【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 殺したはずの少女がピンピンしていて驚愕する咲夜。

 少女の能力の真相を確認するため、再びナイフで刺し殺すが、またもや復活。

 突然の攻撃に一気にピンチに陥ってしまう。

 果たして咲夜は由麻に勝つことはできるのでしょうか?



 それではどうぞ!


第256話 看破

side咲夜

 

「《天廻(てんかい)》」

「っ、これは」

 

 突如として室内の空気が渦を巻き、暴風と化した。

 それによって炎の壁が気流に乗って渦を巻き、小さな竜巻へと変化して私へ突っ込んで来て再び襲いかかって来た。

 

 なんとか横に飛ぶことで炎の渦の突進を回避することはできたけど、あれはまだ死んでいない。

 すぐに私に吸い寄せられるかのごとく方向転換して私の方へと突撃して来た。

 今、由麻が使った技、《天廻》とは、小さな竜巻を形成して、それを操ることができると言うものなのだろう。

 それをあの炎と組み合わせることでこれほどまでに凶悪なものへと変化を遂げるとは。

 

「くっ」

 

 熱風が渦を巻いて放たれているからか、回避しているのに全身が熱い。焼けてしまいそうだ。

 対する由麻の周囲には雪が降っている。

 多分あれで由麻は自分の周囲だけ冷やして熱風の影響を受けないようにしているんだろう。

 

 これだけ熱を発していたらこの部屋にある機材は大丈夫なのかと思うけど、多分それは魔法か何かで保護してあるんだろう。

 

 きつい、熱気で体力が奪われる。

 だけど、この程度なら問題はない、こんな苦境は今までなんども味わって来た。今更この程度でくじけるほどやわではない。

 

「はぁっ!」

「ふぇ?」

 

 私は逃げるついでに由麻にナイフを振るった。

 彼女は今、風を操ることに集中しているのではないかと考えたからだ。

 でも、そのナイフが彼女の肉体を切ることはできなかった。いや、正確にはナイフは彼女の肉体をすり抜けたのだ。

 まるでそこには何もなかったかのように、まるで映像を斬ったかのようにまるで手応えというものがなかった。

 

「もう、あの状況で攻撃して来るなんて思わなかったよ。おかげで能力の発動が中途半端になっちゃったじゃん」

 

 頬を膨らませて怒る由麻。

 今の感触、それが彼女の不完全な能力発動による影響なのだとしたら、さっきまでの私が斬っていた彼女の肉体の感触を付与することができなかったということなのだろう。

 つまり、彼女の能力は私に嘘の自分を作って見せることということかしら。

 まるで幻覚のように、本当はそこにいないのに、まるでそこに居るかのように見せる。感触もリアルに再現することができるほどの幻覚の力。

 

「なるほど、強力な力ね。その力でチルノたちにも幻覚を見せて心を壊そうとしたのね」

 

 種がわかってしまえばどうということはない。

 あれが幻覚なのだとしたら、本体はどこかで隠れて居るということになる。だから、その本体を見つけ出して倒すことができれば由麻に勝つことができる。

 ただ、一つ問題点があるとしたら私は今、霊力探知を使うことができないということだ。あのクリスタルのせいで今霊力探知を使ったら間違いなく私の頭はぶっ壊れてしまう。

 

「ん〜、正解! お姉さん、今まで僕が戦って来たどんな人たちとも違うよ。やるねぇ」

「それで、本物はどこに居るのかしら?」

 

 聞いたところで教えてくれるはずはない。そんなことは重々承知だったけど、一応問いただしてみた。

 

「僕の本体はこの上、最上階に居るよ」

「は?」

 

 だけど、私の予想に反して彼女はあっさりと自分の本体のありかを教えて来た。

 これが本当のことなのか、それとも嘘をついて居るのかわからないけど、一体どういうつもりなのだろうか。

 自分ではなく、幻覚を戦わせて居るくらいだから本体は隠れなければいけないほど脆く、見つかることを何よりも恐れているものなのだと思っていたのだけれど、こうもあっさりいうっていうことは何か罠があるように思えて仕方がない。

 そもそも、この部屋は見渡したとしても階段らしきものはあるけど、階段の先は不自然に埋められていて、上に行くことができない。

 それに、あの埋めてあるものも、この像と同じで多分壊すことができないものなのだろう。

 だとしたら私は上に行く手段は完全になく、真相を確かめに行くこともできない。

 

「あ、その目は信じていないな〜。よし、それじゃあ初めて僕の能力を看破した君へのご褒美に、僕の場所へご案内しよう!」

「なに!?」

 

 由麻がそういった次の瞬間、地響きと共にクリスタルの台座が置かれている床がせり上がり、天井もクリスタルの形に開いてそのまま上階へと上がっていってしまった。

 クリスタルの台座が穴を通り切ると、完全に天井は閉まり、突然のことに驚いて放心状態になっている間に私は上階へと行く手段を失ってしまった。

 

 かと思いきや、なんと壁際にある階段の先が開き、階段から上へと登ることが可能となった。

 確かにこの像の大きさに対して天井が低いなとは思っていたけど、本当に上階があるなんて思ってもいなかった。

 

 これで上階へと行ってクリスタルを追いかけることはできるようになった。

 だけど、私は今、由麻に上階へと誘われている。これで罠がないという方がおかしな話だろう。

 

 彼女はニコニコと笑みを顔に貼り付けて今も幻覚としてそこにいるけど、その表情が何を考えているのか、全く読めない。

 でも、罠があるとしてもクリスタルは上へと行ってしまったわけだし、追いかけなければクリスタルを破壊することなんてできないから、今の私には追いかける以外の選択肢なんてなかった。

 

 意を決して階段を登り始める。

 

「それじゃあ、最上階で待ってるよ〜。無事にたどり着けたらだけどね」

 

 そんな意味深なセリフを最後にし、幻覚の由麻は消滅。能力を解除したのだろう。

 上に行けば本当に由麻の本体がいるのか、それともただただおびき寄せられているだけなのかわからなくて、この階段を上るのが非常に怖いのだけど、今は行くしかない。

 行って必ず私はクリスタルを破壊する。

 

 ゆっくりと登り、天井の上を覗き見てみる。

 

「え」

 

 そこには異常なほどに長い長い螺旋階段の階層が広がっていた。

 螺旋階段のゴールが全く見えない。暗いからというのもあるけれど、長すぎて先が全くみてないのだ。

 外から見ていた像の高さよりも全然長いようにも感じる。

 そしてこの階層の真ん中には先ほどせり上がって行ったクリスタルの台座が天高く伸びていた。

 クリスタルは間違いなくこの螺旋階段の先へと行ってしまったらしい。

 

「これ、上の方から落ちたら即死ね」

 

 何があるかはわからない状況でこの螺旋階段を上るというのは心もとないし、不安が募って行く。

 

「よしっ」

 

 覚悟は決めた。

 何があってもお嬢様を助けると決めたのだから、こんなところで臆している場合じゃない。

 

 私は一歩、また一歩と慎重に螺旋階段を登り始めた。

 

「それじゃあ、始めよっか。殺戮ショーのはじまりはじまり……《タノシイ夜の道化芝居(キリングサーカス)》」

 

 瞬間、私の目の前にはトゲだらけの鉄球が迫って来ていた。




 はい!第256話終了

 とりあえず咲夜パートはここで中断して、黒葉パートへ戻ります。

 早く《観察者(オブザーバー)》を出したかった割には名前だけを出して放置してましたね。

 それでは!

 さようなら
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