それでは前回のあらすじ
レミリアを追う黒葉。
そんな黒葉の前についに龍とレミリアが現れた。
龍が紅魔館の絆をバカにしたことで黒葉が我慢の限界を迎え、攻撃する。
だが、黒葉がカウンターでやられる寸前のところでレミリアが助けた。
そして龍とレミリアの2人は天空都市『スカイ』へと行ってしまうのだった。
それではどうぞ!
side黒葉
快晴だ。
まるでレミリアにフラれた俺を嘲笑うかのような天気。
なんだか茫然自失というか、大切な物が欠けてしまったような感覚で指1本ですら動かすのがダルいと感じてしまう。
だが、動かないといけない。俺は絶対にレミリアを助け出さなきゃ行けないんだから。
俺は痛い足に鞭を打ち、足を引きずりながら飛行船乗り場へと向かっていく。
早く俺も行かないと手遅れになるかもしれない。
前にちらっと聞いた話では霊力を上手く使えば飛ぶことが出来るようになるらしいんだが、そのレベルまで俺が達するにはまだまだ修行しなければいけない。
だから必然的に飛行船で『スカイ』まで行くしかない。
やっとの思いで小屋の扉までたどり着いた俺は凄まじく重たい扉を開けるかのように慎重に扉を開けて開口一番で飛行船の受付の人へ問い放った。
「次の『スカイ』行きの飛行船はいつ出ますか!?」
「っ、そうさねぇ……」
受付の人は一瞬俺の剣幕にギョッとしたようだが、すぐにカレンダーへと目を向けると俺へと向き直ってそれを告げた。
「うん、1ヶ月後だね」
「い、1ヶ月!?」
「そう。あの飛行船はかなり燃費悪くてね。半月に1回動かすので精一杯なのさ。そして今日出たから半月後にこっちへと戻ってくる。そしてさらに半月後にここから『スカイ』へと行くのさ」
確かにあれを動かすとしたらどれほどの燃料が必要なのだろう。
俺には想像もつかない世界だ。
だが、それでは困る。
1ヶ月も間があいてしまったらレミリアがどんな目にあうかわかったものじゃない。
もしかしたら俺たちが着いた頃にはレミリアは殺されているかもしれない。
いっその事飛べる人達に任せるか?
「黒葉!」
そこで背後から声が聞こえてきた。
聞きなれた師匠の声だった。多分俺が飛び出したから慌てて追いかけてきてくれたんだろう。
多分さっきのやり取りは細かに伝えない方がいいんだろうな。特にレミリアが言い放った言葉、あれを聞いたら師匠は卒倒するかもしれない。
「師匠、ダメだった。レミリアは龍に『スカイ』へ連れていかれてしまった」
「っ! 『スカイ』ですって!?」
「なにか『スカイ』について知ってるんですか!?」
「あそこは難攻不落の要塞よ」
「難攻不落の要塞?」
師匠の話はこうだった。
少し前に突然出現した天空都市『スカイ』は観光地としても有名。
だが、行くには厳しいボディーチェックを受け、審査を突破するしかない。じゃないと飛行船にすら乗れない。
外周には強力な結界があり、並大抵の攻撃では破壊できない上に空から不法侵入しようとする相手を迎撃する機能すら備わっている。
つまり、入るにはこの飛行船しか無い。
だが、今この飛行船が出たとなると行けるようになるのは1ヶ月後。
かなり厳しい状況だという話だ。
「それゆえ天空都市『スカイ』は幻想郷の中でも安全な場所になっているとの話よ」
「となると、空からの侵入は――」
「えぇ、厳しい。と言うよりも不可能と言った方が正しいわね」
地上からの上陸も不可能、空からの上陸も不可能。
このまま次の飛行船を待っていたらレミリアがどうなるかわからない。
いっそのこと脅して船を出してもらうか?
いや、さっきの話を聞くに燃料的な問題で物理的に飛行船を出すことが出来るのは半年に一回だけとのことらしい。だから脅したところで船を出すことはできないし、何より俺たちが霊夢に退治される側になってしまう。
それはダメだな。第一、霊夢と戦って勝てるはずがないし、捕まったら俺たちも無間地獄行きになってレミリアを助けることなんて夢のまた夢になってしまう。
どうにか『スカイ』に行く方法……
「ねえ師匠」
「なに?」
「本当に空から侵入する方法はないのかな」
「さっきの話を聞いてた? 空から侵入するには結界を突破しなければいけないし、何より迎撃されるわよ。そのまま空中で木っ端みじんにされて私たちは一網打尽にされるだけよ」
「なら、ならさ! その攻撃に耐えられるほどの飛行船があれば、その結界を破れるほどの結界があれば、侵入できるんじゃないかな!?」
「なっ!」
俺も自分自身で無茶苦茶なことを言っていることは分かっている。
飛行船なんていう作成難易度が高いものがそうそうあるとは思えないし、都合よくめちゃくちゃ強い戦艦クラスの飛行船があるという可能性は絶望的に低いだろうということも。
正直、これはガキの願望だった。現実が見れていないただのガキの戯言。叶えることが出来るはずのない願い。
それは分かっていた。でも、俺は叫ばずにいられなかった。駄々をこねずにはいられなかった。
「そ、そんな都合のいいものあるわけないじゃない!」
「そ、そうだよな。悪い……ちょっと冷静じゃなかった」
師匠の回答は俺の予想通りの物だった。
そんな都合のいいものあるわけがない。そんなものがあるのだとしたら師匠はすぐにこれを使おうというだろう。レミリアのことをあれだけ溺愛している師匠なんだ、どんな手を使ってでも助け出そうとするはずだ。
もしくは――
「まぁ……心当たりが無いわけでもないのだけど……」
雀の涙ほどの可能性で縋るには物足りないものなのか。
「え、師匠、あるのか!?」
「そうね、行ってみるしかないわよね。少しでも可能性があるのなら」
少し悩んでいた様子の師匠だったが、少しでも可能性があるなら賭けてみるしかない、そう考えたのか覚悟を決めた様子だった。
やるべきことが決まった。
とにかくまずはあそこに行けるくらいに強い戦艦クラスの飛行船を手に入れる。そのためのロードマップは多分師匠の頭の中に完成している。
なら俺は師匠に従って動くだけだ。
と、そこで気が付いた。
「あれ? みんなは?」
ここに来たのは師匠だけだった。
てっきり全員で追ってきているものだと思っていたのだが。
「全員で来ていたら誰がパチュリー様や美鈴を永遠亭に連れて行くのよ。妹様とルーミア、天音の3人にはパチュリー様と美鈴を任せたわ。だから私たちは『スカイ』へ行くための道具を手に入れましょう。場所は分かっているわ、今日も多分あそこに籠っているのでしょうから」
「そ、そうだな……で、俺たちはこれからどこに行くんだ?」
「そこまで強い飛行船を作れる技術を持った人は私は彼女しか思い浮かばないわ。ということで行くわよ、妖怪の山へ!」
はい!第189話終了
最終目標はレミリアの救出です。
というわけで黒葉の頭の中で出来上がった暫定ロードマップを公開します。
『妖怪の山に行く』→『戦艦クラスの飛行船を手に入れる』→『天空都市『スカイ』へ侵入する』→『龍を撃破する』→『レミリアを救出』
といった流れですね。
果たして飛行船をすんなり手に入れることが出来るのでしょうか?
さて、分かる人はもうすでに咲夜が妖怪の山で誰に会いに行こうとしているのか気が付いていると思います。
では次回をお楽しみに!
それでは!
さようなら