【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉達はボロボロの紅魔館の敷地内で美鈴とパチュリーを発見する。

 そこでパチュリーは何があったのかを語り始めた。

 1週間前、突然紅魔館に現れた龍が突然レミリアを欲しいと言い出した。

 そしてその1週間後、また答えを聞きに来るという。

 はたしてどうなるのか?



 それではどうぞ!


第186話 同種

side三人称

 

 1週間後、再びヤツは現れた。

 1週間前と同様にレミリア達は警戒して妖精メイド達も避難させている。

 答えを聞きに来たということはもう猶予は無い。つまり、断ればまず間違いなく戦いになる。それに巻き込まないためだ。

 

 レミリアはついて行く気など無いし、美鈴もパチュリーも連れて行かせる気は毛頭ない。

 全員臨戦態勢で構えていた。

 

「来たわね」

 

 1週間前にも感じた覚えのある気配、龍の気配だ。それが門前に現れると美鈴がまずは対応する。

 前回とは違って門を飛び越えようとはせずに美鈴と話しているのが門の向こうから微かに聞こえてくるため、レミリアとパチュリーは緊張を走らせた。

 

「お嬢様はついて行かれないとの事です。お引き取りください」

「つまりは僕の誘いを断るということか?」

「えぇ、ですのでお引き取りを」

「はぁ…………」

 

 美鈴が断りを入れると龍は深くため息を着くと呆れたような声色で話し始めた。

 

「君らは何も分かってはいない。状況を理解していない」

「と言うと?」

「弱者は強者に絶対服従、君らに選択権など存在しない」

 

 龍も龍で引く気はない。

 双方の意見が食い違った時、何が起こるか? そんなことは決まっている。

 美鈴の霊力が高まり、2人の戦いが始まったと思ったその次の瞬間、門が木っ端微塵に吹き飛び、美鈴がレミリアとパチュリーの元へとぶっ飛ばされてきた。

 

 妖怪である美鈴には重症になっていないものの、凄まじい威力だったようで、門からは離れた位置にいたレミリアとパチュリーにまで攻撃の余波が飛んできたため、驚愕しつつも警戒を強めた。

 美鈴は空中で態勢を立て直して着地すると2人の隣に並んで立ち、進言する。

 

「あの龍とか言うやつの攻撃はノーモーションで突然来ます。気をつけて」

「そう、それは厄介ね」

 

 だが、それだけで驚くレミリアでは無い。

 そんな攻撃をしてくる相手なんてこの幻想郷を探したら腐るほど存在している。

 それに反応出来なければこの幻想郷で勝つことなんて不可能だ。

 

「はぁ……出来れば手荒な真似はしたくないんだけどね? レミリアお嬢様、君は僕に着いてくる気は無いのかい?」

「無いわ。分かったらさっさとこの場を去りなさい!」

「そうか、わかった」

 

 瞬間、突如としてレミリアの眼前の空間が揺らめいたと思ったら目にも止まらぬスピードで突然何かがレミリアに向かって飛んできた。

 普通ならこれを回避することは困難だ。初見殺しとも言える攻撃。美鈴の言う通り、龍は服のポケットに手を突っ込んでまるで臨戦態勢とは思えない態勢で攻撃を仕掛けてきた。

 だが、レミリアは美鈴から話を聞いた瞬間からずっと運命を見ていたため、この攻撃が来ることは想定済みだった。

 

 急に来た攻撃をレミリアは余裕を持って回避すると元々レミリアが立っていた場所にはクレーターが出来上がってしまっていた。

 死なないにしてもこれを食らったら大ダメージを受けてしまうことは間違いない。

 

「ほう? 未来が見えるのか?」

「似たようなものね」

 

 レミリアの能力は『運命を操る程度の能力』。はっきりとした未来では無いが、未来の事象を見ることが出来る。

 この力で攻撃が来ることを察して回避したのだ。

 それにしても、クレーターの痕を見てみたらまるでなにかに噛み砕かれたかのような壊れ方をしていた。

 何かがものすごい勢いで噛み付いてきているという事がこれからわかった。

 

「美鈴、大丈夫?」

「はい、問題はありません。まだ戦えます」

「ならやるわよ!」

「はい!」

 

 そういうとレミリアと美鈴は2人で龍を挟むように散開し、お互いに攻撃を構える。

 レミリアは霊力の槍、そして美鈴は拳に霊力を乗せ――そして2つの攻撃は解き放たれるッ!

