【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 激しさが増す風魔と力の戦い。

 風魔の攻撃は現状力へ届かないが、《暴力の構え(アタックのモード)》使用時の防御力ならば風魔の攻撃も通用する可能性があるため、力への抑止力になっていると考えていた。

 しかし、なんとあろうことか力は風魔の眼の前で《暴力の構え(アタックのモード)》を使ったのだ。

 それに合わせて風魔も疾風剣《竜王》を放つ。

 果たして勝利はどちらの手に!?



 それではどうぞ!


第290話 もう振り返らない

side風魔

 

「かはっ……」

「言っただろ。お前は俺に勝てないって」

 

 僕は力が《暴力の構え(アタックのモード)》を使用した瞬間に攻撃を仕掛けた。だが、その攻撃が先に直撃したのは力の方だった。

 僕の攻撃が直撃する寸前に腹に強烈な衝撃が走った。

 それと同時に背後からも感じる衝撃。

 

 衝撃に挟まれたことによって僕の身体はぶっ飛んでいくことが出来ず、衝撃を逃がすことが出来なくて全ての衝撃が余すことなく僕の肉体を砕いた。

 大量の骨が体内で破壊された音が聞こえた気がした。

 

「お前は俺が《暴力の構え(アタックのモード)》を使用したその隙を狙おうとしたのかもしれないが、俺は腕をほとんど振らずともお前を殴ろうと思えば殴ることが出来る。こんな風になっ」

「があああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 今度の一撃は僕のことを殴り飛ばしてくれた。

 力はほとんど腕を動かすことなく、ほんの数ミリ動かしただけで僕の肉体をぶっ飛ばすことが出来るほどの一撃を放ってきた。

 そうだ、《暴力の構え(アタックのモード)》の時は攻撃の指向性を操作することが出来るだけじゃなく、その攻撃の威力をも操作することが出来るんだ。

 上限こそあれども、ほんの数ミリ動かしただけで相手を全力以上で殴った時の威力を出せるっていうのはとんでもない。

 

 僕は地面を転がってしまい、何とか立ち上がろうとするものの、激痛によって上手く立ち上がることが出来ない。

 くそ、早まった。

 力が《暴力の構え(アタックのモード)》を使ってきたからって焦って攻めに転じてしまった。あのまま耐えに転じていた方がまだ勝機はあったかもしれないというのに。

 

 しくじった……。

 

「そういう所が、やっぱりお前は未熟だな。だから勝機を逃す。こうして俺を目の前に倒れ伏すことになる。詰めが甘い。だからいつもお前は獲物を取り逃がす」

 

 獲物というのはもちろん、この街に来ている観光者や、働き手を探すために行った人里の人たちのことだ。

 僕はただの一度もちゃんと自分で捕まえることが出来たことはない。

 実力は出来る。これをやらなければ両親がどうなるかわかったものじゃない。

 

 そんなことは分かっていたけど、どうしても両親の顔が脳裏をよぎっていつも最後の最後で取り逃がしてしまう。

 結局、力か魔導が捕まえるんだけど、僕にはできなかった。

 

 でも、それとこれとは全く別の話だ。

 あれが出来なかったのは僕の中に残っていた良心が僕の身体を動かしてくれなかったから。だけど、今回のこの状況は僕の経験値の少なさ、そして考えの甘さから来るものだ。

 

 今まで僕は本気で誰かと戦ったことってなかったから。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 全身の骨がミシミシと言っていて、気を抜いたら一瞬で意識を持っていかれそう。

 だけど、諦めるわけにはいかない。

 

「あっ」

 

 腕に力を込めるが、体を上手く持ち上げることが出来ずに前のめりに倒れ込んでしまった。

 くそ、こんなところで倒れてたらダメなのに……僕はもっと頑張らなければ、色々な人を地獄に落としてきたんだから、僕は人一倍頑張らないといけないのに……。

 

 ――頑張りなさい、風魔。

 ――立ちなさい、風魔。

 

 突然聞こえてきた声のようなもの。頭に直接響いてくるような感覚だ。

 これは……幻聴か?

 でも、この声はどこかで……。

 

 ――風魔。

 

 その声が聞こえた瞬間、僕の視界はブラックアウトし、気を失った。

 


 

 次に目を覚ました時、そこは花畑で、さっきまで戦っていた瓦礫の山のような地獄の景色とは違う、とてもとてもきれいな場所だった。

 さわやかで優しい風は吹いており、ほほを軽く撫でるその感触がこそばゆい。

 

 どうして僕はこんな場所に立っているのだろう。

 と、そこで気が付いた。

 

 さっきまでボロボロで地べたを這いつくばっていたというのに、今僕は自分の足で立っている。

 全身の激痛もどこへ行ったのやら、腕も自由に動かせるし、なんだったら今からでも走り回ることが出来そうなくらいの身体コンディションだ。

 

「風魔」

 

 突然声が聞こえてきた。

 しかも、この声は聞き覚えのあるもので、僕は慌ててその声が聞こえてきた方へと振り返った。

 その方向を見て、僕は絶句した。

 

