それでは前回のあらすじ
咲夜VS由麻。
咲夜は由麻の鎌に絶対当たらないように遠くからナイフを投げて立ち回るが、接近しなければ由麻に攻撃を当てられない。
そのため、意を決して懐に入り込む咲夜。
なんと由麻にナイフを突き刺すことに成功した。
しかし、追撃を加える瞬間、カウンターに由麻は咲夜の腕をナイフで斬り裂いてきたのだ。
凄まじい切れ味に驚くのも束の間、咲夜の意識はどんどんと薄れ、ついに完全に意識が途絶えてしまったのだった。
それではどうぞ!
side黒葉
「レミリア嬢、どういうつもり? 僕の攻撃を邪魔するということはどういうことなのか、ここまで一緒に居た君がわからないはず無いだろ? それとも、それを鑑みても尚、そいつの方が大事なのかな? いや、それはイケないことだ。君はこれから僕の妻となるんだ、妻となろうという者が他の男性を大切に思う、僕はそれは立派な浮気だと思うんだよね! 僕と言う夫への完璧な裏切り行為だ。今ここで僕に殺されたって何も文句は言えないんだよ? でも、僕はこうしていきなり殺すんじゃなくて、君の意思を確認しようとしている。それはどういった意味のある行為なのか、一度聞かせてくれないか? その言葉次第では温情を与えてもいいとすら思っている。僕は優しいからね、仮にも長い間一緒に暮らしていたんだ、情が湧いたって仕方がない。僕は理解ある夫だから、君のその感情を全て否定する気は無いよ。だけど、妻となる君にとって僕以上に大切な存在なんて居ないはずなんだけどなぁっ!?」
目の色がやばい。
龍は完全に激怒している。温情を与えると言っているけど、あの様子だったらどんな答えを言おうとも温情を与えてくれるとは微塵も思えない。
むしろ、今攻撃が飛んできていないことが不思議なくらいだ。
それよりも、姉貴は今、俺を助けてくれた……のか?
俺を抱えている姉貴の表情を見てみると、姉貴も自分自身の行動に驚いているようで、目を見開いて腕の中にいる俺のことをじっと眺めてきていた。
恐らく考えるよりも先に身体が動いてしまったというやつなのだろう。
やっぱり俺の考えは間違っていなかった。姉貴はどれだけ口で否定しようとも、俺達のことを大切に思っている。完全に否定し切ることは出来ないんだ。
「え、なんで……」
「ねぇ、ちょっと? 無視? 無視するってどういうことなのかな? どういう教育を受けて育ってきたのかな!? 人のことを無視する、それはあからさまに相手のことを軽視し、侮っていると言う証拠だ。つまり、君は今僕のことを下に見ている! 僕はね、ある程度のことまでは許してあげるよ。僕は優しいからね。だけどさ、君のその態度は一体何なのかな!? 僕の優しさに漬け込んで、好き勝手して心が傷まないわけ!? 僕がみんなに優しくする理由はみんなに敬意をもって接しているからさ。なぜなら、敬意を持って接することで相手からも敬意が返ってくると信じているから。だけど、端から敬意を払う気のない人には敬意なんて払う必要なんて無いよね! 僕のことを馬鹿にするやつに、温情なんて掛ける必要は無いよね!」
「っ! 危ない」
俺は姉貴の腕の中で体勢を変え、姉貴を突き飛ばした直後、俺も後ろに飛んでその場から俺と姉貴が分断するように離れると、その丁度間をドラゴン頭が突き抜けていったため、それは冷や汗をかく。
なにせ、俺達に当たらなかったドラゴン頭はそのまま後ろに向かっていき、壁を一瞬にして粉々に砕いてしまったのだ。
あれをまともに食らっていたらどうなっていたのか、想像したくもない。
姉貴が助けてくれたお陰でなんとか肺の痛みもおさまってきた。まだちょっと苦しいけど、戦えないほどじゃない。
このくらいの苦痛、これで姉貴を助けることが出来るというのならば、安いものだ。
「ちょこまかちょこまかと、いい加減気づきなよ! どれだけ抵抗しても無駄なんだからさ、大人しく人生を諦めなよ。見苦しいよ」