 

「神槍《スピア・ザ・グングニル》っ」

「《インパクト》っ!」

 

 2つの攻撃を合わせた威力はこのフランの能力にすら対抗できるほどの強度を誇る紅魔館すらも破壊できてしまう程のもの。

 喰らえば致命傷は免れない。だと言うのに、龍は2人の攻撃を見て全く動くことは無かった。

 

 何を考えているのか?

 ある程度の強者ならこの威力が分からないわけが無い。はたまた実はこれの威力すらも悟ることが出来ないほどのマヌケか。

 だが、龍はそのどちらでもなかった。

 

 なにせ、龍にとっては回避する必要なんてなかったのだから。

 

「なっ」

「これはっ」

「そういうこと!?」

 

 美鈴、パチュリーは驚きの声を漏らし、レミリアはさっきのクレーターについて納得した。

 2人の攻撃は龍へ直撃することはなく、途中であるものに阻まれて止まってしまったのだ。

 

 それは突如として龍の左右に出現したドラゴンの頭だった。

 頭しか出てきてはいないが、それは確実に2人の攻撃を咥えて受け止めてしまったのだ。

 さらに言えば、グングニルは噛み砕かれたし、美鈴の拳も霊力を纏わせて強化していなかったら噛み砕かれていたところだった。

 

 さっきまで攻撃してきていた目にも止まらぬものの正体はこれなのだろう。

 これは確かに急に現れるため、回避は困難である。

 直前までは霊力の動きとかもまるで読めないのだ。恐らく龍がその動きを隠蔽している。霊力操作を極めれば霊力の動きを隠蔽することが出来るようになる。

 

「その程度か?」

「そんなわけないでしょ! 紅符《スカーレットシュート》」

 

 レミリアが龍に向かって大きい弾幕と小さい弾幕の2種類を撃ち放つ。

 だが、当然のごとく龍に直撃する前にドラゴンの頭が撃墜してくるため、龍にその弾幕が届くことはない。

 回避というよりも龍の護衛が強いため、攻撃を届かせることが難しいという状況。だが、そのドラゴンさえ貫くことが出来れば攻撃を当てることが出来る。

 もちろんさっきのグングニルと美鈴の拳を防いだのを見てこの攻撃が龍に直撃するとは微塵も思っていない。現に全てを防がれてしまっている。

 

 でもこれは――

 

「目くらましだ!」

「なっ」

 

 察することが出来なければ防ぐことは出来ない。

 レミリアだって妖力操作のプロフェッショナル。相手に気取られずに動くのは朝飯前だ。

 大量の弾幕を目隠し代わりに使用して飛び上がり、空中でグングニルを構えて龍へ飛びかかる。

 

 慌ててドラゴンを出して防御しようとする龍だったが、もう遅い。

 万全の状態で防御出来なかった龍がレミリアの前に出現したところでなんの意味も成さなかった。

 

「《インパクト》」

 

 ドラゴンに直撃する寸前で威力を底上げ、ドラゴンをその手に持ったグングニルで突き刺すと一瞬にしてドラゴンを串刺しにし、貫くとレミリアはそのままの勢いで龍に攻撃を仕掛けるが、寸前のところで龍は飛び退くことで攻撃を回避した。

 だが、それで終わりでは無い。既に龍が飛び退いた場所には美鈴が迫っていた。

 

「ちっ!」

 

 だが、これには素早く反応した龍。美鈴の目の前に大量のドラゴンを出現させて止めにかかるが、美鈴は目を細めて覚悟を決め、その両の拳に霊力を込めた。

 

「《インファイト》」

 

