それでは前回のあらすじ
風魔VS力もいよいよ大詰め。
風魔と力の戦いは激化する。
だが、力は《
それを受け、風魔は倒すことを諦め、足止めをする方法を考える。
そしてついに風魔は風神剣《大竜巻》で地面に風穴を開けることに成功、力をその穴から落とすことに成功した。
だが、まだ諦めていない力は這い上がろうとする。
そこで文が飛んできて、力に蹴りを入れることによって復活を阻止。ついに力をこの島から追放することに成功したのだった。
それではどうぞ!
side咲夜
マズイ。
マズイマズイマズイ。
妖夢がやられた。
あと残っている中で、まともに立たうことが出来そうなのは私一人。妹様は動いたらさらに傷口が広がるかもしれない。チルノたちじゃこの戦いには着いてこれない。
大ピンチだ。
落ち着け、集中しろ。
まだ私にもやれることがあるはずだ。能力が通用しなくても、私は戦える。
私は紅魔館のメイド長なのだから。
「へぇ、まだ戦意を失わないんだ。凄いねぇ。だけどもう決着は着いたんだよ。そう、僕の勝利っていう結末でね。お姉さんの能力は僕には通用しない。そっちの女の子は動いたら自滅する。白髪のお姉さんも僕に意識を奪われた。そっちの子たちはそもそも論外だ。さて、この状況でどうやって僕に勝つ気で居るのかなぁ?」
確かに由麻の言うとおりだ。
由麻の能力や魔法が明らかに厄介過ぎる。せめて私の能力が通用するというのなら、やりようがあるのだけど……。
でも、そんなないものねだりをしていても仕方がない。
パチンと両頬を叩き、気合を入れる。
「っ」
「やっほー、お姉さん」
次に正面へ目を向けたその時には鎌がすぐ目の前にまで迫ってきており、私はなんとか身体を反らすことによってギリギリ回避。その鎌の切先は地面に突き刺さり、氷のフィールドにヒビを入れた。
速い。
恐らくこの氷のフィールドを動き慣れているから、ツルツル滑るこの場を利用して移動速度を向上させている。
氷の上を滑り慣れていると凄まじく速く、しかも単に走るよりも体力の消耗を抑えることが出来る。
だけど、それは由麻だけの特権じゃない。
「ん?」
「私をナメないでちょうだい!」
私は由麻へナイフを振り切る。だが、当然のように鎌で受け止められてしまい、これ以上力を伝えることが出来ない。
この全ての威力を殺すっていうのは本当に厄介過ぎる。
最強の矛だし、最強の盾にもなりうると言うとんでも性能をした鎌。まさに常軌を逸した強さを持っているわね。
今までの人たちがなんで由麻に勝てなかったのかがよく分かるし、クリスタルがあるという大事な場所を少人数で守っているのか、嫌というほど理解させられた。
由麻という少女は化物なのだ。
すべての攻撃を受け止め、直撃したらアウトと言うとんでも攻撃を仕掛けてくる。
今までやられてきた人たちのやられ方が目に浮かぶようね。
「えいっ」
鎌を薙ぎ払うように振り、私を軽々とふっとばしてくる由麻。
私の力が伝わらないということは、私の体重何ていうものも無いも同然でしょうね。由麻にとっては今、埃を払ったのと同じ様な感覚のはず。
私はなんとか耐え、地に足をつけると、そのふっとばされた勢いを利用して力の方向を変え、地面を滑って由麻の背後へと回り込む。
「へぇ、お姉さんこういうの慣れてるの?」
「いえ、紅魔館の従者としては当然のことです」
視界の端でものすごく高速に首を降っている妹様が見えた気がするけども、今は戦いに集中。
両手にナイフを構え、由麻へと斬りかかる。
「あっははは、すごい、凄いやお姉さん。速いはやーい」
両手に構えたナイフで次々とラッシュを繰り出す。それを由麻は楽しげに鎌で防いでくる。
やっぱりなんだかちょっと遊ばれているような感じがして不愉快だ。私がこれだけ必死になっているというのに、由麻はまだ余裕があるという風なのが非常にむかつく。
だから私は全ての力を込めて由麻の胴体目掛けて蹴りを放った。
「だからね?」
「っ」
「なんでわっかんないかなぁ。僕にはどんな攻撃も通用しないんだよ」
私の渾身の一撃を込めた蹴りは軽々と鎌によって受け止められてしまった。
由麻はちゃんと見ている。私がどんな動きをするか、どんな攻撃を仕掛けてくるか。
私の事をナメているようで、その実ちゃんと見ていた。だからこそ、ナイフの攻撃の中に一つだけ混じった蹴りを見逃さず防御してきた。
私の方が由麻をよく見ていなかった。
「はーい、つっかまーえたー」
「なっ」
そしてそのまま私の足は由麻の手に捉えられてしまった。だけど、握られている感覚はそこまで力が籠もっているように思えない。
これならば、少し藻掻けば由麻の手を振り払うことが出来るだろう。
だから私は足を激しく動かし、由麻の手を振り払おうとした。だが、私の足はびくともしなかった。
頭が混乱するようだった。
込められている力は大したことない。だけど、由麻の手を振り払おうとすると、本能的にそれは無理だと理解できる。
本能的にこの子には勝てないって悟ってしまう。
これはいったいっ!?
