【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 工場の従業員の扱いに激昂した黒葉は力に直談判をする。

 するとなんと、その度胸を気に入った力に勧誘されてしまう。

 当然黒葉はその勧誘を突っぱねるが、力は力づくで従業員にしようとしてくる。

 力の全く読めない攻撃に大苦戦を強いられた黒葉だったが、ついに一瞬の隙をついて攻撃を叩き込むことに成功する。

 だが、同時に黒葉は気を失ってしまった。



 それではどうぞ!


第216話 死の司祭

side咲夜

 

 目を開けると一面の青空がそこには広がっていた。

 どうやら私は気を失ってしまっていたらしい。

 

 私の最後の記憶は突風に巻き込まれてスカイのバリアの中に引きずり込まれて、黒葉が飛ばされたのを見て手を伸ばして助けようとしたけど、手が届かなくて、やがて私も暴れ狂う船に振り落とされてしまった。

 体を風に巻かれる感覚、高所から落下していく感覚、そして地面がどんどんと迫ってくる恐怖、その全てが未だに脳裏に焼き付いている。

 でも、こうして今生きている。それが不思議で仕方がないことではあるのだけど、今生きている幸運に感謝しよう。

 

 上体を起こし、周囲を見回して見る。

 寝転がっていた時にも感触でわかっていたが、ここは草原の上らしい。そして少し離れた場所に人里というにはいささか発展しすぎた街が存在していた。

 キラキラとしていて、一番高い建物は紅魔館の高さに迫るのではないかと思うほど。

 

 こんな場所、今まで見たことがない。

 おそらくここは天空都市『スカイ』、都市という名は伊達ではないなと心の中で感嘆する。

 

 近くに船のようなものは見当たらない。多分スカイを飛び越えて下に落ちて言ったということはないと思うから、多分船は私のこの位置からじゃ観測できない場所に落ちて行ったのだろう。

 あれだけ振り回されたのだ。船の中にいたルーミアや天音、にとりの三人が無事であればいいのだけれど。それに、目の前で落ちて行ってしまった黒葉の安否も心配だ。

 とりあえず歩かないことには始まらないため、立ち上がろうとしたが、その足はいうことを聞かずに尻餅をついてしまった。

 

 そうだ、私はあれほどの高さから振り落とされたのだ。ダメージがないわけがない。

 妖怪である黒葉ならまだしも私のこの体は人間だ。ダメージも大きく、さっきまでは動転していて気が逸れていたけれど、一度意識をしてしまうと痛くて痛くて仕方がない。

 どうやら私は他人の心配をしている場合ではなかったらしい。

 

 とりあえずなんとか立ち上がって休める場所に行きたい。

 少し休むことさえできればまだ動くことができるはず。

 

 そう考えて再び周囲を見渡して見ると、近くにいい建物が見つかった。

 

「あれは……教会?」

 

 見つけたのは十字架を入り口に掲げた大きな教会。

 街から外れた場所にあることが少し気になるものの、あそこまでなら今の私の体でも普通に歩いていくことはできそう。

 誰か居るだろうか。居るならば話をしてなんとか休ませてもらえないだろうかと考えつつ、痛む足を引きずって教会まで歩いていく。

 

 ちょっとの距離、その距離が今の私にとっては何キロにも感じてしまうほどで、教会のドアにまでたどり着いた時にはかなり体力を消耗してしまっていた。

 体力にはかなり自信があったのに、ここに来るまでに体力を使いすぎてしまったせいだろう。

 

「すみません! 誰か居ませんか?」

 

 ドアを叩きながら叫ぶ。

 叩きながら吸血鬼の従者が教会に世話になろうとして居るとは……と情けない気持ちになって来て居たが、それでも背に腹は変えられないため、必死にドアを叩いて声をあげ続けた。

 その間、30秒くらいだっただろうか。ようやくそのドアが重く軋んだ音を鳴らしながらゆっくりと開き始めた。

 確かに私はここで休ませてもらうために来たが、開けて攻撃をされないとも限らないため、ドアが開き始めたのを確認した瞬間に飛びのいて太もものナイフホルダーへと手を伸ばした。

 

