつく。

 俺はこの能力喰い(イマジンイーター)という能力にはあまり詳しくないが、それでもある程度の推測は出来る。

 つまりはこういう事だろう。

 

「月刃、能力喰い(イマジンイーター)って、同じく能力喰い(イマジンイーター)を持っている相手には効かないんだろ」

「よく知ってるな」

 

 やっぱりそうだったみたいだ。

 だから月刃はさっきから俺から能力を奪おうとはしてこなかった。

 師匠は能力を奪われる可能性があるけど、俺にはその心配は無い。

 

「月刃、お前の天敵って俺なんだな」

「いや、お前は雑魚過ぎて話にはならない。そのはずだった。お前には能力喰い(イマジンイーター)が効かない。だから俺も警戒していた。だが、蓋を開けてみたらどうだ? 相変わらず雑魚のままだった。変わったことといえば、能力を得たこと位なものだ。これなら余裕で勝てる、はずだった。でも、今のはなんだ。お前では防ぐことは出来ないはずだ!」

 

 確かに今の防御に関しては自分でも驚いていた。

 突然頭の中に天啓が降りてきたかのような勘が冴え渡り、月刃の攻撃を防ぐことが出来た。

 確か博麗の巫女様は勘が鋭く、かなりの確率です勘が当たるってのは聞いた事があるけど、俺は別に博麗の一族って訳でもないし、本当によく分からない。

 

「予定変更だ。太陽、お前は弱かったから後回しでもいいと考えていたが、まずお前から殺すことにした!」

 

 言い放つと一瞬にして月刃が目の前から消えてしまった。

 いや、消えたんじゃない。目に見えないほどの超スピードで動いたんだ。

 

 どこだ? どこに行った。

 今度はさっきと違って勘が働かない。そう何度も何度も奇跡は起こらない。

 

「っ! 上!」

「はっ!」

 

 師匠が気づき、俺に月刃の位置を伝えてくる。

 慌てて上へ向いたが、時すでに遅し。既に俺の眼前には月刃の足が迫ってきていた。

 今ここから回避する術を俺は持ち合わせてなどいない俺は成すすべなくその足に踏みつぶされ、地面に顔面を叩きつけることとなってしまった。

 防御なんかする暇はなかった。あいつのスピードはそんな程度で収まる物じゃない。俺が反応できただけでも奇跡みたいな攻撃だ。

 

「がはっ」

 

 俺は強くなって、能力が使えるようになって少し驕っていたのかもしれない。

 本来の俺は弱い。こんなところで戦っていていい奴じゃない。

 

 妖夢師匠に教えてもらっていたのに俺だけまともに双剣を使うことが出来なかった。茉衣は割と早くに自分の癖を克服し、双剣を使えるようになっていた。

 月刃の言う通り俺の体は戦えるようにできていない。

 腕も細いし、筋肉もあまりない。

 

「ぐっ、ぐぐぐっ!」

「黒葉から離れなさい!」

 

 師匠がナイフを投げると月刃は俺から足をどけて飛びのいた。

 

「野暮だね。実に野暮だ。もう少し実弟(じってい)との交流を楽しませてくれないかい?」

「交流というよりも殺し合いでしょうが。弟子が殺されかけているのよ? 邪魔するでしょ」

 

 何とかしないと。

 俺も足でまといにならないように。決して悔いが残らないように。

 出来ることは全てやったって胸を張って言えるように。

 

 俺は起き上がるとすぐに刀を構えた。

 

「まだやる気なんだ」

「当たり前だ。お前達を倒すまで絶対に倒れない!」

「ふーん。じゃあ、どこまでその虚勢を張れるか試してみようか」

「っ!」

 

 その次の瞬間には月刃は俺の目の前にまで迫ってきていて拳を構えていた。

 月明かりを反射してテカっている。間違いない、硬化している拳だ。

 しかも今回のはそこそこの助走がある。威力はさっきまでのとは桁違い。

 

 でも、負ける訳には行かない。

 

「だぁぁぁぁっ!」

「ふんっ!」

「《インパクト》ぉぉぉっっっ!!!!」

 

 腕に霊力を込め、《インパクト》の破壊力で月刃の拳を受け止めた。

 だが威力は凄まじい。まるで大きく振られた巨大な鉄球を刀1本で受け止めようとしているかのようだ。

 しかも俺には左手がない。右手のみでその威力を受け切ろうとしているのだから腕にかかる負担は桁違いだ。

 

「ぐうっ!」

 

 右腕が痛い、と言うか骨にヒビが入った感覚が走った。

 ピシッと月刃の拳から放たれた衝撃波によって体に切り傷が出来てしまい、周囲に俺の血が飛び散る。

 そんな俺の姿を見て月刃はニヤリと口元を歪めた。

 

「お前、俺の天敵なんじゃなかったのか?」

「ぐあっ」

 

