今日はこの妖滅録の3周年ということで、2話投稿します!
この168話と19:00からは169話を投稿しますのでお楽しみに!
いよいよ最終決戦。
勝つのはどちらでしょうか?
それでは前回のあらすじ
月刃の脳内にあふれる失われたはずの記憶。
大切な人、大切なものを傷つけてしまった後悔に苛まれながら月刃は倒れた。
これで残るはあと1人、天魔だけだ!
それではどうぞ!
side三人称
時は遡り、茉衣が威迅と合流するために森へ向かった直後、烈夏と天魔は睨み合っていた。
構図はメインアタッカー烈夏ただ1人というさっきとほぼ同じ状況、天魔が少し体力を削られているが、ほとんどさっきと変わらない。
同じ条件だったら烈夏には勝ち目が無いようにも思えるが、さっきと違うところは天音が本当に仲間になっていることだ。
天音の言霊による武器破壊。
黒葉や威迅の時にもかなりぶっ刺さっていた力なのだからあの2人よりも攻撃力が他界烈夏が使えばもっと刺さるだろう。
「さて、さっきは遅れを取ったが、今度はお前のその首、斬り落としてやるよ」
「それは俺のセリフだ。今度こそ息の根を止めてやる」
瞬間、両者はぶつかりあった。
雷神剣と豪剣のぶつかり合い。周囲に衝撃波が放たれて周囲に散乱していたものが全て吹っ飛ばされていく。
そこから刃を返し、構え直すと烈夏は天魔の大剣に叩きつけるように横凪を放つ。
「豪剣《地割》」
「ぐうっ!」
少しぶっ飛ばされてこらえる天魔だが、烈夏の攻撃の威力は凄まじく、ふらついてしまう。
その一瞬の隙を烈夏は見逃さない。
今普通に接近したところでスピードが足りない。ならば、自身の1番速い剣技の歩法を利用する。
「柔剣《無双》」
この《無双》は月刃の速度には遠く及ばないものの、普通は反応出来ないような速度で接近するということも可能な技。
それを今回は刀を振る訳では無く歩法だけを利用して接近し、次の技に繋げる。
「豪剣《破滅》」
「《雷神剣・海》」
烈夏の追撃に対してまだ体勢が整っていない状態で大剣を振るう天魔だが、全く軸のブレがない。不十分な体勢でも烈夏と互角の押し合いができる。
普通ならこんな無茶な戦い方をしていたら剣が悲鳴をあげて最悪の場合折れてしまう。
でも、天魔の場合は自分の霊力を利用して作っているため、壊れても直ぐに作れるし、天魔の霊力の強さがそのまま武器の強さになるのだ。
そのため、全く折れる気配は無い。
たった1つの事象を除けば。
「"壊れろ"」
その声が聞こえてきた瞬間、天魔の大剣が粉々に砕け散って天魔の技が不発に終わった。
だが、直ぐに天魔は切り替えて拳に霊力を纏わせると稲妻でグローブを形成して烈夏の刀にぶつけた。
「なっ!」
天音が剣を破壊したため、この攻撃は当たると思っていた烈夏は驚きを隠しきれなかった。
さすがの反応速度と言ったところだろう。天音が居るからこそ、天魔は常に武器を破壊された時の立ち回りを考えて動いている。
そして、天魔のメイン武器は剣と言うだけであって、剣が無くても普通に強い。
「く、これならどうだ! 豪剣《双陣》」
「同じ手は喰らわん!」
さっきと同じように違う技に切り替えようとする烈夏だったが、その前に烈夏は殴り飛ばされてしまった。
拳の打撃力と雷の破壊力が合わさった最悪の一撃。
普通なら今の一撃で意識を飛ばしたとしてもおかしくは無い。だが、烈夏は違った。
空中で体勢を立て直すと、再び天魔へ向かって走り出す。
ここまで来ると最早人間なのかと疑いたくなる生命力だが、彼は列記とした人間である。
「《
「豪剣《
烈夏の刀が氷でコーティングされ、冷気が加わって空気をも切り裂くようになった斬撃が天魔へと襲いかかる。
だが天魔はそんなの関係ないとばかりに再び稲妻のグローブをつけた拳で殴る。
剣がない今、天魔はかなり弱体化しているはずだ。だと言うのに、それだと言うのに。
烈夏は自分の技の中でもトップクラスの攻撃力を持つこの技でも押し切ることが出来ない。
その時だった。
「"ぶっとべ"」
その声が聞こえた瞬間、烈夏は直ぐに察し、ギリギリまで状況に気がついていないフリをして天魔と力比べをし、そしてタイミングを見計らってその場から飛び退いた。
ズダダダダダッ!
