実は東方妖滅録って何ヶ月か前からの書き溜めを投稿しているような感じなので、時事ネタみたいなのを前書き後書きに入れるのは困難なんですよね。
それでは前回のあらすじ
文の手助けに来たルーミアだったが、文と力のスピードについていけず、取り残されてしまう。
文は必死に力の攻撃に食らいつくが、大苦戦。
意識を飛ばしかけながらも最後に一撃蹴りを叩き込み、なんとか難を逃れるが、文は限界に達し、意識を手放してしまうのだった。
それではどうぞ!
side三人称
ルーミアは文と力が飛んでいった方向へと全速力で飛んでいた。
しかし、ルーミアの速度では二人に全く追いつける気配もなく、どこまで飛んでいったのやら、ルーミアの目からは完全に見えないくらいにまで遠くに行ってしまった。
樹海の探知も意味を為さない。ルーミアの探知距離外にまで飛んでいってしまったということなのだろう。
(私は文を助けるために来たのに、逆に助けられちゃった……情けない。本当に自分が情けない)
だが、こんなところで泣き言を言っている場合ではない。
一刻も早く文たちを見つけ出して加勢しなければ、文一人だけでは力と戦うのは厳しいだろう。
いつどこから飛んでくるかわからない出鱈目な攻撃。あれを防ぐ手段はルーミアの《
それでサポートが出来ないなら、何のために咲夜に危険を背負わせてまで文を助けに来たのかがわからなくなってしまう。
(早く、早く、早く……)
ルーミアは更に飛行速度を上昇させる。
だが、ルーミアの力ではこれ以上スピードを上げてしまうと、本来戦うために残して置かなければならなかった妖力までも使ってしまう危険性があるため、上げようにも上げられないのが事実。
こうして向かっている間にも二人は更に移動している可能性もある。そうなればルーミアは一生追いつくことが出来ない。
でも、ルーミアは飛ぶ、飛ぶ、ひたすらに飛ぶ。文が無事であることを祈って。
その時だった。
ルーミアの真横を何かがかすめて飛んでいくのが見えた。
ルーミアはそれがなにか理解するのに一瞬遅れたが、ゆっくりと振り返り、何かが飛んでいった方へと視線を向けてみる。
するとそこにはまだ完全に崩れきっていなかった建物に直撃して止まった飛んできたモノ、越前力の姿があった。
それを認識した瞬間、ルーミアは文を追いかけるのを止め、力へと一目散に接近する。
「りきぃぃぃぃぃっ!」
「ちぃっ」
ルーミアは《インパクト》を構え、力へと振り下ろすと、力はルーミアの拳に合わせるようにして拳を放った。
二つの拳はぶつかり合い、周囲に衝撃波が放たれる。
ルーミアの《インパクト》は使えば使うほどに進化を遂げている。さっきまで当てていた《インパクト》よりも強い衝撃に力は目を見開くが、直ぐに対応して更なる筋力で対抗した。
力の上昇するパワーには限度なんてものは存在しない。
故に、成長したとはいえ、ルーミアのちっぽけな《インパクト》如きでは力のパワーに勝つことは出来ない。
「う、だあああああああああああああああ」
完全に拳を押し返され、殴り飛ばされてしまったルーミアは建物の壁を突き破り、倒壊を始める建物の中に入り込んでしまった。
全身が痛むが、この状況でゆっくり休んでいる時間なんてものは存在しない。
このままではこの建物の崩壊に巻き込まれてしまい、ルーミアはぺしゃんこになってしまう。
妖怪だからこの程度の崩壊に巻き込まれたところで死ぬことはないだろうが、その隙に力に攻撃されたら避けようがない。
「こんなところでやられるもんかぁぁぁぁっ! 夜符《ミッドナイトバード》」
大量の弾幕を放ち、崩れ落ちてくる壁床天井を次々と破壊したり、弾き飛ばして自分の元へ飛んでこないようにする。
妖力の消費なんて考えている暇はない。
とにかくどんな手段を使ってでも自分が力を足止めして見せる。絶対に咲夜の邪魔なんてさせない。
その一心で全力を出して建物を破壊する。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ついに建物は完全に崩壊し、ルーミアの周囲には大量の瓦礫の山が出来上がってしまった。
しかし、ルーミアの立っている場所には瓦礫の一つも存在していない。ルーミアはなんとか瓦礫の山に埋められてしまうと言うことは回避することが出来たのだが、今の技で霊力を使いすぎてしまった。
フラフラと力へ向かって歩くルーミアの姿を見て力は鼻を鳴らし、ルーミアを無視して魔力炉へと向かおうとする。
だが、ルーミアがそんなことを許すはずがない。
「待て」
「っ」
今のでほとんどの妖力を使い果たしてしまったはずだと言うのに、ルーミアは力の足元目掛けて弾幕を放った。
行かせないという意思表示。
そして、そっちに生きたければ私を殺してから行けと言う宣戦布告。
