【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 黒葉の超集中状態の動体視力に「意味がわからない」と困惑する咲夜。

 黒葉の活躍によって咲夜は余裕を持って弾幕の対処をすることができており、能力を使わなくてもなんとかなっていた。

 黒葉もこの状況に余裕が出てきたのか慢心してしまった結果、雑念が生まれてしまい、足元から迫りくるドラゴンの頭に気がつくのが遅れ、回避が間に合わないという絶体絶命のピンチに陥る。

 しかし、黒葉は咄嗟に手のひらから炎を出してドラゴンの頭を焼き尽くすことによって事なきを得た。

 さぁ、バリアが破壊できるまであと少し!



 それではどうぞ!


第209話 自分を信じて

side咲夜

 

「っ、黒葉!」

 

 私は叫ぶ。

 黒葉の足元から迫りくるドラゴンの頭。それはパチュリー様がおっしゃっていた龍の攻撃と特徴が一致していた。

 それが今まさに黒葉に食らいつこうとしているのが視界の端でちらっと見えたため、叫んで黒葉へと手を伸ばしながら駆け寄る。

 だが、単純に走っただけでは私が助けるよりもドラゴンが黒葉を噛み殺す方が先だろう。

 

 なら時を止める?

 もしもの時のために温存しておいた能力。黒葉のお陰で能力の使用制限時間は一秒たりとも減っていない。万全の状態だ。

 もしもの時――それが今じゃなかったら一体いつだというのだろうか。

 

 そうして私は能力、【時間を操る程度の能力】を発動させようと構えたその時、黒葉が手のひらをドラゴンの頭へ向けて炎を噴射した。

 あのドラゴンが本当にパチュリー様のおっしゃっていた龍の攻撃と同じものなのだとしたら紅魔館を木っ端微塵にするほどのパワーがあるはずで、あの程度では止めることはできるわけがない。

 

 でも、次の瞬間、私は目を瞠ることになった。

 なんと、ドラゴンが黒葉の炎に焼かれ、灰となって消えてしまったのだ。

 黒葉はその後、一息つくと何事もなかったかのように再び集中モードに入ったが、私は黒葉の炎でドラゴンの頭を焼くことができたということが信じられず、放心状態になってしまう。

 

「師匠!」

「っ!」

 

 黒葉の叫び声、気がついたときには弾幕がすぐそこに迫ってきており、私は慌ててそれら全てにナイフを投げて対処する。

 ドラゴンを焼き尽くすことができたことは気になるけど、今はこっちに集中。他のことは後で考えよう。

 

 それにしても、あのバリアには今どれくらいのダメージが入っているんだろう。

 見た目ではバリアが傷ついているかどうかなんてわからない。大砲がちゃんと空中で何かにぶつかって爆発しているから、そこにバリアがあって直撃しているというのはわかるんだけど、それが目で見えないから先が見えなくて不安が募っていく。

 でも、黒葉の目には迷いは微塵もない。もしかしたら黒葉のその目にはバリアの状態が見えているのかもしれない。

 

 なら私は黒葉の目を信じて動き続けるだけ。あのバリアが破壊されるその時まで!

 


 

side黒葉

 

「はぁ……はぁ……」

 

 集中し続けるっていうのもなかなか体力を消耗するものだ。

 見た感じバリアもあともう少しで破壊される。天音の言霊のお陰でスピードが上り、尚且つホーミングして百発百中になっているから思ったよりも早くダメージを与えられていてかなりヒビが入っているけど、意外とここから割れるまでがなかなか行けない。

 ちょっと俺の体力が切れる前にバリアを破壊できるか不安になってきた頃合いだが、俺の目には着実にバリアにヒビが入っていっているのが見えるため、諦めない。

 

 バリアにダメージを与えれば与えるほどに攻撃が激しくなっていく。

 さっきまでは弾幕とレーザーのみだったけど、俺にドラゴンの攻撃が来たあとからドラゴンの頭も攻撃に含まれるようになってきた。

 これに関しては師匠の攻撃でも防ぐことができないからレーザー同様、にとりに回避してもらっているが、ドラゴンの頭は一定時間追い回してくるからにとりの負担が大きくなってしまっている。

 