烈夏が飛び退いた直後、天魔へと降り注ぐ瓦礫の雨。
周囲の瓦礫が天音の言霊によってぶっ飛ばされ、天魔へと襲いかかったのだ。
だがもちろん、こんなのでやられるような敵ならば苦労はしない。
大量の瓦礫の嵐を霊力の鎧を纏うことによって完全無効化する。この程度の攻撃、効くはずがなかった。
でも、これは想定内。天音の本命はこっちだ。
「"
天音が声に霊力を込めてそう発した瞬間、天魔の周囲に散乱した瓦礫たちは一斉に大爆発を開始した。
天魔へと飛んで行った大量の瓦礫達1つ1つが小型爆弾と考えてもいいほどの威力。普通ならばタダじゃすまないのだが、それでも天魔は自分の身に魔力の鎧をまとうことでダメージを最小限に抑える。
でもこの攻撃は無駄ではなかった。
天魔の周囲に砂煙が充満し、目隠しが完成。このチャンスを逃すまいと烈夏は砂煙の中へ突っ込んでいく。
視界が塞がっているということは奇襲にも気づきにくいということ。本来ならばそうだ。
だが、烈夏は失念していた。自分が霊力探知が出来ないということでその可能性を無意識に排除し、突っ込んでいってしまった。
もちろん天魔は視界が塞がった瞬間に視界に頼るのは止め、魔力探知に全神経を注ぐ。そうなると、烈夏が突っ込んできているのが丸見えなのだ。
だからこうなる。
「《雷神剣・極》」
「やべ」
砂煙で視界が悪い。気が付いた時には目の前に迫ってきている剣に烈夏は逆に冷静になることが出来た。もうどうしようもないと諦めの感情が逆に彼を冷静にさせ、思考を加速させていく。
(今このタイミングじゃ豪剣は間に合わない。双剣でも双剣同士ぶつけ合ったとして勝ち目はない。俺がやられるだけだ。なら、どうする? 発動速度が早い柔剣で最も威力のある技を!)
この間、0.1秒。一瞬でそう思考が回った烈夏。いや、思考が回ったとしてもこの後に動き出したのだったら間に合わなかった。
だが、烈夏の経験が思考がそこまでたどり着く前に勝手に体を動かしていた。
「柔剣・奥義《白の慈愛》」
天魔の叩きつけるような斬撃に対して突きのような構えで迎え撃つ烈夏。その刹那、烈夏の刀が一瞬ぶれたかと思った途端、刀が赤いオーラをまとい、この場にいるすべての人物の視界が追い付く前に烈夏の刀は天魔の大剣を弾き飛ばしていた。それほどまでに速い突きの一撃だったのだ。
衝撃から一瞬遅れて迫ってくる突きに天魔もぎょっとしてしまうが、すぐに雷の盾を作り出して防御をしようとするものの、その烈夏の突きの攻撃はまるで威迅の刀の様にぐにゃんと曲がりくねった。
錯覚だ。
実際にはまがってなどいない。だが、超高速で動くことによってまるで曲がりくねったかのような錯覚を相手に与えた。
そしてその一撃は盾を回避して確実に天魔の胴体を捉え――
「ぐああああああああああああああああああああああああああっ!」
ぶっ飛ばした。
烈夏の柔剣・奥義の前には霊力の鎧など無力。その防御を貫通し、天魔に直接ダメージを与える。
直後、ぶっ飛びながらも天へと手を向けた天魔はおもむろにその手を握った。
「《雷鳴轟》」
「避けろ!」
落雷を察知した烈夏の叫び声。もちろん雪姫と天音の2人も聞こえていたため、回避動作を取るが、天魔の雷はそう簡単に避けられるものではない。
回避した方に雷が落ちてきたのだ。
この雷の攻撃範囲はとても狭い。だから普通なら当たりにくいのだが、天魔は相手の先を読んで雷を落とすことが出来る。天魔が使うからこそ強い技ということだ。
(く、そが)
雷に直撃してしまったら体が痺れて暫く動けなくなってしまう。
その場に崩れ落ちてしまい、何もできなくなってしまった3人へと体勢を立て直した天魔がじわりじわりと歩いて近付いてきた。
「あ、か、く」
痺れて舌が回らなくなってしまって天音の言霊も機能しない。
烈夏は鍛えているため、雪姫や天音よりもこの状態から回復することが出来るだろう。だが、それは天魔も分かっていること。
真っ先に烈夏の元へ向かって大剣を作り出し、烈夏にとどめを刺そうとする。
万事休すか、そう思った時だった。
「猛暑《炎天下》」
上空から落ちてくる豪炎が天魔へと襲い掛かってきたため、天魔はそれをすぐに察知して烈夏への攻撃をやめ、豪炎を受け止めた。
だが、その一撃は落下のエネルギーも加わっているため、かなりの威力になっていてさすがの天魔も少し押されてしまうが、それでも天魔のパワーは凄まじく、その攻撃を弾き飛ばして見せた。
「来たか、黒葉!」
「なんだかよくわからないけど、威迅に指示受けたから俺もこっちで戦うよ」
その飛んできたのは炎をまとった冬夏黒葉だった。
はい!第168話終了
烈夏はやっぱりめちゃくちゃ強いんですよね。
僕は能力は無いものの、めっちゃ強いっていうキャラが好きなのでこういうキャラを使いたかったんです。
さて、次回から黒葉も加わって戦っていきます。
黒葉と烈夏のダブルアタッカーに雪姫と天音のダブルサポーターです。
果たして天魔を倒せるのか?
天魔戦は多分月刃戦よりも長くなると思います。
それでは!
さようなら