あの……講談社2次通過しました。
いや、めちゃくちゃビックリしました。
面白い自信はあったのですが、初めての選考通過で2次も通過したら喜びもありますが、驚きがめちゃくちゃ強いです。
さぁ、確か次で最終選考だったはずなんで、頼む残ってくれ!
それでは前回のあらすじ
目を覚ました寺子屋組だったが、その様子は恐怖に絶望し、見るに耐えないものとなっていた。
それでも五人は立ち直り、像で何があったのかを説明する。
そこでミスティアはなんと魔法文字が記述された本を持ち出すことに成功していたことが判明。
本を解読すると、この島の中枢を担っているのが像内に存在するクリスタルだと判明。
それがあると龍が無敵になるということもわかった咲夜たちは龍の加護が龍の加護ではないのではないかと考える。
果たして龍の力の秘密は如何に!?
それではどうぞ!
side咲夜
「悪食の加護?」
にとりが示した先にあるのは悪食の加護という加護名。
字面を見ただけでも龍が言っていた龍の加護という効果とは似ても似つかなく、その効果も想像ができない。どうしてあんな現象が引き起こされるのか。
だが、その内容を見ると全ての点と点が線になって繋がったかのように腑に落ちた。
悪食の加護——ありとあらゆるものを喰らうことができるケダモノを作り出すことができる。ケダモノの姿は使用者本人の任意で変更可能。喰らえるものに制限はなく、概念、空間、傷など多岐にわたる。喰らった際に消費するエネルギーは途方も無い。
「なんでも喰らえる……空間や傷まで」
そこで私は龍との戦いを思い出した。
奴はドラゴンの頭のようなものを出して私に喰いつかせてきていた。私が与えたダメージも一瞬で全回復し、やつを吹っ飛ばしても不自然に何もないところで何かにぶつかったように止まる。
それらすべてがこの加護の説明ならすべて納得いく。
私の攻撃も与えたダメージもすべて喰われ、無効化されていた。空間を喰らい、見えない壁を作り出して止まっていた。あのドラゴン頭はケダモノをドラゴン頭のように変化させて放ってきていた。
「確かにこれなら」
「そう、多分龍は嘘をついているんじゃないかな。これだけのことを仕出かした傲慢野郎の割には臆病な小心者だったようだね。知られると致命的となる自分の加護を誤魔化すなんて、小賢しいことこの上ないよね」
確かにこれならすべて説明つくし、私もこれを見たらほぼほぼこれで間違いがないだろうと思う。
だけど、一つ気になる点がある。
「龍は霊力が極端に少なかった。消費するエネルギーは途方も無いという悪食の加護の必要エネルギー量には到底……そういうことね」
「うん、多分そういうことだと思うけど」
必要な霊力量が足りないなら外部から補填すればいい。使用できる霊力量が最終的に必要霊力量に足りていればそれで問題ないのだから。
そしてチルノたちが言っていたクリスタルに食らいついたドラゴン頭、クリスタルのエネルギー収集能力。あれが龍にこの島から集めた霊力を集めるための装置なのだとしたら、龍の霊力量があれしかないとしても途方も無いエネルギー量を必要とする悪食の加護だったとしても龍でも使えるはず。
「これは憶測でしかないんだけどね。あれを、あのクリスタルを破壊してしまえば龍に攻撃が通用するはず。未来が見える相手なんだとしても、攻撃が通らないのと通るのとでは全く違う。私なら龍を殺せる」
未来が見通せるんだとしても私の能力さえあれば龍を殺すことができる。避ける時間なんて与えない、痛みすらも与えない。
ただ、問題があるとすれば誰がどうやって像を守っていると思われる番人を突破してクリスタルを破壊するのかということだ。そこにいる番人の能力が全く分からなく、よく分からないままにこの五人もやられてしまった。
だから、それが分からないことにはあまりにも危険すぎる。
ただ、それは龍を倒すために必要なことで、クリスタルを破壊したらこの島のすべての人が犠牲になってしまう。
「龍を倒すためには……」
私は何を犠牲にしてでもお嬢様を助けたい。だけど、お嬢様はおそらくそんなこと許しはしないだろう。だけどお嬢様を助けるためにはこの島のすべての人たちを犠牲にしなければいけなくて……。
「私はどうしたら……」
残酷な選択に打ちひしがれ、地へ目を伏せてしまう。
私たちの力だけじゃ二つに一つ。お嬢様を選ぶかこの島の人たちの生を取るか。
ただ、この島の人たちの生を取った場合、クリスタルを破壊すること以外に龍を倒し、この島の人々を助ける方法があるかもわからないし、最悪の場合はこの地獄がこれからもずっと続くことになってしまう。
死にはしないけど、この島の人たちにとってそれはいったい幸せなのだろうか? 死なないだけで生き地獄なのではないだろうか。
どうやったらこの島の人たち全員助けてお嬢様も助け出すことができるのだろう。
私は何をしたら——その時だった。
「っ、咲夜!」
突然にとりが叫ぶように私の名前を呼ぶ。
それに驚き、弾かれるようにしてにとりへ視線を向けてみると、にとりは例の通信機を手にこちらへ向けてきているところだった。
その通信機の画面に表示されているのは着信の文字。どこの誰かはわからないけど、突然この通信機に通信をかけてきたということなのだろう。
チルノたちが像に行っている間に魔道具の詳しい説明をにとりにしてもらっていたけど、この通信機で通信するためには相手の通信機の通信番号を知る必要がある。
どこで知った?
