ついに咲夜VS龍です。
咲夜は未来を見ても時を止めて後出しできる未来視特攻、対する龍は超回復。
果たして勝つのはどっちか!?
あ、それと魔導騎士を三龍騎士に変更しました。
それでは前回のあらすじ
龍を攻撃したのにも関わらず、全くダメージが入らない。
咲夜は龍から霊力を感じなかったことから、この能力の正体は加護なのではないかと予測を立てる。
果たして咲夜は龍の加護の正体を、見事突き止めることができるのでしょうか?
それではどうぞ!
side咲夜
「ねぇ、学習能力ないのかな? 学習能力ゼロなのかな? いや、鶏なのかな? 三歩歩いたら忘れるのかな? いや、君はまだ一歩も歩いていないから鶏以下だよね。こんな攻撃をしても全く意味がないってさっき見せたよね。どうしてこんな無駄な行為をするのかな。本当に理解ができないよ。君が紅魔館の従者だか注射だか知らないけどさぁ、二度もぶっ飛ばしてくれるってどいういうわけ? 僕さっき言ったよね、忘れたとは言わせないよ。それともやっぱり僕の話なんて聞く気なかったのかな? それって僕に対して失礼だと思わない? ちゃんと聞いて、さっきの光景をちゃんと覚えていた上でこんな行動をしていたとしたら君は特級のバカだと思うね。非合理的だと思わない? こんなもので僕に有効打を与えられるわけがないじゃん。さっきあれだけ攻撃をしてダメだったんだからさ、ちょっとは学ぼうよ。僕が蹴り一発で致命傷になるような男だったらさっきの一撃で絶対に死んでいるって。それとも、君は僕を侮っているのかな? さっきのはまぐれで回復しただけだったって。あれがまぐれで回復するとしたらそれはもはやまぐれではないと僕は思うけどね。もしその程度だと思われていたとしたら僕としては心外だと言わざるを得ないよ。さっきからずっと言っているよね。僕はただ、君に紳士に対応したいだけなんだよ。それだけなのになんで僕は蹴られないといけないのかな? それってさ、僕の紳士に対応したいという君への敬意を無視しているということになるよね。僕の敬意を軽んじている、軽視しているということになるよね。それはあまりにも僕の敬意に対して失礼、不誠実だと思わない? とてつもなく綺麗な顔をしていて対応も丁寧だったからお淑やかでおとなしい女性なのかと思っていたら完全に外れたよ。君はとんでもない暴力女だ。人の良心、敬意を無為にするとんでもないクソ女だったよ。君みたいなとんでもない奴を見抜けずここに招き入れてしまったのは僕のミスだ。君みたいなのは最初から排除しておくべきだった。言ったよね、僕はさっき『これ以上僕の教会で暴れるというのなら、容赦するつもりはないけどね』って。そんな僕の心優しき忠告を無視したんだ。当然君もそれなりの覚悟があっての愚行なんだろうね。もしそんなに覚悟がないのにこんな暴挙に出たということなら君はとんでもない愚か者だ。その軽率な行為、一つだけで君はこれから命を失うことになるんだからさぁっ!」
一瞬爆発音かと聞き間違えてしまうかのような轟音を鳴らしながら瓦礫を吹っ飛ばして瓦礫の山の中から姿を現した龍は私をまるで親の仇を見ているかのような表情で睨みつけながら一息で語った。
その時の雰囲気と圧、狂気に押されてしまいそうになるが、堪えてジッと龍を見据える。
「僕はね、どうしても許せないことが二つあるんだよ。それは厚意を踏みにじられることと、軽視されることだ。君は僕の禁忌をどっちも犯しちゃったんだ。大人しくしていればこのまま帰してあげようとか思っていたけど、気が変わったよ。君だけは絶対に殺す、絶対だ!」
龍の狂気を帯びた瞳に嫌な予感を覚え、咄嗟に左へ飛ぶと、直後に背後から私の元居た場所にドラゴン頭が飛び出して噛みついてきていた。
避けなければ私は今頃あれに噛み砕かれていたかもしれない。
それにしても、あれが出てくるときにも霊力を感じない。今はたまたま嫌な予感がして回避することができたけど、あれを回避することなんて不可能なんじゃないかと思えてくる。
どこから攻撃が出てくるかわからない上に龍のモーションは無し、そして霊力の動きもないとか、どうやって察しろというのだろうか。
天魔の雷は大量に落とす時は必ず手を上げて霊力を高めなければいけないというのがあったから予測することができたけど、これは無理だ。
