それでは前回のあらすじ
昼休み、ルーミアと食事を取りに行こうとしていると、チルノに勝負を挑まれ、黒葉は戦うことになった。
しかし、昼間ということや、左腕が無いことによって日傘を差しながらなので、蹴りしか使えなくなっているので、まともに戦えるはずもなく、負けてしまった。
それによって黒葉はクラスメイトに最弱のレッテルを貼られてしまうのだった。
それではどうぞ!
side黒葉
俺たちは近くにあったミスティアの屋台にやって来ていた。
ミスティアはカウンターの奥に立ち、料理を作ってくれている。営業時間ではないのに、俺たちの料理を作るために働いてくれているのは少し申し訳なくなってくる。
「なぁ、俺も手伝おうか?」
「いえ、大丈夫です」
「でも」
「これは私が楽しんでやっていることなので、私にやらせてください」
こういう風に断られてしまったのだ。
だから俺はその好意に甘えてミスティアの料理をいただくことにした。
ミスティアの料理はとても美味かった。特におすすめのヤツメウナギが絶品だった。
さすがおすすめだ。
咲夜と一度来た時に食べたのだが、その時に食べたものよりも圧倒的に美味い。
「美味いな……」
「うん、みすちーの料理はなんでも美味しいんだよ〜」
「あ、ありがとう」
ミスティアは照れたように笑う。
その顔を見て彼女は妖怪ではあるものの、可愛らしいと思った。
なんだか、レミリア達に俺の思考がどんどんと変えられて行っているような気がするな。
最初はこんなことを思いもしなかっただろうし、出会ったら即斬りに行っていただろうから。
「そういえば黒葉って左腕がないよね」
「あぁ、そうだな」
もう紅魔館に拾われてしばらく経つからな。
この左腕がない生活にも慣れてしまっていた。
そのため、違和感は無かったのだが、言われてみれば片腕がないのはほかの人たちにとっては驚きのことだよな。
「まぁ、色々あったんだよ」
あの事件はあんまり軽く話したくはない。
なので、それだけ言って誤魔化すことにした。こんな風に言ったら大抵の人は気を使って聞いてこなくなる。
「色々ってなんだよ、教えろよ〜」
だが、
人のデリケートな部分もなんも気にせず入ってきやがった。
「ち、チルノちゃん。これ以上聞くのはやめよう?」
「なんで?」
「人には話したくないこともあるんだよ」
「そうか……わかった!」
「うん、チルノちゃん偉い!」
大妖精はチルノの保護者かなにかなのか?
大妖精の一言により、チルノはそれ以上聞いてくるのを辞めた。
こんなバカを制御できてしまうなんて凄い。大妖精は尊敬に値する。師匠とでも呼んでおこう。
「あの、黒葉さん。チルノちゃんはいつもこうなので、余り気にしないであげてくださいね」
「うん、分かったよ師匠」
「師匠!?」
突然師匠と呼ばれて驚きの表情を見せる大妖精だったが、俺はそんなことも気にせず鱧を頬張る。
ミスティアはそんな俺たちのやり取りを見て苦笑いをしてしまっていた。
「そういえばこの前助けてくれたけど、チルノに勝てなくてどうやってあの妖怪から逃げ延びたのだ?」
「いや、普通に斬ったんだけど……ほら、今回は俺は日傘を差していて刀を使えなかったじゃん。だから本気を出せなかったんだよ」
何一つ嘘を言っていない。
ただ一つ、吸血鬼で夜になったら強くなるって言うことを言っていないだけだ。
「そーなのかー」
「そーなのだー」
「わはー」
なんか反射的に言ってしまった。
「なんか、早速ルーミアと意気投合しているみたいね」
「いやいや、お暑いねぇお二人」
チルノは俺たちのそんな様子を微笑ましそうに見ていて、リグルは俺たちを茶化してきている。
リグルには後でちょっとお話しなきゃいけないようだ。
そんなこんなで昼休みはあっという間に過ぎていき、午後の授業が始まった。
午後の授業にてチルノはお説教を受けていた。
理由は授業中に周りのものを凍らせたからである。
「何度言ったらわかるんだチルノ。分からない問題があってつまらないからって凍らせるな」
「がふっ」
慧音先生の頭突きが綺麗に決まった。
とても痛そうな音で、見ているだけで額が痛くなってくる。どうやら慧音先生の頭は異常なまでに石頭のようだ。
あれは怒らせないように気をつけないと命がいくらあっても足りないな。
そんなことがありつつ、今日の寺子屋が終了した。
ルーミア達に別れを告げ、俺も帰路に着く。
少し暗くなってきているので、途中にある森にとても不気味な雰囲気が漂ってきている。
あの時とは違い、まだ完全に暗くなっていない。こんな状況で襲われたら一溜りもないだろう。
と、そんなことを考えていると、その心の中の声に反応したかのように近くの茂みから音が聞こえた。
「……非常に困ったな」
そこから顔をのぞかせたのは――妖怪ではなく、一人の女の子だった。
ボロボロになっており、フラフラしていて今にも倒れそうだった。
「おい、大丈夫か?」
「たす……けて」
そのまま倒れてしまう少女。
その後ろからがさごそと何かが近寄ってくる音。それに気がついて俺は構えた。
するとその後ろからやってきたのはこの前襲ってきた妖怪の仲間と思われる狼の形をした妖怪だった。
この状況はすごく参った。
この女の子は自分の力で動くことはもうできないだろう。だとすると俺はこの子を庇いながら戦わなくてはならないんだけど、そんな力は俺にはない。
どうすれば……。
その時だった。
「そこまでよ! 霊符《夢想封印》」
空から振ってくる無数の霊力の球、弾幕だ。
それが目の前の妖怪と、俺目掛けて勢いよく降って来た。
はい!第16話終了
最後に出てきた人物は黒葉も女の子に危害を加えようとしていると勘違いしています。
みなさんは誰かわかっていると思いますが、黒葉では絶対に敵う相手ではありません。
果たしてどうなってしまうのでしょうか。
それでは!
さようなら