【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 今回は戦っている二人を見た周囲の反応や天魔の心情を描写したいため、三人称視点です。

 一応黒葉の心情も描写するので、いつもの黒葉視点にプラスしてほかの人の視点もあるみたいな感覚で読んでいただければと思います。



 それでは前回のあらすじ

 黒葉対天魔は続く。

 烈夏が敗北してしまい、絶望してしまう黒葉だったが、フランや魔理沙の能力を使用して立ち向かう。

 だが、それでも倒せない。

 その時、黒葉の中に眠る力が目覚めた。

 白愛の力、覚醒!

 黒葉と天魔、どっちが勝つのか?



 それではどうぞ!


第173話 己喰い

side三人称

 

(ものすごい圧だ、まるであの小娘を相手にしているかのようだ)

 

 白くなった黒葉を前に、天魔は冷や汗を流して居た。それほどまでに今の黒葉からは圧を感じたのだ。

 能力的には雪姫とほとんど同じだが、明確に違うのはその強者感。だが、能力喰い(イマジンイーター)では能力の持ち主の実力は奪うことが出来ないし、その圧をまねることはできない。

 だが、それを黒葉はやっている。

 

(なんだあれは……っ! 本能が早くあれを殺せと叫んでいる。太陽なのか、あれは!?)

 

 今までの黒葉とは雰囲気がガラリと変わり、恐怖を覚えた天魔は初めて冷静さを失い、地面がえぐれるほどの強さで蹴って黒葉へと攻撃を仕掛ける。

 まるで雷でも通ったかのようなスピード。今までの黒葉だったら反応することすらできずにぶっ飛ばされて敗北を喫していただろう。

 だが――

 

「《雷神剣・極》」

 

 天魔が攻撃をしたときにはすでにそこに黒葉はいなかった。

 今までのことから回避されるとは思っていなかった天魔は驚いて固まってしまう。だから一瞬反応が遅れてしまったのだ。

 次の瞬間には背後から黒葉の気配を感じ、すぐに防御をしようとするが、それが間に合うことはなかった。

 

「《吹雪》」

 

 今までの炎とは違い、雪をまとった刀から放たれたのは凍てつく氷の斬撃。

 それは『吹雪』の特性によって強化された今までの黒葉の攻撃、すべてを上回る斬撃で、空気すらも凍らせてしまい、空間を切り裂きながら天魔へ襲い掛かった。

 そして――霊力の鎧をまとっているはずの天魔の背に鎧を貫通して切り傷を付けたのだ。

 

「ぐぅっ!」

 

 威力は烈夏の柔剣・奥義/反転《白の復讐》にも迫るほどの威力。

 前にこの力を使った時はこれほどの威力は出なかったものだが、間違いなく威力が上がっている。白愛の力を補充したというわけでもないのにだ。

 

「《回雪(かいせつ)》」

 

 勢いを掴んだ黒葉はさらに畳みかけるように回転しながら周囲の雪を巻き込み、周囲に円形状の雪の斬撃を作り出すと、それを真上に構え天魔へ投げ飛ばした。

 これはさすがに刀で防御した天魔だが、その威力に顔をしかめることとなった。

 

「《雷神剣・空》」

「《吹雪》」

 

 その流れのまま放たれた横凪の一閃。

 この至近距離、ここからでは回避は不可能だと判断した黒葉は同じく正面から刀に冷気を纏わせて天魔へと斬りかかる。

 今までの黒葉ならば絶対に取らない選択肢。なにせ、黒葉では受け流すので精一杯のため、押し合いに持ち込むことそれ即ち敗北につながらうためである。

 だが、どうしてその行動をしたか、それは白愛の思考パターンが黒葉の脳内に入っているためだ。

 

 そしてその行動は功を奏する。

 

「なっ!」

 

 がぎぃぃぃんっ!

 一瞬金属同士がぶつかり合うような音が鳴り響いた直後、弾き飛ばされていたのは天魔の剣の方だった。

 黒葉の刀は赤黒い稲妻をまとい、まるで空間をも切り裂くかのような威力。それを見た天魔は一瞬ぎょっとしたが、追撃が来る前に後ろに飛びのいて黒葉との距離を取った。

 そして胸を押さえて落ち着かせる。

 

(くそ、能力喰い(イマジンイーター)は才能まで奪えるものじゃねぇだろうが。なんで太陽が王剣を使えてるんだよ!)

