それでは前回のあらすじ
黒葉はフランの部屋にやってきたものの、フランは一般的な吸血鬼の生活習慣なため、眠っていた。
それを確認した黒葉はその場を去ろうとしたものの、フランに抱き枕替わりにされてしまう。
そしてフランが起きるとものすごい力で壁にたたきつけられる黒葉。だったのだが、黒葉は無傷だった。
フランはそれを能力によるものだと考えた。
それではどうぞ!
sideフラン
黒葉はすぐに帰って行ってしまった。
何をしに来たんだろう? まぁ、いいか。
それよりも黒葉は能力を持っていた。自分では気がついていないようだったし、無意識に使っていたみたい。
お姉様はこのことを知っているのかな?
あんまり黒葉のことを知らないけど、多分お姉様がこのお屋敷に連れてきたんだろうし、お姉様なら黒葉のことも気にかけていると思う。
なら、もしかしたら黒葉の能力のことを何か知っているんじゃないか?
お姉様にこのことを話に行きたい……だけど、外に出るのがすごい怖い。もしかしたら能力が暴走してしまって、色々と傷つけてしまうんじゃないかって……。
でも、黒葉はそんな私に構ってくれている。
そんな黒葉だから私は少し、黒葉のことを知りたいと思ってきている。
「頑張れ私……」
自分を鼓舞し、部屋の扉を開けると意を決して外に出た。
部屋の外に出たのなんて何百年ぶりだろう。ずっと部屋の中にいたからこの廊下の景色も忘れかけていた。
昔はこの廊下が怖くして仕方がなかった。
だけど、今となっては自分の方が怖いから。
地下から出ると私は一目散にお姉様の部屋に向かった。
知らない間にいっぱい妖精メイドが増えていた。
「お姉様!」
「え」
勢いよく部屋の扉を開けると、そこにはお姉様が居たものの、私の姿を見て目を見開いて驚いてしまった。
今まで私は部屋の中に引きこもっていた。お姉さまはそんな私のことを気にかけてくれていたものの、私はお姉さまの気持ちを無下にしてずっと引きこもっていた。
「お姉さま、黒葉には能力ってあるよね!」
「ちょっと落ち着きなさいフラン。話が見えてこないわ。何があったのよ……」
「さっき黒葉が私の部屋に来たの。だけど私は眠っていて、無意識に抱き枕にしちゃったんだと思う。そして目が覚めたときには目の前に黒葉がいて驚いちゃった私は黒葉を壁に叩きつけてしまったの」
「それ、黒葉は大丈夫なの?」
お姉さまが心配するのも無理はない。
私の能力は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』だ。私の咄嗟の攻撃を受けたらいくらお姉さまでもひと溜まりがないくらいの威力なのだ。
それを黒葉が受けたとなったら致命的だ。
「どうしてだかわからないけど黒葉は無傷だったの」
「ふーん」
「しかも、黒葉が激突した壁が焦げたんだよね」
「なるほどね」
私の話を聞くとお姉さまは考え込んでしまった。
やっぱり何か知っているんだろうか。そう考えているとお姉さまは考えをまとめてゆっくりと口を開いた。
「恐らく黒葉はまだ自分の能力に気がついていない」
「うん、それは気がついた。だって私が能力はあるのかと質問してもないっていってたから」
「やっぱりね。恐らく能力が無かったってのは本当のことでしょう」
「え、じゃあなんで能力があるの? 能力って普通、その人の潜在能力だから途中で能力が使えるようになるなんて無いはずだよね?」
能力は人の潜在能力であり、それは才能だ。この幻想郷でも一握りの人しか能力を持っていない。
そしてその才能が突然開花するって言うことも無い。
だけどお姉様の言い方だと黒葉は突然能力という才能を開花させたって聞こえる。
「いや、その限りじゃないわよ」
「どういうこと?」
私はポカンとしながらお姉様を見ているとお姉様が遠い目をしていることに気がついた。何かを思い出しているのだろうか?
お姉様は私よりもずっと物知りだ。だからお姉様の言っていることは正しいのだろう。だけど、途中から才能が開花するっていうのは私には理解出来なかった。
「そう言えば黒葉は今、何をしているの?」
「黒葉は多分、今日は寺子屋が休みだから仕事をしているんじゃないかしら」
「仕事?」
「執事のようなものをしてくれているわ。どうやら咲夜に修行をつけてもらう条件として仕事をしているそうよ」
黒葉って執事の仕事をしていたんだ。
この紅魔館の仕事ってすごいいっぱいあったはずだけど、それをこなしながら私のことを構ってくれていたってこと?
絶対に大変だ。
「黒葉ってお人好し?」
「まぁ、言えてるわね。あの子、嫌々ながらも文句一つ言わずに色々と頼みを聞いてくれているもの」
黒葉は少しぶっきらぼうだけど、人のことはちゃんと考えてる。
「わかった。じゃあ、私は戻るね」
「またいつでもいらっしゃい」
「うん、ありがとうお姉様」
お姉さまの様子的にまだ能力のことは伝えるべきではないと判断して私は一人、また来た道を戻って自室に戻った。
side黒葉
「ふぅ……疲れた」
今日も仕事を終え、師匠と特訓をした後、いつものようにレミリアの部屋へと向かう。
最近はずっとインパクトで大岩を破壊する特訓をおこなっている。
「お疲れ」
「あぁ」
部屋に入るなり、労いの言葉を掛けてくれるレミリア。
だが、ここからが頑張りどころなのだ。大岩を破壊するのは正直、組手よりもきついものだ。
「そうだ、黒葉。これから少し買い出しに行ってくれない? 今の時間は燃えないから行動しやすいんじゃないかしら?」
「今から?」
外は完全に真っ暗闇に包まれている。確かに吸血鬼にとっては絶好の外出日和と言っても過言ではないだろう。
まぁ、買い出しに行くことはやぶさかでは無いが……。
「何を買ってくればいいんだ?」
「人工輸血パック。飲用のやつね」
「……飲用?」
飲用の輸血パックなんて初めて聞いたんだけど……。
輸血パックの飲用ってなに? 血を飲むの? あ、吸血鬼だったな。
「でも、どこで売ってるんだよ」
「前、永遠亭に行ったんだけど、出してくれなかったのよね」
当たり前だ。正規の病院でそんなマッドサイエンティストみたいな事をするわけがないだろう。
「人里のハズレに妖怪専門の店があるから、そこで販売してくれているわ。そろそろ血が足りなくなってきたのよ」
「ん? じゃあ、俺も飲まなきゃダメなのか?」
「いや、黒葉は多分大丈夫。途中から吸血鬼になった人は血液を摂取しなくても大丈夫らしいわ。ただ、傷を治す時とかは血液を摂取した方が治りが良いらしいけど」
「なるほどな……。じゃあ、人里に行って血液を買ってくればいいのか?」
「お願いね。これで買ってきて」
「了解だ」
俺はレミリアに金を貰って人里へと向かっていく。
「お嬢様……輸血パックでしたらまだ在庫が……」
「目的は血液パックじゃないもの……もっと大切な……黒葉の今後のためにもとても大切なことよ」
はい!第24話終了
真夜中ですが、黒葉は人里に向かいました。
そしてレミリアの最後の言葉。果たして人里に何があるのか?
それでは!
さようなら