それでは前回のあらすじ
フランを連れて帰ってきた黒葉。
やっとひと段落、妖怪の山に戻ろうとするものの、もうすでに日が沈み、この状態で妖怪の山へ行くのは無謀だと判断した。
そこで永琳が永遠亭に泊ってもいいと許可を出してくれたことで、黒葉たちは今日はもう永遠亭で一夜を過ごすことに決める。
さて、これからみんなに今日の出来事の報告タイムだ!
それではどうぞ!
side黒葉
「それじゃあ、今日の出来事について話しましょう」
みんなが大部屋に集まり、車座になったことを確認すると師匠がそう切り出した。
正直俺だとまだ今日の出来事は整理しきれていなくてうまく言葉にするのが難しかったから師匠がその役を買って出てくれるのならありがたい。
ルーミアとフランドールが息をのむ。
なぜか俺の左右に陣取ってきた二人の緊張が俺にまで伝わってくるようだ。
「最初に言っておくとあまりいい報告にはなりません。むしろ状況的にはあまりよくはないかもしれないと、これだけは最初にお伝えしておきます」
静かに言う師匠。
その言葉に両隣の二人の表情が曇った。
そんな言い方をしたら不安を募らせるだけなんじゃないかと師匠に抗議をしたいところではあるんだけど、確かにこの状況は師匠の言う通りなわけで、師匠の言葉を否定する材料はなかったため、俺も黙って聞くしかない。
「レミリアお嬢様を追って出て行った黒葉を追い、私も森の中を走ること五分ほどだったでしょうか。少し開けた場所、今は飛行船乗り場になっている地点に黒葉一人だけが取り残されている状態でした。話を聞くと、お嬢様を連れ去った人物――桑間龍とお嬢様の二人は天空都市『スカイ』へと言ってしまわれたのだとか」
「スカイねぇ……随分と厄介な場所に逃げ込まれてしまったようね」
永琳先生はスカイが一体どういうところなのか知っているのだろう。その名前を聞いた瞬間、渋い表情になった。
天音は何となく聞いたことがある程度、ルーミアとフランドールは知らない様子ではあったのだが、師匠の声音や永琳先生の反応から状況がかなり不味いということは感覚的に理解できたようだ。
スカイという地名は俺もあの時初めて聞いた。
初めて聞いて、どういうところなのか初めて知って……観光地になっているっていう話も聞いたには聞いたけど、今俺の目にはあそこが厳重な監獄に見えて仕方がない。
本当に改めて考えてもあそこほど逃げ込まれて厄介な場所はそうそうないだろう。
「正直、スカイに逃げ込まれてしまったらレミリアを取り戻すのは不可能だと思うのだけど……なにか宛てはあるのかしら?」
「あるにはあります。ただ、とてもとても細い希望の道で、一歩でも足を踏み外せばお嬢様を救えないどころか、私たちがやられてしまう可能性すらある危険な道ですが」
「それは?」
永琳先生の問いに師匠は意を決して告げる。
「にとりの飛行船をお借りして侵入してしまおうかと」
「確かに凄まじく細い希望ね。万に一つどころの話じゃない。億に一つと言ってもいいほどの成功率じゃない?」
鉄壁の要塞都市であるスカイの攻撃をすべて突破し、スカイのバリアに穴をあけ、そこから侵入。
そして龍から姉貴を連れ戻す……確かに馬鹿げた話だ。
今、俺たちは五天魔王の一角相手に正面対決をしようと言っているんだ。
バリアを破壊した時点でおそらく龍にばれるだろうから潜入とか不可能。その上で龍に戦いを挑む。
龍に十分な準備時間を与えてしまうことになりそうだ。
そう考えるとなかなか厳しい条件だ。
俺たちが今、正面からケンカを売ろうとしている相手は紅魔館のメンバーを一瞬で蹴散らしたやつなんだからな。
「準備をされてしまったら私たちの勝ち目はさらに薄くなる。スカイに降り立ったら速攻を仕掛けるつもりです」
