それでは前回のあらすじ
咲夜と由麻の戦いは続く。
由麻にラッシュを決めつつ、攻撃を当てる隙を探る咲夜。
蹴りを放ったところで咲夜は由麻の手に掴まってしまい、『愛玩の加護』で非力にされてしまう。
万事休すのところでフランが助けに入った。
フランはこれ以上戦いを続けると更に傷口が広がる可能性があるが、それでも戦うという。
そしてチルノたちも戦いに加わると言う宣言をした。
ついにVS由麻の総力戦が開幕する。
それではどうぞ!
side咲夜
「はぁ……君たちって本当に何もわかってないよねぇ。数をそろえたくらいで僕に勝てるんだとしたら、今までに僕は何度も殺されているよ。だからね、君たちが一致団結したところで僕には絶対に勝てないって言うこと!」
突如風が吹き荒れる。
突風って言ってもいいくらいに強い風を浴びた私たちは何とか踏ん張ろうとするものの、足場が凍っているせいでうまく踏ん張ることができずもれなく全員飛ばされてしまった。
全員背後の壁に激突。やっぱりこの氷のフィールドの上では由麻に軍配が上がるか……。
でも、こっちには氷のフィールドが関係ない人がほとんどだ。妖怪や妖精は基本的に空を飛べる。
妹様は飛び上がると手に《レーヴァテイン》を構えて由麻へ向かって飛び出した。
「禁忌《フォーオブアカインド》」
さらに四人に分身し、由麻を取り囲む。
唯一、妹様だけは由麻の能力に対抗することができる。妹様の場合、《
つまり、由麻の天敵だ。ただし、妹様のダメージでどれくらい動けるかっていうところが問題だ。
吸血鬼である妹様ならば人間よりも動けるでしょうが……。
「ねぇ、分身するのは反則じゃないかなぁっ!?」
「反則なのはどっちの能力の方よ!」
妹様の四方向からの攻撃をジャンプすることによって回避する由麻。そしてそのまま飛び退くと、滑って下がりながら鎌を振るう。
あの鎌の攻撃の直線状に居たら、どれだけ離れていても斬りつけられ、しかもその傷口は閉じないというおまけつき。
一度妹様は受けているから、もうそんな攻撃は受けない。
妹様は分身を盾に攻撃から身を守ると、今度は弾幕を作り出した。
「禁忌《クランベリートラップ》」
一度《フォーオブアカインド》を解除して全力を込めた弾幕を由麻に放つ妹様。
「《氷壁》」
そんな大量の弾幕を前に、氷で巨大な壁を作り上げることによって弾幕から身を守ろうと由麻は考えたのだろう。
甘い。
妹様の弾幕の威力を舐めていたら痛い目を見るわよ。
そんなもので妹様の攻撃を止められたら私たちは暴走した妹様を止めるのをあんなに苦労していない。
ドガアアアアン。
弾幕が氷壁へ直撃した直後、爆発のような轟音を鳴らし、氷壁が木っ端みじんに粉砕された。
あんな脆い壁で妹様の弾幕を止めることができるはずがない。
「やった!?」
氷壁が崩れ、氷壁の向こう側の景色が露になる。
すると、そこには誰も居なかった。さっきまでちゃんと由麻がいたはずなのに、氷壁を突破した弾幕は由麻にあたることはなく、ただただ向こう側の壁に直撃した。
「もちろん僕は馬鹿じゃない。君たちの力を考えられないわけじゃない」
「っ!」
「だから僕は強いんだ」
ふらぁっと妹様の背後に現れた由麻はそのまま妹様の背中に生えている枝のような羽をわしづかみにしてしまった。
そうか、今の氷は目隠し。自分がどう行動するかを悟られないために使ったフェイク!!