 どうしてだ、どういうことなんだろう。

 もう、何もかもが分からない。僕がどうしてこんな場所に居るのか、そしてどうして今僕の目の前にはお父さんとお母さんが立っているんだろう。

 

 二人の姿は最後に見たあの時のままだ。

 あの時のまま、優しい二人の姿のままだ。お父さんは警察官の制服である軍服を着用し、母は和服を身に着けている。

 

「お父さん、お母さん……どうして、どうして……」

 

 涙が溢れてくる。

 僕はお父さんとお母さんを乗り越えて、先に進むって決めたのに、いざ二人を目の前にすると涙腺が決壊して、大粒の涙がボロボロとこぼれてくる。

 

「風魔、今までごめんね。それと、ありがとう……」

 

 お母さんは僕に駆け寄り、優しく抱擁してくれた。

 久しぶりに感じたお母さんのぬくもりは懐かしくて、そして欲していたけど決してもう味わうことが出来ないものだと思っていたから、余計に涙が溢れてくる。

 力に二人はもう死んだって言われて……僕、僕、もうどうしたらいいのかわからなくなって。

 

「ごめん、なさい……ごめんなさい……僕……僕、お父さんとお母さんを守ることが出来なかった……多くの人たちを傷つけた。地獄に落としてきた……ごめんなさい……っ!」

 

 会うことが出来たら話したいことはいくらでもあったはずなのに、頭の中が真っ白になって言いたいことがほとんど飛んで行ってしまった。

 

「俺たちは今までずっと風魔のことを見守ってきた」

「えっ」

「俺たちのために風魔の人生を狂わせてしまって、本当にごめん」

「えぇっ!?」

 

 まさかお父さんに謝罪されるとは思っていなかったため、僕は驚愕してしまった。

 むしろ謝罪しなければいけないのは僕の方で、僕が不甲斐なかったばかりにお父さんもお母さんも守ることが出来なかったんだから。

 

「俺たちのことを助けることが出来なかったって悔やんでいるのなら、気にしないでほしい。お前は充分出来ることをやってくれたんだから。むしろ、あんなことを風魔にさせてしまって申し訳なかったと思ている」

「でも……僕は全然なにもできなくて……やっていることと言えばあいつらの言いなりになっているだけだった。このまま従っていれば、いつかはお父さんもお母さんも助けられるって信じていて……それがこのざまなんだよ……」

「あんまり自分を責めないで? 私たちは風魔が傷ついてまで自分たちが助かりたいとは思っていない。むしろ、風魔にはもっと自由に生きてほしいの。龍たちに縛られるんじゃなくて、自分のやりたいこと、出来ることをのびのびと……」

 

 僕のやりたいこと……できること……。

 お父さんとお母さんに縛られることなく…………。

 

「風魔はまだやらなければならないことがあるんだろ?」

 

 お父さんは背後に指をさす。

 そこには黒葉君が立っており、僕に向けて「手を取れ」とでも言いたげに手を伸ばしてきていた。

 そうだ、僕は戦わなければいけない。こんな場所に居る場合じゃないんだ。

 

 でも、そうしたら僕はまたお父さんとお母さんと離れ離れに……。

 

「風魔が本当はもっと強いっていうこと、お父さんは知っている。だけど、風魔は自分のその力に気が付いていないんだ」

「僕の力……」

「風魔の力、その力は人を傷つけるためにある物じゃない。誰かを助けるためにあるものだ。だから、その力でお前は敵を倒せ。お前は警察官(ヒーロー)になるんだろ?」

 

 お父さんに言われてハッとした。

 そうだ、僕は警察官になりたくてお父さんの姿を追い求めて戦っているんだ。僕の力は誰かを傷つけるための物じゃない。

 悪を滅ぼし、誰かを助けるためにあるものだ。

 

 こんなところで立ち止まっているわけにはいかない。

 

「そうね、だから風魔。行ってきなさい。もう会うことは出来ないけど、でも私たちはいつでも風魔のことを見守っているから」

「あぁ、だから安心して行ってこい。未来の警察官」

 

 二人は僕を黒葉君へ向けると、力強く背中を押してくれた。

 ここまで言われてしまったらもう後ろを振り返るわけにはいかない。

 

 僕は両親の死を乗り越えたつもりだったけど、でも未練が残ってた。だから僕はこんな夢を見てしまったんだろう。

 でも、もう僕は迷わない。振り返らない。

 二人の期待に応えるために僕はヒーローになる。

 

 だから最後に黒葉君へ向かって走りながら魂から叫ぶ。

 

「お父さん、お母さん、ありがとう! そして、さようなら!」

 

 もう二度と僕らは会うことは出来ないだろう。

 でも、二人は永遠に僕の中で生き続ける。二人がそう言ってくれたから。

 それなら僕は無限に強くなれる。無限の力を出すことが出来る。

 

「僕は倉風魔だ!!」




 はい!第290話終了

 さて、あと少しで力戦が完結します。

 そしたら次は由麻戦です。

 いやぁ、ここまで長かったですね。

 天空都市スカイ編もあともう少しですが、最後までお付き合いください!

 それでは!

 さようなら
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