 固唾を呑んでドアが開いていく様子をじっくりと伺って居ると、逆光で見えにくかったそのドアの向こうに居る人物がだんだんと見えるようになって来た。

 そこに見えた人物は栄養をあまり摂っていないようにすら見えるほどにヒョロヒョロの不健康そうな体に黒いマントを羽織っている男。

 何よりも目を引くのはその頭の上に鎮座する金色に輝く王冠だろう。

 まさしく一国の王といった風貌の男に一瞬面食らう。

 

 その男は私の姿を認識するとおおらかな声で語りかけ始めた。

 

「やぁ、どうしたんだい? 僕の教会に何か用かな?」

「僕の、教会?」

「そう、ここは僕の教会。これでも僕はここで司祭をやっているんだ。それで、何か用?」

 

 どう考えても格好は司祭の格好ではないのだけれども、それをツッコむのは無粋だろうか。

 とりあえず声色や雰囲気的に私と敵対する気はなさそうだ。殺意もなければ、この男から感じられる霊力もごくわずか。これなら万が一襲われてしまったとしても返り討ちにすることはできるだろう。

 だけど、なんだろう。

 

 目で見た情報ではこいつは戦える気がしないというのに、なんだか不気味で、私の長年の勘がこいつを警戒しろと騒いでる。全身の毛が逆立っている。

 ひとまずどんな相手でも警戒するのが一番だろう。初めて会う相手、しかもここが敵の本拠地なのだとしたらどこに敵がいるかわかったものじゃない。

 だから私は警戒を解くことはなく、できるだけこの警戒を悟られないようにして言葉を紡いだ。

 

「先ほど怪我をしてしまいまして。よければ少しだけこちらで休ませていただけないかと」

「あぁ、なるほど。確かに言われてみれば所々傷を負ってるね。ダメだよ? 女の子が肌に傷をつけちゃ。せっかくの綺麗な肌が台無しだ。君も随分な美貌を持っている、だからこんなところで肌に傷をつけちゃもったいない。僕はね、君のように美しくおしとやかなレディーには紳士なんだ。だから君を救ってあげるよ。なんたって僕は司祭だからね。この島にいるありとあらゆる人の心と体を救うということが僕の仕事と言える。それはこの島では見ない観光客である君も同じだ。僕にとっては等しく救済するべき対象なんだ! さぁさぁ、遠慮せず上がってくれたまえ」

 

 一目見ただけで私がこの島の住人じゃなくて外から来たということを見抜いた!?

 でも、今私のことを観光客と言ったということは、私がバリアを突き破って外からやって来たということは気がつかれていないっぽい。

 それにしても、面倒な相手らしい。

 自分語りに自分語り、自分がどれだけ相手のことを慮っているかということを無駄に長く語ってくれた。

 ちょっと面倒だなと思ってしまうが、近くで休めそうな場所がここしかなかったため、ありがたく上がらせてもらうことにしよう。

 

「失礼いたします」

 

 招かれるがままに教会へ入ると、一番に目に飛び込んで来たのは超巨大な色とりどりのステンドグラス。

 だが、その模様がかなり特殊な見た目で、ドラゴンをイメージしたデザインとなっている。

 普通はこういうのって聖書的な、そういうのに出て来るストーリーが読み取れるようなデザインになっているのでは? と思うが、私は聖書を読んだことがないため、その中にドラゴンが出て来るのかもしれないと思ってとりあえずツッコミは入れないでおく。

 

 あとは想像通りの教会。たくさんの長椅子があって、その一番奥には段があってその上に講壇が設置されている。

 おしゃべりなこの司祭とは違ってとても落ち着いた雰囲気の場所。ここなら多少は休めそう。

 

「存分に休んでいくといい。女の子のお役に立てることこそ、僕にとって史上の喜びだからね。何かしてほしいことがあったらなんでも言うといいよ。ここはこの街から外れた場所に存在するけど、この場所はこの街の中心といってもいいくらいに重要な場所だからね。言ってくれたら大概のものはここにあるだろう。さぁ、僕に存分に仕事をさせてくれ給え、綺麗なレディーよ」

 

 本当にこの長台詞が耳障りなんだけど、それじゃあ一つ質問をしようかしらね。

 

「それでは、一つお伺いしたいことがあります」

「ん〜ん? 何かな? 遠慮せずに言うといい」

「それじゃあ、遠慮なく」

 

 そう言うと私は司祭へと振り返り、私が今司祭に抱いている感情を悟られないように笑みを作り出して、その願いを告げる。

 

