【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 龍の一人称を僕に変更しました。

 それに伴い、今までの文も僕に変更しましたので、もし龍が俺って言っている部分がありましたら誤字報告を頂けるとありがたいです!



 それでは前回のあらすじ

 ついに黒葉は出発しようとするが、日光に阻まれて行動できない。

 しかし、風魔が日光を防ぐことができる高機能の軍服を貸してくれた。

 さらに風魔は街の案内をしてくれるという。

 断ろうとした黒葉だったが、風魔に言いくるめられて結局二人で行動することに。

 果たして他のメンバーは今、どうしているのだろうか?



 それではどうぞ!


第212話 近未来ショック

side三人称

 

「はぁ…………」

 

 私は目を覚まし、ため息を付いた。

 紅魔館を離れて三日目、未だに信じたくもない夢だと思い込みたい現実を目覚める度に突きつけられているようで、打ちのめされていた。

 目を閉じればすぐにでも紅魔館のみんなのことを思い出すことができる。

 妹の笑顔に騒がしい日常。今までは当たり前だった日常がもう手に入らなくなるということを悲しく思うと同時に、頭の中にはこの3日間、ずっと響いている声があった。

 

 黒葉の怨嗟の声。

 最後に黒葉が放った宣言がレミリアにちゃんと届いていた。そしてその言葉が永遠と不安を掻き立てる。

 

『あんたが俺に姉と呼ぶように要求してきたんだ! これはあんたが始めた物語なんだ! そう簡単にこの呪縛から逃れられると思うなよ、姉貴ぃっ! 俺は必ず姉貴を見つけ出して、そして紅魔館に連れ帰るからなっっ!!』

 

 黒葉と出会ってから少ししか経っていないけど、あの子が無茶をしまくって自分を蔑ろにしてまで周りの人を助けようとする子だってことはわかった。

 だからこの言葉通りに黒葉は私を助けようと躍起になっているのではないかと不安で仕方がない。

 

 あれは抵抗とかそういう次元の相手じゃない。敵に回しちゃいけない存在だ。

 このまま私だけの犠牲で済むならば安いもの。

 それに助けに来ようとしたところでここまで来れるはずがない。天空都市の中に侵入することなんてみんなの力を合わせたところで到底できるとは思えない。

 

 だから、お願いだから私のことは忘れてと祈る。

 

「おはよう、レミリア嬢」

「っ! 龍」

 

 龍が何食わぬ顔で部屋に入ってきた。

 なんで寝起きにこいつの顔なんて見なければ行けないのだろう。龍は毎日私が脱走していないか確認するために部屋にやってくる。

 まぁ、脱走することも頭を過ぎらないわけではないんだけど、私が脱走したらほぼ間違いなく紅魔館のみんなに被害が及ぶだろうから大人しくしているしか無い。

 

「ご機嫌はどうだい?」

「わかりきっているでしょ?」

「釣れないねぇ。いつも言っているけど、僕には愛想よくしたほうが身のためだと思うよ?」

 

 こんな状況で機嫌なんてよくなるわけ無いし、こいつに愛想よくするなんて死んでも嫌だ。

 

「もう少しで僕らは夫婦になるんだ。だから僕は君に心をひらいてもらえるように努力しよう。僕は寛大だからね」

 

 寛大、心が広い、この3日間何度もこいつの口から聞いた言葉だが、こいつのことを一度たりとも寛大だと思ったことも心が広いと思ったこともない。

 むしろこいつが笑みを見せていたり、こうして相手のことを許したりしている時は総じて相手に事を見下しているときだ。いつでもその相手に無理やり言うことを聞かせることだってできるけど、それじゃ面白くないから遊び感覚で行動しているんだ。

 でも、こいつの許容量というのは少ないから、すぐに我慢の限界が来て癇癪を起こす。

 3日間ずっとともに行動していたからわかったことだ。

 

 そんないつ暴れ始めるかもわからない猛獣のそばに四六時中いるのだから自然と警戒してしまう。

 それがこいつにとっては面白くないみたいで――

 

