【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 咲夜絶体絶命の大ピンチに駆けつけたのはフランだった。

 フランは由麻の魔力結界をももろともせず、像の一部を破壊して侵入、由麻を蹴り飛ばして咲夜の目を覚まさせた。

 そんなフランを見て危機を感じ取る由麻。

 フランの登場は由麻にとって最大の想定外だったのだ。

 果たして咲夜とフランは由麻を撃破し、クリスタルを破壊できるのか?



 それではどうぞ!


第279話 動き出す絶望

side三人称

 

「い、妹様!?」

 

 咲夜はその光景に驚愕した。

 確かに、フランが初めて狂獣技(ビースト)を発動した時、同じ街に居た。だが、その時咲夜はフランとは一緒に居なかったため、フランが自分の中の悪魔に打ち勝ち、狂獣技(ビースト)を身に着けたということは知らなかったのだ。

 

 フランの肉体に妖力がまとわりつき、そして鎧を形成していく。

 髪色はレミリアの様に紫色に。そしてマントを羽織った凛々しい姿になった。

 感じられる妖力の大きさはさっきまでとは比べ物にならないほどのもの。暴走したフランの荒々しい妖力と、フランの優しい妖力が混ざった力強い妖力。

 

 さすがにこれには咲夜も冷や汗を流した。

 

(これ、暴走していないの、よね? 妹様は理性を保っているみたいだし、この変身はどう見ても狂獣技(ビースト)だから、能力に意識を乗っ取られているという感じでもなさそう。となると、本当に妹様は壁を乗り越えたっていうこと?)

 

狂獣技(ビースト)!? だけど、僕の能力の前には無力なんだよ!」

 

 ついにフランに向けて放たれる大量のトラップ。

 火の輪、炎のライオン、鉄球。この大量の攻撃のどれが幻影で、どれが本物なのかわからない。

 だけど、フランには関係ない。

 

 フランの能力は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』。この能力の前にはどんなものでも等しく無力と化す。

 

「今、私は狂獣技(ビースト)を使っている。だから、今私がこの身に纏っているのは私の能力『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』そのもの。この鎧は私の能力を強化してくれる」

 

 フランの力があればどんな物体でも無力。

 フランの力を上回るものは破壊できないが、今の狂獣技(ビースト)状態のフランの力を上回れるものはそう多くない。

 つまり、こんな幻覚を見せたところで、フランがタッチした瞬間、実物だった場合は木っ端みじんに破壊される。

 

 ドゴォン

 降り注いできた鉄球。それにフランが手を触れた瞬間、木端微塵に破壊された。

 フランには由麻の能力なんて関係ない。ただ、降ってきたら手をかざすだけ。由麻が見せる幻覚など、フランには赤子の手をひねるも同然の感覚で破壊することができるのだ。

 

「っ」

 

 そこで由麻は漸く気が付いた。

 目の前にいるこの生き物は化け物なのだと。自分の能力など無価値にしてしまうほどの暴力の化身が目の前に立っているのだと。

 

 だが、由麻の自信は揺るがない。

 たとえ、能力が効かなかったとしても、由麻にはそれ以上の力を誇っている狂獣技(ビースト)がある。

 これがある以上、フランは簡単に由麻の肉体を破壊することはできないし、どんなに強い相手だって、たとえ博麗の巫女ですら鎌にかすった瞬間に昏倒してしまう。

 

 フランが来たところで一撃ももらってはいけないというクソゲーなことには変わりない。

 

 フランがいる以上、これ以上《タノシイ夜の道化芝居(キリングサーカス)》を使っていても霊力の無駄遣いだと感じた由麻は能力を解除した。

 

「やけにあっさりと解除するのね」

「だって、僕は司祭とは違って霊力が無限ってわけじゃないからね。有限の霊力をいかに効率よく使うかだよ。それなのに、ずっと使い続けるわけにはいかないじゃん?」

「どの口がそれを言っているのよ」

 

 この像があの入り口以外から入れない特殊構造になっているのも、すべてこの羅堂由麻による力だ。

 これほどの霊力を使っていながら、霊力切れを心配するなんて今更過ぎる。

 

「妹様、あの少女がもっている鎌にはお気を付けください。私はあの鎌がかすっただけで昏倒してしまいましたので、かすっただけでも致命的になるかと思います」

「うん、わかった。咲夜も気を付けてね」

「えぇ、もう同じ攻撃は受けません」

「それと、あの少女があの鎌を持っている間、私の能力はあの少女には効かないようです」

「……え、ほんと?」

「はい」

 

 フランにとっても咲夜の能力というものは絶対的信頼を置いている能力で、これが破られるというのはあまり考えられないものだった。

 能力を奪ってきた月刃はともかく、あの少女に咲夜の能力が破られるなんて考えにくかった。

 だが、咲夜が言うならと、フランは覚悟を決める。

 

 この戦いにおいて、咲夜の能力に頼ることはできない。だから、自分が頑張らないといけないんだと。

 

「もう、私は逃げないから! 禁忌《レーヴァテイン》」

「愚直に頑張れば全部何とかなるとか、そんなこと思っちゃってるんだとしたら、ちょっとかわいそうだよねっ!」

 

 炎の剣を手にフランが由麻にとびかかり、由麻はフランの剣を鎌で受け止めた。

 少なくともこれはフランの力、人間ではなく吸血鬼の力のはずなのに、さっきは簡単に蹴り飛ばせた由麻の体が、今はびくともしないことにフランは目を見開く。

 そして、フランは違和感を覚えた。

 