いや、そんなことはどうでもいい。問題は私たちが所持している通信機の通信番号をどうして知っているのか。
どうして今このタイミングで通信をかけてきたのか。
龍たちの誰かなのか、はたまた——
「にとり、貸して」
「……わかった。慎重にね」
にとりから通信機を受け取り、そして応答する。
相手がどう出るか、どんな話をしてくるのか、それを慎重に測る。
心臓の音がうるさい。今までに感じたことがないほど最大級の緊張が走る。
ゆっくりとスピーカーというボタンを押してみんなにも声が聞こえるようにしたら相手の反応を待った。
やがて耳に声が響いてくる。
『あーあー、これ繋がってるんですかね』
『えぇ、これで問題ないはずよ』
聞こえてきた声。それは肉声ではなく、機械を通して少し変化した声だけど、この声は聞いたことがある声で、今の心細い状況では早く聞きたいとすら思っていた声。
たった一人、私が行方を知れていない人物。
ちょっと前まで頼りないと思っていたけど、これほどまでに声を聞いて安堵できるようになるなんて夢にも思っていなかった人。
『えっと……昨日ぶりですね、師匠。冬夏黒葉です。師匠たちと合流することができなくなってしまったので、こうして師匠たちが持ってる通信機の通信番号を調べて通信をかけさせてもらいました』
「黒葉……あなた今、いったい何しているのよ」
『まぁ、色々と。龍を倒すための布石といいますか、その準備といいますか』
黒葉も黒葉で色々と動いてくれていた。それに関しては風魔から黒葉がやられたという話を聞いた時点で察していた。でも、あの話を聞いて黒葉は死んでしまったのではないかという考えが頭をよぎっていた。
黒葉は生きていた。こうして声を聞かせてくれた。
それだけでも私は嬉しかった。お嬢様も黒葉を気に入っていたから黒葉がいなくなったら間違いなく悲しむでしょうし。
「その、黒葉。どうしても私たちと合流することはできないの?」
『あー、ちょっと厳しいですね。でも、安心してください。俺は俺の方で色々とやってるんで』
「そう、生きてて本当に良かったわ」
『まぁ、危うく死にかけましたけどね。なんとか生きてます』
「それで黒葉はどうしてこのタイミングで通信をかけてきたのかしら。何か私たちに伝えたいことでもあるの?」
どうやって私たちの通信番号を知ったのかはわからないし、どうして私たちの前に顔を出すことができないのかもわからない。
だけど、こうして通信をかけてきたということは何か重要な話があるはず。単なる生存報告だけが目的なわけではないはずだ。
そこが重要。
ゆっくり話したいけど、そうしている時間も惜しいのだから早急に本題へ移るよう促す。
『あ、はい。実は俺、師匠たちの動向は知っているんです。ある人に頼んで教えてもらっていたんで。そして俺の方でもこっそりと調べまわっていたり……あ、やべ。俺がこっそりと色々調べていたことは内緒でお願いしますね』
「は、はぁ……」
『そんで、俺もある程度のことは知っているつもりです。この島の現状のこと。ただ、俺のは憶測に過ぎないので、師匠の見解を聞かせてもらいたいんです』
「そういうことね」
確かにこの島の現状を深く理解するには私たちが回収したこの魔法文字が書かれた本を解読する必要があるんだけど、黒葉にそんな手段があるとも思えないし、魔理沙とは知り合いだったみたいだけど、わざわざ10歳程度の子供に魔法文字を教えたりなんかはしないだろう。
だからどうにも洗脳されているらしいというのはわかってもクリスタルや加護の秘密にまではたどり着かなかったはず。
意見交換会というわけね。
「まず、あの巨大な像の中にはクリスタルがあったらしいわ。ドラゴン頭がかじりついているそうね」
『あ、それは俺も見ました。一回あそこに幽閉されたんで。なんか霊力が吸い取られて色々な場所に拡散された感覚がありました』
「あなたはいったいここで何をやらかしていたのかしら」
黒葉の動向が非常に気になるところだけど、今はそんな話をしている場合ではない。
「黒葉も知っての通り、あれはエネルギーを集める仕組みがある。それを使ってこの街の魔道具は動かされているといったところかしら。そしてそれは洗脳された人たちから吸い取られている。あの人たちはこの島にいるだけで常に吸い取られているようね」
『衰弱と過労……酷いですね』
黒葉の声が暗くなった。
過労についてはわからないけど、おそらく黒葉は工場にも行って労働環境を見てきたのだろう。
