【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ルーミアとフランは目を覚まし、救護班の応援へ向かう。

 しかしそこで黒葉が敗北して川へ落ちてしまった所を見てしまい、2人がかりで救助に成功した。

 だが、黒葉は既に心臓が止まっていた。

 ルーミアが決死の思いで人工呼吸と心臓マッサージをすることで何とか一命を取り留めたのだが――?



 それではどうぞ!


第176話 ラストチャンス

side黒葉

 

 目を開けるとそこに広がるのは雲一つない青い青い空。

 太陽が俺を照らしてきているが、やはりと言うか痛みが全くない。吸血鬼である俺がこんな太陽の下に無防備に寝ていたらすぐに灰になってしまうことだろう。

 この状況、既視感があった。

 

 紅魔館でゲンと戦った時に一回グングニルに体を貫かれた時に来た場所。おそらくこれは走馬灯か、はたまた生と死のはざまの場所なのか。

 川とかは近くにないし、別に三途の川というわけでもなさそうだ。

 でも、意志を強く持っていないとあっち側に連れて行かれそうになる。

 

 しかし、ここから生き残ってどうなる? 俺は川の中に落ちた。あの悪天候の中の川だ。吸血鬼の俺が生き残ることが出来るはずがない。

 俺の人生はここで閉幕というわけだ。

 

「あれ、もう来ちゃったの?」

「っ、あぁ……来ちゃったよ、姉ちゃん」

 

 突然背後から話しかけられ、声を聴いただけですぐに誰なのかが分かったため、俺は振り返りながら返答した。

 やはり、そこには姉ちゃん――冬夏白愛が複雑そうな表情をしてそこに立っていた。その気持ちは非常にわかる。あれほど俺を励まして送り出したというのに1週間程度で帰ってこられたらそういう表情にもなるだろう。

 しかもここは普通じゃ来れない場所、俺が命の危機に瀕している、もしくは死んでしまったということを示しているのだから。

 

「うーん、私が死んじゃってから死が趣味になったの?」

「そんな趣味があるわけないだろ……」

 

 姉ちゃんは俺のことを何だと思っているんだ。

 いや、1週間程度しか経っていないのに戻ってきた俺にも問題はあるんだけどさ。

 

「でも、強くなったね、黒葉」

「え?」

「うん! かっこいい男の顔っていうやつになったじゃん。私よりも数年先に生まれていたら惚れていたかもね」

「はいはい」

 

 なんだか安心する。

 昔はこういう軽口をよくしたものだった。

 姉ちゃんが死んでしまって数か月だというのに随分と久しぶりにこういうやり取りをした気がする。まるで昔に戻ったかのような感じがして落ち着く。

 

「それにしても1週間前は私に抱き着いて弱音を吐いていたというのにね。急な弟の成長に私は混乱気味です」

「やめてくれ。恥ずかしいんだから」

「あ、顔を赤くしちゃって、かわいいんだから~」

 

 あの時はまだ戦うことへの覚悟が足りなかったんだ。

 でも、今は戦うということが何なのか理解した。

 天魔や月刃と戦って、天音の姿を見て、里の人たちと共闘して。俺の中の何かが変わったことは事実だった。だからもう姉ちゃんに縋ることはしない。

 

「で……さっきから気になってたんだけどさ」

「なに?」

 

 俺が問うと姉ちゃんは静かに俺の後ろを指差してきたため、俺は釣られて振り返った。

 振り返ったことを後悔した。

 

「それ、なに?」

「さ、さぁ……」

 

 俺の背後にあった、いや在ったのは赤くて超巨大で羽と尻尾が付いているごついやつ。

 端的に言ったらドラゴンだった。

 今にもペロリと丸呑みにされてしまいそうな程に至近距離まで接近されていて気配も何も感じなかった。

 威圧感が凄い。威圧感だけで言ったら天魔とは比べ物にならないし、こうして意識してみるととてつもない力が溢れてきているのが分かる。

 でも、霊力や妖力、魔力のどれでもない力を感じる。

 