とにかく妹様を助けないと。
「く、力が入らない……けどっ」
妹様は振り向きざまに由麻へと手を触れる。
「私の能力ならっ、え?」
だけど、何も起こらなかった。
妹様の『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』が発動しなかった。そのことに驚愕し、妹様の濡れた瞳が揺れる。
そんな妹様の様子を見た由麻は余程その顔が面白かったのか、笑い声をあげた。
「あっはっは……ほんっと、最高だね、その顔。僕が求めていたのはその絶望の表情だよ。言ったでしょ? 僕が触れた相手は僕よりもひ弱になるって……僕に危害を加えることができるような能力を使えるとでも思っているのかなぁ?」
まさか能力まで封じてしまうとは。
あれではさすがの妹様も自力での脱出は不可能。早く助けないと――
「おっと、お姉さん。動かないでね? お姉さんが動いたら僕、この子を殺しちゃう」
「っ!」
「そっちのクリスタルの前で不穏な動きをしている子たちもやめておいた方がいいよ。僕の目が黒いうちはこの像を守っている結界よりも強い結界でクリスタルが守られてるからね。壊そうとしてもいいけど、無駄だよ?」
チルノたちは私と妹様が戦っている間にどうにかクリスタルを破壊することができないか動いていたみたいだけど、どれだけ弾幕を当ててもびくともしていなかった。
おそらく由麻の言っていることは全て事実だ。
そして私も動けない。さすがに妹様を見捨てて由麻に特攻するなんてことはできないから。
「咲夜! 私のことは良いからこいつを早く倒して!」
「お仲間意識が強い君たちが、そんなことできるのかなぁ?」
無理だ。
私にはできない……。
「お利口さんだねぇ。じゃあ、そんなお利口に免じてお姉さんからまずは殺してあげるよ」
私はこのまま由麻に殺されるしかないのか?
私がちょっとでも動いたら妹様が殺されてしまう。時を止めたとしても由麻には通用せず、おそらくそのまま妹様を殺されてしまう。
私には妹様を見捨てるなんてことできない。
「じゃあね、さようなら――」
その次の瞬間だった。
突然由麻はぶっ飛ばされ、妹様から手を放して床を転がっていった。
あまりに突然の出来事で私たちは全員固まってしまった。そして私たちの視線はとある一点へと集まってゆく。
「妖夢?」
そこには妖夢がいた。
妖夢が妹様を掴んでいた由麻を蹴り飛ばしたのだ。それも、由麻も全く反応できないくらいの速度で。
いや、妖夢に関しては先ほど意識を奪ったって言うのがあるから油断して意識外に置いていたのだろう。
だから妖夢に反応することができなかった。
「妖夢、よかった。目を覚ましたのね」
相変わらず刺された箇所からは凄まじい出血がある。
立っているだけでやっとという感じでふらっふらだ。それでも立ち上がって妹様を助けてくれた。
私は妹様に揺さぶられて声をかけられることで意識を取り戻したから、おそらく何かの衝撃があれば意識を取り戻せるのだろう。
だから、チルノたちが妖夢を起こしてくれたのかしら。
「妖夢、体はもう大丈夫なの? 妖夢……?」
私が妖夢へ呼びかけても何も返事がない。
「なんで、なんで動けるのよ! お姉さんの場合傷が浅かったから簡単に解除されたけど、あれだけ深く刺せば私が解除しない限り動けないはずでしょ!」
「え、どういうこと?」
私のように衝撃を与えても起きることはない?
ならなんで妖夢はこんな風に動いて……まさかっ!
「よう……む?」
私は俯いている妖夢の顔を下から覗き込んだ。
そして私は驚愕した。
「目、閉じてる」
妖夢はまだ目を覚ましていなかったのだ。
はい!第294話終了
ついにここまで来ました。
あと2~3話で由麻戦を終わらせたいと思います。
ついに天空堕とし編も終盤。
楽しんでいってください!
次回名前回です。
ちなみに明日って僕の初投稿記念日なんですよね。
これで9周年になるわけです。
なので、いつも通り、三話投稿しますので、お楽しみに。
それでは!
さようなら