今日は第222話ということでゾロ目ですね。
だからといって何かあるというわけではないですが。
ついに前回始まったルーミアVS龍。
一章の頃は玲音から逃げ惑うことしかできなかったルーミアですが、フランと共に二章で玲音を撃破できるレベルまで強くなりました。
今のルーミアはどれほど龍と戦うことができるでしょうか?
それでは前回のあらすじ
歩けど歩けど咲夜が見つからないということに不安を抱きつつも歩き続けるルーミアと天音。
そんな時、突如として二人の鼻腔に届いた血の臭い。
この臭いの正体は咲夜の血だったのだ。
今まさにトドメを差されようとしていたところで間一髪、ルーミアが攻撃を妨害することに成功した。
ついにルーミアと龍の戦いが始まる。
それではどうぞ!
side三人称
ルーミアがドラゴン頭の頭突きによってぶっ飛ばされ、それを見た龍はニヤニヤ顔で勝ち誇る。
咲夜であれば確実に躱していたであろう攻撃なのだが、それがルーミアに直撃したことでルーミアが咲夜より弱いと断定、咲夜の時以上に余裕をこいた。
「あ〜、悪く思わないでくれよ。君もさっき僕の攻撃を妨害したんだ、だから僕も君の攻撃を妨害したまでのことさ。別にその技を使わせてあげても良かったんだけどね、さっき妨害されたからこれでお相子ってことで。やっぱり人にやるっていうことはやり返されるということも覚悟して行うべきだよね。だから僕が責められる謂れはないし、こうなってしまう可能性を考えないほうが悪いのさ。だから恨むんなら僕じゃなく、浅はかな君の行動――」
「《インパクト・キック》」
「ぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!」
気持ちよく喋っている最中に龍は蹴り飛ばされ、情けない声を上げながらぶっ飛ばされていった。
そう、ぶっ飛ばされていったはずのルーミア。そのルーミアがなんと龍のことを蹴り飛ばしていたのだ。
ぶっ飛ばされている最中、ルーミアは空中で体制を立て直し、片腕を軸にしてUターン。そのまま加速して油断して喋りまくっている龍の脇腹に蹴りを入れた。
ちょっと前までのルーミアだったら間違いなく為す術なくぶっ飛ばされるのみだっただろう。しかし、この数ヶ月の間に黒葉や紅魔館のみんな、鍛冶師の人里での出来事を経て確実にレベルアップしている。
黒葉の《インパクト》を見様見真似で特訓していた。だが、今までルーミアがメインアタッカーを務めたことがなかったため、使う機会などなかったのだが、ここに来てついにその努力が役に立った!
少しぶっ飛ばされた龍は空中で体制を立て直してかっこよく着地しようとしたが、バランスを崩してしまい、顔面から地面に倒れ込む。何事もなかったかのように立ち上がってルーミアを睨みつけた。
「君さぁ、ちょっと常識というものがないんじゃない? 人が喋っている時に攻撃するのはマナー違反でしょ! そりゃ、人が喋っているときに攻撃してはいけませんとかいう法律はないけどさ、そんな法律はなくても分かるよね? 生物として最低限のモラルだよ。人が喋っている時はそれ相応の態度っていうものが必要なんじゃないかと思うんだ、それが最低限の敬意というものだ。君は今、僕が喋っているときに攻撃してきた。それは僕に対して著しく敬意を欠いた行為と言わざるを得ない。僕という存在を軽んじている、軽視しているということだろう? 本当にどうかしているよ。どんな相手であろうとも最低限の敬意というものは必要だ。それが相手とのコミュニケーションを円滑にすることにつながるからだよ。でも、君のその行動は横暴だとは思わないかい? 人の行動を邪魔したり、喋っているところを攻撃したり、随分と傲慢な行動だな。そんなことをしてばかりだと相手の機嫌を損ねたり、恨まれたりするよ?」
「余計なお世話だよ! 夜符《ミッドナイトバード》」
龍の言葉には心がこもっていない空っぽなものだ。そんなものに耳を傾けたって何もいいことがないということはルーミアもすぐ気がついていた。