 それは目にも止まらぬ拳の連打だった。

 ドラゴンが向かってくると先手必勝とばかりに噛みつかれる前にその顔面を打ち砕く。

 無限に湧いてくるドラゴンだが、美鈴は足を止めることなくそのままのスピードで走りながら龍へと接近する。

 

 《インファイト》、それは彼女が強者達に立ち向かうために編み出した彼女だけの《インパクト》の派生技。

 両の拳に《インパクト》を使用し、連続攻撃をする。

 その目にも止まらぬ拳は1突き、また1突きと拳を突き出す度にスピードも、そして威力も上がっていく。

 

「くっ!」

 

 気がつけば全ての壁は突破され、美鈴は龍の眼前にまで迫って拳を振りかぶっていた。

 追い詰めた。もう防御する手段はなく、この攻撃は絶対に当たる。そう誰もが思った。

 

 だが、その拳が龍に当たることはなかった。

 

「僕は君らを甘く見積もりすぎてたようだ」

 

 龍がそう小さく呟いたその瞬間、当たるはずだった拳が当たることはなく、龍が上体を逸らしたことによってからぶってしまった。

 だが、美鈴が放つのこの一撃だけでは無い。外れたのならまた殴ればいい。そう考えてもう1発、もう1発と繰り出す。

 

 でも、その尽くが龍へ当たることは無かった。

 半身になって回避したり、受け流して見せたり、しゃがんでみせたり。

 まるでその動きは美鈴の拳がどう動いてどこに来るのか、それがわかっているようだった。

 

 いくつか攻撃を捌いた龍は美鈴の額辺りに手を突き出すと中指を思い切り弾いてもデコピンをした。

 だが、それは決してデコピンなんて言う可愛らしいものでは無かった。

 美鈴には頭が吹っ飛ぶんじゃないかと思うほどのダメージが走り、遠くに見える塀へと凄まじい勢いでぶっ飛ばされ、そのまま激突して塀を破壊してしまった。

 

(どうなっているの? さっきまでは間違いなく美鈴が優勢だったはずなのに)

 

 そこで突然レミリアの背後から火炎が飛んできて龍へと襲いかかったが、完全に龍は背を向けていたというのに軌道上にドラゴンが出現すると火炎を丸呑みにしてしまった。

 

「これも防ぐのね」

 

 魔法を防がれてしまったパチュリーはとても悔しそうに顔を歪めた。

 何かがおかしい。さっきから普通は回避できないはずの攻撃も回避してきている。それこそ、未来が見えているとしか思えないほどの……

 

 ならば絶対に回避できないように運命を操って攻撃を当てればいい。

 どれほど回避力が高かったとして未来が見えている相手の攻撃を回避することなんて不可能なのだから自分が運命を操って攻撃すればいいと、レミリアはそう考えていた。

 でも、その考えは甘かったのだ。

 

「っ!」

 

 レミリアは龍についての運命を見た。

 今までずっと運命を見て龍が来るというこの状況を予知していたり、攻撃していたりしたため、今回も普通に運命が見えると思っていた。

 

(あいつ、運命が見えない。どういうこと?)

 

 だが、この時初めてレミリアは相手の運命が見えないという状況に出くわしてしまったのだ。

 運命を見ようとしてもいつもはまるで頭の中に浮かび上がるように理解することが出来るのだが、龍の運命を見ようとすると頭が真っ白になるばかりで全く運命が見えないのだ。

 どんな相手でも運命を見ることはできる。霊夢であろうとも運命を見て先読みすることだって可能だ。ただ、霊夢の場合はそれでも即座に対応して攻撃を回避してくるため、倒せないのだが。

 それでも、今まで運命が見えないという相手に出会ったことはなかった。

 

 運命が見えない。可能性としてはいくつか考えられる。

 

(能力が効かないのは能力を無効化できる能力を持っているか、同種の能力を持っているか相手。だけど、同種の能力なんて、そんなこと滅多にあるものでもない。じゃあ、能力を無効化できる能力を持っているの?)