でも、私にはこれに対抗する術がある。
霊力を周囲に張り巡らせて常にセンサーを張っておく。月刃との戦いのときにもやったけど、樹海にはこういった使い方も存在する。樹海を使えば周囲の動きを感じ取ることができるのだ。
「ちょっと、僕の攻撃を回避するのは止めてくれないかな!」
無茶なことを言ってくる龍の言葉は無視して次々と出現するドラゴン頭を回避していく。
私が回避したドラゴン頭は勢い誤って近くにある家具などに噛みついたりしているが、それらがもれなく粉々になっている。しかも、石製の壁ですら一撃で噛み砕いていることから、あれに噛みつかれてしまったらひとたまりがないことだろう。
でも、あれくらいならまだなんとかなる。
樹海でどこから出てくるかは分かるし、制限時間こそあるけど時間を止めて回避する時間を作ることだってできる。
お嬢様と同類の能力を持っているという話だったけど、未来を見られたところで時間を止めて回避したら未来を変えることだってできる。
私なら対抗できるはずだ。
まずドラゴン頭を回避、そのままの流れで時を止めてナイフを投げて空中に設置したら龍の背後に回り込んで龍を蹴り飛ばしてナイフに巻き込まれない位置にまで避難したら時間停止を解除。
「ちょまっ――」
蹴り飛ばされた龍はナイフと衝突事故を起し、体に大量のナイフが突き刺さって蜂の巣のようになった。
そこで更に時を止めてナイフを投げ、空中に留まったナイフを叩くことで加速させる。
その状態で時間停止を解除することによって蹴り飛ばされた龍を追い抜くほどの速度で飛んでいったナイフは龍の背中に見事直撃。
龍は正面からと背後からと大量のナイフに突き刺された状態でしばらく飛んでいき、ステンドグラスに直撃するかと思ったその寸前のところで自分の眼の前にドラゴン頭を出現させると、そのドラゴン頭が空中を
するとどういうことだろうか。
龍の体はまるで見えない壁に激突したかのように急激に勢いを失ってそのまま床に着地してみせた。
不可解な光景だ。ドラゴン頭に激突して止まったわけじゃない。その前になにかにぶつかったみたいに止まったのだ。
あれはどういうことだと思考を巡らせるが、今まで見せてきた龍の力との共通点が見当たらず、混乱していると、鬱陶しい龍の声が響いてきた。
「ったく、いい加減にしろよ! さっきから馬鹿の一つ覚えみたいに僕のことをボール球のようにぶっ飛ばしてくれているけどさぁ、こんなんじゃ僕にはちっともダメージが入らないっていうことをいい加減学習したらどうなの? そろそろ僕も君のワンパターンな攻撃には飽きてきたんだけど! 僕の攻撃を回避するのは確かにすごいのかもしれない。だけど、その程度の乏しい攻撃パターンしかなければその身体能力も宝の持ち腐れだよねぇ!」
「そう、なら、ちょっと違うことを試させてもらうわ」
「へぁ? だぁああああ――」
ちょっと気になっていたことがあったため、それを試してみることにした。
さっき周囲を見回した時、ここは島の端の方だということには気がついていた。だからここから少し歩いたら島の外周にたどり着くことができる。
そこで試してみたいと思ったこととは、この島から落ちたら一体どうなるのかということ。
さっきから私が試していることとは全て即死には至らず、死ぬこと以外はなんとかなるようなとんでも回復能力があれば助かりそうなことばかり。
だけど、この高さから落ちたら流石に即死は免れない。
基本的に島を覆っているような結界というのは外に出るのは自由だけど、内側に入るのは許可がなければ入れないというものが多い。だからこのバリアも内側からは普通に突き抜けて落ちると思ったのだ。
だから時を止めて龍を何度か蹴り飛ばし、加速させてから時間停止を解除。
勢いがついた状態で教会の壁を貫通してそのまま放物線を描き、島の外へと飛んでいく龍。
このまま落ちていってくれと願うばかりだけど、そんな私の願いとは裏腹に龍がそのまま落ちていくようなことはなかった。
「びっくりしたよ。とんでもないパワーだね。どんなトリックがあるのかな。君のその体にこんな力があるようにはみえないんだけどね」
