【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 咲夜とルーミアは聞き込みをする。

 だが、街の人々はまるで指示されたこと以外は出来ないロボットのように二人の聞き込みに応じることは無かった。

 二人は絶望する。

 そんな二人の前についに文が現れるが、文は二人以上の絶望の表情を浮かべていた。

 そんな文の口から経緯が語られる。



 それではどうぞ!


第230話 射命丸文の奮闘記

side文

 

「文さん、スカイってそんなにすごい場所なんですかね? もちろん私も話くらいは聞いたことありますよ? 都市なんだとか、見たことも無いものが沢山なんだとか。でも確かな情報は何もないじゃないですか。文さんに誘われると思っていたので、私個人でも軽く調べてみましたが、情報はどれもこれも噂の域を出ないようなものばかりだったのですが」

「ふっふっふ……分かってないですね、椛は。その不確かな情報を確かにするために私たちが居るんじゃないですか。得体の知れないものを解き明かす、その時が一番興奮するんですよ!」

「あ〜、また文さんの悪い所が出てる……」

 

 私、射命丸文と助手の犬走(いぬばしり)椛は今、天空都市『スカイ』へ向かう飛行船に乗っています。

 目的はもちろん、取材! 私は一端のジャーナリストとしてあんな特大のスクープは逃すことが出来ません。

 

 本当はこんな正面からではなく、素の街を撮りたかったので、こっそり侵入してスクープを撮ろうと思っていたのですが、島の周りにはバリアがあるわ、近づいたら迎撃されるわ、そのせいで近づくこともままならないわで不可能でした。

 私のスピードがあったからバリアまでたどり着けましたが、そうじゃなかったらまず間違いなく接近は不可能ですね。

 まぁ、近づいたところで、バリアに弾かれて落ちましたが。

 そんな訳で諦めて大人しく飛行船に乗っているところです。

 

 飛行船は満員。

 出回っている情報の少なさとは裏腹に意外と人気なようです。

 これはちょっと怪しいですね、これだけ観光客が居れば、写真が多く出回っていてもいいものだけれど、そんなものは一切出てこなかった。

 きな臭くなってきました、特大スクープの予感です。

 

 最近は新聞離れで購読者も減ってきていたところですし、ここで一発、読者を全員引き戻してやりましょう!

 ぐへっ、ぐへへっ。

 

 そんな企みをしながら私たちはスカイへと向かう。

 まさか、あんなことがスカイで起こるなんてこと、今の私たちは知る由もなく、呑気にそんなことを考えていた。

 気がつくべきだったんだ。真実に辿り着かなくても怪しむべきだった。そうすれば椛はあんなことにならずには済んだのに……。

 

 スカイに着いてすぐ、私たちは検問所に通された。

 どうやらこの検問所の場所のみスカイの周囲を覆うバリアがなく、出入りできるようになっているらしい。だから私たち飛行船で来た人たちは全員検問所を通らされて島に入ることになる。

 両サイドにはカウンターがあり、そこには一人ずつ人員が配置されていた。その手には何かの機械のようなものを持っていて、こっちに向けてきている。

 あんな機械、にとりの工房でも見たことがないもので、どんな効果のある機械なのか得体がしれなく、しかも何やら魔力を帯びて居る様子だったため、今まで色々な死地をくぐり抜けてきた私は危機管理能力が働いて、無意識のうちに検問担当者が向けてくる機械の射線を回避しながら通り抜けた。

 スクープを撮っては色々な人に死ぬほど大量の弾幕を撃たれ続けてきた私にとってはたった二人の射線を回避することなんて造作もなかった。

 

 その動きが板についていて、自然な動きだったからか私に機械が向けられていないことに気がつかなったようで、私はそのまま見逃されて入島することに成功した。

 

 島の景色は今まで見たことがないもので、とても興奮した。

 見たことがないほどに高い建物、にとりの工房ですら見たことがない未知の機械のオンパレード。こんなもの、新聞に載せたら大好評間違いなし、文々。新聞の評判もうなぎ登りになるというもの。