「いや、その心配はないと思うわよ」
「どういうことですか?」
俺も考えていた懸念、準備をされる心配。
永琳先生はその心配をいらないと言い放ったため、師匠はその根拠を問うた。
すると永琳先生は苦笑いのようなものを浮かべ、その理由を述べた。
「今回相手にしているのは五天魔王第二席、桑間龍でしょ? 昔、"あれ"と対峙したことがあるけど、"あれ"はとても自信過剰なのよね」
「自信過剰、ですか?」
師匠が永琳先生のその言葉に興味を持ち、聞き返す。
その師匠の問いかけに1回ゆっくりと頷くと、永琳先生は話を再開した。
「そう、自分の能力に自信があるのかしらね。確かに"あれ"の能力はかなり強力、打ち勝つのは楽ではないでしょうし、相当な実力がないと無理でしょうね。でも、それほどに強力な能力を持っているからこそ"あれ"は油断をしている。自分が負けるはずがないって、自分は常に勝つ存在だって、信じて疑っていない。だから、"あれ"が勝つための努力をするとは到底思えないのよ」
自分の力に絶対の自信があるからこそ、準備をするはずがないと語る永琳先生。
もしこの話が本当だとしたらスカイへ行った後に万全の準備をして挑む時間を得られるし、付け入る隙も出来るわけなのだが、それと同時にそれだけ強い相手と戦うという不安もある。
油断していると言っても、油断しても相手に勝てるくらいの能力って言うことだからな。
俺が見たのはドラゴンの頭を突然出す能力。だが、こんなものでは無いだろう。
姉貴が負けるほどの理由が、やつの能力に隠されているはずだ。
「それじゃあ、スカイに上陸したらまずは情報収集をしましょう。調べていけば幾分かは龍の対策ができるはず」
「えぇ、それがいいと思うわ。でも、気をつけて。敵は五天魔王第二席、何をしてくるか分からないから」
「覚えておくわ」
どうやら作戦は決まったらしい。
今までは速攻を仕掛けないとすぐにバレて対策されるかと思っていたけど、そうじゃないなら情報収集をしても大丈夫だろう。
何が待ち受けているかわからない相手のフィールドにこれから飛び込むのだ。万全の準備をしなければ絶対に負ける。
師匠はみんなをぐるっと見回し、声を上げる。
「今、にとりが飛行船のメンテナンスをしてくれているから作戦決行は明後日! 明日はみんなで妖怪の山に行きます。パチュリー様と美鈴は永遠亭の皆様にお願いできますか?」
「もちろん、最初からそのつもりよ」
「任せてください! お師匠様ならきっと倒れる前よりも元気にしてくれますよ!」
とても心強い返事だ。
これなら本当に二人を倒れる前よりも元気にしてくれそうな気がする。
今日はこれで解散となった。
明日は朝早くから妖怪の山へ向かってにとりにメンバーを紹介して工房にお世話になる予定だ。
はい!第199話終了
次回妖怪の山スタート!
ついに作戦が決まりましたが、そう上手くいくのでしょうか?
あと、守矢神社に行きます(固い意志)
最初は五天魔王を五席から順番に出そうかと思ったんですけど、番狂わせで二席から出した方が面白いかと思って出しました。
ちなみに能力のチート具合で言うと五天魔王の中で一番は二席の龍で、厄介具合で言うと五席が一番ですね。
早くほかの五天魔王も出したいです。
今出てるのは三席のホロウと二席の龍、一席のカイですね。
カイは名前だけですが。
四席と五席の設定も能力も出来てまして、展開も頭の中にあるので、早く書きたいです。
ちなみに全四章構成なので、あと二章で終了です。
ただ、二章の時のことを考えると、あと何年くらいになるか分かりませんが。
二章は長かったですからね。
三章は多分二章ほどにはならず、四章はめちゃくちゃ長くなる予感がします。
今後の展開もお楽しみに!
それでは!
さようなら