それでは前回のあらすじ
ついに由麻の本体にたどり着いた咲夜。
ここから本当の戦いが始まる。
能力を使って由麻を追いつめようとする咲夜だったが、由麻はなんと時を止めた世界に入ってくる。
能力は効かない。
その理由は由麻の
それではどうぞ!
side咲夜
――
由麻の手に握られている大鎌。
他の人とは違って由麻の
つまり、防御は全て捨て、
そうなると、あの鎌の強さは並みの
緊張感が走る。
鎌に当たったら一撃で終わり。この緊張感、覚えがある。
月刃だ。月刃の手に触れたら壊死してしまう。だから手に触れないように戦ったあれによく似ている。
今度はあの鎌に絶対に当たらないように戦う。
「ほんっとうに、私が戦う相手はどうしてこうもみんな面倒な奴らばかりなのかしらね!」
時を止めても無駄。ならば、霊力の無駄遣いになるだけだから時を止める必要は無い。
絶対にあの鎌の間合いに入らないように動きつつナイフを投げるだけ。
そしてナイフを構えたが、そこで鉄球が私に向かって迫ってきているのを視界の端に捉えたため、バックステップで回避。
すると次は足下が変化し、大量の穴が空いた。
まだ体制が整っていない状態で左足だけはしっかり地面を踏んでいたため、左足で地面を蹴って左側へ跳んで退避。
直後、穴からは大量のトゲが天井にまで伸びるという勢いで飛び出してきた。
あれほどのトゲ、回避しなかったら恐らく私は串刺しになっていた。
あの幻覚は実体のあるものと実態の無いものがある。
私にはそれを見分ける術は持ち合わせてないから全て回避していくしかない。
「僕が鎌を出してから鎌を警戒してるみたいだけどさ? サーカスにもちゃんと付き合ってよ」
「何がサーカスよ。こんなのサーカスじゃなくただの殺人トラップじゃない。サーカスだなんて笑わせるわね」
「あー、僕の技をバカにした? お姉さんさ、自分の立場分かってるの? こんな今際の際にさ、良くもまぁそれだけ喋れるよね。僕、尊敬しちゃうな〜」
「あなたからの尊敬なら貰った傍から丸めてゴミ箱にポイよ」
こうして話してる間にどうにかしてサーカスの合間を縫って由麻に攻撃できないかと探ってはいるけど、なかなか厳しい。
火の玉が飛んできたり、槍が降ってきたり、落とし穴が開いたり。
本当になんでもあり。
なんだったら能力をかけられてからそこにいる由麻が本物の由麻なのかも怪しいレベル。
「ほらほらお姉さん? 僕に攻撃しないと僕を倒せないよ」
分かってる。
でも、ここにいる限り、彼女の攻撃の手は緩まない。
永遠に飛んでくる攻撃を回避しつつ、攻撃に転じる。
でもなんでだろう。月刃の時ほどの絶望感はない。
状況は月刃とほぼ同じで、能力が通用しない、休む暇なく攻撃が飛んでくる、触れられたら終わり。
でも、月刃の時ほどの迫力はない。
やっぱりこの子では月刃にはなれない。
「え、ちょ、来るの!?」
「やっぱり作戦変更。ビビりすぎてたわ。でも、こんなにビビってしまうのは私らしくないものね!」
飛んでくる火の玉をナイフで払い、正面から飛んできた鉄球を斜め前方に回避、足下のトゲは前方に飛び込んで回避してそのまま一回転して由麻に向かって走る。
なにを考えていたのだろうか。
逃げ腰になってちゃ勝てるものも勝てない。それはお嬢様にも昔教わったことだ。
遠距離で由麻に攻撃出来る自信が無いならば詰めればいい。
鎌があるからなんだ。
月刃の手の方がよっぽど恐ろしい!
