それでは前回のあらすじ
フランの元へと食事を運ぶことになった黒葉はフランの部屋の前にやってきてノックする。
そこから出てきたのは想像よりも塞ぎ込んでいるという感じがしないフランだった。
そこで少しフランと会話を交わすものの、フランのことを立ち直らせるのは難しいと判断して黒葉はその場を後にする。
その後、修行をしようとレミリアの部屋に行くとなんと、レミリアからフランの遊び相手を命じられる。
黒葉の目の前が真っ黒になった。
それではどうぞ!
side黒葉
「なんか難しい顔をしているけど、大丈夫?」
「あぁ、ルーミアか」
俺が教室で悩みこんでいるとルーミアが心配そうに俺の顔をのぞきこんできた。
「というか、ちょっと休んでいたみたいだけど、もう体調とかは大丈夫なのか〜? 体調不良って聞いてたけど」
「あぁ、大丈夫だ。もう完治した」
どうやら俺が休んでいた間は咲夜が寺子屋に俺が体調不良で休むと伝えておいてくれていたらしい。
一応、この寺子屋では咲夜が俺の保護者ということになっている。だからその間は咲夜が何とかしてくれていたのだろう。非常に有難いことだ。
「それなら良かったのだ〜。それで、今悩んでいたのはなんなの? 私で力になれるなら何でも言って欲しいのだ」
「ありがとう、その気持ちだけで十分だ」
俺が今悩んでいたのはフランドールの事だ。
昨晩、レミリアに頼まれたフランドールの遊び相手。フランドールはかなり心を閉ざしてしまっているので、普通に話しかけに行くだけだったら無視されて終わってしまうことが目に見えている。
それは昨日、飯を運んで行って気がついた。
「私の力が必要になったらいつでも言ってね。私は一度、黒葉に助けられてるから私に出来ることだったら何でも手伝うよ」
「ありがとう」
俺の学校での友達はこのルーミアとチルノ、大妖精、ミスティア、リグルの五人しかいない。
クラスメイトは他にもいるものの、俺がこの妖怪妖精と関わっているのと、チルノにやられて弱いレッテルを貼られ、最初に登校してから少しの間休んでいたことが原因で、俺は他の人にとっては取っ付きにくいと判断されてしまったのだろう。
まぁ、俺は元々他人と関わるのは得意な部類ではない辛いんだが……。
そんな感じで時間が過ぎていき、下校時刻になった。
俺はこの前と同じように森の中を歩いていく。
この森にはあんまりいいイメージはなかった。なにせ連日、ここで俺は襲われる羽目になったのだから。
一回目はルーミアを助けた時、二回目は凶暴な博麗の巫女に襲われた時。
なんだか、酷い目にしかあっていないような気がするな。
だが、そんなことはそんなに連続で起こる訳もなく、今日は普通に紅魔館へと帰ってくることが出来た。
「ただいま」
「あら、今日は何も無く帰ってこれたんですね」
「毎回毎回妖怪に襲われていたら俺の命が幾つあっても足りない」
話しながら俺は脇に荷物を置くと、刀を抜いて素振りを始める。
これが俺の日課だ。
今はまだ咲夜の用意したこの岩を斬ることは出来ないけど、いつか必ずこの岩を斬って全ての妖怪を滅する。それが俺の目標だ。
その時に浮かぶのはレミリア達やミスティア、リグルの顔だ。やっぱりこうなった場合、殺しにくくなるからあんまり関わるものじゃなかった。
「黒葉、今日は久しぶりに私と手合わせしませんか?」
「え、いいのか?」
「少し時間があるので……では早速始めましょう」
今日は久しぶりに咲夜が相手をしてくれるようだ。
咲夜はメイド長ということもあって仕事量も多く、なかなか時間を作ることは出来ないが、こうしてたまに修行の手伝いをしてくれる。
普段は咲夜に言い渡されたメニューをこなしているが。
「はぁっ!」
俺は地面を蹴って咲夜に距離を詰める。
だが、こんなものでは咲夜に攻撃が届くことは無いだろう。
ここでレミリアに教えてもらった技を試してみることにする。
「インパクト!」
「え」
俺が刀に手を添えていたことによって咲夜は俺が刀で攻撃をしてくるのだと思い込んでいたのだろう。
だが、俺は咲夜に近づいた直後、刀から手を離して握り拳を作り出して、その拳に霊力を集めていく。
これはマジックなんかで使われるミスディレクションと呼ばれる技術だ。相手の意識を別のところに移し、その間に別の準備をする。
これがミスディレクション。
現に咲夜も刀で攻撃されると思ってナイフを構えているが、それは間違いだ。
俺はそのまま拳を腹に叩きつけようとしたその時、いつものように目の前から消えてしまった。
「ち、いつもながら厄介な能力だな」
「今のは少し焦りました。ですが、まだ黒葉は私に攻撃を与えることはできません」
そう、この能力がある限り俺が咲夜に攻撃を当てることは出来ない。
未だに咲夜の能力を掴むことが出来ていない。
「瞬間移動? いや、そんな程度じゃ……」
「戦いの最中に考え事とは随分と余裕じゃない?」
その瞬間、目の前にナイフが大量に出現した。
やばい。そう思った時にはもう回避しきれないところまでナイフが迫ってきていた。
咄嗟に俺は腕に霊力を流して強化し、その腕で防御をする。
「はい、終わり」
「え?」
覚悟をして受ける体勢に入った直後、全てのナイフが俺の目の前から消え去った。
どうやら咲夜が俺に直撃する前に全てのナイフを回収してしまったようだ。あのまま回収されなかったら霊力で強化しているとは言っても、俺の腕がボロボロになることは避けられなかっただろう。
「また一撃も与えることが出来なかったな」
「まぁ、私は長いこと戦ってきてますし、能力に恵まれたっていうのもあります」
能力……。
俺には能力がないから能力持ちとの戦いではかなり不利になるんだよな。
「それでは私は夕食の準備に向かいます」
それだけ言うと咲夜は俺の目の前から消えた。
恐らく言葉の通り、夕食の準備をするために厨房へと向かったんだろう。
さて、俺は問題の先送りをしないためにも何とかしてフランドールの遊び相手になれるように何とかやって見るか。
そう考えて昨夜と同じように俺はフランドールの部屋のある地下へと向かっていくのだった。
はい!第21話終了
次回、黒葉はどうやってフランに心を開いてもらうのか。
それでは!
さようなら