それでは前回のあらすじ
ルーミアvs力。
何とか力に食らいついて少しずつダメージを与えられていたルーミア。
しかし、それは力がルーミアの事を舐めていたからだった。
全力を出した力にはダメージすら入らない。
絶望的だ。
それではどうぞ!
side三人称
力の言葉を聞き、ルーミアは俯いて絶望することしか出来なかった。
自分たちが今までダメージを与えることが出来ていたのは力が自分たちをナメていたから防御を全くしてこなかったから。
だけど、今自分が下手に大ダメージを与えてしまったことで力に警戒させてしまった。そうなるともう攻撃が通用することはないと考えたほうが良い。
攻撃が通用しないのにどうやって力を足止めしろというのだと。
龍も攻撃が通用しない相手だったけど、力の場合は別ベクトルでやばい相手だ。単純に力の防御力を上回らない限り、力にダメージを与えることは出来ないだけじゃなく、反撃で手痛いダメージを受けてしまう。
ルーミアに力の防御力を上回れるほどの高火力技なんてものは持っていない。
(フランはすごいよね、どんなに頑丈なものでも一撃で破壊できる。フランだったら多分力の防御力なんて容易く上回れる。黒葉もすごい、あの天魔の最大火力を受け止め、その上で勝っちゃうんだから。多分黒葉でも力の防御力を上回れる。霊夢は本当に凄すぎる、霊夢だったらどんな相手にも負けないだろうという安心感を与えてくれる。霊夢だったら力も倒してくれるだろう。でも、この場には私しか無い。私はみんなには成れない。強い一撃を使うことが出来るわけでも、耐久力が高くて持久戦が出来るわけでもない。運よく樹海が使えるようになったけど、でもそれで私自身が強くなれるわけじゃない。もし私自身が強くなれるのだったらどれほど良かっただろうか)
ルーミアは想像する。
自分があの霊夢よりもずっと強くなって、紅魔館のみんなから頼りにされて、みんなを助ける。そんな夢物語。
もちろんそんなものは幻で、現実は力を前にして這いつくばることしか出来ない。
ルーミアの心は完全に折れてしまっていた。もうルーミアは力を前にして立ち上がる気力も無ければ、生きたいと言う思いすらも消えかけていた。
みんなの助けになれない自分なんて生きていても仕方がない。
ゆっくりとゆっくりと迫ってくる力の姿をただただ眺めることしか出来ず、瞳から輝きを消した。
死期を悟った。今、この瞬間、この場所なんだと理解した。
でも、本当に夢に見ることがある。
あれは夢なのか現実なのかわからなくなるほどに鮮明な夢で、自分が霊夢ほどとは行かなくても昔の博麗の巫女が苦戦するほどに強くて、世界を闇で覆って全てを手中に収めようとする自分の姿。
でも、それは叶わなくて。
(あれ、なんで叶わなかったんだっけ)
毎回そこだけがぼやけて、他の部分は覚えているのにそこの部分だけは絶対に思い出すことが出来ない。
これが事実であってほしかった。
この力さえあればルーミアは力も倒せていたことだろう。
でも現実は残酷である。ルーミアにそんな力は無い、そんなことはルーミア自身が一番よく理解している。
もう、ダメだ。
「諦めたか……それもまた選択の一つだ。それならそれで好都合。そのまま大人しく死ぬが良い」
力の拳がルーミアに迫りくる。
もうルーミアには指一本動かす気力など残されていなかったため、その攻撃が来るまでただただじっと待つことしか出来なかった。
だが、その攻撃がルーミアを襲うことは無かった。
「疾風剣《竜巻》」
上空より下りてくる竜巻が力の身体を押しのけ、ルーミアを守るようにして展開された。
あまりに突然の事態にルーミアは全く状況を理解することが出来ず、唖然としてただただ目の前にある竜巻を眺めることしか出来なかった。
やがて竜巻が消滅し、上空から一人の人物が降り立った。
「はぁ、あいつ、こんなところまでぶっ飛ばしてくるとは思ってなかったけど、でもお陰でこの子を助けることが出来た」
「風魔っ!」
「はいはい、倉風魔ですよ。久しぶりですね、師匠……」
ルーミアを庇うようにして現れたのは倉風魔。
ルーミアからしてみれば彼は怪しい行動ばかりをしていて、てっきり敵側に居るものだと思っていたため、自分を助けたことには心底驚愕していた。
風魔は龍にぶっ飛ばされてしまった後、空中で偶然力とルーミアが戦っているのを目撃したため、風を使ってこの場に下りた。
龍を黒葉一人に任せるというのは非常に不安ではあるが、今は眼の前に居る敵が最優先。力をここでどうにかしなければ力と由麻が手を組んでしまい、最悪の事態になってしまう。
力と由麻を離しているというこの状況はこれ以上無い好機、龍を倒したい風魔にとってはこのチャンスを無駄にするわけには行かなかった。
「お前、俺たちを裏切ったのか。俺たち側についていたほうが安泰だっただろうに」
「けっ、反吐が出るよ。僕はもうお前らには加担しない、黒葉君と一緒にこの島の人たちを助けるって決めたから、もう逃げないって決めたから」
「師匠に勝てると思ってるのか?」
「逆に言うけどさ、弟子が師匠に勝つ、それって娯楽本でよくある胸熱設定じゃない? 疾風剣《突》」
「《
風魔の渾身の突き。
それは目にも止まらぬ早さで突撃し、力に刃を突き立てる。だが、刃が触れる直前に力は《
どれだけ荒々しい攻撃をすることが出来るとは言え、所詮は加護による多少の上乗せ。その程度で火力が上がっていたら苦労はしないというもの。
風魔の突きは鉄壁の力の筋肉に阻まれ、刃が肉を切るには至らなかった。
だが、風魔の狙いはこの一撃ではなかった。この至近距離にまで接近することにあった。
「疾風剣《旋風》」
「なっ」
突きの構えから流れるようにして剣を回転させて周囲に風の渦を作り上げる。
力の防御力はそれはそれは凄まじいもので、その防御力を貫ける人なんてそうは居ないだろう。風魔も力の防御力を上回れる攻撃をすることが出来るわけじゃない。
でも風魔には風の加護がある。
この疾風剣《旋風》でダメージを与えることなんて一切考えていない。重要な点は風が吹き荒れるということ。
「ぐああああああああ」
無数に飛び散る風の斬撃は力の肉体を裂くことは出来ない。だけど、その肉体を持ち上げてぶっ飛ばすことくらいなら可能なのだ。
ルーミアの攻撃ではびくともしなかった力の肉体が浮き上がり、その肉体を魔力炉から遠くへ吹き飛ばす。
だが、筋肉を硬化させていることで質量が高くなっているせいか、思うように飛ばないことに風魔は腹立ち紛れに舌打ちをした。
「やっぱりお前の事は弟子にするのではなく、即刻消すのが正しい判断だったようだな」
「もう後の祭りだ。僕に戦いを教えたのはあんたなんだから、最後はきっちりと弟子に引導を渡されてくれ」
「お前にそんなことが出来たらな!」
はい!第264話終了
風魔を最初からルーミア、文と共に行動させるのはおかしいので、龍戦にぶち込みましたが、本来はこっちで活躍して欲しかったんですよね。
そして力と風魔は師弟ってことが明かされました。
果たしてどのような戦いになるのか。
次回は咲夜視点になります。
それでは!
さようなら