 師匠はまだ動けそうではあるけど、他の面々の体力が着実に削られていっているのがわかる。

 特に天音は危険だ。

 大砲を打つたびに霊力を使って声を使って……だんだん声がかれてきている。あの言霊は相当喉に負担がかかるらしい。天音の喉もあとどれくらい保つかはわからない。

 正直、大砲が百発百中じゃなくなるというのはどうでもいい。天音が居なければ元々それくらいだ。

 だが、それ以上に天音の体力が心配だ。

 天音は無理をしてしまうきらいがある。天音が無理をする前にあのバリアが割れてくれればいいが……。

 

 割れろ。

 割れてくれ。

 お願いだ、頼む。

 割れて――ください。

 

 次の瞬間だった。

 

「え」

 

 驚きのあまり集中が切れてしまった。

 

「これはっ!」

 

 師匠も驚きの声を上げる。

 

 ドラゴンの頭が出現した。

 しかも、ただ出現しただけではない。視界一面全てがドラゴンの頭で埋め尽くされてしまった。

 船が無数のドラゴンの頭に囲まれてしまっている。逃げ道など存在しない。

 回避は――不可能。

 

 状況を確認すると俺は両の手を付いて打ちひしがれてしまった。

 

 ここまでダメージを与えたのに、ここまで来たのに。

 こんなの突破するのなんて無理だろ、どうやって攻略しろって言うんだよ。

 無理だ、不可能だ。ここまで来てこんなの、あまりにもあんまりだろう。

 これを突破できなければ姉貴を助けることはできない。この船に乗っている俺達は全員もれなく空中四散、命はないだろう。

 姉貴を助けたい。この命に変えても助けに行きたい。姉貴には何度も助けてもらったから。

 そのためにはどうする、どうすればいい。

 

 俺にこの状況を切り抜ける方法は――

 

「黒葉!」

「っ、師匠?」

「自分を信じて」

 

 師匠はこの状況に陥っても俺がなんとかできるということを信じて疑っていない様子だ。

 この攻撃全てに対処することなんて不可能だ。

 ならば、どうする。

 

 おそらくこれほどの攻撃をしてきたということはバリアの破壊に王手がかかっているということなのではないかと思う。

 それに伴って最後の足掻きという名の理不尽を放ってきたんだ。

 なら、一部でもドラゴンの頭を破壊してあのバリアに攻撃を叩き込めばなんとかなるかもしれない。

 でも、その一瞬の隙を生み出す、そんな方法はあるのだろうか。

 

 そう言えばさっき、俺の炎でドラゴンの頭が燃えたよな。それも、紅魔館を木っ端微塵にしてしまえるほどの力を持った攻撃を。

 あれがたまたまじゃなく、俺の炎にはあれを焼く力があるのだとしたら、試してみる価値はある。

 でもさっきの炎程度では砲弾が通れるほどの穴を開けることなんて不可能だ。

 

 狂獣技(ビースト)……あれさえできればこれを突破できるかもしれないけど、今の俺にはあれはできない。

 

 ――自分を信じて。

 

 師匠の言葉が俺の中で木霊する。

 そうだよな。迷ってばかりいたって何も始まらない。何もしなければどの道、みんなここで死んでしまうんだから。

 ならば、やるだけやってみよう。

 

 胸に拳を当てて精神統一をする。そして、

 

 ――狂獣技(ビースト)【獄炎竜・炎帝】――

 

 炎が俺の身体を包み込む。だが、やはり天魔と戦ったときのように鎧として纏うことはできずに殆どの炎が霧散してしまう。

 だが、かろうじて右腕の炎だけは霧散せずに残り、鎧とは言えない不完全な流動体の状態ではあるが、右腕に纏うことは成功した。

 これを逃すわけにはいかない。

 

 刀に手をかける。

 

「ルーミア、天音。構えろ!」

 

 勝負は一瞬、俺が開けた穴めがけて大砲を撃ってもらう。これで駄目ならもう打つ手はない。

 

 ごくりと生唾を飲む。

 姉貴に助けられてからずっとこんな感じだな。ずっとこんな局面に出くわしている気がする。

 もしかしたらこの先もこんなことが続くのかもしれないな。

 だとしたらここはただの通過点という事だ。

 

「なら、軽く突破させてもらうぞ。五天魔王第二席!」

 

 空を斬る勢いで刀を振り抜く。

 その切っ先からは炎の斬撃がビームのように放たれ、船を覆うドラゴン頭の集合体に直撃、燃やしていく。

 斬撃自体の効果は無い。本命は俺の炎だ。

 

 炎が直撃した場所から次々に燃え、灰と化していく。

 思った通りだ。俺の炎はこのドラゴン頭を燃やすことが出来る。

 

「も、もうダメだ! ぶつかる!」

 

 にとりの声が響く。

 何とかブレーキをかけてくれていたが、飛行船の勢いを完全にゼロにすることなんて不可能だ。

 ぶつかる前にこれを突破しなければ俺たちの負けだ。

 

 早く、早く燃えろ。早く燃えてくれ!