 ——と同時に太ももに取り付けたナイフホルダーへと手を伸ばした。

 

「レミリアお嬢様をどこへやった! 現世《ザ・ワールド》」

 

 瞬間時が止まり、司祭が気持ち悪い笑みを浮かべながら止まったのを確認して大量のナイフを時間が停止したこの空間で投げまくる。

 ただ、月刃に能力を奪われたせいでこの能力には時間制限がついてしまったので、無限に投げ続けることができると言うわけじゃない。

 だから私はこの限られた時間の中で投げられるだけナイフを投擲する。

 

「うぇ?」

 

 時間停止が解除され、大量のナイフが司祭に襲いかかる。

 でも、これだけじゃダメだ。

 パチュリー様から聞いていた身体的特徴、それが完全一致していると言うことはこの男がまさしく桑間龍なのだろう。だから絶対に油断などしない。

 最初は気がつかなかった。

 私はここで龍を初めて見たのだからすぐに気がつくことは難しかった。でも、会話しているうちに脳裏にパチュリー様の言葉が浮かんで来て、ようやく龍と司祭が結びついた。

 

 ナイフが突き刺さったのを確認すると、より深くナイフを突き刺すことができるように心臓付近に直撃したナイフへ向けて回し蹴りを放って龍を蹴り飛ばす。

 

「ぐえええええええええええええええええええええええええええええ」

 

 情けない声を上げつつぶっ飛ばされていく龍の姿。やがて壁に激突して崩れた壁の瓦礫に埋もれて姿が見えなくなった。

 普通の人間ならあれで心臓が突き刺されて致命傷となるはず。だけど、お嬢様や紅魔館のみんなで力を合わせて戦ったと言うのに歯が立たなかった相手がこれほど呆気なくやられるものなのだろうか。

 未来予知もできると言うことだったからこの攻撃は防がれて当然くらいに考えていたのだけれど、まともに攻撃を当てられたことで私は拍子抜けしてしまう。

 

「これで終わり?」

 

 あまりにも呆気なかったが、おそらく油断していたんだろう。永琳の言っていた通りだ。奴は油断していた。

 だから能力も発動していなかったし、そもそもあの肉体だったらあれほどの攻撃を受けて耐えられるはずがない。これっぽっちも鍛えているようには見えなかったから筋肉に邪魔されることもなく、ナイフは奴の体に深々と突き刺さったのだ。

 あれで生きていると言う方がおかしい。

 

 さて、お嬢様を探しに——

 

 行こうと背を向けたところで背後から何かが衝突して来たかのような衝撃が背中を襲い、そのまま私はぶっ飛ばされてしまった。

 

 やっぱりかと嘆息する。

 そりゃそう簡単に倒せるわけがないよなと、背が痛むところ身体に鞭を打って地面に立つ。

 瓦礫の山を見てみると瓦礫同士が擦れ合うような石の音を響かせながら震えており、やがてそこから一人の人影がゆっくりと立ち上がった。




 はい!第216話終了

 えー、こっちでは咲夜VS龍となっております。

 いきなり大ボスとの戦いが始まったわけですが、咲夜は無事にこの状況を切り抜けることはできるのでしょうか?

 ちなみにこの龍という男、能力と加護の力のみで第二席に付いていますが、咲夜と永琳の予想通り、能力も加護もなければ最初期の黒葉にも手も足も出ずにやられます。
 ただ、あまりにも能力が強すぎて、身体能力クソザコなのに、上位の実力に君臨しています。
 本当になんなんでしょうね、この男。

 ちなみにこいつの幹部によると、龍は女の子たちや民を救うことが自分の仕事と誇らしげに語っていますけど、民を救っているところなんて見たことがないとのことです。
 こいつがそんな聖人君主みたいなことをするわけないじゃないですか。

 それと、こいつは最初、鬼滅の童魔に影響されて設定を書いたキャラクターではあるのですが、今はかなりリゼロのレグルスに影響を受けていると思います。
 まぁ、設定は童間に近いような感じだと思います。言動はレグルスよりですが。
 ただし、完全に同じにはならないようにレグルスさん代名詞の「あのさぁ」と「僕の権利の侵害」などは言わないようにしています。

 さて、この戦いがどうなるのか? これからもお楽しみに!

 それでは!

 さようなら
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