【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 力の暴力から逃げ惑う文。

 文のスピードは凄まじく、五分も逃げることに成功するが、力のドM飛行によって追いつかれ、ピンチに陥る。

 なんとか力の攻撃を対処するが、文一人では限界がやってきてしまう。

 そこに闇が迫る。

 《W.O.N(ワールド・オブ・ナイトメア)



 それではどうぞ!


第262話 何のために

side文

 

「なに……これ」

 

 突如として辺りが暗闇に包まれた。

 周囲の瓦礫も真っ黒に変色し、不気味な世界に変貌を遂げる。

 

 風が操れない。

 私の能力は『風を操る程度の能力』で、風を操って翼で風を受けることによって高速飛行を可能としている。

 だけど、この真っ暗闇の空間の中ではそれは出来ないということが感覚的にわかった。

 

 この闇に支配された場所では能力の使用が制限される。というよりも、飲み込まれたものへの能力での干渉が出来ない。

 そこへ突撃してくる妖力が一つ。

 私は妖怪で、暗いところでも目を凝らせば見えなくもないため、視界に集中して見ると、なんとルーミアちゃんが力に向かって突撃していった。

 

「ふっとべぇぇぇぇぇっ! 《インパクト》」

 

 バキィッという音が聞こえた直後、力はルーミアちゃんに殴り飛ばされ、先程の私みたいに瓦礫をぶっ飛ばしながら飛んでいく。

 やっぱり効いている。

 さっきの私の蹴りもそうだったけど、今の力には私たちの攻撃が通用している。

 

「まに……あったぁ」

 

 いや、誰?

 確かにシルエットはルーミアちゃんだけど、よく見てみたら髪色は黒いし、赤い瞳も漆黒に染まっている。

 明らかにさっきまでとは雰囲気が違う。

 

「はぁ……はぁ……思った以上に体力消費が激しい。ずっと展開してたらすぐに体力が無くなっちゃう……」

 

 そう言うとルーミアちゃんはその闇を自分の身体に取り込むようにして引っ込めた。

 すると確かにルーミアちゃんの姿は確かに私の知っている金髪に赤い瞳の姿に戻った。ということは、おそらくあの姿はあの技によるものなのだろう。

 

 多分あの技の特徴、ルーミアちゃんの能力である『闇を操る程度の能力』のもので、周囲の物を能力が侵食したことから樹海を利用した技なんだろう。

 ただ、どうして? どうしてルーミアちゃんの姿は漆黒に染まった?

 樹海は能力を周囲に付与するというもの。自分の姿を変化させるようなものじゃない。だと言うのにルーミアちゃんは樹海で自分の姿を変化させた。

 それは狂獣技の特徴だ。

 

 どういうこと?

 いや、今はそんなことはどうでもいい。

 そんなことよりも今はどうやって力を倒すのかを考えなければ。私一人だったら厳しかっただろうけど、ルーミアちゃんも居るならば勝率は上がった。

 それに、さっきの闇が周囲を包んでいる間、力の攻撃が飛んでこなかったということは力も私と同じように能力を使うことが出来ないはず。

 ならば、どこから飛んでくるかわからない衝撃を抑制できる。

 

「っ、ルーミアちゃん」

 

 爆発音のような轟音が鳴り響き、瓦礫の中から瓦礫をぶっ飛ばして力が線に見えてしまうほどの速度でルーミアちゃんへ突っ込んでいくのが見えたため、私はルーミアちゃんを突き飛ばし、力と正面から相対する。

 このまま攻撃を受けたら妖怪の私でもひとたまりもないだろうから、風を操り、力に向かい風をぶつける。できるだけスピードを緩めようとしているけど、思ったよりもスピードが下がらない。

 

 ならばと私は翼で体を覆い、妖力を流し込むことによって強化をする。

 

「ぐああああああああ」

 

 凄まじい衝撃が正面から来た。

 油断をすると意識を一瞬で飛ばしてしまいそうな、構えてなかったら一瞬ですべての骨を粉々に砕かれてしまいそうな衝撃。

 背後にある建物を全て破壊しながら力の攻撃を受け止めてぶっ飛ぶ。

 これ、翼で受けていなかったら私はこの一撃で戦闘不能になっていた。でも、受け止めることが出来た。

 

 風を纏う、風の鎧だ。

 これを纏うことによって建物にぶつかってもダメージを軽減することができる。破片も風でふっとばすことができる。

 この状況に、集中することができる。

 

「なっ」

「ちょっと、私をナメすぎですよ」

 

 共に飛んでいれば私と力のスピードは同じになる。そこでさらに私が能力でスピードを上乗せしてしまえば力とは違って私は自由に動くことができるようになる。

 だから私は力の背中に立ち乗りし、足元の力を見据える。

 