「なら僕も受けて立つよ、お姉さんの覚悟をさ!」
鎌を構える由麻。
彼女の体躯には似合わないほどの大きさだけど、それを軽々ともつ由麻。
一度だけ、ちゃんと
その人は何を隠そう、レミリアお嬢様のお母様。当時の主――リリルカ・スカーレット様だ。
あの人は私を鍛えてくれた。幼いながらにレミリアお嬢様に拾ってもらった恩を返すため、毎日特訓を続けていた。
リリルカ様はそんな私のことを気にかけてくださったのだろう。
あの人は大変忙しかったでしょうに仕事の合間を縫って私に稽古をつけてくれて、色々な戦い方を見せてくれた。
私に
そして一緒にリリルカ様には
結果は火を見るより明らかで、惨敗だったけど、あの戦いは私に色々なものをもたらした。
『いい? 咲夜ちゃん。
私はナイフを構える。それを迎え撃つ由麻。
勝負は一瞬。
的確にトラップを回避しつつ由麻に接近して、そして間合いに入った瞬間、鎌が振り下ろされた。
それを半身になって回避すると、そのまま私はナイフを逆手に構え、半身になって回転した勢いのまま回転しつつ、由麻の横腹にナイフを突き刺した。
「ぐあっ」
「今度はちゃんと効いたようね」
今度は薙ぎ払うように鎌を振るってきた。
この距離、どうせバックステップをしたところで回避出来る距離じゃない。
ならいっその事と思い切って由麻の両肩を掴むと、足から霊力を噴射して、由麻の肩を軸に倒立するようにして回転し、由麻の背後へ回り込んだ。
「なっ!?」
「あんまり、紅魔館のメイド長をナメない事ね!」
そこから振り向きざまに一発。由麻の背中にナイフを突き刺すと力無く鎌を落として前方に倒れ込んだ。
よし、これなら行ける。
ちゃんと攻撃が入るならまだやりようがある。そう考えてみんなのことも心配だったことから私は撃破を急いでしまった。
それが失敗だった。
「なんでみんな僕のことを甘く見るんだろうね」
「うぐっ」
追撃を加えようと接近した瞬間、目にも止まらぬ早さで動いた由麻の手が鎌を回収して私の腕に切り傷をつけた。
咄嗟に気がついて回避したからこの程度の傷で済んだけど、かすっただけでこの斬れ味なら直撃したらどうなるんだ――
「あれ?」
視界がぐらついた。
平衡感覚がおかしい。
頭の中がぼんやりとしてちゃんと考えられない。
「う、ぐぅ……」
「あは、あはは、あはははははははははははは」
由麻が笑ってる。
十中八九これは由麻の力、だけどなんだこれ。あの鎌の力?
まともに立っていられないけど、どうにかして意識を保たないと死んでしまう。
「およ? お姉さん強いねぇ。普通は一瞬で意識を失うんだけどなぁ」
「なに、を」
「まぁ、これから死にゆくんだからこれが知らなくても良いでしょ? でも、やっぱりお姉さんでも僕の首には届かなかったね」
平然と近づいてくる由麻の姿を見て目を見張った。
突き刺したナイフを抜く由麻だが、一瞬で傷を治してしまった。
多分あれは治癒魔法。しかしそれをあんな高レベルで使えるなんて。
だけど、タダでやられる訳には行かない。
「はあっ!」
「うっ!」
無造作に近づいてきた由麻にナイフで切りつける。
防御されて腕しか切れなかったが、まだまだ終わらない。
後ろへ下がる由麻に向かって何本もナイフを投げつける。こんな体調不良如き、お嬢様が居なくなる痛みから比べたらどうって言うことは無い。
「もうっ、元気だね。でもさ、僕ばかりに気を取られてて良いのかな?」
「なに、が。うがっ!?」
確かに私は周囲を見ることが出来なくなっていた。
私に背後から迫る鉄球に気がつくことが出来ず、直撃。そのまま壁に向かってぶっ飛ばされてしまった。
全身に激痛が走る。
もう何も考えられない。でも、どうにか立たないと。
頭はぼーっとするし、平衡感覚は狂ってるし、最悪だけど私はそれでも立つ。
「ねぇ、もうお姉さん、もう諦めちゃおうよ」
すると目の前には由麻の姿があった。
もうナイフを振るう気力もない。頭の中がぼーっとしちゃってもう何も考えられない。
でも、戦わなくちゃ、たたかわなくちゃ、タタカワナクチャ。
「もう、頑張らなくても良いんだよ?」
「っ!?」
「ほら、疲れたでしょ? だから――」
由麻は軽く私の肩を押すと、平衡感覚が狂って踏ん張りが効かなくなってた私は簡単に地面に倒れ込んでしまった。
だんだん意識が薄れていき、瞼が重くなる。
ダメだ、意識を保てない。
「お姉さん、おやすみ。永遠に」
その言葉を最後に聞き、私の意識は深い闇に飲まれてしまった。
「咲夜ああああああああああああああああああああああああああああああっ!!??」
はい!第268話終了
咲夜は倒れてしまいました。
果たして、咲夜の運命や如何に。
そして宣言通り、次回は黒葉視点に戻ります。
黒葉VS龍は果たしてどうなるのか?
でも、龍に対しては由麻を倒さないことにはダメージが入らないというのが分かり切っているので、どうせ倒せないんだろの視点で見ていただければと思います。
それでは!
さようなら