だから適当に返事を返し、大量の弾幕を龍に対して放つ。
龍の身体能力ではこれを回避する術など存在せず、本来だったらそのまま直撃するはずだったのだが、その弾幕はすべて龍の体に直撃する前に見えないなにかに直撃し、消滅してしまった。
そんな弾幕と龍の間にはドラゴン頭が出てきている。状況から考えてこの見えない壁にはドラゴン頭が関わっていると考えるのが一番自然。
しかし、能力の関連性が見当たらず、どんな力なのかが全く理解できない。
「はぁ、全くせっかちだねぇ。そんなに早く死にたいのかな!」
「くぅっ!」
ルーミアの背後から迫るドラゴン頭。
樹海を発動していたことによって何とか反応することができ、回避行動を取ることはできたが、その反応速度がどうしても遅く、少しドラゴン頭の牙が腕をかすってしまい、血が流れ出てしまう。
ちょっとかすっただけでも腕がしびれ、鋭い痛みが襲いかかってきたことで腕を押さえて悶えてしまうが、それでも立ち向かうことは止めない。
「はぁ……はぁ……霊力を感じない。どうして」
ルーミアの回避が間に合っていない理由、それはもちろん反応速度の問題だ。
咲夜の場合、樹海の熟練度が高く反応速度も早いが、ルーミアの場合はそうではない。攻撃時の霊力の流れも感じない他、前触れもなく突然出現する攻撃、それに対抗するために樹海を使っているが、それだと反応速度が足りないというジレンマだ。
攻撃も簡単に当てられたものじゃない。
ルーミアも弾幕を操っていろいろな方向から弾幕を放っているが、そのどれもが途中で見えない壁に直撃して霧散してしまう。
当たらない、当たらない。
「なら」
さっきは当たった肉弾戦ならばもう一度攻撃を当てることができるかもしれないと考えたルーミアは地面を思い切り蹴り飛ばして龍に急接近する。
だが、ルーミアの考えは外れていた。
さっき蹴りが龍に当たったのはたまたま。龍が話すことに夢中になっていて注意を疎かにしていたのと、それに合わせてルーミアが攻撃することができたという2つの状況が重なったことで何とか蹴り飛ばすことに成功したのだ。
だからこんな風に突撃したところで――
「うん、いろいろな方法を試すっていうのはセオリーだよね。でも、それは悪手だよ」
「ぐあっ」
あともう少しでルーミアの拳が届くところまで近づける、そんなところでルーミアの下からドラゴン頭が飛び出してきてルーミアの腹を突き上げる。
ルーミアの軽い肉体はいとも簡単に宙へ打ち上げられ、そのまま地面に落下して地面の上で腹を押さえて悶絶する。。
眼の前がチラチラとし、あまりの衝撃に意識を飛ばしそうになる。今、ルーミアの肉体が弾け飛ばなかったのは龍が手加減をしたからだ。
建物を簡単に破壊できるほどの威力を持った攻撃なのだから、ルーミアの体くらい簡単に破壊できたとて何も不思議ではない。
「僕は今、すっごく胸が痛いよ。僕が僕自身の手で女の子を二人も手にかけなければいけないんだからね。まったく、神様もとても酷なことをさせてくれるよね。でも、せめて女の子なのだから死する最期の時までなるべく綺麗な体のままでいたいでしょ? 僕は敵である君たちのことも思いやれる紳士なんだ」
聞き心地の良さそうな言葉ばかり並べてはいるが、これはつまりお前ごときこの程度の力で充分倒せるという挑発の意味である。
ルーミアもこの言葉の意味がわからないほど馬鹿ではないため、悔しさのあまり地面を叩いた。
立ち上がり、再び龍のことを見据える。
明らかに隙だらけ。でも、龍まで攻撃を届かせることが至難の業。
ただ闇雲に弾幕を放つだけでは龍には届かない。でも、ルーミアもひとつ考えたことがある。
「《
瞬間、ルーミアの綺麗な金髪が漆黒に染まる。
真っ赤な瞳も闇に染まり、ぼおっとした目で龍のことをじっと見据える。
これがルーミアの樹海技、全てを飲み込む闇の真骨頂。
ルーミアの闇は悪食である。どんな能力も飲み込み、闇に飲まれた物質はどんな能力的干渉も受け付けなくなる。
「イメチェンか? うんうん、黒髪も似合っているね。でも、急にどうしたんだ? 僕としては色んな君を見ることが出来るのは嬉しいんだけどね、そんなに殺気立っていては台無しだよ」
