【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ついに発動した黒葉の《観察者(オブザーバー)》。
 それはいつぞや威迅が言っていた黒葉の強みを最大限生かすことが出来る技だった。

 龍の攻撃がどこから飛んでくるのか死人できるようになった黒葉。
 すると龍はレミリアを狙い始めた。



 それではどうぞ!


第258話 抗った結果

sideレミリア

 

 本当に分からない。

 ここでどれだけ頑張ったところで運命は変わらない。変えることは決して叶わない。

 今まで私は何度も不変の運命に抗おうとしてきた。その度に私は絶望することになってきた。

 

 不変の運命で定められた結末は決して変えられない。ただ、そこまでの過程は可変のため、運命の強制力によって無理矢理こじつけられて不変の運命に集結する。

 それが一体どんな結果を産むのか、私でも分からない。

 まだマシな結末になるのか、はたまたもっと凄惨な結末を迎えるのか。それを知るのは運命を司る神位なものだろう。

 

 私は幾度となく不変の運命を何とか変えてやろうと戦ってきた。

 その結果はどうだっただろうか。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 ――お母様は私が殺したようなものだ。

 

 ………………

 …………

 ……

 

 もう、目の前で大切な人が死ぬのを見るのは嫌だ。

 もう、あんな辛い、悲惨な思いをするのは嫌だ。

 だから、もう抗わないで欲しい。もうあなた達が傷つく必要なんてないんだから。

 私が龍と結婚するという結末は不変の運命によって確定しれてしまっている。それに関しては逃れられない運命(さだめ)なんだから。

 これ以上戦わなくていいんだよ。私一人犠牲になれば済む話。

 私が居なくてもあなたたちは十分生きていける。戦っていける。

 私一人居なくとも、世界は動き続けるんだから。

 

 だから、もうやめて。

 

 黒葉と風魔という少年は龍と互角に戦えているように見える。

 だけど、私には分かる。龍はまだ未来を見ていないし、本気をほんの少しも出しちゃいない。

 それは加護が破られていないというのと、二人を舐めきっているから。

 今がこんな調子じゃやられるのも時間の問題。

 そんなことがなんで分からないのよ。どうしてそんなに抗うのよ。

 

 どうしてそんなに私に固執するのよ。

 私に関わらなければ平穏に暮らすことが出来たでしょうに。もうこれ以上、辛い思いをすることもなかったでしょうに。

 私はただ、あなたたちには平穏に暮らして欲しいのよ。

 

「俺は姉貴に生きていて欲しい、笑っていて欲しい。絶対に死なせない。姉貴は俺が守る!」

 

 それはこっちのセリフ。

 私はあなたに、あなたたちに生きて欲しいし、これから先も笑っていて欲しい。

 絶対に死んで欲しくない。

 

 今噛まれた腕はボロボロ。下手したら骨にヒビが入ってる可能性もある。

 無理をしたらその腕は使い物にならなくなるかもしれない。

 それは黒葉自身も理解しているはず。だと言うのに凛と構えて私を庇うようにして立っている。

 

 龍の本気を考えたら黒葉の今の実力なんて吹けば飛ぶようなもの。

 だと言うのに、いつの間にこんなにたくましくなったのだろうか。

 

「っ! 《炎舞》」

 

 次々と襲いかかるドラゴン頭を的確に切り裂いていくが、物量がどうしても多すぎる。

 黒葉には片手しかないから力もその分弱くなってしまっているというのもある。

 

 やめて、やめて……。

 これ以上傷つかないで!