 てか、暑い。近くにいるだけで茹だってしまいそうだ。

 

「雪女、この小僧を借りていくぞ」

「え、あ、はい」

「姉ちゃん!?」

 

 薄情にも姉ちゃんは俺をドラゴンに引き渡しやがった。

 ドラゴンは俺の服を咥えて持ち上げると、どこかへと飛んで連れ去ってしまった。

 その間、姉ちゃんはポカンとした表情をしてひらひらとこちらへ手を振っていた。

 見送ってるつもりなんだろうけど助けてくれないですかね? あなたの弟が明らかにやばい奴に連れさらわれてるんですよ?

 

 それにしてもこのドラゴン、さっきから思っていたんだけど、確かに今まで感じたことの無い力なんだけど、若干博麗様に似た気配を感じるんだよな。

 

 そうこうしているうちに落ちたらいくら体を霊力で強化したとしても即死してしまうくらいの高さまでやってきてしまった。

 俺はこのままこのドラゴンの餌にでもなるのか?

 

 すると突然ドラゴンは口を開け、俺の事を手放してきた。

 この高さから落ちたら間違いなく死ぬ。

 このドラゴン、まさか高いところから落として俺を仕留めてから美味しく食らうつもりじゃ!?

 

「落ちるぅぅぅぅっ! あれ?」

 

 落ちなかった。

 なんというか、離された瞬間に俺のすぐ下に見えない足場のようなものが出現したようで、俺はただそこに下ろされただけだった。

 状況が分からなさすぎて目が点になっちゃってると思う。

 

「我は極炎龍(ごくえんりゅう)炎帝(えんてい)。太陽神であり、ハクレイノ神の使いである」

「太陽神……」

 

 突然のことに脳の処理が追いつかなくなってしまった。

 そもそもこの状況だけで脳の処理がギリギリだと言うのに、さらに情報を追加するんじゃないよ……。

 だけど、どうしてこんなところに太陽神がいるんだ? 前に俺がここに来た時には来なかったし……。

 

「俺の前に現れて、何が目的だ」

「目的、お前を現世へ連れ戻すことだ」

「現世に?」

「お前は今、生と死の狭間をさまよっている。それを強引に引き戻す」

「なんのために?」

「……お前でなければダメだからだ」

「俺じゃないと?」

 

 なんかついさっきも似たようなことを言われたような気がする。

 

「俺が力を貸す。これでお前は俺の『日を操る程度の能力』を最大限に使えるようになるはずだ。だからまずはあの木偶の坊をぶっ飛ばせ」

「え、えぇ……いきなりで色々と思考が追いついていないんですが!?」

「行くぞ!」

「ちょ、まっ!」

 

 俺から徐に距離を取ったと思ったら有無を言わさずに俺へと突っ込んでくる炎帝。

 普通ならこれでぶっ飛ばされてしまったおしまい――のはずなのだが、俺の体はぶっ飛ばされず、炎帝の方が俺の体に吸収され始めた。

 それと同時に力が湧き上がってくる。

 

『日を操る程度の能力』は多分俺が今まで使っていた炎の能力のことなんだろう。

 あれを最大限使う。

 俺の力にこれが加わったところで天魔を倒すことが出来るのか?

 いや、できるのかじゃない。やる以外選択肢はないんだ。

 

 俺はここまでずっと負けっぱなしだ。だが、これが最後のチャンス。

 色々と説明を放棄されたせいで頭の中かこんがらがってはいるが、今は天魔を倒す! ……ただそれだけだ。

 

 力が増幅していく感覚と共にどんどん薄れゆく意識。

 

「大好きなんだよ、だから黒葉死なないで!」




 はい!第174話終了

 この場所に来るのは2回目ですね。

 もうしばらく戦いは続きます。

 ちなみに炎帝は説明下手なため、それくらいなら説明はしない精神です。

 ちなみに歩夢が言っていた炎くんっていうのは炎帝のことを指しているんですけど、説明は全部歩夢に丸投げです。

 それでは!

 さようなら
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