それでは前回のあらすじ
フランに追いついた黒葉はフランに話を聞いた。
すると、フランは今回の紅魔館襲撃、そしてレミリアが攫われるということを知っていたのだという。
そしてフランは目の前で自分の無力により、レミリアが攫われるという所を見たくなくて、逃避行のような形で黒葉と同行していたのだという。
果たしてこれを打ち明けたフランに黒葉は同声をかけるのか?
それではどうぞ!
side黒葉
「そ……っか」
俺はフランドールから告げられた真相にそんな言葉を漏らすことしかできなかった。
なんといえばいいのか分からず、励ましの言葉すらなかなか思い浮かばない。
きっとずっと悩んでいたんだろう。
俺たちと協力して戦っている時も、天魔たちとの総力戦の時も、ずっとずっと1人で悩み続けていたんだろう。あの笑顔の裏でずっと自分のことを責め立てていたんだろう。
そんな状態だったフランドールには安易な励ましの言葉をかけることは憚られた。
これほど自分を責めてしまっているフランドールを安易に励ましてしまうと、それが逆にフランドールを追いつめてしまうことになりそうで、まるで今のフランドールはちょっとでも選択を間違えたら爆発してしまう爆弾のように思えた。
でも、フランドールをこのままにしておいてもよくないというのは誰の目から見ても明白だった。
とにかく何かを言おうと必死に言葉を探していると、フランドールの方が先に口を開いた。
「最低……だよね。お姉様は私にとってたった1人の肉親で、世界で1番大切な人だというのに、そんな人を私は裏切ったんだよ。たとえ負けることが確定していようとも、本来だったら必死に抵抗するべきだった。こんなことになるって知っているのだったら私はここに残るべきだった。いや、そもそも、ほかの人に相談するべきだったのかもしれない。そうしたらもっといい方法が思いついたかもしれない」
「いや、相談しなかったのは正解だったかもしれない。多分レミリアはフランドールだから見た未来のことを伝えたんじゃないかな」
「私だから……か。そうかもね。じゃなければ私だけ呼び出して伝える意味がないもんね。そして、私はその信頼を裏切ったんだ」
またよくない方に思考が行ってしまった。
どうしよう、どう声をかけるのが正解なんだろうか。
俺には荷が重い。
でも、俺もフランドールには笑っていてほしいんだ。笑って姉貴と並んで歩いていてほしいんだ。それだけは譲れない。
そのハッピーエンドをつかみ取るために俺たちはこれから戦いに行くんだ。ここでフランドールが居なくなってしまったら俺が困る。
こういう時は下手に励ますよりも、姉貴がどう考えてフランドールにだけ伝えたのかを教えた方がいい気がする。
今まで聞いていた話で引っかかった点があるんだ。
そして俺の推理が正しければ、これが正解だと思う。
「フランドール、君は逃げることは悪いことだと思う?」
「うん。だって、お姉様の期待を裏切って」
「それは違う。逃げることは悪いことじゃない」
「え、どういう……こと?」
「むしろ、レミリアはフランドールに逃げてほしかったんじゃないかな? 今回、フランドールが逃げ出した理由って不変の運命によって自分たちが絶対に勝てないということを知ってしまったことでの恐怖心だと思うんだ。事前にこのことを知らなかったらフランドールは逃げなかっただろう?」
つまりはこういうことだ。
姉貴は今回の紅魔館襲撃のことを知った。そしてそれで自分たちは敗北し、姉貴は龍に攫われるということも。それが不変の運命で、自分たちはどれだけ頑張っても勝てないということも知ってしまった。
姉貴は前から不変の運命に抗うことは諦めている節があったから、今回も勝つことは諦めたんだろう。
そうしたら紅魔館に残っている人たちはぼこぼこにされてしまう。
多分、ルーミアと魔理沙の2人はまず間違いなく俺を月刃から助けに来ると確定していたんだろう。でも、フランドールと師匠だけは2つのパターンがあった。
紅魔館に残るパターンとルーミア、魔理沙と共に俺を助けに来るパターン。そして残ってしまうと、フランドールと師匠も一緒に龍にぼこぼこにされてしまう。
姉貴はそれが見たくなかったんだ。
だから、俺を助けに行くという未来が確定するようにフランドールが逃げる口実を作ることが出来るように、フランドールには伝えた。
後から聞いた話だが、師匠も姉貴に励まされて俺を助けに行くことを決めたらしい。
美鈴とパチュリーに関しては何を言ってもテコでも動かないっていう未来でも見えたんだろう。
ここまでのことを全て総合してみると、姉貴がこの未来にたどり着くように誘導しているとしか見えないんだ。
だから師匠は紅魔館の被害は最小限に、自分だけ連れていかれる未来を選んだ。他の人たちにはその気持ちを悟られないように抵抗している風に演技をして。
本当に、無駄に演技派だな。
お前、そのせいで自分の妹、悲しませてるんじゃないか。
「お前の姉はずっとフランドールのことを想っていた。フランドールを逃がす方法を考えた、フランドールが傷つかない方法を考えた。それに、俺は思うんだけどさ、さっきも言ったけど、逃げてもいいんじゃないか? だって、逃げることで見えてくることもあるかもしれないんだからさ」
「黒葉……そっか、逃げることで見えてくることもあるかもしれない……」
「そうそう! だからさ、そこまで重く感じることは無いんだよ。奪われたなら奪い返せばいい! ここから始めるんだ! 俺たちの反撃をさ!」
「……私たちの反撃……うん!」
そこでようやくフランドールは木から飛び降りて俺の前に着地した。
月明かりに照らされるフランドールのその表情はもうさっきまでの物とは違い、すっかり明るくなっていて、いつも通りの表情だった。
「始めよう! 私たちの反撃を!」
「あぁ!」
フランドールはもう大丈夫そうだ。
この旅でフランドールはすっかり強くなった。前まではほかの人を傷つけるのが怖いと言って地下室に引きこもっていたというのに、今ではその面影が全くない。
このフランドールなら何があっても乗り越えられる、そんな自信すら湧いてくる表情だった。
はい!第197話終了
ちょっと個人的に最後が閉まらない感じになって気に入らないのですが、とりあえずフランは元気を取り戻しました。
さて、やっとルーミアたちに状況を説明する準備は整いましたね。
これからが反撃の時間だ! ということでね。
初っ端から五天魔王の中でも第二席ということで非常に強い相手なんですけどね。これだけでも絶望なんですけどね。
ちなみに天魔よりは少し弱いですよ。
というと、今の黒葉なら普通に勝てるんじゃ? と思う方もいるかもしれませんが、天魔に勝てたのだって十分に天魔の体力を消耗させてやっと勝ったって感じですからね。
いわばレイド戦です。
威迅、茉衣、烈夏、雪姫、天音、霊夢、黒葉の7人で長い時間をかけて交代交代でダメージを与え続けて、最後に黒葉がとどめの一撃を放ったっていう感じですからね。
特にダメージ率は霊夢の割合がかなり高いです。天魔を途中まで圧倒していましたからね。
今回の戦いは間違いなく霊夢が仲間になれば勝てるのですが、果たしてそううまくいくのでしょうか?
それでは!
さようなら