「うるさい!」
ルーミアはかなりイライラしていた。
咲夜がボロボロにされたことと、龍のヘラヘラとした態度と、己の弱さにイライラしていた。
自分がもっと強ければもっと違った未来があったかもしれない。でも、これが現実だから。
だから、今自分の持てる全てを出してぶつかってみようと、この後動けなくなってしまう可能性も考えずに今この瞬間に全てを出し切る。
ルーミアから漆黒の闇が放たれる。
昔からよく使っていた自分の周囲に闇を展開して相手から自分の姿を隠す、いわば目隠しのようなもの。
昔はただの目隠しだったが、今は違う。樹海を込めることでルーミアの目隠しは目隠し以上の効果を持つようになった。
「その程度の目隠しで僕の目を妨げることが――」
龍が未来を見ようとする。だが、それは失敗した。
また未来を見ようと試みる。だが、失敗した。
未来を見る、失敗した。未来を見る、失敗した。未来を見る、失敗した。
何度能力の行使を試みても結果は変わらない。龍はこの闇の中に入ったことで能力の行使ができなくなったのだ。
ルーミアの闇は能力の行使を妨害することが出来る。ただし、自身への行使には効果が無く、妨害することが出来ないという制約がある。
だが、未来を見るという効果は周囲への能力の行使という判定となるため、闇の中の未来はまるでその部分だけ切り抜かれたかのように見えないのだ。
つまり、闇の中にいる自分の未来すらも見ることが出来ない。
「な、何が起こって。や、やめろ、こっちに来るな!」
龍は何も理解出来ず、パニックに陥るが、その隙を突いてルーミアは龍に急接近する。
ルーミアだけはこの闇に視界を犯されることなくクリアに状況を把握することが可能。
つまり、この攻撃を龍が防ぐことなんて不可能、なのだが。
「ぐえっ」
あともう少しというところでルーミアは突然見えない壁にぶつかってしまい、龍を拳の間合いに入れることは失敗してしまった。
その様子を感じ取った龍は笑い声をあげる。
「くく、くくく、はーっはっはっは! 笑いをこらえるのは必死だったぞ。お前のその能力、俺の能力をかき消したみたいだが、加護はどうなんだ?」
「か、加護?」
「そう、加護だ。加護は能力と違って万能では無い。能力のような異質な存在では無い。しかし、加護は時に能力よりも上位に立つ。お前の能力では俺の加護までは消すことが出来なかったみたいだな」
「あがっ」
今度はルーミアが蹴り飛ばされる番だった。
龍の不格好で内股気味の足がルーミアに叩きつけられる。それはまるで鉛が勢いつけて叩きつけられたかのような衝撃で、ルーミアの軽い体などいとも容易く吹っ飛ばされる。
あんなに不格好な蹴りでどうやってこれほどの威力を出したのだろうか。
ルーミアは地面に転がり、口から血を流しながら恨めしそうに龍を睨みつける。
ルーミアの《
だが、龍のこの壁であったり、ドラゴン頭に関しては加護の効果のため、その干渉を妨害することができないのだ。
まさにルーミアの能力の天敵といえる。
圧倒的絶望。最初からわかっていたことではあるが、ルーミアでは龍に勝つことはできない。でも、それでもルーミアには休むことなど許されない。
眼の前に龍が居て、咲夜が動けなくて、自分が負けたらその時は全滅してしまうというこの状況。負けられないという意地がルーミアの足を動かし、立ち上がらせる。
「本当にさぁ、往生際が悪いよ? 運命を受けれたほうがすぐに楽になれるんだから抵抗なんてしなければいいのにさぁ。抵抗したほうが辛い時間が長く続くだけだよ」
「楽にはなれるかもしれない。でも、諦めた未来のほうが辛いから」
だから戦うんだ。
どれだけ不格好でもいい、どれだけ無様でもいい。痛くても、苦しくても、最後に笑顔で居られるために。
ルーミアは走る。
体は限界を迎えつつある。正直、今立っていられるのだって意地だ。少しでも気を抜いたら足が動かなくなってしまいそうなほど。
走る走る走る。