 この鎌、まるでクッションのようだ。

 すべての衝撃を吸収しているかのような、だから由麻に本当の威力が伝わっていないのだ。

 

「気が付いたかな、僕の鎌はね、触れるあらゆるものを殺す。衝撃を殺し、空間も殺し、意識を殺す」

「なっ」

「こんな風にね!」

 

 フランからの力は伝わらないのに、由麻からの力はフランにダイレクトに伝わり、あのフランがちょっと鎌を押し出しただけで簡単に突き飛ばされてしまった。

 そしてそのバランスを崩しているフランに対して鎌を振るう。

 だが、すぐにフランは地面を蹴ってすぐに由麻とは距離を取って由麻の間合いから出る。この距離ならば由麻が鎌を振るったところでフランに鎌が当たることはない。

 

 普通はそう考える。

 だが、由麻が鎌を振るった瞬間――

 

「えっ」

 

 フランの胸に切り傷が出現し、血が流れ始めた。

 傷は浅い、だが、どう考えてもフランに鎌が届く距離ではなかったため、フランと咲夜は困惑した。

 

「言ったでしょ? 空間を殺すって……僕の鎌に距離は関係ないんだよね。だけど、安心して? この攻撃には昏倒効果は無いからさ」

 

 そう宣言するということは自信の表れだ。

 確かに傷は浅く、昏倒効果が無いのだけど、これを何度も受けていたらいずれ限界が来てしまう。

 傷は浅いが、フランの傷から出てくる血が一切止まる気配がない。

 フランも必死に血液操作で止血をしようとするが、全然止まってくれない。傷口がふさがってくれない。

 

「あ、気づいちゃった? 僕の空間を殺す一撃を受けたらね、その傷は僕が倒れない限りは絶対にふさがらないんだよ。だから、傷口が浅くてもいいの。ゆっくり、ゆっくり、そう、ゆっくりと前身の血液が抜けていって、干からびて、最終的に出血多量で死ぬの! すっごく、すぅぅぅーーーっごく芸術的な殺し方だと思わない?」

「とても悪趣味だと思うわ」

 

 今は傷が浅く、少量ずつしか血が流れていないが、あまり動きすぎると傷口が広がって取り返しのつかないほどに出血する可能性がある。

 吸血鬼だって血が無くなりすぎると出血多量で死ぬのだ。

 人間よりは耐えるだろうが、死ぬものは死ぬ。

 

「妹様は休んでいてください。やっぱり、ここは私が戦います」

 

 従者としてそんな状態のフランには無理はさせられない。

 だから、咲夜は覚悟を決めた。

 

「でも、咲夜一人だけじゃアレを相手にするのは厳しいんじゃない?」

「それでも、妹様をそんな危険な目に合わせるわけにはいきません」

「どっちでもいいんだけどさぁ、早くしてくれないかなぁ?」

 

 ここでそんな喧嘩をしていても仕方がない、そう二人とも思ってはいるが、二人ともここだけは譲れない。

 

「んもう、僕を倒すのが遅いから、時間切れになっちゃったでしょ」

 

 突如、由麻がそんなことを言い放った。

 

「時間切れ?」

「時間切れってどういうことよ」

「僕はね、理不尽な存在じゃないんだよ。君たちに少しは勝ち目のある状況を残してあげているんだ。だけど、もう時間切れって言うことさ。僕は君たちが来る前にこの街の住民たちにある催眠を施しておいたんだよ。ある時間になったら、この島に侵入している奴らを始末しろって」

「まさか」

「そうだよ……滑稽だよね! まさか自分たちが救おうとしている人たちに殺されるなんてさぁ!」

 

 つまり、由麻の言葉が正しければ、この街の住民たちは全員黒葉たちを殺すために動き出してしまったということ。

 さすがに助けようとしているこの街の住民たちには手を出せないため、咲夜たちではどうしようもない状態。

 

「あなたたちはどこまでこの街の住民たちを傷つければ気が済むのよ!」

「あぁ、安心してよ。ここには住民は来ないからさ。さすがにそれはベタベタすぎるし、何よりも僕が面白くないよ。僕はエンターテイナーだからさ、面白いを追求するわけ。だから、君たちには最高のサプライズを用意したよ!」

「っ!?」

 

 由麻がそういうと同時に、人影が階段から姿を現した。

 その姿を見た咲夜は絶句した。そして由麻をにらみつける。

 由麻という人物が考える最高のサプライズ。咲夜を一番絶望させることができる展開。

 咲夜の反応を見て、由麻は大笑いをした。

 

 階段から上ってきた、その人影の正体は。

 

「あなたはどこまで!」

 

 チルノ、大妖精、ミスティア、リグル、結乃の五人、寺子屋の五人だった。

 咲夜たちが帰れと送り出した五人だが、それが間違いだったのだとようやくそこで気が付いた。

 この五人はすでにこの島からは帰られない体になっていたのだ。

 

 この五人は当初、観光目的で正規のルートを通って島に上陸した。つまり、すでに入口のゲートは潜っていた。




 はい!第279話終了

 ついに前半戦終了しました。

 次回、後半戦へ入る繋ぎの話になります。

 二話くらいかなと。

 次回も由麻戦です。

 それでは!

 さようなら
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