【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 妖夢がついに到着。

 由麻に焦りが生まれた。

 実は黒葉は紫に頼んで白玉楼へ赴き、妖夢に協力を要請していたのだ。

 だが、妖夢は仕事が多く、なかなか仕事を前倒しにして共闘する日、丸一日を空けるって言うのは難しい。

 そこで、妖夢は黒葉に仕事を手伝うなら協力するという条件を突きつけた。



 それではどうぞ!


第284話 罠

side三人称

 

「黒葉君はちゃんとやり遂げてくれました。私としてはちょっと無理難題だったかもしれないと思っていたくらいだったので、最悪私が無理をしてでも時間を作ろうかと思っていたのですが、私の手伝いをしつつ、合間に特訓というハードスケジュールの中、ちゃんと私の約束を守ってくれたんです。なら、もうその願いに応えるしかないじゃないですか。なので、私も戦います」

「そう……」

 

 妖夢の力強い言葉、そして黒葉が必死になって妖夢のことを説得しようとしていたということを知って咲夜は少し驚いていた。

 咲夜は通信の後、黒葉がどこで何をしていたのかは知らなかった。だけど、黒葉がまさかそこまでしているとは夢にも思っていなかったのだ。

 

 確かに人員が少しでも多い方が勝ちやすい。だからって、この状況でほかに助けを呼びに行こうという発想にはなかなかなれないだろう。

 まさしく、紫が居たからこそできた芸当というやつだ。

 

「妖夢、あの子は幻覚を使ってくるわ。それに、あの鎌に触れたら一瞬で意識が刈り取られるわよ」

「はい、わかってます。紫さんからずっと状況は聞いていましたから。でも、出てくるわけにはいかなかったんですよ」

 

 妖夢が出るためにはまずこの島の人たちの洗脳を解いてからじゃないとダメだった。

 万が一、妖夢もとらえられ、妖夢が先頭不能になってしまったら打つ手がなくなってしまうから、まずは天音の能力で島の洗脳を解き、それから妖夢を投入する。

 この放送室なるものを発見するのに時間がかかってしまっていたのだ。

 

 だが、もう島の人たちが襲い掛かってくるという心配はない。洗脳という手段はもうないのだ。

 これで妖夢も思う存分暴れることができる。

 

「ねぇ、いつまでごちゃごちゃ話してるのさ。いい加減に僕も疲れてきたんだけど?」

「あら、ごめんなさいね。でも、もう大丈夫よ」

「はい、倒します」

「へぇ……僕を倒すつもりなんだ。ちょっと数的有利を取ったからって、僕にそう簡単に勝てると思っているんだとしたら、それは心外だねっ!」

 

 その次の瞬間、足元が凍てつき、つるっつるのスケートリンクのような氷の床に変貌してしまった。

 これは幻覚じゃない。現実だ。

 由麻は元々魔法使い、そのため、魔法によってこのような状況を作り出すのは造作もない。

 

「別に能力だけが取り柄じゃないよ。僕は高度に魔法を使うことだってできるんだから」

 

 最初に由麻が咲夜に使った炎だって、あれも魔法だ。

 二人の意識は能力の方にばかり向いていたが、彼女の魔法も十分に脅威足りえる力を秘めている。

 油断をしたら一瞬で足元をすくわれることになるだろう。

 

「行きます」

「えぇ、援護するわ」

 

 覚悟を決め、妖夢は走る。

 足元は氷でつるつる滑ってしまい、思うような速度を出すことができない。妖夢のスピードはもっと速いはずなのに、その半分も速度を出せていなかった。

 逆に由麻はこの氷の床に慣れているのか、まるでスケートをしているかのように自由自在に滑り、妖夢の攻撃を回避する。

 

「くっ」

 

 妖夢は刀を振るう。だが、その攻撃はさっきまでよりも早くなった由麻には当たらない。

 妖夢自身が遅くなっているせいというのもあるだろう。この凍っている床の上で、しっかりと転ばずに歩こうと思ったら必然的に足が遅くなってしまうし、いつもの感覚で走ろうとしたら転んでしまって戦いどころではない。