 

 後十秒もしたらドラゴン頭の壁に突撃してしまう。そこでついに小さな、極小さな穴ではあるが、ドラゴン頭の壁の1箇所に穴が空き、その先にスカイが見えた。

 この一瞬を逃したらもう次は無い。そう考え、ルーミアと天音の二人に指示を出そうとしたその刹那、一瞬早く破裂音が鳴り響いた。

 

 砲撃の音だ。

 大砲の弾が閃光のスピードでスカイへと飛んでいく。ルーミアと天音も俺と同じ判断をし、自分たちで考えてこのタイミングで撃ったようだ。

 

 だが、天音の様子がかなり心配だ。

 顔が蒼白になっている。だいぶ無理をしている証拠だ。

 もうこれ以上の無理はさせられない。

 

 これで割れてくれ、頼む。

 

 砲撃が着弾するまで1秒もない時間。だが、その時間が今俺には数時間にも感じた。

 長い長い。

 バクバクと鳴る心臓が今にも破れて倒れてしまいそうな程だ。

 

「もう、ダメだぁ」

 

 にとりの悲痛の叫びが響いたその直後、俺たちの周囲を取り囲んでいたドラゴン頭が一斉に霧散した。

 そしてスカイのバリアの一部が音もなく静かに割れ砕け散って穴が空いた。

 最後の砲撃、あれがスカイのバリアに致命的なダメージを与えることに成功したのだ。

 

 や、やった。ついに俺たちはバリアを破壊できたんだ。

 それを認識し、安堵したのも束の間、まるで乱気流の中にでもいるんじゃないかと思ってしまうほどの突風が襲いかかる。

 それはさっきまでの突風攻撃とは一線を画すほどの猛烈な突風で、俺たちを船ごとスカイの開いたバリアの中に引き込もうとしてくる。

 それはまるでブラックホールかのよう。全力で船を走らせたところでそれから逃れるすべは存在していない。

 

「みんな! 船に捕まって!」

 

 にとりの声が聞こえて俺たちは近くの掴まれそうな場所に必死にしがみつく。

 にとりがなんとか船の態勢を立て直して転覆しないようにしてくれているが、それも時間の問題のような気がする。この船から放り出されたらこの高さ、まず間違いなく死んでしまうだろう。

 だから俺たちは振り落とされないように必死にしがみついた。

 

 腕が軋む。

 遠心力で何倍にも感じる体重を片腕のみで支えなければいけない俺にとってはかなり過酷な状況だ。

 船内にいるルーミアと天音だって安全ではないはずだ。遠心力によってあっちこっちに吹き飛ばされる可能性があって、船内はまるで巨大なミキサーに近しい状況になっていることだろう。

 二人のことが心配で仕方がないが、今の俺に助けに行く余裕なんて残っちゃいない。振り落とされないように耐えるので精一杯だ。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ。みんな、耐えてくれ!」

 

 そう願いつつ、俺たちは突風に逆らうことはできずにスカイの中へ引きずり込まれてしまうのだった。




 はい!第209話終了

 ついに次回から天空都市『スカイ』編です。

 果たしてどんな戦いが待っているのか。そして船ごと勢いのまま引きずり込まれた黒葉たちは無事なのか?

 次回をお楽しみに!

 いやぁ、飛行船での戦いを描くのは難しかったですよ。

 なので、心情描写多目になってしまったのですが、大丈夫ですかね?

 やっぱり意思のある強敵と戦っているところが一番楽しいです。

 この章で僕が一番楽しみにしているのは龍との戦いなのですが、そのほかにも色々楽しみな戦いが目白押しです。

 さてさて、二章は100話位続きましたが、この章はどれくらい続くのでしょうか。

 現時点で30話くらいなので、二章ほどの長さにはならなさそうです。

 まぁ、でも二章も後半戦がもの凄いボリュームだっただけって言う感じですが。

 ちなみに天魔か霊夢が居たら普通に龍を倒せます。あの二人、それくらいに上澄みなんですよね。

 果たして黒派はレミリアを助け出すことはできるのか?

 それでは!

 さようなら
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