「もうそろそろ気づいたでしょ? 僕に力比べを挑んでも無駄なんだって。僕にはね、『愛玩の加護』っていうのあるんだ。僕のこの手のひらで触れられている間、その人は僕よりもひ弱になっちゃんうんだぁ。つまり、僕の可愛い可愛い愛玩動物……ペットになるんだよぉ? だから、抵抗しても無駄無駄。お姉さんは今、僕のおもちゃなんだから。これからたっぷりと遊んであげるからね♡」
これはマズイ。
由麻の力が特別強いわけではないのに抵抗できない、力が入らない。
「まぁず、手始めにぃ……お姉さんの解体ショーでもやっちゃおっか」
「っ!」
「あ、でも、それじゃ一発目で死んじゃって面白くないよねぇ。ならさ、ならさ、手足を一本ずつ切り落としていこうか。お姉さんがどんな鳴き声を上げるのか、そしてダルマになったお姉さんはどうなるのか……僕、すっごく興味がある!」
この子、可愛い見た目をしてなんて残虐なことを言うのよ。それでも同じ人間なのかしら?
でも、この島で形成された価値観だと、この子は既に正常な思考を持てなくなっているのかしらね。
だとしても、こんなところでダルマにされるのはごめんよ。なんとしてでも由麻の手から脱出しないと。
そう思ってナイフを手に取るが、そのナイフは手から滑り落ちるようにして地面に落ちてしまった。
上手く持てなかった?
「だから言ったでしょ? 僕の手のひらに触れられている間は僕よりもひ弱になるって。僕ってさ、重たいものを持てないんだよ。見てよこの筋肉」
そう言って腕に力を込める由麻だが、筋肉はピクリとも動かなかった。
「ナイフは別に重たいものでもないわ。それに、あなたはその鎌だって持っているじゃない」
「ナイフなんて僕にとって重たいものだよ。あと、この鎌は僕の霊力で作り出しているから、重量なんて無いんだよ。僕が作っているものなのに持てなかったら間抜けも良いところでしょ?」
「くっ」
つまり、由麻に触れられている間、私は武器を持つことすら許されない?
それじゃあ、由麻の手を離す方法なんてもう……。
「咲夜から離れろぉっ! 禁忌《レーヴァテイン》」
でも、私一人で解決不可能なことでも、今はもう一人で解決しようとしなくても良い。
この場には私以外にも仲間が居るんだから。
「おぉっと」
妹様が《レーヴァテイン》を持って切りかかってきたため、思わず由麻は私の足から手を離して飛び退いた。
おかげで助かったけど、妹様の傷が――
「うぅ……」
更に先ほど斬られた傷口から激しく血が流れ始める妹様。
人間ほど大量出血に弱いわけではないし、吸血鬼だから血液操作で出血を抑えることは出来るし、血液の生成スピードも人間よりも速いけども、それでもあまり出血しすぎると取り返しがつかなくなってしまう。
「妹様、もう動かずに休んでいてください。ここは私が――」
「そう言って、咲夜、今死にかけていたでしょ」
「そ、それは……」
「大丈夫だよ。私は戦える。戦って、お姉様を助けなきゃいけないんだから。今が無理をするときなんだから」
妹様の覚悟はもう決まっていた。
従者の私からすると心配だし、安静にしていてほしいっていうところなんだけど、これ以上言うのも野暮っていうものなんだろうか。
「あ、あたいも!」
「私も戦います!」
「私もここまで来たんだったら戦うよ」
「はい、私たちを頼ってください」
チルノ、大妖精、リグル、ミスティアも戦う意志を見せてくれた。
どうして私は一人で戦うことばかりを考えていたんだろう。チルノたちが由麻に敵うとは思えない。だけど、私一人で戦うよりは全然いいはず。
「うぅ……これって私も戦う流れ……」
「結乃ちゃんは戦闘力が無いから、待機でお願いします」
「そ、そう言われるとちょっと悲しい……」
結乃も勇気を振り絞って戦おうとしたものの、流石に結乃が戦うのは厳しいということで大妖精が引き止めていた。
でも、結乃が居ることで回復が出来る。
私たち全員の力を合わせれば必ず由麻にも勝てるはずだ。
はい!第293話終了
いざ総力戦。
由麻の身体能力はそこまで高いわけではないんですが、由麻の持っている能力がどれもこれもチートですよね。
今まで由麻に挑んできた人たちはみんな鎌で意識を奪われて洗脳されたか、愛玩動物にされてじわじわと殺されるかと言った感じでした。
ちなみに、咲夜はその一歩手前まで行ってしまったのですが、あのまま咲夜が幻覚から目覚めなければ発狂死していました。
そのため、中には発狂死してしまった人も居たとか。
恐ろしいですね。
それでは!
さようなら