【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 美鈴とパチュリーを連れて永遠亭に着いたルーミア達。

 2人の傷は見た目こそ酷いものの、そこまで深刻なものではないようで一安心したのも束の間、永琳に今回の襲撃の相手が五天魔王だという話をしたところ、今回は諦めるように言われる。

 だが、ルーミアと天音は助けに行くと決意を伝えた。

 しかし、フランは辞退するのだった。



 それではどうぞ!


第195話 メンタルケア

side黒葉

 

 俺と師匠はルーミア、フランドール、天音の3人に状況を伝えるために永遠亭へやってきていた。

 

 そう言えば俺って天魔にぶっ飛ばされて記憶を失った状態ではお世話になったけどちゃんとここに来たことはないんだよな。

 というか、記憶を失っていたとはいえ、鈴仙をお姉ちゃんと呼んでいたことが今更ながら恥ずかしくなってきた。別れる前までは大丈夫だったのに、ここに来て自分の行動にこれほどまでに苦しめられることになろうとは……。

 

 ただ、今はそんなことばかりも言っていられないため、玄関前まで来ると扉をノックした。

 

 しかし、中からは一切の反応が無かった。

 静まり返った竹林の中には俺のノックの音だけが木霊し、静寂が辺りを包み込んだ。

 

 おかしいな……永琳先生は居なくても鈴仙は居ると思っていたんだけどな。

 

「留守にしているのかしら?」

 

 そういって師匠が扉に手をかけると簡単に開いたため、鍵がかかっていない。ということは、どうやら留守にしているというわけではなさそうなのだが、単純にノックの音に気が付かなかったのか?

 

「とりあえずここにいても仕方がないし、中に入らせてもらいましょう」

「ですね」

 

 とりあえず永琳先生を探して診察室を目指し、廊下を歩いていくのだが、まず目につくのはやはり壁の修繕痕だろう。

 あれは俺がぶっ飛ばされたときに破壊してしまった壁なため、不可抗力とはいえ罪悪感を覚えてしまう。来るときにあった破壊された竹林もそのままだったしな。

 

 ここって同じ景色が続くから迷いやすいということで迷いの竹林と名付けられていたはずなんだけど、あのままだったら迷うことなく永遠亭にたどり着くことが出来てしまうな。

 

 やがて診察室前にたどり着いたのだが、なんだか診察室の中から声が聞こえてくる。

 ドア越しのため、どんな会話をしているのかははっきりと聞こえないけど、何か言い争っているような気がする。

 この声はルーミアとフランドールだ。

 

 俺たちがいない間にいったい何があったんだろうか。

 

 とりあえず心配なため、俺も部屋の中に入ろうとドアに近づいた瞬間、勢いよくドアが開き、中から1人の人物が飛び出してきたことによって盛大に俺とその人物は衝突し、俺が後ろに倒れることによって飛び出してきた人物が俺の上に倒れこみ、まるで押し倒されているかのような状態となってしまった。

 

「いてて……って、フランドール?」

「うぅ……こ、黒葉!?」

 

 なんと、飛び出してきたのはフランドールだった。

 フランドールは俺の胸の上に身を任せ、顔を真っ赤に染めて羽をパタパタと動かしている。

 普通ならこの状況、女の子に押し倒されているといっても過言ではない状況なら、恥ずかしがったり興奮したりするのだろうが、今の俺の思考はよくフランドールに体当たりをされたのに、その場に倒れこむだけで済んだよなという安堵に支配されていた。

 以前に一度ぶん投げられたことがあり、その怪力を身をもって味わったことがあるからこそ、そっちの方へ思考が向かってしまったのだ。

 

「ねぇ、黒葉。今、あなたすごく失礼なこと考えてない?」

「かんがえて……ないぞ?」

「嘘だああああああ!! 目が泳いでるもん! 俺、よくこの怪力ゴリラ女に体当たりをされて木っ端微塵にならなかったなって思ってるもん!」

「そこまでは思ってないよ!」

「そこまではってことは少しは思ってるってことじゃん!」

「あ」

 

 思わず自白してしまった。

 くそ、なんという巧妙な誘導尋問なんだ。恐るべし悪魔の子。

 いや、でも木っ端微塵になるとまでは考えていなかった。けど、木端微塵になる可能性もあったにはあったのか。

 

「こ~く~ば~?」

「はい! 申し訳ございませんでした!」

 

 人間、素直に謝るのが一番大事とこれ昔から言われているから。いや、俺はもう人間じゃないけど。

 

 ほほを膨らませながら俺の上からどいてくれるフランドール。まだ少し怒っているようだが、一応許してくれたらしい。

 もう今度から女の子の力のことに関して考えるのはやめておこう。この世界には思考を呼んでくる相手が多そうだ。

 

「それにしても何があったんだ?」

 

 俺の問いに対してフランドールはただただ俯くことしかしてくれない。

 どうしたものかと困っているとルーミアが口を開いた。

 

「フランがレミリアを助けに行かないって言ってて……」

「え、フランドールが!?」

 

 衝撃の発言だった。

 俺はいつも姉貴とフランドールが仲良くしているのを見ている。そしてお互いに大切に思っていて、姉貴がフランドールのことを非常に大事にしているというのも知っている。

 だから、フランドールは絶対に姉貴を助けに行くって言ってくれるものだと思っていたんだけど、そんなことになっているとは全く思っていなかった。

 

