【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 ついに明かされた力の能力。

 鉄壁の防御を誇る《鉄壁の構え(ディフェンスのモード)》と圧倒的な破壊力を誇る《暴力の構え(アタックのモード)》を前に心が折れてしまうルーミア。

 トドメを刺されてしまう、そんな間一髪のタイミングで風魔が現れる。

 風魔vs力、師弟の対決が今、始まろうしていた。


第265話 死のサーカス階段

side咲夜

 

「っ」

 

 トゲ鉄球を咄嗟に回避しようと動き出すけどもう既に眼前に迫ってきているものを回避できる時間なんて存在しない。

 もう手遅れ。

 私は衝撃に備えるため、霊力で腕を強化し、クロスすることで防御を試みるが、鉄球が私に直撃しても衝撃が来ることはなかった。

 それどころか私をすり抜けていき、背後で消滅してしまった。

 

「今のはいったい……」

 

 背後で消滅したということはあれは魔力で象られたものだということなんだろうけど、私は眼前に来るまで全く気がつくことが出来なかった。

 魔力で象られたものだったら私は探知で事前に気がつくはずだと言うのに、感じることすら出来なかった。

 

 幻覚?

 

 わけがわからないけど、とりあえず進まないことにはなんにもならないため、正面へと向き直って階段の先へと目を向ける。

 目を見張った。

 

 この螺旋階段エリアに入る前に見た景色はただの螺旋階段といった感じだった、はずだ。

 だけど、今渡しの目に写っている景色はまるでアスレチック。

 火の輪、鉄球、落とし穴、さらには空を飛ぶトラなど、その光景はまるで地獄絵図。

 いや、地獄ですらこんなに混沌としていない。

 

 それだけじゃなく、私の探知すらも完全に使えなくなるほどの膨大な魔力がこの空間には満ち満ちている。

 まるであの由麻のお腹の中に居るかのような最悪の気分。

 出来ることならばこのまま階段を下りてこの場から去りたいところだけど、進まないことにはあの由麻にぎゃんと言わせることは出来ないから。

 

 一歩、階段を上る。

 

『ふふふ、現状を理解して尚、上ってくるんだぁ』

「だってこれ、幻覚じゃない。さっきの鉄球も幻覚だったんだから、逃げる理由なんてどこにもないわよ」

 

 頭の中に直接声が響いてきているような感覚がして気持ち悪い。

 でも、これがただの幻覚なら、逃げる理由なんてどこにも――

 

「いや、これ本物?」

 

 火の輪に近づいた時、さっきの鉄球とは違って明確に熱気を感じた。

 これもおそらく由麻が作り出したもの。だけど、これは明確に殺意を持って設置されたオブジェクトだというのが分かる。

 私はてっきり由麻の能力って幻覚を作り出すくらいなものだと思っていた。でも、由麻の本当の能力ってその程度じゃない。

 

 由麻は幻覚として作り出したものを具現化させることも出来る?

 

 つまり、これらの中から幻覚と実物を見分けながら階段を上っていかなければいけない?

 

「やってられないわね」

 

 私はため息を付きながら火の輪に飛び込み、くぐり抜ける。

 おそらく由麻は私が頑張って上ってきている姿を最上階からまるで娯楽のように眺めて楽しんでいるに違いない。

 それを想像するとかなりムカついてくるわね。

 絶対に思いっきりその顔面を殴り飛ばしてやる。その思いで必死に階段を登り始めた。

 

 鉄球、火の輪、火炎放射器、まるでここはサーカスのよう。

 そう考えると、私はサーカスの動物と言ったところかしら。つくづく人の神経を逆撫でしてくる能力ね。

 

『ほらほら、休んでいる暇はないよ〜? 早く上らないと足場が崩れちゃう』

「なっ」

 

 言われて背後へ振り返ると、由麻の言うように私が通ってきた道が次々と崩れて奈落の底へと落ちていくのが見えた。

 私が入ってきた階段の入口はもう無く、完全にこの空間は外界とは隔絶されて、この場から落ちたら底も見えない奈落の底へと落ちていくのみ。

 そうなったらどこへ行ってしまうのか、私という存在はどうなるのか、それが分からなくて恐ろしい。

 

 攻撃を受けなくても足を踏み外しただけで終わり……。

 

 凶悪な能力過ぎる。

 これほどの能力を使えるなんて、妖怪の賢者クラスじゃないの。己の空間を作り出して、他人を引きずり込んで戦う。

 規模が大きすぎる。

 

「がうっ」

「くっ」

 

 急に突進してきた炎で象られたライオンを回避するも、完全には躱しきれずに足をかすってしまう。

 すると、ちょっとかすっただけだと言うのに、足の皮がえぐられたかのような激痛が走り、当たった箇所が一部分、黒く焦げてしまった。

 あれも実体化してる。しかも、人の皮膚を一瞬で焼き焦がすほどの温度。

 直撃したら私は一瞬で黒焦げになること間違いないだろう。

 

『はは、あはははははは。もっと、もっとだよぉ、お姉さん。もっと僕にお姉さんの苦しんでいる姿を見せてよ。僕は人が苦しんでいる姿を見るのが大好きなんだ。あ、でも僕自身が苦しむのはだぁ〜〜〜〜〜〜いきらい。僕は見る専門だから』

「その口を閉じなさい」

『あれれ、余裕が無くなってきたよ? 大丈夫かな。僕はもうちょっとお姉さんが苦しんでいるところを見たいからさ、簡単には死なないでよ? ま、死んじゃったとしても僕が強すぎるから仕方ないよねぇ』

 

 自分でも余裕が無くなってきているなんて分かってる。

 というよりも、最初から余裕なんてものはない。ただ私はがむしゃらに突き進んでいるだけで、打算も何もありゃしない。

 ただ決められたゴールに向かって前進し続けるのみ。

 

 例えこの身が朽ち果てようとも、絶対にお嬢様だけは守る。

 

「安心しなさい。私は死んでも死なないから」

『どういうこと? 人は死んだらそれまでだよ。お姉さん、恐怖のあまり頭がおかしくなっちゃった?』

「もともと、正常な思考能力を持っていたらこんな場所に突っ込んで来はしないわよ。ここに来ているのは揃いも揃って異常者。そう、お嬢様に狂っている異常者よ。どうしてもお嬢様が近くに居てほしい、お嬢様が幸せになってほしい。そのためならば、自分の命なんてどうでもいい。今戦っている人たちは全員そう思っている。だけどね、私はそれを異常だなんて言葉で終わらせたくない。ただ私たちは大切な人に側に居てほしいだけだから!」

 

 眼前に迫る炎のトラをナイフで切り裂く。

 熱気に肌を焼かれるが、関係ない。私はただただ突き進むのみ。

 心臓が痛い。肺が苦しい。炎の温度が高すぎるせいでこの空間の温度が人間の限界値を超えている。

 汗が止まらないし、足がどんどん重くなってくる。だけど進まなければ私は奈落の底へ落下してしまう。

 

 今、私はどれくらい上がってきただろうか。

 多分、これだけ体力を削られたというのにまだ半分も上れていない。見上げても終りが見えない永遠のようにも思える階段。

 

 どこまで続いているのか考えるだけでもその足はどんどんと重くなっていく。




 はい!第265話終了

 咲夜の考えた通り、由麻の能力は幻覚を見せたり、その幻覚を具現化させることができます。

 まぁ、他にも効果があり、今回もその効果が出てましたが、咲夜は気がついてないので、それは後ほど。

 次回、名前回です。

 それでは!

 さようなら
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