【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 威迅と月刃の因縁が明かされた。



 それではどうぞ!


第162話 連携

side三人称

 

(やつが触れた箇所が錆びた。ここに来て新しい能力か。どんな能力なのか)

 

 月刃が触れた箇所が一瞬で腐食して刀が折れた。

 この腐食の範囲が金属だけなのか、はたまたそれ以外にも届くのか。それが問題だ。

 全員、新しい能力の出現に警戒を強める。

 

「君ら随分と俺を低く見積ってくれていたみたいだな。だが――」

 

 その瞬間、神速の加護を発動させた月刃は一瞬にして茉衣の目の前に移動して拳を振りかぶった。

 あまりに一瞬の出来事、茉衣にこの攻撃を回避する手段は無い――しかし、たった一人だけ月刃の動きに反応できていた人物がいた。

 

「ぐうっ!」

「お」

 

 何と月刃の拳が振り下ろされる数瞬前に威迅が茉衣と月刃の間に割り込み、左腕で月刃の拳を受け止めたのだ。

 その拳には神速の加護のパワーも乗っているし、硬化もされていた。茉衣が受けていたら間違いなく重症は避けられなかっただろう。

 威迅が受けたとしても腕の骨にヒビが入った感覚があったほどだ。

 

 でも、それでも威迅は月刃を倒すため、腕の感覚があやふやな中、カウンターとして月刃に左ストレートを放った。

 この攻撃はしっかりと月刃の顔面にクリーンヒットし、月刃を殴り飛ばすことに成功した。

 

 剣士とはいえ、普段から筋力は鍛えている。それに今のは霊力を拳に載せたインパクト擬きのようなパンチだ。

 防御もしていなかったのではダメージは避けられない。

 

「俺の妹には指1本触れるな」

「そうかそうか。そりゃー悪かったな。ところでお兄ちゃんよ。それ、どうする気だ?」

「それって……っ!」

 

 フラフラと起き上がるなり、月刃は威迅の腕を回し指さして指摘してきたため、威迅も腕へと視線を落とすが、その先にある光景を見て驚愕した。

 何と左腕が黒く変色してしまっていたのだ。

 触っても全く感覚がない。先程感覚がなかったのはダメージのせいではなく、これのせいだったのだ。

 

 これを見て威迅は8年前の事を思い出していた。

 自分と仲良くしていた親友のケルベロスの事。その最期の姿、月刃に攻撃された箇所が変色して壊死してしまっていた。

 あれとよく酷似した状況。

 威迅の左腕も同じく壊死してしまっていた。

 

「この能力か、ケルを苦しめたのは」

 

 足も動かせなくなり、腹の方も壊死してしまっていて、あれだけ壊死してしまっていたら死以外の結末はありえない。

 実質あの能力がケルベロスを死に追いやったのだ。

 

「人から奪った紛い物の奇術師が……調子に乗るな!」

「おっと、何か勘違いしているようだから訂正しておこう。これは、俺本来の能力、『満ち欠けを操る程度の能力』だ」

 

 本来の能力ということは今までの能力とは違って練度がものすごく高いはずだ。

 つまり月刃の持つ能力の中で最強の能力。逆に言えば、これを攻略出来れば勝ちも同然なのだが、月刃はその確率がさらに下がるような現象を引き起こした。

 おもむろに地面に手をつける月刃。まるで木々を操作する時のような体勢を見て3人は身構えるが、3人の身を襲ったのは木々ではなく――大地だった。

 

 バゴン。

 まるで3人の足下が爆発したかのような音が鳴り響いた直後、月刃の立っている場所を除き、半径30メートルにわたって地面が消失、その上にあったものは全て先が見えない真っ暗闇の奈落へと突き落とされる――前に再び地面が元に戻ったことで何も落ちずにその場に残った。

 

「君たちは本当に分かっていない。俺が本気になればこんな地面なんて一瞬で消し飛ばすことだって出来るんだ。でも、そんなのはつまらないからしないけどね」

 

(反応する暇もなかった!)