 ついに俺は弾き飛ばされてしまった。

 腕はボロボロ、弾き飛ばされたことですぐに次の動きに移れない。だと言うのに月刃の攻撃はまた迫ってくる。

 月刃の腕が変形して鋭くなる。あれは刃物だ。肉体変形系の能力まで持っているらしい。

 

 これは防御できない。親父みたいに霊力のアーマーも作れない。

 万事休すか……。

 

 ガキンッ

 

 だが、その攻撃は俺に当たることはなく、師匠がナイフで受け止めていた。

 人体とナイフがぶつかり合っているとは思えない金属音。加速していない月刃の力と師匠の力は互角のようで、どちらも押し切れずに押し合っている。

 

 よし、師匠が受け止めてくれている間に体勢を立て直して――

 

 ザシュッ

 

「くぅあっ!」

「し、しょう……」

 

 決めては蹴りだった。

 腕と同じく鋭く変形した足で月刃は師匠に蹴りを入れた。

 咄嗟に回避動作をとったため、致命傷は避けたが腕を切り裂かれてしまい、その場に崩れ落ちる師匠。

 崩れ落ちた師匠に再び蹴りを放とうとしている月刃。

 今あれを食らったら間違いなく師匠の胴体にでっかい風穴が空いて死ぬ。

 

 何とかしないと何とかしないと何とかしないと。

 今この状況をどうにかできるのは俺だけなんだ。何とかするんだ。

 

 集中しろ俺。

 今まで俺は何を教わってきた。思い出せ!

 

 そうだ。あれがあった。

 今まで1度も成功させたことは無いが、霊力の扱いが上達した今なら出来るかもしれない。

 

 周囲に舞った血に霊力を流し込む、操作して連結させてどんどんと伸ばしていく。

 今月刃が立っている位置には俺の血飛沫が大量に舞っている。完璧な位置取りだ。

 

「ありがとう、姉貴!」

「なっ! ぐ、かはっ!」

 

 ザグッ!

 俺が霊力を流し込んで操った血液はどんどんと連結して長くなり、咲夜に攻撃した直後で油断していた月刃の背後から胴体を串刺しにした。

 まるでフックのような形状。綺麗に腹のど真ん中を貫通した。

 

 月刃は大量の血を吐き出し、串刺しにされた胴体へと視線を落とした。

 そして――

 

「え?」

 

 ズドーン!

 気がついたら俺は地面に倒れ込んでいた。

 何も認識出来なかった。分かることといえば俺は今、倒れているということだけだった。

 起き上がろうにもまるで上から何か重いものに押さえつけられているかのように体を上手く動かせない。

 

「『質量を変化させる程度の能力』だってさ。空気を重くした。もうお前はそこから自力では動けない」

 

 月刃のやつ、どんだけ能力を隠し持ってるんだ!

 余裕そうにゆっくりとした動作で突き刺さった血を抜くと一瞬にして胴体に空いた風穴を治癒してしまった。これでまた振り出しに戻ってしまったということか。

 

「なぁ、知ってるか?」

「なんだ?」

「月って実は自分では光っていないんだ。あれは太陽の光を反射することによって光っているように見えているだけ」

「それが、どうした」

「つまり、太陽。お前は俺、月に利用される運命ってことだ。太陽は月には勝てない。この世の摂理だ」

 

 ゆっくりとこっちへ歩いてくる月刃。

 

「やめろ!」

 

 師匠は俺を助けようと月刃の前に立ちはだかるが、師匠は素通りされてしまった。

 師匠の認識出来ないくらいの速度で横を通り抜けたのだ。

 

「だめ……だめ……ダメェェェッ!」

「さようなら弟よ。そしてさようならだ」

 

 俺は神速で加速した足に踏みつけられて死ぬ。そう覚悟して目を瞑ったのだが、そんな俺に来た衝撃は潰される衝撃では無かった。

 胴体を絡め取られ、重たい重力ですら諸共しないほどの力で引き上げられて月刃の足を回避することが出来た。

 だが、その直後何者かの手によって俺の体はハンマー投げのハンマーのようにぶん回されてしまった。俺の三半規管はボロボロだ。

 

「てめぇの持ち場はあっちだ」

 

 その一言を最後に俺は投げ飛ばされた。

 あっちってまさか天魔の方か!?

 

 今ちらっと投げ飛ばしたやつが誰なのか見たが、そこには威迅と茉衣がいた。

 どういう考えでこんなことをしているのかは分からないけど、今はとりあえずみんなの作戦に従っていくだけだ。

 3人とも、どうか月刃を倒してくれ。そして生きて再会しよう。




 はい!第159話終了

 次回からはついにガッツリ月刃戦です。

 果たして月刃をこのメンツで倒せるのか?

 それよりも心配なのは天魔戦ですけどね。

 実力者が烈夏しか居ないという……。

 それではお楽しみに!

 それでは!

 さようなら
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