 この時は大興奮していた。

 写真は何十枚撮ったかわからないくらいに撮った。食事は椛にも勧められ、検問所の機械とは違って魔力や霊力の類はこもっていなかったため、色々食べて見た。

 初めて食べるものばかりだったけど、すごく美味しくて充実した取材だった。

 

「それにしても、私って必要だったんですか? 最近は文さん一人で取材に行ってませんでしたっけ?」

「あー、それなんだけどね」

 

 私も最初こそは一人で取材をしようとしていた。

 だからこそ一人でバリアに挑んだりしていたのだ。だけど、バリアの外から見える光景で私の心は疼いてしまい、しばらく椛を連れて取材に出ていないことに気がついた瞬間から私は椛を誘って一緒に取材することを決めた。

 いや、取材とは名ばかりだ。取材もちゃんとするけど、椛と一緒に取材に出かける本当の目的とは仲のいい友達と一緒に遊びに行きたかったという、ただそれだけのことだ。

 でも、それを椛にそのまま伝えるのが恥ずかしくて、いつも私は取材という名目で椛を連れ出している。

 

 だから今回もこの本心をそのまま椛に伝えることなんてできるはずもなく——

 

「見る場所が多くなりそうですからね、少しでも手分けして色々な発見をしたかったんですよ」

「確かに、どこもかしこも初めて見るものばかりですからね」

 

 どうやら私の説明で納得してくれたらしい。

 我が親友ながらちょろくて困る。妖怪の山の警護をしている時はあんなに冴えていてかっこいいのに、プライベートになるとどうしてこの子はこんなにポンコツになってしまうのだろうか。

 ただ、微笑ましいからそれはそれでいいかと結論をつける。

 

「いろいろ見て回りましたけど、あっちの工場の方って見てないんじゃないですか?」

「確かに、街中はいろいろ見て回ったけど端の方って見てなかったね」

 

 検問所でもらったパンフレットを見て見ると、検問所に続く形で島の真ん中らへんに大きく街があり、その外周には草原が広がっていて、そこに工場と教会があるような感じだった。

 もちろんどっちも見て回りたいんだけど、そうするととんでもない時間がかかってしまいそうな気がした。

 これは半分椛との旅行だけど、取材はちゃんとしなければいけない。だから私は提案した。

 

「じゃあ、ここからは別行動をしよう。私はこっちの教会にいくから、椛は工場に行ってくれる?」

「あ、はい、わかりました。文さんの期待に応えられるように頑張ります!」

 

 私は椛を信頼している。だから工場での取材を任せることにした。

 その間、私は教会へ赴く。普通こういう教会は街の中心地に存在するのではないかと思うのだが、この街は特殊らしい。

 いろいろと特殊なものを見てきたから今更こんなことでは驚くことはない。

 

 街の建物の大きさから比べると教会の大きさはこじんまりしていて、誰もが想像するようなオーソドックスな教会。外から見る感じでは特筆することはなく、取材することなんてなさそうなものなんだけど、これでもジャーナリストの端くれ。

 外見だけで判断することはなく、とりあえず教会に入って見ることにした。

 

 中は長椅子がいくつも並べられており、正面には龍を象った超巨大なステンドグラスが存在している。

 

「誰も……居ない?」

 

 どうやら留守だったらしい。

 教会のどこからも誰の気配も感じないことから完全に人がいないことを察し、鍵がかかっていないことに不用心だなと、そんなことを思いながら教会内部へ足を踏み入れる。

 やっぱり特筆することはなく、ただの教会のように見えるが、かすかに霊力の残滓を感じる。ちょっと前には誰かがここに居たんだろう。

 

 確かに誰かが居た方が、話を聞くこともできるし、いろいろと便利な点もあるけど、人がいない方が都合がいい場合もある。

 だから私はポジティブに考え、教会内部を写真に収めることにした。

 

 しばらくして私は合流予定の宿にやってきていた。

 私はあまり見るところが少なすぎて時間が余ってしまって早めについたのだが、すれ違いになることを危惧して宿で待つことにした。

 椛もいずれここに来ることだろうし、この時はここで待ち続けることが最善だと本気でそう信じていた。

 

 今となってはすぐに椛の元へ向かっていたらこんなことにはなっていなかったかもしれないと後悔している。

 

