【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

2 / 284
 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 なんか楽しくなっちゃって書き続けていたらプロローグの長さがこれ程長くなってしまいました。

 それじゃあ、いつもの行きましょう!



 それでは前回のあらすじ

 主人公、冬夏黒葉は里最強の剣士である姉のことを尊敬していた。

 そして修行をつけてもらう毎日だったが、事件が起こった。

 里が何者かに襲撃されたのだ。

 姉の白愛は当然その何者かと戦いに出る。しかし、最弱の黒葉は戦いに行くことを許されなかったのだが、皆の静止を振り切って加勢しに行くと、そこでは白愛がボコボコにされている姿があった。



 それではどうぞ!


第2話 吹雪

「お姉ちゃんっ!」

「黒葉っ、なんで」

 

 僕はお姉ちゃんがボコボコにされているという事実を目撃してそのまま黙っていることなんて出来なかった。

 刀を手に取ると僕はお姉ちゃんをぶっ飛ばしたやつの方へと駆け出した。駆け出して――そして、固まってしまった。

 

 なぜならそいつはこの世のものとは思えない姿をしていたからだ。

 

 聞いたことがある。

 この世界には妖怪が存在する。妖怪は人に危害を加え、そして殺す。

 この異形の存在が妖怪なのだとしたら、お姉ちゃんはそんな化け物達(・・・・)とずっと一人で戦い続けていたのか。

 

 僕は足が竦んで動かない。

 恐怖という感情が僕の思考を支配して、足が棒のようになり動かなくなってしまった。

 

「黒葉、逃げて!」

 

 僕はそんな言葉に反応できない。

 異形の物体がそんな僕に向かってくる。そしてその一撃は確実に僕の急所を狙ってきていた。

 しかし僕はその攻撃を回避することは出来なかった。

 

 そして僕は――死ぬことは無かった。痛みさえ襲いかかってくることは無かった。

 代わりに襲いかかってきたのは何かが僕の体にぶっ飛んできた衝撃だった。

 

 その衝撃に巻き込まれて僕は一緒にぶっ飛んで木に背中を強打する。

 背中を強打して意識が朦朧とする中、力を振り絞って腹にぶち当たってきたそれに目を向ける。

 

「なっ」

 

 僕はそれを見て目を見張った。

 なぜならそれは、お姉ちゃんだったから。

 

「なんで」

「逃げなさい。今すぐに!」

「でも、お姉ちゃん」

「大丈夫、私は負けないから」

 

 そういった直後、辺りに冷気が漂い始めた。

 

「雪のように冷酷に、雪のように冷静に、雪のように軽やかに」

 

 雪が降ってきた。

 もう夏になりかけだと言うのに、雪が降ってきたので、僕の頭は混乱してくる。

 そしてその冷気はお姉ちゃんの周囲から発生している。

 手に持っている刀は渦をまくように冷気を纏って凍てつく刃と化していた。

 

「お姉ちゃん、それは?」

「黒葉には隠しててごめんね。これは私の能力、『雪を操る程度の能力』。冬の寒気を自分の力に、そして周囲を冬にすることが出来る」

 

 衝撃の事実、お姉ちゃんが能力を持っていた。

 能力、昔読んだ本に書いてあった。この世界には能力を持ってる人がいる。全員が持っている訳では無い。

 昔読んだ時には何も思わなかったけど、今こうして現に姉が能力者になると色々と思うところがある。

 

「だから、ね。私は負けない。だから、大人しく帰ってもらえる?」

「……」

 

 僕は迷っていた。ここで帰るべきなのか。

 だけど、きっとお姉ちゃんはこの妖怪たちには勝てない。だからこそさっきあそこまでボコボコにされていたのだろう。

 そこら辺に雪が溜まっている。これはお姉ちゃんの能力によるものだろう。

 

 さっきから本気を出していなかったわけじゃない。

 だけど、勝てなかったんだ。

 お姉ちゃんは負けないと言っているけど、勝てるとは一切思えない。

 

「僕だって、戦えるよ。だってお姉ちゃん――冬夏白愛の、弟なんだから!」

「ちょ、黒葉っ!?」

 

 僕も自分の刀を構えて走り出した。

 眼前に異形の生物が迫ってくる。だけどもう怖気付くことは無い。

 姉ちゃんが、命を張ってみんなを守ろうとしている。だと言うのに、僕が、この俺が! ただ黙って見ていられるわけがないだろう!

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 僕は刀を逆手に持って力を込める。

 お姉ちゃんの一番得意な技で、入念に叩き込まれた僕も一番得意な技。

 今まで一度たりともお姉ちゃん以外に見せたことがない僕の必殺技。

 

「たぁぁぁぁぁっ!」

 

 これが、お姉ちゃん直伝、吹雪だ!

 僕は異形の生物に向かって刀を振る。その刀には確かな手応えがあった。

 だが、手応えがあったがために、余計な感覚を知ってしまった。

 それは肉を斬る感触だった。

 とても心地のいいものとは言えないもので、僕自身が僕じゃないような錯覚を覚えて気持ち悪くなってきた。

 

「黒葉っ!」

 

 そんなことをしている間にも他の異形の生物が僕に襲いかかってくる。

 だが、僕はそんな奴らの攻撃に反応することは出来なかった。

 

 今度こそ死んだ。そう思ったんだが、またもや生き残ったようだった。

 それは何故か? それは――お姉ちゃんが助けてくれたから。

 

「かはっ」

「お姉ちゃんっ!」

 

 お姉ちゃんは僕を庇って僕の代わりに攻撃を受けてしまい、ボロボロになってしまっていた。

 明らかにもう常人なら戦えるはずのない状態。

 だと言うのに、お姉ちゃんはそれでもなお戦い続ける。

 

「あんた達、雪女を敵に回したことを後悔させてあげる」

「雪……女?」

「ごめんね、黒葉に教えた吹雪はあれが完全なものじゃないの」

「どういうこと?」

「あれは私専用の技、私しか使えないの」

 

 そう言うとお姉ちゃんは僕がやって見せたように刀を逆手に持つと、周囲の吹雪をその刀に集め始めた。

 

「凍てつく刃をお見舞してあげる。これが私の奥義! 吹雪っ」

 

 お姉ちゃんが刀を振った瞬間、暴風にも似た吹雪が周囲に吹き荒れた。

 それと同時に異形の生物達は氷漬けにされ、やがて力尽きたのか、その場で消滅していく。

 

 すごい、これがお姉ちゃんの本気。

 一度たりとも見たことがなかった師匠の本気に目を輝かせていると、突然お姉ちゃんはその場でバッタリと倒れ込んでしまった。

 

「お姉ちゃんっ!」

「ごめんね。お姉ちゃん、力を使い果たしてピクリとも動けないや」

「ぼ、僕がおぶって帰るよ!」

「それもしなくていい。もうどうせ、助からないから」

「え?」

 

 気がつけば雪は止んでいた。周囲の雪も普通じゃありえない速度で溶けていく。

 いや、溶けていくと言うよりもこれは消滅に近しいものを感じる。

 

「どういうこと?」

「私の力が失われていっているんだよ」




 はい!第2話終了

 次回でとりあえずプロローグ終了です。

 それではまた5分後にお会いしましょう。

 それでは!

 さようなら
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。