 

「姉貴、俺は変えられない運命なんてものは無いと思う」

「え?」

 

 黒葉の突然の言葉に驚きの声を上げた。

 

「確かに姉貴は今までに何度も不変の運命を変えるために頑張ってきて、それでも尚ダメだったからこの結論に至ったんだと思う。だけど、不変の運命は不変じゃない」

「不変の運命はどこまで行っても不変よ。結末を変えることは出来ない。死ぬと言ったら死ぬし、負けると言ったら負ける。頑張れば過程は変えられるかもしれないけど、その結果、どんな過程になるかわかったものじゃない。より悲惨なものになるかもしれない。それなら大人しく運命に身を任せた方が安全なのよ」

 

 私が下手に足掻こうとしなければお母様は死ぬことはなかった。

 私が余計なことをしたばかりにカイを封印するまでの過程が変わってしまったんだ。

 

 私はただ、当時の博麗の巫女が死なないように手助けをしたかっただけなのに。

 

 ――それから私はもう、抗うことはやめた。

 頑張れば頑張るだけ辛い結果が待っているなら、私は抗わない。

 ただ、せめて私が犠牲になるという不変の運命においては周りの犠牲をなるべく減らしたかった。

 

 だから、こう言ってはなんだけど、月刃が黒葉を攫ったあの状況は好都合だった。

 咲夜には責任を取らせるために黒葉の元へ向かわせ、ルーミアとフランは魔理沙と共に黒葉を助けに行く。

 流石にパチュリーと美鈴を動かすことは出来なかったけど、被害は最小限にできた。

 

 …………わかっていた。みんなが私を助けに来るって。

 自惚れじゃなければ私は紅魔館のみんなに慕われている自信があるもの。

 だから、来るとは思っていた。だから最初に黒葉に釘を刺した。

 心にも無いことを言った。

 

 みんな、私にとって大切な家族だと言うのに。

 

 それでも黒葉は助けに来た。あんなことを言った私を助けに……。

 もうちょっとで犠牲者を出さずに私だけが消える目論見が達成できそうだったのに。

 

「もう一度言うわ。不変の運命は変えられないから不変なのよ。希望を持つだけ絶望に打ちのめされるのだから」

 

 もう二度と希望なんて持たない。そう決めたから。

 

「なら……」

 

 戦いながら、息も絶え絶えと言った感じで吐息混じりに黒葉が口を開いた。

 

「なら――なんで俺は生きてるんだ!」

「え?」

「俺は一度、不変の運命によって死ぬはずだったんじゃないのか!? ならなんで俺は今ここにいる! こうして姉貴と話している! 不変の運命が絶対に変えられないものなら、俺は生きてるのがおかしいはずだ!」

「それ……は」

 

 確かに黒葉は不変の運命で死が決定づけられていたのにも関わらず死ななかった。

 いや、正確に言えば、息を吹き返した。

 黒葉は間違いなくあの時、グングニルに胴を貫かれて死んだ。でも、何故か黒葉はその後、息を吹き返し、グングニルまでも吸収してしまった。

 何が起こったのかは全く分からない。どこぞの風祝じゃないけれども、奇跡が起こったとしか考えようがない。

 

 でも、あんな奇跡はもう二度と起こりえない。

 奇跡は二度も起こらないから奇跡なのだ。

 

「もう二度とあんなことは起こらない。覆せないのが普通なんだから」

 

 私だって黒葉たちと一緒に戦いたい。戦って未来が変わるものなら喜んでそうする。

 でも、ダメなんだ。

 不変の運命を変えようとすると足がすくんで動けなくなってしまう。怖くなってしまう。

 自分がいる関わったことでより悲惨な未来になってしまうと考えると何も出来なくなってしまう。

 

 わかっている。

 私一人こうしていたって黒葉たちは止まらない。私の知らないところでも今まさに戦っているんだろう。

 そうなると、私が動く動かない関係なくみんな傷ついていってしまう。それを今、私は見殺しにしているだけなんだっていうのも理解している。

 でも、多分これが最善の未来だから。被害が大きくならないようにするために大切なことなんだから。

 


 

side黒葉

 

「くっ!」

 

 攻撃の密度が凄まじい。全方位を防御できる《炎舞》でさえ、精々八割程度を捌くので手一杯。残りは風魔が何とかしてくれているけど、これもいつまで持つか分からない。

 まだ動きが体に馴染んでいないんだ。

 もっと深く、もっと深く集中すれば、全ての動きが見えるようになるはず。

 俺の《観察者(オブザーバー)》はそのようにできている。

 あとは俺が風魔を信じて戦うだけ。

 