 

 王剣とはほんの一部の才能ある者にしか使うことが出来ない究極の剣技。

 通常の剣技よりもはるかに強くなり、その剣からは波動が放たれるようになる。

 空間をも切り裂くことが可能となり、相手の全防御力を無視して確実に相手に攻撃を与える。ただし、かなりの体力を消耗するため、やたらめったらに使用するということが出来ない。

 波動が放たれるため、王剣同士がぶつかり合うと触れ合わずに押し合うこととなる。その場合は霊力が強い方が勝つ。

 

 本来、戦いの才能が無い黒葉には使えないはずの王剣を黒葉が使えてしまっているのだ。

 これは正しく異常事態。

 天魔を動揺させるには十分すぎるほどの材料だった。

 

「そういう事か」

「烈夏さん?」

「白愛のやつ、最期に己喰い(マイイーター)を使ったんだ。文字通り、全てを黒葉に託すために!」

己喰い(マイイーター)って、まさか!」

己喰い(マイイーター)能力喰い(イマジンイーター)とは違い、特定の一族が持っているというものではなくある儀式をする事で己喰い(マイイーター)を使うことができるようになるというものだ。そして任意の相手に触れながら心の中で己喰い(マイイーター)と唱えることで相手に儀式をした段階の自分の力全てを譲渡することが出来る……自分の命と引き換えに」

「儀式をしなきゃ使えない……」

 

 己喰い(マイイーター)という力を手に入れた人はこの現代において白愛ただ1人のみだろう。

 自分の力を他人に託す。その代わりに命を代償にするという重すぎる条件が誰も使わない原因となっていた。

 それゆえ、伝承は残っているが、それを実際に使ったという記述はここ数千年の間途絶えている。

 

 白愛はとても強かった。それこそ、この里の人達にあいつ1人でいいんじゃないかと言わせてしまうほどの実力者。

 さらに白愛は雪女のため、かなり長生きをする。つまり、まだまだ生きる予定だったため力を託すなんてことは考えなくても良かったはずだった。

 だが、白愛はこうして黒葉へ力を託した。

 

 そこから考えられることは1つ。

 白愛は自分が死んでしまうという未来を予測していたのだ。

 自分が追っていた異変。それを解決することなく自分はどの道この世を去ることになる。それを察していたからこそ、黒葉に力を託して自分の成し遂げることが出来なかった異変解決という目標を託したのだ。

 

「白愛……」

 

 黒葉の動き、それはさっきまでの動きとはまるで別人のようだった。

 白愛の全てが受け継がれた黒葉の動きは洗練されており、疾風の白愛と呼ばれていた頃の白愛そのものだった。

 一撃一撃が重く、そしてとても素早いため、黒葉の連続攻撃を天魔もやっとの思いで防いでいるようだった。

 

 だが、白愛と違うところは黒葉が隻腕だと言うことだ。

 どうしても両腕とは違い、力も弱くなってしまうため、決定打に欠けてしまう。

 

「ぐっ!」

 

 そんな一瞬の隙を突かれて黒葉は天魔の攻撃を食らってしまい、ぶっ飛ばされる。

 何とか刀で防御はしたものの、天魔の攻撃力ならかなりのダメージになる。

 

「くはっ!」

 

 天魔は笑っていた。

 自分の目の前に強敵が現れたというのに苦しい表情をする訳ではなく、純粋にこの戦いを楽しんでいるという表情だった。

 あれだけ戦いの才能が無かった自分の息子がこれ程までに強くなって自分の前に立ちはだかる。

 里を巻き込んだ一世一代の親子大喧嘩とも言えるこの戦い。天魔にとっては自分の息子に稽古をつけているような感じがしていて、楽しくなっているのだ。

 

「《凍結(アイス・ロック)》」

 

 着地と同時に地面に手をつけた黒葉は周囲を凍らせる。

 ついでに天魔の足も少し凍るが、これで動きを止められるとは黒葉も全く思っちゃいない。

 これはあくまでもオマケの効果。黒葉の本当の狙いは――

 

「《氷爆弾(アイス・ボム)》」

「なっ!」

 

 ドガーン!!

 黒葉が技を使った瞬間、周囲に張り巡らされた氷が一斉に爆発。

 周囲のものを木っ端微塵に吹き飛ばしてしまうほどの威力の爆風が天魔へと襲いかかった。

 

「《雷人(らいじん)》」

「っ!」

 

 天魔の姿を隠していた爆風によって舞い上げられた砂埃。その中から黒葉位の背丈の人型の雷が飛び出してきて黒葉へと襲いかかってきた。

 1体1体の強さは天魔の10分の1にも満たない程度ではあるが、大量にいるため、かなり厄介な存在だ。

 

「くっ!」

「あらら、お前の攻撃で里がめちゃくちゃじゃないか。いいのか? こんなにめちゃくちゃにしても」

「別に、いい!」

 

 黒葉に迷いを与えるための言葉だったが、黒葉の口から飛び出してきた意外な言葉に天魔は困惑した。

 