「それだけじゃない。あのクリスタルはおそらく龍にエネルギーを送り込んでいるわ」
『というと?』
「龍の加護はおそらく悪食の加護。あらゆるものを喰らうことができ、すべての攻撃やダメージを喰らって無効化することができる。だからクリスタルが健在な今、龍は無敵ということよ」
『じゃあ、クリスタルを破壊したら——』
「クリスタルが破壊したらこの島は浮遊能力を失ってそのまま落下する。島にいる人たちはもれなく地面に叩きつけられることになるわ」
そう。
クリスタルを破壊したら勝利というのならば幾分か簡単なのだ。それこそ、タイマンで天魔に勝利しろと言われるよりもおそらく簡単だろう。
だけど、問題は住人たち。
妖怪や妖精のように飛べる人ならばまだしも、一般人は間違いなくこのまま真っ逆さま。命はないだろう。
だから今私たちはどう対処するかという問題に直面している。
『……大丈夫です。島の人たちはなんとかなります』
「なんとかって、あなたねぇ」
『今の話を聞いて作戦が思い浮かびました。師匠たちでなんとかクリスタルを破壊してください。龍は俺がなんとかします』
「え、黒葉本気!? 相手はあの龍なのよ! クリスタルの恩恵がなくても一筋縄じゃいかないはず。ここは私に任せて黒葉たちがクリスタルを」
『どの道、あのクリスタルは師匠レベルの実力者じゃなければ近づくことすらできないんですよ。それに龍相手に複数人で挑んでも多分結果は変わらない。師匠もそう思いませんか?』
「……」
確かにそう。
奴が未来を見ることができる時点で何人で挑もうが対処されるのは決まり切っている。だけど、私の攻撃なら当たる、だから私が龍と戦いに行くといっているのだけど。
ただ、多分黒葉はクリスタルに居る番人と接敵しての意見なんだろう。そうなると一蹴することはできない。経験則というのは何よりも大事なことだからだ。
『多分、龍相手の時間稼ぎなら俺でもできると思うんです。なので、師匠達はクリスタルを思いっきりぶっ壊しちゃってください』
「わかったわ。気をつけて、相手はあの龍なのだから」
『わかってます。それで、決行の日なんですけど、三日後の龍と姉貴の結婚式当日でどうですか?』
「なんでまた」
『俺はかなりムカついています。これ以上ないくらいにムカついています。なので、奴が最高に悔しがる、鬱陶しがる、嫌がるタイミングで襲撃し、一泡吹かせてやりたいんですよ』
「黒葉……その案、すごくいいわね!」
龍にムカついて居るのは誰だって一緒。
どうにかして龍に一泡吹かせてやりたいって私も同じく思っている。そして龍に一番大打撃を与えることができるタイミングはもちろんあともう少しでお嬢様と結婚できるというタイミングで邪魔をするということ。
それを達成できたら龍がどれほど悔しがるか、直接見て見たいほどだけど、黒葉が龍と戦うというのだから今回は黒葉に譲ることにする。
『それじゃあ、作戦名は『天空堕とし』で』
「えぇ、必ず成功させましょう」
『はい、ご武運を祈っています』
『黒葉君、ちょっと手伝っていただいても——あ、幽々子様また勝手に冷蔵庫を漁りましたね!』
『あ、今行きます!』
そこで通信が切れた。
どうやらクリスタルを破壊した後の対処は黒葉の方で手配してくれるらしいから、私たちの心配事というのがなくなった。
これで心置きなくクリスタルを破壊してスカイを破壊することができ、龍撃破に一歩近づいた。
私たちは必ずお嬢様を助け出してみせる。
それにしても最後に聞こえてきた声。
少し遠いところから聞こえてきたようで、小さくて聞こえにくかったけど、これまた聞いたことのある声で聞いたことのある名前が聞こえてきた。
黒葉、あなたいったいどこに居るのよ……。
はい!第242話終了
さて、これで一旦咲夜視点は終了です。
はい。東方を知って居る人だったら今黒葉がどこから通信をかけてきていたのか、わかると思います。
そしてついにこのワードが出ました。『天空堕とし』!
いやぁ、ずっとこのワードを出したかったんですけど、出せなかったんですよね。
というわけで、この三章のタイトルは『運命の分岐点編』となりますが、ここから先は『天空堕とし編』に入って行くわけです。
起承転結の結に差し掛かって行きますよ。
さて、これで咲夜パートが終わるということは違う人にパートが移るわけなんですが、スカイ編序盤でいなくなり、戻ってくると言ったっきり全く音沙汰がない子がいますよね。
次回はその子のパートと文字数少なかったら黒葉が今何をしているのか書こうと思います。
それでは!
さようなら