それでは前回のあらすじ
VS力。
絶望した風魔と思うように動けなくなってしまったルーミア。
それでもルーミアは諦めない。みんなの希望をつなぐために身を犠牲にしてでも力を食い止めようとする。
だが、ぼろぼろのルーミアでは出来ることに限りがあり、ついに暴力《破壊・乱打》が力から繰り出され、大ピンチに。
そんなルーミアのピンチを救ったのは風魔だった。
それではどうぞ!
side風魔
「僕、何やってんだろうなぁっ!」
僕は今の今まで両親を助けるために戦っていた。だけど、もう両親は死んでいると言われて絶望して膝をついてしまった。
敵を目の前にして戦うことを放棄してしまっていたんだ。
何をやっているんだ、僕はと僕は自分を殴りつけた。
両親の敵を前にして、僕はなんもしないつもりだったのか。
悲しくて悲しくて、苦しくて苦しくて、今にも泣きだしたくて……でも、それをするのは今じゃない。
今蹲っていても何も始まらないじゃないか。
絶望の淵に落とされて、もう敗北をも受け入れそうになったその時、僕の耳に聞こえてきた声は僕に勇気をくれた。
思考がクリアになった。
絶望一色に染まった思考が晴れ、状況を見ることが出来るようになった。
おい、風魔と。
見ろ、風魔と、誰かが俺に言っているかのような感覚に陥った。
風魔、お前は目の前の光景を見ても何も思わないのかと。
金髪の女の子が目の前で力と戦っている。絶対に像に力を向かわせないと、必死で食らいついている。
あんなにボロボロになって、弱弱しくなってもなお諦めず、立ち向かっていた。
対して僕は一体何をやっているんだ。
蹲って、膝をついて、武器を手放して……僕がやっているのはただただ僕が敗北を受け入れるというだけじゃない。
この島で戦っている人たち全員の未来を放棄するということだ。
あの放送を聞いて思った。
戦うということはそれ相応の責任が生じるということ。戦うということは苦しめられている人たち全員の未来を背負うということ。戦うということは――己を証明するということ。
僕の原点は一体なんだ。
僕の原点はお父さんだ。お父さんのような警察官になりたくて、お父さんの様に悪い人たちを懲らしめて、多くの人たちを助けたくて。
僕は一生懸命に力を付けていた。
僕が強くなることを目指したきっかけはより多くの人を守るためだった。
だというのに、こんなところで諦めていたら、みんなの期待を裏切るだけじゃない。僕が、僕自身の原点を否定するということになる。
僕が僕じゃいられなくなってしまう。
危うく僕は僕を失う所だった。
力の言葉に惑わされて、僕は全てを放棄するところだった。取り返しのつかないことをするところだった。
でも、もう大丈夫。
お父さんとお母さんはもう助けることが出来ない。だけど、僕にはほかにもいっぱい助けなければいけない人たちがいるから。
だから、ごめんなさい。お父さん、お母さん。
僕は後を振り返らない。
僕はただ、目の前にいる人たちを助けるために力を使います。だから、見ていてください。
僕が立派にお父さんの様に多くの人たちを助ける、その瞬間を。僕が夢を叶えるその瞬間を。
「風魔、お前どういうつもりだ。もうお前が助けたいと言っている両親はこの世に居ないんだぞ」
「だけど、僕が助けるべき人たちはいっぱいいるから」
「その助けるべき人たちとはなんだ」
「もちろん、お前らに苦しめられているこの島の人々だよ。それが今の僕のやるべきことなんだから」
僕は堂々と言い放った。
だが、力は僕の言葉を理解できないというように顔をしかめた。
「お前、ふざけてるのか。そんなことをしてお前に何の得があるっ!」
「これは損得勘定の話じゃないんだ。僕は僕が助けたいから助ける。目の前で困っている人が居たら見逃せなくて、決して悪には屈しない。それが警察官っていうものでしょ」
「狂っているな。この街に侵入してきたやつらも、お前も。従順なしもべで居れば痛い思いをせずに済んだものを……もうどうなっても知らないぞ」
「それはこっちの台詞だね。自分が戦い方を教えた相手に引導を渡される。とっても師匠らしいじゃないか。師匠なら師匠らしく、弟子にさっさと負けてくれない?」
僕だってわかっているさ。
今の僕の全力を使ったとしても、力に勝つことは不可能なんだろうって。力の防御力を打ち砕くことなんて不可能なんだろうって。
だけど、僕らが今やるべきことは力を倒すことじゃない。力を像に向かわせず、クリスタルを破壊するまでの時間を稼ぐこと。
僕はさっきまで力への勝利ばかり考えていた。だけど、それが雑念になっていたんだ。
僕が今やるべきこと、それは仲間たちを勝利に導くこと。
黒葉君が僕を仲間に引き入れてくれたんだ。ならば、その黒葉君の期待に応えるしかない。
僕の相手は龍や魔導じゃない。この目の前にいる筋肉だるまだ。
倒せって言われているわけじゃない。ただ足止めをすればいいだけ。
この脳筋馬鹿の足止めをするくらいできなくてどうする。
僕の目指している警察官はこんな奴ら簡単にやっつけて、多くの人たちを救うヒーローのような存在だから。
絶対に負けない。
もう絶望したりなんかしない。
「覚悟は出来ているんだろうなぁ」
「殺される覚悟なんて出来ているわけないでしょ? 僕が出来ている覚悟、それは最初からただ一つだ。あんたらに勝つっていう覚悟だよ」
「そうか、死ね」
その直後僕に放たれた衝撃波。
それは力の能力によって屈折し、そして僕の真横から襲い掛かってくる。
僕の『疾風の加護』は風の声を聞くことが出来る。周囲の風の流れを読み、そしてどこから攻撃が来ているのかを正確に読み取ることが出来る。
だから目に見えない衝撃波を簡単に読み取ることが出来る。
これを更に洗練させれば僕はもっと強く――
「疾風剣《突》」
僕は横から飛んできた衝撃波を突きの攻撃で相殺した。
はい!第288話終了
風魔VS力。
ルーミアはもうこれ以上戦えないので風魔がメインの戦いになります。
ただ、今のままでは風魔も言うように力に届きません。
ここからどうやって成長するかが課題になりますね。
それでは!
さようなら