次々と襲いかかってくるドラゴン頭をかろうじて回避しながら走る。
「本当に君たちのことはよくわからないよ。どうしてそこまで頑張るかなぁ」
「お前に分かるはずがない!」
人を見下し、経緯を持っているというが一番敬意を欠いているお前が自分たちの気持ちを理解できてたまるものかと。
「《インパクト》」
憤りを全て込めて拳を叩きつける。
――が、これまた見えない壁によって阻まれ、龍に届くことはなく途中で止まってしまった。
周囲が全く見えていないというのに完璧にルーミアの攻撃を受け止めているのは恐らく龍が全方位に壁を出しているせいだろう。
力の無駄遣い。これだけ使っていればガス欠を起こしてしまってもおかしくは無いのだが、そんな気配は微塵もない。
「"消えろ"……あれ?」
あまりにも化け物染みた力に笑うしかない。
何とか押し切ろうにもビクともしないし、これを破壊して攻撃を当てるなんてことできるようにも思えない。
ルーミアはこれだけ強く攻撃を当ててみて気がついた。
「"き、え、ろ"」
「これは壁じゃない。でも、先に進めない」
硬い壁にぶつかった感じではない。
上手くは表現出来ないが、世界の隔たりにぶつかっているようなそんな感覚。
つまり、この壁はその部分だけ空間が削り取られていることによって進むことが出来なくなっているということだ。
「むぅ……はっ!」
「まぁ、それがわかったところで……」
対処の方法も、どういうからくりなのかも全く分からない。
どうしたらいいものかとルーミアが絶望していた時、突如として声が響いた。
「ルーミア、能力を解除して!」
「え?」
突如として聞こえてきた声に驚き、思わず慌てて能力を解除したことで視界が開かれた。
私の目の前にはドラゴン頭が存在し、その正面で私の拳が止まってしまっていた。どうやらこのドラゴンが空間を削り取っているらしい。
そこで私はハッと気がついた。
私はこのドラゴン頭の攻撃をどうにかするために奴の視界を奪ったというのに、これを解除してしまっては本末転倒だ。
慌てて再度能力を発動しようとしたその時——
「"消えろ"!!」
叫びにも似た声が背後から響いた。
次の瞬間、正面に見えていたドラゴン頭は一瞬で消滅し、直前まで通ることができなかった見えない壁をルーミアの拳が通り抜け、力を込めていたということもあってバランスを崩し、前に倒れかかる。
そのままの勢いで龍の顔面へ拳を叩き込んで殴り倒した。ルーミアも同様に倒れ、地面に両手をつく。
「ぐえ」
歯が折れ、顔が陥没しかかった状態で地面に倒れ込む龍。
周囲を完全に防御していた龍はまさかこの見えない壁を破られるとは思っておらず、油断していたことによって防御が間に合わなかったのだ。
ようやく当たった一撃、その突然のことに驚いたルーミアは目を見開いて自分の手のひらを見つめる。
ルーミアはまともに戦えるのが自分しかいないという事実から自分一人で戦わなければいけないと勘違いしていた。
でも、ルーミアは一人じゃない。一人で勝手に突っ走っていただけだ。
ルーミアには仲間がいる。どんな状況でも冷静に状況を理解することができる頼もしい仲間。
「あ、天音!」
ルーミアの背後には遅れて走ってきた天音が立っていた。
はい!第222話終了
ルーミアVS龍。
この戦いを見ていると咲夜が龍にあれだけ攻撃を当てることができていたのがどれだけすごいことかわかっていただけたことでしょう。
ルーミアの《W.O.N》の効果は能力による影響を阻害するというもの。しかし、加護には効果がないんですね。
なので、龍は力を行使することができていました。
最後の方にはルーミアの能力の影響で天音は何回もドラゴンを消そうとしていましたが、効果を阻害されて困惑していましたね。
なので、それに気がついた天音は叫んでルーミアに能力を解除させたというわけです。
ルーミアの能力は相手の能力を打ち消すだけではなく、味方の能力すらも阻害してしまうので、能力主体の戦い方の人と組んで戦うには相性が悪いのです。
さて、ここからどうなっていくのでしょうか?
それでは!
さようなら