 

「お前、今、僕が能力を無効化できる能力を持っていると思っているだろう。どうだと思う?」

「っ!」

 

 飛び出して再びグングニルで攻撃を仕掛けるレミリアだったが、そんなレミリアの行動を先読みしたかのように身をかがめて攻撃を回避した龍はレミリアの懐に入るとレミリアの胴を蹴り飛ばした。

 

「か、はっ!」

 

 今の一連のやり取りで理解した。そして戦慄した。

 奴は間違いなくレミリアと同じように未来が見えている。だけど、龍は間違いなくレミリアの動きを先読みしてきた。

 同種の能力ではお互いに能力が効かないはずだというのに……

 

(間違いなく同種の能力だ。だけど、それにしては――)

 

「残念。レミリア、君の能力は『運命を操る程度の能力』だったっけか? 僕は君のそれと同種の能力を持っている」

「っ! やっぱり。でも、それならどうして能力があなただけ使えるのよ」

「確かに同種の能力は打ち消し合う。しかし、お前は見えないが僕は見える。それが決定的な差だ」

 

 龍の能力はレミリアの完全な上位互換だった。

 この時点でレミリアは悟ってしまい、絶望してしまった。自分たちは目の前の男には決して勝てない。

 未来が見える能力の強さは自分が使えるからよく知っている。これを完璧に対処するなんて博麗の巫女のようなチート存在じゃなきゃ不可能だ。

 レミリアにこれを攻略できる自信はなかった。

 

「あああああああっ!」

「っ、パチェ!」

 

 レミリアが悲鳴を聞いて弾かれるように振り返ってみるとパチュリーがドラゴンの攻撃を受けて地面に倒れ込んでいた。

 

「はぁ……はぁ……お嬢様は渡しません!」

 

 ぶっ飛ばされてボロボロになってまともに歩けない美鈴が地を這って必死に龍の元へやってきたが、さすがにあのダメージだ。

 そこで美鈴は力尽きて倒れてしまった。

 

 あとはもう立っているのはレミリアしかいない。

 

「諦めたらどうだ?」

 

 レミリアの頭の中はぐちゃぐちゃだった。

 2人を守りたい。だけど、本当に自分が龍について行くのが正しい選択なのか。

 自分が居なくなったあとの紅魔館はどうなる? と。

 

 だが、龍は考える時間も許さなかった。

 

「はぁ……来る気がないと言うなら」

 

 その瞬間だった。

 

 ズドドドド、ドガガガガガガガ

 バゴーンっ!

 

 音に驚いてレミリアが振り返ると、そこには突如として大破してしまった紅魔館が存在した。

 瓦礫の山と化し、もう建物として機能しなくなっていた。そしてそこにはさっきまで苦しめられていた龍の首が至る所に出現していた。

 

 そう、龍は自由な場所に龍を何体でも出現させることが出来るのだ。

 レミリアのぐちゃぐちゃだった頭はスッキリし、1つの事――絶望で埋め尽くされてしまった。

 

 こんな相手に勝てるわけが無いと……。

 

「これで君は帰るところも失った。どうする?」

 

 これ以上戦ったとしても、みんなをさらに傷つけられるだけ。

 状況を鑑みたレミリアは決死の覚悟を持って言い放った。

 

「分かりました。私はあなたのものとなりましょう」

 

 主としてもう傷つけられるみんなを見ていられなかった。

 勝てる気がしなかったのだ。これが一番穏便に済む選択肢。

 何も知らずにこの場へ帰ってくる予定の黒葉達には悪いと感じながらも龍へついて行く決心をしたのだ。

 

 これは黒葉達が紅魔館へ帰ってくる1時間前のことである。




 はい!第186話終了

 これが紅魔館で起こったことの全貌になります。

 レミリア達は本来めちゃくちゃ強いのですが、全く歯がたちませんでした。

 ちなみに《インパクト》は誰でも使える身体強化系の技で、《インパクト・クロー》が吸血鬼だけが使える技、そして美鈴が生み出したのが《インファイト》です。

 次回は現在時刻に戻ります。

 それでは!

 さようなら
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