(今の、もし月刃が本気だったら私たちはみんなやられてた!)

(足の震えが止まらないよ)

 

 圧倒的な力の差、圧倒的な能力を見せつけられ、勝利の希望がまた1つ遠のいてしまった。

 3人に緊張が走る。

 本気になれば月刃は何時でも自分たちのことを殺せる。

 

 この状況をひっくり返すにはもっと連携を強化しなければいけない。

 そして各々ももう1ステージ上へ行く必要がある。

 だからその前に威迅は咲夜へ声をかけた。

 

「メイド、お前はなぜ戦う」

「この状況で聞くことかしら?」

「いいから答えろ」

「……大切な方々を守りたいから……いえ、今はあいつが嫌いだからかしらね」

「……同感だ」

 

 この時、初めて威迅は咲夜に対して笑みを浮かべた。

 

「行くぞ、咲夜!」

「っ! えぇ、やるわよ。威迅!」

 

 月刃へとかけ出す威迅と少し遅れて動き出した咲夜。

 2人とも全く諦めてはいない。自分が負けるなどと一切考えてはいない。

 2人の脳内にあるのはただ1つ、月刃をぶっ飛ばすこと。

 

「ふんっ! 折れたなまくらでどうする気だ?」

「お前なら知ってるだろ、俺の能力をよぉっ!」

「なっ!」

 

 月刃が使える力が弱すぎて気が付かなかった能力、錆びていても瞬時に直し、質量保存の法則を完全無視して伸びる刀身。

 月刃が使える範囲では錆を直すことも、元の長さ以上に伸ばすことも不可能。

 

 さらに咲夜は月刃へと向かって大量のナイフを投げた。

 

「今更そんな攻撃で……どこ狙ってんだ?」

 

 咲夜の投げたナイフは月刃には突き刺さらない、乱雑に適当に投げられただけだった。

 でも、それで良かった。

 威迅の刀は再び長さを取り戻すと咲夜が投げたナイフの刀身に何又にも別れた刀を当てる。

 その瞬間、そのナイフの刀身は変形し、突如槍のように月刃へ襲いかかった。

 

 咄嗟に回避した月刃だったが、元々月刃がいた場所を見てみると、そこには幾つもの穴が空いており、間違いなく今のを受けていたら月刃は一溜りもなかった。

 だが、その避けた先には茉衣がスタンバイしていた。

 

「てめぇは今まで奪ってきた能力に頼りきって生きてきた。色んな能力を使ってな。そんなんで能力を極められるわけが無いだろうが。てめぇは何もかもが中途半端なんだよ。器用貧乏!」

「双剣《三枚おろし》」

 

 茉衣による奇襲。

 これは2度目だ。月刃も同じ攻撃に2度も引っかかるほど馬鹿では無い。

 もう今回は茉衣の存在に気がついた上でその罠に飛び込んでいったのだ。確実に1人消すために。

 

「《三日月》」

 

 茉衣の足元の地面が消失し、バランスを崩してしまう。

 走っているため、落ちることは無かったが、これでまともな体勢で攻撃出来るわけが無い、そう考えたのだ。

 

(ダメだ、体勢を崩したらまともに双剣なんて使えない!!)

 

 双剣の霊力操作は難易度が高い。茉衣や黒葉の実力では慣れた体勢でなければ発動は難しいだろう。

 これは入らない。硬化で防御されてカウンターを食らう、そう考えた威迅は慌ててフォローに入ろうとするが今からで間に合うわけが無い。

 

 その時、茉衣の刀がきらりと十字に輝く。

 

十文字(じゅうもんじ)銀杏(いちょう)切り》」

「ぐうっ!」

 

 十字の双剣。茉衣が双剣を失敗した時に発動する双剣が月刃の硬化を貫通してダメージを与える。

 通常の双剣は全体的に攻撃力が上がるため、威力が分散されるが、この十字の双剣はど真ん中の1点に全てのパワーが集中するため、上手く直撃したら普通の双剣よりも威力が出る可能性がある。

 