 椛を待ち続けて数時間が経過した。

 流石にこれほどの時間が経過していて椛が帰ってこないという状況は明らかな異常事態とようやく理解した私は椛の向かった工場へ椛を迎えに行くことにした。

 この時の私は呑気に取材に夢中になって時間を忘れているのだろうと楽観視していた。

 

 工場に入ってすぐに異変を感じた。

 嫌な魔力が工場中に漂っているということを感じ取ったからだ。今までもうっすらどこからともなく魔力だったり、霊力だったりを感じ取っていたんだけど、この工場はその濃度が桁違い。

 漂っている魔力が全てこの工場に集まってきているようだった。

 

 恐る恐る工場内を進んでいき、奥の扉を開けたところで私は固まってしまった。

 

「なに、これ」

 

 視界に移ったのはいくつもの巨大な機械。それとあくせく働く従業員たちの姿。

 その動きはまるで軍隊のようで、且つ不気味なものだった。

 目を見て見ても、生気はなく、意志を持って動いているようには全く見えない、ロボットのような集団。そんな中に私は見つけてしまった。

 信じたくなかった。でも、目の前の光景はこれが現実であるということを如実に表していた。

 

「椛っ!」

 

 椛も他の人たちと同様に生気が宿っていない瞳で働かされていた。

 あれは明らかに正気じゃない。椛の意志で働いているわけじゃない。

 全ての点と点が線で繋がった。この魔力のせいでここにいる人たちは全員、強制労働させられているのだと。催眠の類で、無理やり動かしているのだ。

 

 とりあえず椛をなんとか助け出そうと椛に触れる。

 

「うぐっ」

 

 だけど、私の手は椛のものとは思えないほどのパワーで弾き飛ばされてしまい、椛の体をつかむことには失敗してしまった。

 まるで力強い機械に手を弾かれてしまったかのような感覚。これは妖怪である私がどれほど妖力で肉体を強化しようとも、止めることはできないんだろうなと一瞬で悟るのには十分すぎるほどだった。

 

「椛……」

 

 私のせいだ。

 私が椛を連れ出したから、私が椛に一人で工場に行かせたりなんかしたからこうなったんだ。

 これは全て私の責任だ。私がどうにかしないと……どうにか。

 

 それから今日までの毎日はずっと椛を助けるために奔走した。

 ある時は椛の侵攻方向に障害物を設置してみたり、ある時は工場を破壊してみようとして見たり、いっそのことハンマーで椛のことを叩いて見たり。

 でも、椛が止まることはなかった。障害物は意に介さずに破壊し、工場は特殊な力に阻まれて破壊できない。ハンマーは椛を叩いた瞬間にハンマーの方が壊れるという始末。

 

 そして挙げ句の果てには工場長の存在。

 どうにか倒そうと考えて見たはいいものの、隙は全くなく、挙げ句の果てには突然見えない攻撃にぶっ飛ばされたりなど、不可解なことが起こりに起こりまくって椛を助け出すことはできなかった。

 

 私の力不足だ。

 そして私が出した結論は、あそこに囚われてしまった人たちを助け出す手段なんて存在しないということだ。




 はい!第230話終了

 文から語られた真実。

 黒葉と風魔は椛のことを知らないので、全く意に介していなかったんですが、工場内には椛もいました。

 そして今日も文は椛を助けるために奔走していたので、黒葉とはニアミスだったんですよね。

 さてさて、怪しい情報がいろいろと公開されましたね。

 検問所の存在。あれは重要ですよ。

 そしてこの話の時間では龍がレミリアを迎えに行っているところなので、不在なんですよね。

 なので、教会には誰もいませんでした。

 教会に龍が居たらワンチャン文もアウトだったんで、情報源が無くなって難易度が今よりももっとベリーベリーハードになるところでした。

 ちなみに黒葉と咲夜が一緒に行動してさえいればもうちょっと難易度がイージーになったことでしょう。

 その代わり、ルーミアと天音の死亡率が上がるわけですが。

 さてさて、次回は咲夜たちの反応からスタート。

 果たしてこの先、どうなってしまうのか?

 多分二章ほどは長くならないと思うます。

 それでは!

 さようなら
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