「薄情な奴だな」

「里は壊れてもまた作り直せばいい。だけど、人は死んだらそこで終わりなんだ。だから今は里がどうぶっ壊れようといい。人が生きてればそれでいいんだ!」

 

 幸いにもこんな戦いをしている2人のそばに近寄ろうとする人は誰1人居らず、2人は孤立していた。

 そのため、どれだけ暴れようとも里が壊れるだけで人が死ぬ可能性は低い。

 

(にしてもこの状況、どうしたら……姉ちゃんならどうするんだ)

 

 大量の敵に囲まれてしまったこの状況。切り抜ける方法を考える黒葉。

 その答えはすぐに出た。否、答えはもう知っていた。

 今の黒葉の脳内は黒葉半分、白愛半分なのだから。

 

「吹き荒れろ! 《猛吹雪(ホワイトアウト)》」

 

 瞬間、いきなり周囲が猛吹雪に襲われ、少し先ですら見ることの出来ない真っ白な世界へと変化を遂げた。

 この吹雪は全て黒葉の霊力によって作り出されている。そのため、霊力探知をしようとも全方位から黒葉の霊力を感じるため、それは不可能。

 完全に黒葉の姿を天魔と雷人は見失ってしまったのだ。

 

「これは!」

 

 だが瞬間、背後からとてつもない霊力の高まりを感じた天魔はそこに黒葉が居るのだとアタリをつけて剣を構える。

 今までの技とは違い、腕を体の前に交差してエネルギーを溜める。

 そして剣が赤黒い稲妻を纏った瞬間に腕を左右に広げてエネルギーを解放した。

 

「《電雷宝刀(でんらいほうとう)》」

「《雪泥鴻爪(せつでいこうそう)》」

 

 突如吹雪の中から飛び出してきた黒葉の手に握られた『吹雪』は赤黒い稲妻を纏っていた。

 お互いに王剣同士の戦い。

 黒葉の技は白愛が使っていた頃、見えない太刀筋、触れることが出来ない太刀筋という事で有名な技だった。

 だが、白愛の力を継いだからと言って体の構造が変わる訳では無い。黒葉の体でそんな動きは無理だった。

 だから本来はありえないはずの攻撃をぶつけ合うという事態になった。

 

 周囲には特大の衝撃波が放たれ、烈夏を連れて離れていたはずの雪姫、天音までも衝撃波によって吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐ、ぐぐぐぐぐ!」

「ふんっ! やはりその体は戦うようには出来ていないようだな。あの小娘の力を使ったとて、それでは俺には勝てない」

 

 黒葉の体力はもう既に限界を迎えていた。それでもなお、まだ戦おうとしている。

 まだ勝てるとそう信じている。

 だけど、信じたところでそれが報われないことだって存在するのだ。

 

「ぐあああああああああああああああああああああああ」

 

 黒葉は――押し負けた。

 天魔のとんでも威力の剣技の前に為す術なくぶっ飛ばされてしまった黒葉は中央区の付近にまでぶっ飛ばされてしまった。

 そしてそのまま中央区を取り囲む川の中へと落ちてしまった。

 

 この悪天候、川の流れはとてつもなく早く、吸血鬼である黒葉じゃとてもじゃないが、1人で脱出できるものではない。

 身動きすら取れなくなってしまったのだ。

 

(くそ、くそ、くそ……勝てなかった、勝てなかった、勝てなかった。悔しい。もっと俺に力があれば。俺は……弱い!)

 

 あまりの悔しさに涙してしまう黒葉。

 水中で息もできなく、流水で弱ってしまって薄れゆく意識の中、人影のようなものが近づいてきている光景を最後に黒葉は意識を手放してしまった。

 

 

 

【天魔組VS鍛冶師の人里

鍛冶師の人里、頂上決戦

勝者、銀河天魔】




 はい!第173話終了

 なんとまさかの黒葉敗北。

 この状況、例えるなら勝利BGMが流れ始めたのに敗北したような状況ですよ。

 吸血鬼は流水に弱い。という事でこのシーンが書きたくてこの里に川があるという設定を入れました。

 いや、まぁ、黒葉の体の構造自体が戦いに不向きって言うことなのにここで勝ったら違和感ありますよね。

 せめてもっと天魔を弱らせないと。

 ポケモンで言う赤ゲージくらいまで体力を削らないと厳しいですよ。

 さて、黒葉が敗北し、どうなってしまうのか?

 次回以降もお楽しみに!

 あ、ちなみに時間軸的にはここで月刃戦が決着ついた感じですね。

 話数的にはあっちの方が多いですが、時を止めたりスピードが速かったりするので話数的にはこの時点で月刃戦の方が多いです。

 それでは!

 さようなら
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