 なるほど、それでさっき言い争いになっていたのか。

 

「いやぁ……お兄ちゃん、来てくれて早々ちょっと険悪ムードになっててごめんね」

「いや、別にいいんだけどさ」

 

 ちらっとフランドールを見てみるものの、フランドールは俺と一切目を合わせようとしてくれない。

 いつものフランドールなら絶対に助けに行くというはずだ。だというのに、助けに行かないって言いだすってことは何かがあったんだろうということは容易に想像がついた。

 

「なぁ、フランドール。何かあったのか? 何かあったなら俺に行ってくれないか? 出来る限りではあるけど、何とかするからさ」

「ううん、違うの。これは黒葉を頼るわけにはいかない。これは私が悪いんだから。私の問題だから!」

「ちょ、フランドール!」

 

 慌ててフランドールの手を掴もうとしたが、俺の手をひゅるりと躱してフランドールはこの場から走り去っていってしまった。

 師匠も珍しくこのやり取りに唖然としてしまっていた。

 師匠ならフランドールに逃げられる前に時を止めて連れ戻すことだって可能だろう。

 でも、それもできないくらいに驚いてしまっていた。

 

「フラン……」

 

 ルーミアも相当ショックだったんだろう。

 俯いて廊下の隅に移動すると膝を抱えてしまった。

 

 最悪の状況だ。このままだと姉貴を助けに行くまでにルーミアの精神ももたないかもしれない。

 ルーミアは鍛冶師の人里に居たときはフランドールと一番仲良くしていた。天魔組との戦いのときには一緒に戦っていたと聞いている。

 

 なんとかルーミアを励ましてあげたい気持ちはあるけど、今は何よりもフランドールから何があったか聞かないと何も始まらないよな……。

 

「お兄ちゃん」

「天音……」

「私はもうこの後の展開をコントロールしているわけではないからさ、フランちゃんの問題とか、どうしたらレミリアさんを助けられるのかとか全く分からないからヒントというヒントは渡せないんだけど……紅魔館についてからフランちゃんはずっと何かに思い詰めている様子だったよ」

「思い詰めていた?」

「そう……前までの私みたいに1人で抱え込んでいそう。だから、話を聞いてあげて。逃げはしたけど、フランちゃんも誰かに話を聞いてほしいと思っていると思うよ。私がそうだったから」

「そう……か。ありがとう、天音。お前がいて本当によかった」

 

 天音の言葉に俺は次すべきことが明確に分かったような気がして、お礼に頭をなでてあげると目を細めて気持ちよさそうな表情をした。

 本当に天音は撫でられるのが好きみたいだな。

 

「でも、フランちゃんを追うなら気を付けてね。もう外は暗くなってきてるから」

「吸血鬼だから夜はむしろ俺のフィールドだ」

「そか、じゃあ、気を付けていってきてね」

「あぁ!」

「黒葉」

 

 俺が走ってフランドールを追おうとしたら師匠が呼び止めてきた。

 なんだろうかと不思議に思いつつ、顔を向けてみると、なんだか今まで師匠が俺に向けてきたことが無いような申し訳なさそうな表情をしてそこに立っていた。

 

「すみません。あまりの事態に私は何もできませんでした」

「い、いや……別に師匠が謝るようなことじゃ」

「いえ、妹様が飛び出していこうとしているのに、声すらかけることが出来なかった。主のメンタルケアも私の仕事だというのに、最近はそれをだいぶおろそかにしてしまっていましたね。代わりに黒葉がやってくれていた」

「いや、そんな大層なものでは」

 

 メンタルケアと言ってもただただフランドールと遊んでいたというだけだ。

 最近はルーミアもフランドールと遊びに頻繁に来ていたしな。

 俺にとっては仕事という感覚ではなく、フランドールと一緒に遊んでいるという感覚だった。

 

「妹様を見ていたら分かります。黒葉を非常によく信頼している。今の妹様が話をしてくれるとしたら黒葉しかいないでしょう」

「いや、師匠だって信頼されてるよ」

「でも、黒葉には及びません。なので、非常に心苦しく、本当は私が後を追いたいところではあるのですが、あとのこと……お願いできますか?」

 

 あの師匠がフランドールのことを頼んできた。

 それが意味することが分からないほど俺は鈍感ではない。

 師匠は俺のことを信頼して言ってくれたんだ。俺ならフランドールを助けることが出来るって。

 

 なら、失敗することはできないな。

 

 俺だってフランドールのことは心配なんだ。師匠に言われなくても行くつもりだったけど、師匠に頼まれて俄然やる気になってきた。

 

「任せてください! 俺も使用人の一人ですからね。主とその妹のメンタルケアは仕事の内ですから。しっかりと、使用人を遂行してきますよ」

「えぇ、お願い」

 

 師匠のその言葉を背に俺はフランドールを追って走り始めた。

 フランドールの足は速いけど、まだそんなに遠くに行っていないはずだ。




 はい!第195話終了

 どうしてフランが辞退したのか?

 その謎は次回明らかになるかも?

 本当にフランは着いてこないのか?

 2章では沢山ヒントを用意してくれた天音ですが、3章ではどういう立ち位置になるのか、それが少しわかった回だと思います。

 それでは!

 さようなら
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