「まぁまぁ、そんなに警戒することはない。別に取って食おうというわけじゃない。だが、君がそんな態度ばかり続けるのだったら、僕だって我慢できなくなるけどね。でも、君は未来の僕の嫁だ。今回は許してあげよう。それに、君が警戒するのも無理はない。だって、初めての能力が効かない相手なんだからねぇ。だから僕は君を赦そうじゃないか。僕は心が広いんだ」

 

 ナチュラルに見下して、そして煽ってきているような台詞だけど本人には悪気はない。

 だってそれがこいつには普通だから。

 

 実のところ、私がずっとこんな態度ばかり取り続けているのはもしかしたら殺してもらえるかもしれないからである。

 こんな状況になってしまって、もう未来に希望なんて持てない。だからいっそのこと、ここで全てを終わりにしてしまいたい。

 紅魔館を離れて3日、そう願うばかりだった。

 


 

side三人称

 

「さぁ〜て、レミリア嬢は何日で僕に心をひらいてくれるのかな」

 

 龍はレミリアの部屋をあとにし、薄暗い廊下をただ一人歩いていた。

 龍の機嫌は良い様子で、レミリアのあの態度は普段の龍だったら即死刑なのだが、龍の機嫌が良かったばかりにレミリアは望みとは違い、死刑を免れることになっていた。

 その期限がいい理由というのも、あともう少しでレミリアと結婚してレミリアを自分のものにできるというのがある。龍を知っている人ならば誰もが今の龍の機嫌の良さを異常だと言うだろう。それほどに龍は今、上機嫌だった。

 

 しかし、そんな龍の眼の前に上機嫌だった気分をガクッと下げてしまうような存在が姿を表した。

 

「やぁ、息災かい?」

「ホロウか……ここに来るとは珍しい。」

 

 黒髪和服で仮面をつけた男。

 龍と同じく五天魔王第三席所属のイラレド・ホロウだった。

 二人の活動圏は異なるため、こうして面と向かって合うのは実に1年ぶりといったところ。

 特に、ホロウがこの天空都市『スカイ』に来るようなことは『スカイ』ができてからは一度もなかったため、必然的に合うとしても龍が『スカイ』の外にいる時に限定されていた。

 そのため、龍はホロウがこの場にいることにひどく驚いていた。

 

「おや、君が僕を見て嫌悪を示さないのは珍しい。なにか良いことでもあったのかい?」

 

 ホロウは意外そうに問う。

 そう、傍から見たら十分不機嫌そうに見える龍の態度ではあったが、いつもの龍だったら一瞥はするものの、スルーして通り過ぎ、その事をホロウにツッコまれて仕方がなく相手をするという流れなのだが、珍しく反応をしたのだ。

 このことから、これは機嫌がいいのではないかとホロウは考えた。

 

「分かるか? 僕は数日後に結婚する。運命の人に出会うことができたんだ。これ以上に嬉しいことはない。今の僕は機嫌がいいんだ」

「ふ〜ん」

 

 初めて聞く龍の饒舌な台詞を聞いてホロウは仮面の中で目を細める。

 

「まぁ、とりあえず祝福はしておくよ。だけど、気をつけることだね。同じ五天魔王だからといって僕が君に力を貸すこともない」

「問題ないよ。僕は最強だからね。そもそも、君に助けを求めるなんて僕のプライドが許さないからね」

 

 手をひらひらと振りながらホロウの横を素通りしてこの場を去る龍。

 そんな去っていく龍の後ろ姿を赫い瞳でジッと見つめながらホロウは口元をニヤリと歪めた。

 


 

side黒葉

 

 風魔に連れられて洞窟を出る。

 説明通り、この軍服は太陽光を防いでくれるようで、太陽の下にさらされた俺の肉体だったが、燃えるようなことはなかった。

 洞窟の場所は本当に端っこの端っこだったようで、少し目を遠くへ向けるとすぐに島の端である崖が目に映る。

 まるでここは隠れ家みたいな場所だなという印象だ。端過ぎて誰もこっちに来る人は居なさそう。

 

「ここがスカイの街だよ」

 

 俺は街中へ案内された。

 もしかしたら俺はそのまま自警団的なところに突き出されてしまうのではないかと思ってビクビクと怯えながら後をついて行ったのだが、別にそういうわけではなかったらしい。

 というよりも、街が目に入った瞬間からそんな不安も一瞬で吹き飛ぶほどの衝撃が俺を襲った。

 

