それでは前回のあらすじ
寺子屋で考え事をしてるとルーミアが心配をして声をかけてきた。
だが、黒葉はフランのことはあんまり他人に相談することではないと考えて、気持ちだけ貰っておくと相談はしなかった。
帰ってくると咲夜と稽古をする。
黒葉はミスディレクションを使って咲夜に攻撃を仕掛けるも、やはり咲夜に一撃も与えることが出来ずに敗北した。
それではどうぞ!
side黒葉
フランドールの部屋へとたどり着いたものの、俺は少し困ってしまう。
昨日とは違ってフランドールの部屋に来る理由というものが存在しない。なのに急に来てフランドールは部屋から出てきてくれるのだろうか……。
そういえば今日、ミスティアがみんなにプリンを作ってきてくれたんだよな。
なんか、俺のお見舞いにいつも通りに咲夜が俺が休むという連絡をしに来た時に咲夜に渡す気だったのだとか。
まぁ、これは俺にくれたものだが、俺が貰ったものだったら俺がどうしようと勝手だよな。
そう考えて俺はフランドールの部屋をコンコンとノックする。
「だれ……?」
扉の中から声が聞こえてきた。
扉を開けてはくれなかったが、一応俺のノックに反応してくれただけでも一安心だ。
「昨日、会っただろ? 冬夏黒葉だ。なんだろ、プリンがあるんだが……食べるか?」
「……食べる」
そこでようやくフランは扉を開けてくれた。
少しは俺に心を許してくれたのだろうか。
そう考えてほっとする。
「はいよ、食ったら味の感想を伝えてくれ。それは貰いもんだからな、そいつに礼を言っておく」
「なんで私に?」
「なんでって……」
確かにそうだ。
昨日のは咲夜に食事を運んでと頼まれたからって言う理由があったが、今回のはただ単にレミリアに頼まれたからフランドールに会いに来ただけだ。
フランドールにとっては俺は昨日少し話しただけで、俺が来た理由に全く心当たりがない。つまり、俺は怪しい人物ということになる。
参ったな……。
「……入って」
「え?」
「少し、話し相手が欲しかったから」
「そうか……」
まぁ、それは好都合だ。
フランドールが俺を部屋に誘導してくる。その誘導に従って俺はフランドールの部屋に入った。
部屋の中は沢山の人形や、ピンクの家具などが置いており、女の子らしい部屋だなと漠然とそう考える。
「適当なところに座って」
「はいよ……それと、これ」
床に座ると俺はプリンを取り出してフランドールに手渡す。
するとそのプリンを見てフランドールは目をキラキラと輝かせた。
こいつ、こんな表情もするんだな。というか、プリンがそんなに好きだったのか。ミスティアには感謝しないとな。
さっきまでぶっきらぼうな表情をしていたのだが、今は目をキラキラと輝かせて喜んでいるため、そのギャップで可愛いなとそう思う。
「あ、ありがとう!」
「プリン、好きなのか?」
「うん!」
最高の笑みを浮かべてプリンを受け取るフランドール。
さっきまでの雰囲気はどこへやら。もうすでに今のフランドールは見た目の幼い少女、そのままだった。
だが、レミリアの妹ということは何百年も生きているんだろうな。
「ねぇ、黒葉……どうしてここに来たの?」
「ん? まぁ――」
「……お姉様にでも頼まれた?」
「……バレてたか」
どうやらこのお嬢様には何もかもお見通しだったようだ。だが、確かにフランドールはレミリアの妹なんだからレミリアの考えることは経験で分かるのかもしれないな。
ここまでバレているんなら隠す必要は無いんだろう。
「そうだ。俺はレミリアにお願いされて来たんだ。フランドールの遊び相手になってくれってな。君の事情は聞いたよ。色々あったみたいだな。レミリアも心配していたぞ」
「うん、お姉様が心配してくれているって言うのは知ってる。だけど、無理なの……怖くて怖くて……」
「……ありとあらゆるもの破壊する程度の能力……か。かなり驚異的だな」
「……うん。その能力があるから私は人を傷つけてしまう……それが怖いの」
確かにな。俺だって自分のせいで自分の大切な人が傷つくと考えたら怖い。
もし姉ちゃんを俺自身が殺してしまったんだとしたら……怖くて怖くて仕方がない。
「まぁ、その気持ちは分からなくもない。俺だって親しい人を自分の手で殺めたりとかしたら嫌だからな」
「私の能力はそれだけの力がある……だから怖いの」
「じゃあ、俺はいいのか?」
「え?」
「今、お前は俺をこの部屋へ招き入れている訳だが、俺の事を破壊してしまうとかは考えていなかったのか?」
俺がそう指摘するとフランドールはほうけたような表情になり、次第に驚きの表情に変わっていく。
大方、プリンに目が眩んでその事が一切頭の中になかったというところだろう。
プリンに目が眩むって可愛いなこいつ。
「ご、ごめんなさい」
「ん? なんで謝るんだよ」
「だ、だって……あなたを危険な状況に置いてしまったわけだし」
「俺か? 俺は何も問題はねぇよ」
「どうして?」
「俺は死ぬことは怖くねぇんだ。俺は命を捨てる覚悟でこの場所に立っている。俺だったらいくら傷つけてくれても問題ない」
そこまで言うと俺は立ち上がった。
プリンを持ってこっちを見て惚けているフランドールの姿をちらっと見てから俺は部屋の扉を開けた。
「また明日来る。感想、頼むな」
確か明日は寺子屋は休みだったはずだ。
ならば明日、感想を聞きに来ても次に寺子屋に行く時にはミスティアに礼を言うことは出来るだろう。
そして俺はその一言だけを言うとフランドールの部屋を後にした。
想像と違って可愛いやつだったな、とそんなことを考えながら。
はい!第22話終了
ここから予定では数話かけてフランを攻略して行きます。
まぁ、これを書いている段階ではまだ次の話は出来上がっていないのでどうなっているかは分かりませんが。
黒葉もあまり踏み込まず、だけど突き放さない程度にいい距離感でフランと接しています。
次回はどうなるのでしょうか。
それでは!
さようなら