「はは、なんであなたは空中に立っているのよ」
「僕は神の寵愛を受けた存在だからね。これくらいは朝飯前だよ」
ここは幻想郷だ。
空を飛べる人は何人も見たことがある。だけど、龍のそれは空を飛ぶとかそういう話ではない。
空中に立っていた。何もない場所に足をおいてしっかりとその場で立っていた。
「これで万策尽きたの? 呆気ないよねぇ。でもこれでわかったでしょ? 君ではどうしようもないことだって世の中にはたくさんある。君は今までその能力で何でも解決してきたのかもしれないけど、僕をどうこうするっていうことは不可能みたいだね。まぁ、相手が悪かったと思って諦めたら?」
ゆっくりとまるで階段を登るかのように徐々に上がってきて島に上陸してくる。
やっぱりと言うか、その肉体には全く傷はなく、何事もなかったかのようだ。その光景に流石に嫌気が差してくる。
先が見えない、終りが見えない悪夢を見ているかのよう。
本当にどうすれば龍にダメージが入るのかがわからない。その糸口も何も掴めない。
わかっていることといえば全てのダメージを一瞬で治癒し、ドラゴンの頭を出して見えない壁を作り出すこともできる。
なにか綻びはないかとずっと観察しているけど、特に付け入る隙というのは見当たらない。いや、正確に言うと隙だらけではある。
龍の構えは初心者のようで、隙だらけ。能力があれほどのものではなければもうとっくに倒せているであろう人物だ。多分、私達に出会ったばかりの頃の黒葉でも余裕で勝てるのではないだろうか。
「くっ」
体が痛む。
落下した衝撃のダメージが抜けきる前にこれほど激しく動いているせいか、どんどんと体の痛みが大きくなっていく。
今も痛くていたくて仕方がないけど無理をして動いている。そのせいだろうか、思考が上手く回らない。
「辛そうだね。そんなに辛いなら諦めたら? 楽になれるよ。だいたい、僕に挑むというのが無謀だったんだよ。そんな体調でよく頑張ったねとその努力だけは褒めてあげるけど、身の程をわきまえたほうが身のためだよっていうことだけは伝えておくよ。僕は優しいからね。でも、君はこんなにも僕のことを殴ってくれた。僕をボール球のように何度も何度も。僕はボール球じゃないんだけどなぁ。まぁ、いいよ。冥土の土産に僕の力の正体、教えてあげるよ。君も僕の謎を解き明かさないまま死んでしまったらモヤモヤが残って悔しくて悔しくて仕方がないだろうから特別だよ」
恨みつらみを吐きつつ、勝ち誇ったような笑みを浮かべながらゆっくりと近づいてくる龍。
その顔をぶん殴ってやりたいものだけど、自分から能力の正体について話してくれるというのならとりあえずそれの真偽がどうあれ大人しく聞いてみることにした。
「君が一番知りたいのは僕のこの回復能力とドラゴン頭のことだろう?」
「そう、ですね」
「うんうん、素直でよろしい。なら、教えてあげるよ。僕のこの力は『龍の加護』と呼ばれるものだ。ドラゴンの頭を出して攻撃したり、ドラゴン特有の治癒能力の高さを得ることができるという完璧な加護だ」
はい!第218話終了
2話連続で似たような始まり(龍のキレ芸)から始まりましたね。
この戦いで龍は弱いように見える描写が多いかと思います。まぁ、何度も蹴っ飛ばされたりとかしていますし。
ただ、これは咲夜だからこそできることなんですよね。
咲夜だから先読みの攻撃に対処できるし、咲夜だからこそ相手が未来を見たところで対処できないような攻撃ができるというのがあります。
まぁ、咲夜の攻撃に反応できていないのは龍の戦闘能力自体は素人同然だからというのが大きいですが。
能力自体は今作最強クラスのもので、普通に鍛えれば今の咲夜では手も足も出なくなります。
なので、ちょうど咲夜は相性が良かったんですね。
龍を咲夜同様にボコボコにするためにはどこから出てくるかわからないドラゴン頭に瞬時に完璧に対処した上に龍が反応できないくらいのスピードで攻撃するしか無いので、かなり大変です。
龍の反射速度は素人同然ですが、未来が見えるので事前にどう攻撃してくるか知っていますから別に反射じゃなくて未来を見たとおりに回避するだけでいいんですよね。
さて、能力がわかったところで龍に勝つことはできるのでしょうか?
それでは!
さようなら