 

「ほらほら、そんなんじゃいつまで経っても攻撃はあたらないよ?」

 

 振るわれた鎌を妖夢は刀で受けとめる。

 だが、鎌に刀が触れた瞬間、刀に込められている妖夢の力はすべて殺され、簡単に弾き飛ばされてしまった。

 鎌による一撃を受けなかったのは幸いだが、それによって壁に背から激突してしまった。

 

 そんな妖夢に追撃とばかりに鎌を手に由麻が迫る。

 

「させないっ」

 

 だが、由麻が攻撃を繰り出す前に咲夜がナイフを投げたことによって由麻の進路を妨害、追撃でナイフを投げることによって由麻をその場から遠ざけることに成功した。

 あの鎌の攻撃は一発受けただけでも致命傷となりえる。

 一歩間違えれば今、妖夢は由麻に昏睡状態にさせられてしまっていた。

 

「厄介だね、この氷の上でも重心がブレないんだ、お姉さん」

「えぇ、なんたって私は紅魔館の完全で瀟洒なメイドですから」

 

 咲夜の基本スペックは異常に高い。

 料理スキルも店レベルだし、掃除や洗濯などの家事も高水準。その上、運動神経もよく、スケートなども出来る。

 だから、氷の上での動き方、身体の使い方に関しては熟知しているのだ。

 

 勘違いしないでほしいのは紅魔館のメイド長になるにあたってこれほどのスペックが必要な訳では無い。ただ、咲夜自身が完璧を目指し、何においても高水準でこなせるように努力をしているだけなのだ。

 

 そんな咲夜の姿を見て妖夢は下唇を噛む。

 咲夜はあんなにも状況に順応して、最善の行動を取れるように努めているのに、壁際で尻餅をついている今の自分が恥ずかしく思えてきてしまったのだ。

 紅魔館と白玉楼、別の屋敷ではあるが、共に従者なのは間違いないのだ。

 

 だが、咲夜にできて自分には出来ない。

 この状況ではどうしても咲夜を基準にして物事を考えてしまう。

 

 こんなところで倒れているわけにはいかない。

 

「氷がダメならば、床を歩かなければ良いんですよっ!」

「?」

「?」

 

 恐らく今、妖夢のその発言にこの場にいる全員が頭の中にハテナを思い浮かべたことだろう。

 確かに、凍っているのは床だけ、その床を走らなければ滑るっていうことはないだろうが、そう上手くいくものでもない。

 妖夢の言葉はただの夢見がちな発言で、実際に成功させるのは至難の業だ。思いつきで出来るものではない、実行しようとしたところで絶対に失敗する。

 

 誰もがそう思った。

 しかし――

 

 ダッ。

 妖夢は駆けた。勢いのままに壁に足をかけ、そのまま壁を駆け出した。

 色々な機材の上を巧みに飛び移り、そして由麻へと迫る。

 

「そんなバカなっ」

 

 妖夢は咲夜の事をすごい人だと考えているが、妖夢も大概である。

 思いつきで壁を走ろうなんて考えるやつが一般人のように振る舞うのは流石に無理があるというものだ。

 

 妖夢は勇気がないだけだ。そして咲夜のようにパッと考えて行動に移せるような性格でもない。

 判断が常に一瞬遅れてしまう。ただ、それだけで妖夢の身体能力や戦闘能力はかなり高い。本人は半人前だと言っているが、判断が遅れるというところがなければ屈指の実力者となれるだろう。

 

 その身体能力を今、妖夢はいかんなく発揮している。

 

「双剣《隼》」

「うっ」

 

 咄嗟に妖夢の攻撃を鎌で受けたが、流石に威力を殺していても二発が瞬間的に襲ってきたらそれなりの衝撃は入ってしまったようで、由麻は軽くのけぞる。

 妖夢の攻撃を対処することは可能な由麻でも、流石にこの動きは読みづらく、額から冷や汗を流した。

 そして頭の中をぐるぐると回転させ、この状況を切り抜ける最善策を見つけ出す。

 