「見苦しい上等だ。こちとら、命賭ける覚悟はしてるんだ。苦痛上等、茨の道上等、俺達は勝つために来ているんだ。負けるためにここに居るわけじゃない!」
姉貴に助けられた。だから、今度は俺が姉貴を守る番だ。
刀を構え、再び
今さっき酷い目にあったばかりだけど、今は無理をしてでも勝たなければ行けないときなんだ。だから、俺は今無茶をする。
「《
「性懲りもなくまたそれを使うのか。君たちの諦めの悪さは感心するけど、自分たちが苦しむだけだよ。だって、君らは僕にはどう頑張っても勝つことが出来ないんだからさ!」
左右斜め前から二体のドラゴン頭が飛び出してくる。
「《回雪》」
本来は回転斬りで氷の斬撃の輪を作り出し、それを飛ばす技なのだが、ドラゴン頭が迫ってきたところで回転斬りをすることによってドラゴン頭を同時に斬り伏せた。
そしてそのまま龍に迫り、刀を構える。
龍は俺相手だけだと妙に油断するクセが有る。それは俺が風魔や姉貴よりもずっと弱いと認識しているからだろう。
本当に腹立たしいことだけど、そこに付け入る隙が生まれる。
「僕だって戦士だ」
もうちょっとで龍を間合いに入れることが出来る。そのタイミングで龍はにやりと笑った。
そして俺は見る。
視界いっぱいに映る大量のドラゴン頭。逃げ場隠れ場など存在しない、圧倒的物量のドラゴン頭。
考えてみれば、龍の霊力は無限にあるんだから、こういうことだって可能なのだ。それを今までしてこなかったのは俺達をナメていたから。
風魔と二人でも捌くのが精一杯だった物量、あれよりもずっと多いドラゴン頭に目眩がしてくる。
「僕はもう飽きた。だから、終わりにするよ。《
「《豪雪》!」
次々と四方八方から迫るドラゴン頭。
それをどうにか捌こうと必死に刀を振るう。
斬って斬って斬りまくる。だが、斬っても尚、新しいドラゴン頭が飛んでくるため、全くきりがない。
「ごほっ」
集中しようとするとまた呼吸を忘れてしまい、肺が苦しくなるため、定期的に集中が途切れてしまう。
まだこの動きに身体が慣れていないんだ。やっぱり付け焼き刃だと龍に対抗するには力不足にも程がある。
でも動きを止めることは決してしない。その瞬間、俺は殺されてしまうだろうから。
必死に斬る。だけど、この物量を一人で捌き切るなんてことは出来なくて――
「ぐっ」
左肩と右足に噛みつかれてしまった。
霊力で守ってはいるけど、これを解除したら俺の肩と足は食いちぎられてしまうことだろう。
そうなったらまともに戦うことができなくなってしまう。
だが、次々と俺の身体にドラゴン頭は食らいつき始め、どんどんと俺は動きにくくなっていってしまう。
俺の霊力の防御もある程度が限界。
これ以上食らいつかれたら俺も霊力の防御を保つことが出来なくて、防御を解除してしまうだろう。そうなったら俺は死ぬしか無い。
やっぱり俺は弱い……。
「神槍《スピア・ザ・グングニル》」
「ぐぉぉぉぉぉっ!」
その時突如、俺の背後からグングニルが飛来し、俺の身体にまとわりついていたドラゴン頭の殆どを貫いて龍の胸に突き刺さった。
それによって攻撃の嵐が止まったため、残ったドラゴン頭を斬ると、背後へ目を向けてグングニルを投げてくれた人を見る。
酷く悩んでいたみたいだけど、覚悟は出来たみたいだな。
「もう一度考えてみた。どうして諦めたはずなのに黒葉を助けたか……どうしてあなた達と離れるという言葉を口にする度に胸が苦しくなるのか……。やっぱりダメだった。やっぱり私は自分の心に嘘はつけない。私、紅魔館のみんなが、大好きよ!」
そう口にした姉貴の表情はここに来てから見たどの表情よりも活き活きと輝いているように見えた。
はい!第269話終了
ついにレミリアが本当の自分を取り戻しました。
紅魔館のみんながどれほど大事かということを思いだしたレミリアはついに本格的に黒葉と共闘開始!
二人が居れば龍を対処することはできるでしょうが、レミリアが仲間に加わることでちょっとした懸念点もあることは確かです。
どうなってしまうのでしょうか?
それでは!
さようなら