東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 フランにミスティアから貰ったプリンを渡して仲良くなろうと考える黒葉はプリンを持っていくと、なんとフランに部屋へ通された。

 果たしてこれをきっかけに黒葉はフランと仲良くなることが出来るのか?



 それではどうぞ!


第23話 強靭な肉体、焦げる壁

side黒葉

 

 次の日、今日は寺子屋が休みなので、朝食後に俺はフランドールの部屋へとやってきた。

 結構続けてこの場所へとやってきているので、流石にこの地下道の雰囲気にも慣れてきた。なので、臆することなくどんどんと進んでいく。

 

 そして扉の前に着くと俺はいつものようにドアをノックする。だが、返事がない。

 いつもだったら中から返事があるか、扉が開いてフランドールが出てきてくれるのだが、何も返事がない。

 

 そういえばこの扉には鍵がかかっていなかったな。そう考えて少し返事がないことで心配になった俺は勝手に扉を開けて中を確認してみることにした。

 

 まぁ、フランドールは吸血鬼だし、可能性は低いとはいえ、万が一ということがある。

 フランドールはほとんど人の目につかない場所にいるから一人で苦しんでいたとしても誰も気がつくことが出来ない。

 今、何かあったとしたら何か出来るのは俺だけだ。

 

 俺は緊張しながらフランドールの部屋へと入っていく。

 

「……あ、そういうこと」

 

 部屋に入って見てみて、俺はホッと一安心した。

 なぜならフランドールはベッドの中で気持ちよさそうに寝ていたからだ。

 

 そういえば俺が夜寝て昼間起きているだけで、フランドールたち吸血鬼達は夜型で昼間寝ているんだったな。

 自分が昼間起きているせいでそのことを忘れてしまっていた。

 

「しっかし、随分といい顔で寝ているな……」

 

 レミリアが可愛がるのが分かるくらいにフランドールの寝顔はとても可愛いものだ。修行や寺子屋、仕事の疲れなど一瞬で吹き飛んでいく。

 

 しかし、フランドールが寝ているのならば出直すか。そう考えて踵を返して帰ろうとすると、後ろから引っ張られる感覚が走った。

 見てみると、そこにはフランドールが立っていた。

 

「起きたのか?」

 

 しかし、そんな俺の問いかけに答えないフランドール。

 するとそのままベッドの方へと引っ張っていかれてしまう。

 俺が力が無いだけなのかもしれないけど、こいつの握力やべぇ。振りほどくことが全くできない。

 

 すると俺はフランドールによってベッドの上へと放り投げられ、そこにフランドールが入ってくると俺の事を抱きしめてきた。

 

「な、なんだよ」

 

 すごい力で抱きしめられていて、俺の力じゃ抜け出せない。

 

「どうしたんだよ」

「おねぇさまぁ……すきぃ……」

「……はぁ……」

 

 そんなフランドールの言葉にため息をついてしまった。

 少しびっくりしたが、どうやら今のフランドールは寝ぼけているだけのようだ。

 しかし、レミリアの事を好き……か。あのシスコンっ気のあるレミリアが聞いたら発狂しそうな台詞だな。

 

「今の俺はさしずめレミリア代わり兼抱き枕ってことだな」

 

 仕方がない。もう身動きを取ることが出来ないことだし、大人しくフランドールの抱き枕を全うしておくことにするか……。

 だが、このベッドの材質が物凄くいいせいなのか、このベッドに寝転んでいると段々と俺も眠くなってくる。

 まぁ、暫く離してはくれなさそうだし、俺も眠ってもいいか……。

 


 

sideフラン

 

「ふわぁぁぁ……」

 

 私は目を覚ました。

 今は夕方位の時間だろう、この部屋からは外の様子を確認することが出来ないし、時計はこの間壊しちゃったし、時間を確認する方法がないから分からないんだけど……。

 

 そこで私は腕の中にある物体に感じた。

 

「こんなに大きい抱き枕なんて持ってたっけ」

 

 だけどなんか抱き心地が良くてずっと抱きしめていたくなってくる。

 これはなんだろう……そう思って腕の中にあるモノを目視で確認してみた。

 すると私は驚愕のあまりぶん投げてしまって壁に叩きつけてしまった。

 

「がはっ」

 

 そこで私は我に返った。

 壁にもたれかかって白目を剥いて泡を吹いている冬夏黒葉を見て顔が青ざめていくのを感じる。

 

 そう、腕の中にあった抱き枕は黒葉だった。

 どうして私は黒葉を抱きしめていたのかは分からないけど、驚いてしまって投げたことによって黒葉を傷つけてしまったことは確か。

 どうしよう……今の一撃で黒葉を壊してしまったりとかしたら……私は……。

 

「いってぇ……」

 

 そんなことを考えていると直ぐに黒葉は目を覚まして立ち上がった。

 私の部屋の壁はかなり頑丈にできている。その壁が凹むほどの衝撃を受けたはずなのに何事も無かったかのように平然と立っている。

 

「何となくこうなる気はしてたんだけど、寝てたせいで受け身が取れなかった」

「こ、黒葉……なんで生きて」

「なんでって……なんでだろう……うわ! やべぇな……こんな衝撃受けたのに俺は無傷なのか?」

 

 気付いていなかったんだ……。

 それにしても吸血鬼だとしてもこの衝撃で無傷ってのは無理なはず。絶対にどこかしらの骨が粉々になるような衝撃だったはずだ。

 私が受けたとしても腕を一本犠牲にしないとダメな位の衝撃なのに……。

 

 そう思って壁の方を見てみると、少し焦げているような気がした。というか、少し焦げた匂いがする。

 これが黒葉の能力? だけど、焦げと体の強さはなにか関係があるのかな?

 

「黒葉」

「なんだ?」

「黒葉には何か能力があるの?」

「ん〜……特にないと思うよ」

「え?」

 

 私はこの時確信した。

 黒葉は無意識で知らず知らずのうちに能力を発動している。




 はい!第23話終了

 おい黒葉、そこちょっと変われ。

 そしてようやくフランが黒葉の能力について触れましたね。

 レミリアも気がついているものの、今は何も言ってきていません。というか、レミリアは目の前で燃える刀を見ているんだから気がついていないとおかしい。

 黒葉の能力が明かされる時も近いです。

 それでは!

 さようなら

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