 ――一瞬の閃き。

 さっきまでの戦いで由麻は妖夢たちが仲間意識が強いということは分かっていた。そこから発想した最低な考え。

 

「《タノシイ夜の道化芝居(キリングサーカス)》」

「性懲りもなくっ」

 

 妖夢が突っ込んできた瞬間、由麻は周囲に幻覚を張り巡らせた。

 この空間は正しく投影されたホログラムの様な空間で、実体も幻体もごちゃまぜになっている。

 そのため、どの攻撃が本物の攻撃なのかは分からないが、フランがいる今、そんな能力は関係がない。

 

 フランが触れているもの、それらを簡単に破壊することが出来るのだから、フランが効果範囲内にいる時点で、こんな能力は一瞬で破壊されてしまう。

 

 フランが手をギュッと握った瞬間、まるでガラスが割れるようなパリーンという軽い音を鳴らしながら周囲の光景が霧散した。

 こうなってしまうことは由麻も想像できたはず。だと言うのに、わざわざこれを使った。

 

 気がつけば妖夢の眼の前には由麻が居なくなっていた。

 嫌な予感がした妖夢と咲夜は周囲を見回し、そして最悪な状況を見つけてしまった。

 

「まずは一人目っ」

「いやぁっ」

 

 結乃の眼の前に迫る由麻だった。その手には当然鎌が握られている。

 妖怪・妖精であるチルノたちならまだしもただの人間である結乃が由麻の鎌の攻撃をまともに受けて無事で居られるはずがない。

 慌てて咲夜はナイフを構えて由麻を止めようとしたのだが、その手は思わず止まってしまった。

 

「く、くはっ」

 

 なんと妖夢が由麻と結乃の間に割って入り、背に由麻の鎌をもろに受けてしまっていたのだ。

 結乃に辿り着く前に由麻は鎌を振るった。つまり、由麻の狙いは最初から結乃ではなかった。

 由麻としては咲夜か妖夢、どっちでも良かったのだ。どちかでも戦える人を減らすことが出来れば、由麻は一対一で負ける気はしなかったから。

 

 罠に、嵌められてしまったのだ。

 別に由麻としては《タノシイ夜の道化芝居(キリングサーカス)》が破られようが割とどっちでも良かった。

 狙いはこれ、咲夜か妖夢を戦闘不能にすることだった。

 

 鎌を受けてしまった妖夢の意識はどんどんと闇の中に落ちていってしまう。

 

(黒葉君のお願いを聞くために来たはずなのに、私は何も出来なかった。ドタバタしてるだけだった…………ごめん、黒葉君……約束果たせなかった)

 

 うっすらと妖夢の耳には咲夜の自分を呼ぶ声が届いていたが、それに反応することは出来ず、そのまま妖夢は床に倒れ伏してしまった。

 

「あっははは、残念だね。あなたたちに仲間意識っていうものが無ければ僕に勝てたかもしれないっていうのにさぁっ」

 

 妖夢が倒れたのを見て勝利を確信し、笑う由麻。

 残っているのは咲夜と深手を負ったフラン、それからチルノたち。だが、チルノたちの実力じゃこの戦いには着いてこれない。

 状況が好転したように見えたのもつかの間、一瞬にしてまたピンチに陥ってしまった。




 はい!第284話終了

 本当はもうちょっと引っ張ろうかとも思っていたんですが、これ以上書くと中身のないただの文字数稼ぎになりそうだったので、ここらへんで。

 さて、次回からは龍戦に入ります。あまりにも敵が強いんですよね。

 一応三章は最後までプロットが出来上がっているので、大丈夫ですが、プロットない状態で見てみると、これどうやって集収つけるんでしょうね。
 敵が強すぎるんですよ。

 月刃戦のときも感想で言われましたが、どうやって集収つけるんでしょう?

 僕としてもそろそろ三章は終わらせたいので、とりあえずやらなきゃいけない天音イベントは終わったので、ここからはテンポよく進めていきますよ。

 それでは!

 さようなら
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