それでは前回のあらすじ
フランから真相を聞いた黒葉。
どんな言葉をかけるべきかを考えている間にもフランはどんどんと落ち込んでいってしまう。
そこで黒葉はフランを励ますのではなく、レミリアの気持ちを考えて伝えることにした。
レミリアは助けて欲しかった訳ではなく、フランを逃がしたくてフランに不変の未来のことを伝えたのだ。
そして黒葉は逃げることは悪いことではないと告げる。
――ここから始めよう、反撃を!
それではどうぞ!
side黒葉
「あ、お兄ちゃん。おかえり」
「うん、ただいま」
フランドールと共に永遠亭へ帰ってきて入口の扉を開けるとそこには天音が居た。
ずっと待っていたのか? とそう思うくらいの出来事に少し驚いてしまうが、冷静に「ただいま」と返す。
するとさっきまで隣に居たフランドールが俺の背に隠れてしまい、俺の横からチラチラと永遠亭内の様子を覗き見る。
まぁ、さっきのことがあったからみんなに顔を合わせ辛いのだろう。気持ちは分からなくもない。
「お兄ちゃん、その様子だと」
「まぁ、まだちょっと問題はありそうだけど、とりあえずは解決かな」
「さっすがあたしのお兄ちゃん、女たらし〜」
「人聞きの悪いことを言うのはやめろ」
「うわわわわ、やめてよお兄ちゃん〜」
天音が人聞の悪いことを言ってきたので仕返しとして髪をわしゃわしゃしてやった。
凄まじくサラサラで触り心地のいい髪でいつまでも触っていたくなる。
天音も天音でやめてと言いつつもなんだか嬉しそうな表情だ。
それにつられて俺も天音の頭をわしゃわしゃし続け――痛い。
「うぎっ!」
「へ? お兄ちゃん、どうしたの?」
「い゙や゙、な゙ん゙でも゙な゙い゙」
「絶対に何でもなくないよね!? 涙目だよ」
調子に乗っていたら天音ではなくフランドールに怒られてしまった。
フランドールに背中をギュッと摘まれた。しかも、これがフランドールの力なので、本当にシャレにならないくらいに痛いです。
どうしたのかとちらっとフランドールへ目を向けてみたが、ぷいっと視線を逸らされてしまった。
一体なんなんだ?
さっきまで塩らしかったと思ったらなんか今度は不機嫌になり始めた気がする。
「フランちゃん可愛い〜」
「へ!? ちょ、やめっ」
様子を見ていた天音が急に暴走し、フランドールに駆け寄ると抱きつきながら頭を撫でくりまわし始めた。
珍しい、フランドールが困っている。
相手は自分よりもか弱い少女、本気で振りほどいたら怪我をさせてしまうかもしれないから身動きができなくなっている。
面白いからしばらく眺めていようと静観を決めた。
「決めたよお兄ちゃん。この子、うちの子にする」
「急に何言い出すんだ」
「だからお兄ちゃん、フランちゃんと結婚して!」
「ふえ!?」
「だから何言い出してんだ!」
「だって、お兄ちゃんとフランちゃんが結婚したら私のお姉ちゃんになる。つまりうちの子だよ」
天音の琴線になにか触れるところがあったのだろう。なんか物凄く興奮しているし、暴走している。
じゃなければこんなことを言い出すはずがないからな。
それにしても、うちの妹ってこんなにアホだったっけ?
ちょっと前までは有能なヒントマンだった気がするんだけど、やっと目標を達成して重荷から開放されたって言うことなのかな。
そう考えると少し嬉しく思える。
「こ、黒葉。何ニコニコしてるの!? まさか、黒葉も私と結婚するって言うの!?」
「いや、それは言わないけ――いてぇっ!」
「お兄ちゃん、それはさすがに乙女心わかって無さすぎ」
なんかフランドールに蹴られたんだけど。俺何か怒らせるようなこと言ったかな。
なんか愛しの妹にも呆れたような目を向けられている。
もう泣きそう、というかもう泣いている。姉貴を助けに行く前だと言うのにもう既に心が折れそうだ。
そんな感じで玄関前で騒いでいるとメンバーが続々と集まってきた。
「先程まで酷い顔をされていましたから、元気そうで良かったです」
「咲夜……うん、黒葉のおかげだよ」
「ごめんね、フラン。フランの気持ちも考えずに……私、焦っちゃって」
「ううん、私の方こそ意固地になってごめん」
何とかこれで一件落着。
普通に三人に今日の出来事を伝えに来ただけだったのに、まさかここまでの事態に発展しているとは思ってもいなくてドッと疲れてしまった。
永遠亭に来た時は夕焼け空だったというのにもう真っ暗。
一応俺とフランドールは夜目が効くから、夜行動することはできるけど、今からあの山に戻るのは少し危険な気がする。
そんなことを考えていると、永琳先生がなんとも素敵な提案をしてくれた。
「今日のところはここで泊まっていくといいわ。ちょうど病室も余っているし」
「良いんですか? 貸していただけるならありがたいですが」
咲夜が言う。
「問題ないわ。それに、これから出歩くのは危険よ。今日はここに泊まって明日からのことを話し合うといいわ」
「ありがとうございます。では、ありがたく泊まらせていただきます」
永琳のおかげで今日泊まる場所を手に入れることが出来た。
今日はちょっとこっちに来て三人を連れていくつもりだったからこっちに泊まるって言うことをにとりに伝えることが出来ていないんだよな。
にとりのところに泊まるって言ったのに、こっちに泊まることを連絡出来なかったのは明日謝るか。
にとりなら事情を話せば直ぐに許してくれるだろう。
というわけで俺たちはここに泊まることになった訳だが、一部屋にベッドが二台あるため、女子四人は二人ずつに別れ、唯一の男である俺は一人部屋になった。
天音が猛反発して俺と一緒に寝たがっていたけど、結局別の部屋となり、部屋割りは咲夜とフランドール、ルーミアと天音となった。
ここまで懐かれるとお兄ちゃん冥利に尽きるというものだ。
もうこんなに暗い時間だし、明日に備えて寝る――その前に、今日の出来事を話さなければならない。
スカイのこと、にとりの飛行船のこと。
これらの事を話し合うため、少し大きめの部屋に通してもらった俺たちは会議を始めるのだった。
はい!第198話終了
実はしばらくぶりに新人賞に応募しましてね、その応募用原稿を書いていたので前の話から一ヶ月ほど妖滅録の執筆をお休みしていたんですよ。
予約投稿していたので、気が付かなかったでしょ?
ただ、そのせいでブランクがありすぎてちょっと書くのに苦労しました。
特に、山場を終えたあとのシーンなので。
今後は本気で新人賞を受賞しに行くので、時々執筆をお休みします。
なるべく投稿が途切れないように溜め書きは用意しますが、お休みすることになったら申し訳ございません。
それでは!
さようなら