 茉衣は体制を崩した瞬間に即座に技を切り替え、雑な振り方でも使える十文字斬りへと切り替えた。

 

 これによって月刃はダメージで怯んだ。もう既に走り始めている威迅は最初は茉衣のフォローに回ろうとしていたが、必要ないとすぐに判断して月刃へ攻撃を仕掛ける。

 

「舐めるなよ! 《満月(まんげつ)》」

 

 両の拳を合わせ、相手に叩きつける技。

 それと威迅の刀がぶつかり合い、周囲に衝撃波が放たれる。

 威力だけで言えば天魔の《雷神剣・地》にも劣らないほどで、威迅は押されてしまっていた。

 

(くっ、片手じゃ思うように力が入らねぇ)

 

 左手は壊死してしまって全く動かなくなってしまった。つまり、もう右手だけで戦うしかないのだが、右手だけで押し返せるほど月刃の攻撃は甘くなかった。

 直ぐに弾き飛ばされてしまった威迅。すると月刃は今度は高く飛び上がった。

 

「これが闇の光だ! 《月光(げっこう)》」

 

 まるで月刃の足が月明かりのように煌めき、そしてその高低差を生かして威力をつけて威迅へと飛び蹴りを放つ。

 

「ぐああああああああああああっ!」

 

 回避は間に合わないと判断した威迅は再び刀で受け止めようとしたが、この技は《満月》よりも威力が高く、受け止めるのは不可能だった。

 一瞬で防御を撃ち抜かれた威迅はまともに蹴りを食らってしまい、20メートルほど蹴り飛ばされた後、ようやく止まって地面に倒れ込んだ。

 

「威迅っ!」

「おっと、よそ見はいけないね」

「月刃っ」

 

 威迅を倒した後、次の狙いは咲夜だ。

 月刃のスタイルは面倒なやつから先に倒すだ。茉衣は力も技量もほか2人に比べたらまだまだのため、殺ろうと思えばいつでも殺ることが出来る。

 月刃の攻撃を咲夜は何とか受け流しつつ、ナイフを使って素肌で触れないように気をつけて戦う。

 

 《三日月》。

 霊力を纏わせた手で触れることであらゆるものを欠けさせることが出来る。

 鉄なら錆るし、皮膚なら壊死する。

 

 ナイフも例外じゃなく錆びてはいるが、その度に咲夜はナイフを交換して対処する。

 だが、それにも限界はある。体力だけではなくナイフの残量の問題も。

 

 なので、咲夜は一旦大きくバックステップをして月刃と距離をとると大量のナイフを月刃へ投げつけた。

 

「その程度のナイフ、俺が当たるとでも?」

 

 神速の加護を持つ月刃なら良けれて当然の攻撃。

 これも簡単に回避する気で居たのだが、その次の瞬間――

 

「奇術《ミスディレクション》」

 

 グサッ

 

「え?」

 

 月刃の背後からナイフが月刃へ突き刺さった。

 見てみると咲夜も先程まで居た位置にはおらず、咲夜も同じように背後へと移動していた。

 まるで瞬間移動だ。

 時を止めたなら月刃が反応できるはずだった。そして、咲夜は月刃のように一瞬で動ける能力など持っていなかった。

 

 咲夜はさっきの攻防で確信を得ていた。

 今まで咲夜は自分以外の時止めの能力者とあったことが分からなかったから知らなかったが、時を止められたあと同じ能力者がそれに反応できるようになるまで1秒ものタイムラグがある。

 本来、この1秒では大したことは出来ないため、あまり意味の無い時間のように思えるが、これが重要なのだ。

 

 1秒の《ザ・ワールド》。

 これで一瞬の内に咲夜は月刃の背後へ回って《ザ・ワールド》を解除してからナイフを投げた。

 

「……本当に面倒だな!」

「お褒めに預かり光栄よ」




 はい!第162話終了

 月刃の技がいっぱい出てきましたね。

 そして倒れてしまった威迅。

 果たしてこの後の展開は如何に!?

 それでは!

 さようなら
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