「あなた、自由に動けないんですよね。なら、こういうことをされても対処するすべは持っていないわけだっ!」

 

 妖力を足に込め、思い切り力を蹴り落とす。

 すると、スピードそのままに地面へ激突し、巨大なクレーターを作り上げてしまった。

 私は風の力を利用してスピードを緩め、地面に着地する。今の威力が凄まじすぎて地面が割れて島の一部が崩れ落ちる。中心部から外れた場所だからそこまで大きな被害にはならなかったけど、それだけで凄まじい威力だったんだということが分かって、構えもせずに自分が受けたときのことを想像して再び身を震わせた。

 

 それにしても、ルーミアちゃんを置いてきてしまった。

 このスピードについていけるのなんて私か時を止めることができる咲夜さんくらいなもの。再び私は一人で力と対峙することになってしまった。

 

「それにしても……本当にタフですねぇ」

 

 クレーターの中心で立ち上がる力。今のダメージは相当堪えたようで、体から血を流している。

 でも、それでもピンピンしていることからダメージは受けるようになったとしても、それでも防御力は高くてなかなかダメージに繋がっていないという様子。

 私とルーミアちゃんでは決定打に欠ける。どうにかもっと強い攻撃が出来ないと。

 

「暴力《破壊・乱打》」

 

 拳を構える力。

 また来る。ルーミアちゃんが居ないから拳の衝撃は無効化することが出来ない。私がなんとかするしか無い。

 ズドンっ。

 

「かっ」

 

 ズダダダダダダダダダダダダダダダダ。

 周囲のありとあらゆるものが破壊される。拳が上空から降り注いでいるように周囲の物を破壊し、大量のクレーターを作り上げていく。

 なんとか翼で防ぐことを試みてみるものの、無理だ。不可避、防御不可の絶対必中必殺の攻撃だ。

 防いでも別のところから攻撃が飛んでくる。

 

 主に上から降り注いできているけど、効果範囲内は乱雑に拳の攻撃が飛んでくる。

 対処、出来ない。

 

「が、あが、ぐぅっ」

 

 ダメ、立っていられない。

 妖力を体に纏わせて耐えているけど、それでもこの威力。攻撃が始まったら効果範囲内から逃げ出すこともままならない。だって、動くことがそもそもできなくなってしまうんだから。

 自慢のスピードを出すことが出来ない。

 

 意識が揺らぐ。

 だめ、ダメだ。意識をもっとしっかり保ってないと。

 死ぬ。

 

『私、文さんのことを尊敬しているんです』

 

『文さん、私になにかお手伝いをさせてくれませんか?』

 

『文さんと一緒に取材に行くの、私好きですよ?』

 

 いや、ダメだろ射命丸文。

 ここで私が死んだら椛はどうなる? 今でも工場内で苦しんでいる椛を誰が助けることができる。

 私は何のためにここに居る。椛を助け出すためだろ。

 私のことを慕ってくれる椛、ここに連れ出したのも私だ。椛はただ、いつも通り私に従って付いてきただけ。それなのに私が助け出してあげなきゃ、可哀想でしょ。

 私が責任を取らずして誰が責任を取る。

 

「はぁぁぁっ!」

「むっ」

 

 風は強ければ凶器にもなり得る。

 そんなのは『風を操る程度の能力』を持つ私が一番よく知っている。

 一瞬だけ暴風を吹かせ、力の体を突き飛ばして体制を崩す。そうなれば力も攻撃の手を止めざるを得ない。そこで私は能力を使用して一気に距離を詰めた。

 

「なっ」

「私をぉぉぉぉっ、ナメるなぁぁぁぁっ!」

 

 体制を崩して倒れかけている力の腹に一発強烈な飛び蹴りを叩き込む。

 

 閃光が瞬いた。紛れもなく力が吹っ飛んでいった姿だ。

 間違いなく今までで一番強い威力の蹴りを放つことが出来た。だけど、その分体への反動は大きく、その場に両手両膝を付いてしまう。

 この短時間で妖力も使いすぎた。ダメージも負いすぎた。

 

 ちょっと、疲れた。

 意識が遠のいていく。まだ、気を失っちゃダメなのに。私が気を失ったらルーミアちゃんを一人にしてしまう。あの子一人に力の相手を押し付けてしまう。

 ダメだ。だけど、もう体が限界で、意識を保て……ない。




 はい!第262話終了

 文離脱。
 次回はルーミア視点になります。

 ただ、前にも言いましたが、ルーミアは《W.O.N(ワールド・オブ・ナイトメア)を使ったとしても素の実力はそのままなので、あくまでのサポート要員なんですよね。

 ここにフランでも居ればよかったんですが、フランはまだ到着していません。

 となると、参戦できそうな人といえば?

 とりあえずしばらくルーミアに頑張ってもらうことにしましょう。

 それでは!

 さようなら
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