「疾風剣《竜巻》っ! ウラァァァァァァッ!!!!」

「《空絶》」

 

 咆哮と共に風魔から繰り出される《竜巻》は前方に見えている全ての物を切り裂き、そのまま龍へ襲いかかる。

 だが、そんなものは意に介さないとばかりに龍の目の前の空間が断絶され、龍に直撃することはなかった。

 確かに風魔は断絶した向こう側の風を使うこともできるけど、強い技は防がれてしまう。それがかなり痛い。

 

 右、左、上、斜め。

 炎を纏わせた刀でドラゴン頭を切り裂いて行く。

 幸いにも俺の能力で焼き切ることができるものの、その威力は凄まじい。本人の実力自体は大したことないように思えるが、威力や耐久面など厄介な能力のオンパレードだ。

 今までの人たちがどうして龍に勝つことができなかったのか、その理由が痛いほどにわかる。

 

 もちろん、今までクリスタルを破壊できた人が誰一人いなかったというのもあるだろうけど、それ以上に龍の攻撃を捌くのがきつい。

 龍とこうして戦っていないとクリスタルの防衛に行ってしまうかもしれないし、戦っているとこの物量の攻撃が襲いかかってくる。

 天魔とは別の意味でヤバい。

 

 目で見てもどうやって防ぐか判断が遅れる。

 いや、それは俺がまだ集中しきれていないからだ。集中しきれていれば肌感覚でどう動けばいいのか理解できるはず。

 

「うぐっ」

 

 正面から来たドラゴン頭を斜めに受け流した。だが、その威力は凄まじく、腕を弾かれてしまった。

 こうしている間にも次、またその次の攻撃がやってくる。

 

 どうにかして姉貴をやる気にすることができればまだ戦えるかもしれないけど、姉貴は異常なまでに不変の運命に抗うことを恐れている。

 昔、何があったんだろうか。どうしたらその不安を拭えるだろうか。

 どうして俺は死ななかったんだろうか。どうして俺は不変の死の運命に抗えたんだろうか。

 

 姉ちゃん、俺はどうしたらいいんだ。

 

「——っ! はぁっ」

 

 腕を無理に動かし、さらに迫る攻撃をぶった切る。

 だが、今のはかなり無理をした。そのせいで痛みがぶり返している腕がさらに痛み、今にも泣き出したくなってしまう。

 でも、痛みで泣いている場合ではない。もっともっと深く集中するんだ。

 

 もっと——

 

 ——己喰い(マイイーター)——

 

「んなっ!」

 

 冷気がドバッと溢れ出し、俺の姿を変化させる。

 白くなった髪と凍てつくような青い瞳。姉ちゃんの特徴が全て俺の容姿に現れ、周囲に威圧感を与える。

 まだ集中力が足りないから狂獸技(ビースト)はまだ使えないだろうけど、これならできる。姉ちゃんが俺に託してくれた最強の能力。

 姉ちゃんが俺のことを守ってくれている証の力。

 

 この力を使っていれば姉ちゃんの雪女の部分が共鳴するのか、妖怪としてのレベルが上がり、多少の痛みや傷なんてすぐに忘れられる。

 俺が天魔との戦いの時にあれほど戦えたのは姉ちゃんの力があったからだ。

 

 姉ちゃんの経験や力が自分のもののように感じれる。文字通り、姉ちゃんは俺に全ての力を託してくれたんだ。

 でも、俺は俺。肉体は姉ちゃんほど戦いに向いていないし、スピードもない。だから全て姉ちゃんのように戦うことはできないけど、それでも——

 

「これでまだ戦えるっ。《吹雪》」




 はい!第258話終了

 久しぶりの己喰い(マイイーター)
 本人も言っていましたが、まだ黒葉の集中度合いが足りないため、狂獣技(ビースト)はまだ使えません。

 ただ、まだ戦えます。

 しかし、本人も天魔戦で理解しましたが、あんまり激しい戦いは出来ないので、気をつけなければいけませんね。

 果たしてこれでクリスタルが破壊できるまで耐久することが出来るでしょうか?

 それでは!

 さようなら
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