力にとって今のルーミアの姿は生まれたての子鹿のように見えた。
まるで獰猛なライオンが小さくてか弱い子鼠を相手にしているかのような感覚。
このまま放っておいても自分にとっては無害だろうし、相手にするまでもない。どうせルーミアは力に追いつくことなんて出来ないのだから、足止めなんて不可能なのだから。
今ここで殺さなくとも直ぐに自分はこのか弱い生き物をいつだって殺すことが出来る。
それよりも今は優先順位が上なのは魔力炉だ。魔力炉を破壊されてしまっては全てが終わってしまう。
しかし、それを差し置いても、力は我慢ならなかった。
ルーミアや文と言った自分には敵わないだろうにそれでも必死に食らいついてくる目の下のたんこぶのようなこの少女たちのことが。
「折角だからお前が終わるその瞬間まで、付き合ってやろう。ただ、その終わる瞬間っていうのは一分も経たない内に訪れるだろうがな」
自分に衝撃を加え、風を切るほどの速度でルーミアへ急接近した力は再び拳を構える。
(大丈夫、ただ妖力が枯渇してるだけだから、まだ体力には余裕がある。体内で妖力を留める《インパクト》だったらまだ使える)
エネルギーの消費量は体内で留めることよりも放出するほうが大きい。そのため、妖力弾を放つことは非常に難しいが、《インパクト》ならギリギリ使える。
再び拳を構えて力を迎え撃つルーミア。
しかし、ここでルーミアに迷いが生じた。
このまま再びぶつかったとしてもさっきのぶつかり合いの繰り返しになるだけなんじゃないかと。これじゃあ何も進まないどころか再び自分がピンチになるというのが目に見えている。
ルーミアは考える。どうやったらこの状況を切り抜けることが出来る。
どうやったらあの馬鹿力とまともにぶつかり合うことはなく、突破することが出来るのか。
答えは単純明快だった。
「んなっ」
ルーミアはぶつかり合う直前に拳を引っ込め、腕で力の拳をいなして受け流したのだ。
それによって力の拳はルーミアの横をすり抜け、地面に激突。地面に巨大なクレーターを作り出した。
そこにルーミアが追撃を加える。
「お返しだよ!! 《インパクト》」
「んな、どぅおおおおおおああああああああ」
ルーミアの最大火力の拳が力の顔面に直撃。そのまま力は数メートル吹っ飛び、地面を転がって留まる。
「ぐ、ぐふぅ」
初めて力が血を吐いた。
それだけ今のルーミアの一撃が効いたということなのだろう。そしてやっと与えられた手応えのある一撃を噛み締めながらルーミアはゆっくりと倒れ伏す力へと近づいていく。
本来は魔力炉に行かないように足止めをしたら良いだけの話。だけど、それだけで許すつもりなんてルーミアには無かった。
最初からルーミアはこの島に居る龍の仲間たちは全員倒すつもりで戦場に立っている。
だからルーミアはとどめを刺すつもりで拳を構える。
「絶対に倒して、咲夜の手助けに行くんだから! 《インパクト》」
「《
ルーミアの拳が叩き込まれる直前、力の身体が一瞬青く光る。
警戒するルーミアだったが、振り下ろされた拳をもう止めることなんてルーミアには出来なかったため、そのままルーミアの拳は力に叩き込まれた。
手応えが無かった。
正確に言うと、まるで鋼鉄でも殴っているかのような無意味な行為をしているかのような感覚をルーミアは覚えた。
最初と同じ、最初の全く攻撃が通じなかったあの時と全く同じ感覚。
ルーミアはそこで自分が勘違いしていたことに気がついた。
力にダメージが入るようになったのは自分の攻撃力が上がったからでも、力の防御が下がる何らかの要因があったからでもない。
力はルーミアたち相手だったらノーガードで立ち回っても問題ないと考えて、あえて今まで防御を使ってこなかったのだと。
自分たちは力に舐められていたのだと。
「《
今度は力の身体が赤く輝き、その直後、瞬きの間でルーミアに力の拳が叩き込まれていた。
ルーミアの軽い身体などその一撃で用意に吹き飛び、地面を転がって倒れる。
唖然としていた。だからルーミアは今の一撃に備えることが出来ず、まともに食らってしまったため、何本もの骨が今の一撃でイカれてしまった。
「こひゅーこひゅー」
呼吸を繰り返す。
だが、呼吸をする度に肺と心臓が痛み、上手く呼吸をすることが出来ない。
肺に血が溜まっているからか、喉からも正常な呼吸音ではないかすれた音が出てくる。
「これが俺の能力、『力を操る程度の能力』だ。《
はい!第263話終了
前回は文が頑張っていましたけど、今回はルーミアが頑張ってくれました。
そしてついに明かされた力の能力。
あらゆる攻撃を無力化していた理由が明かされましたね。
龍とは違って単純な防御力の高さ。これをどう攻略するのか?
それでは!
さようなら