「な、な、なんだこりゃあああああああああああああああああああああああっっっっっっっっ!!!!????」

 

 俺の目に映ったその景色は今まで見たことのあるどの建物よりも高く、何層も上に連なっている建物。

 最近普及し始めたが、未だに高額である電球が至る所に証明としてあしらわれた店や柱、看板など。

 俺が今まで生きてきなかでは考えられないほどで、まるで今俺は夢を見ているのではないかと思ってしまうほどの光景がそこには広がっていた。

 

 この光景だけで俺は過呼吸を起こしそうになってしまう。情報量過多である。

 

 何なんだこの場所は。見たことがないものしか無い。

 食べ物も、店の商品も初めて見るものしか無い。

 にとりのラボが人里全域に及んでいるかのような光景だ。

 

「おわわっ!」

 

 そんな感じでボケっと歩いていたら正面から猛スピードで鉄の塊が迫ってきており、気がついたときにはもう目の前まで来ていたため、回避できないと思って防御をしようと構えたのだが、眼の前でそれは止まった。

 そのことに呆気に取られてしまったのだが、すぐに我に返ってその場から避けると再びその鉄の塊は走り去ってしまった。

 

 今のは一体何だったんだ。そんな事を思いながら鉄の塊が過ぎ去っていった方向へ目を向けると、そんな俺の心情を察するように風魔は軽く笑いながら俺に説明してくれる。

 

「今のは自動車だよ。霊力が込められた石が内部に埋め込まれていて、設定した目的地まで自動で連れて行ってくれる、まぁ馬車みたいなものだよ」

「あれって乗り物なのか!? すげぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 あんな鉄の塊が動くなんてどういう仕組みなんだ?

 馬も居なかったし、人が引いているわけでもない。自動で動いているのだ。

 

「それとこれ、この街で活動するなら必要になるだろうからね」

「なんだ、これ」

 

 そう言って風魔に手渡されたのは小型のボタンがいっぱい付いた鉄の塊みたいなもの。

 これもまた俺は見たことがないもので、どういう代物なのかが全くわからないため、色々回して観察してみる。

 

「それはね、通信機って言ってね。ちょっとここで待ってて。音がなったらこのボタンを押して耳に当てて」

「わかった」

 

 そう指示をすると風魔は小走りで俺から離れていくと建物の影に隠れてしまった。

 何をするつもりなのかと訝しみつつ待っていると、突然通信機なるものが振動とともに音を鳴らし始めたため、風魔に言われたとおりにボタンを押して耳に恐る恐る当ててみる。

 

『あ〜、あ〜、聞こえる?』

 

 突如として通信機から聞こえてきた声。まごうことなき風魔の声である。

 これほどの非常識、今まであっただろうか。絶対に聞こえるはずのない位置にいる人の声が聞こえるとは思っていなかった俺は立ったまま気を失ってしまうのだった。

 

 その間も風魔は俺に声をかけていたらしいが、それに反応することはできなかった。




 はい!第212話終了

 レミリア、龍、そして黒葉のパートに分かれていた212話。

 いつもよりも長くなってしまいましたが、龍までの話だと物足りないと感じたので黒葉パートも入れてみました。

 黒葉パートでわかったとおもいますが、この天空都市スカイは現代ベースの街になっています。
 まぁ、いろいろな動力は違うのですが、街並みや売っているものに関しては現代のものに酷似しています。

 基本的に幻想郷の暮らしは僕は江戸時代のようなものだと認識していますので、その次代の人達が現代日本に来たらどんな反応をするかと想像をしながら黒葉のリアクションを書いています。

 ただ、携帯電話というものは無いです。代わりに通信機を使っています。

 元々通信機は風魔からではなく、咲夜と合流したあとに咲夜から探索の戦利品として渡されることを予定していたのですが、風魔の登場タイミングを一番最初にずらし、風魔の立ち位置も色々変更した結果、風魔からもらうのが一番いいのではないかと考えたので、風魔から黒葉にプレゼントと言う形で渡しました。

 さて、これからどうなっていくのか、お楽しみに!

 それでは!

 さようなら
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