【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 妖夢と妖忌の鍛錬。

 妖夢には思考が遅いという欠点が存在した。

 雑念が多すぎるがゆえに極限の集中状態に至れないのだ。

 だが、妖忌が思わず妖夢を気絶させた瞬間、妖夢は無意識状態で動き、そしてついに妖忌に一撃を入れることに成功した。

 この時、ついに魂魄妖夢という剣士は完成に至ったのだ。



 それではどうぞ!


第296話 奇跡の足音

side咲夜

 

 今、妖夢の身に一体何が起こっているの?

 様子を見るにまだ目が覚めていないようだけど、それでも動いて由麻を蹴り飛ばした。これは一体?

 

 ゆらぁっとまるでゾンビのように不気味な様子。

 私たちとは別の次元、別種の生き物を目の当たりにしているような感覚。その圧、気配に私の本能が妖夢に怯えている?

 妖夢を眼の前にすると手が、足が震える。

 

 この意識の無い妖夢は果たして私たちの味方なのか否か……。

 

「ありえない、ありえない。この僕の加護が破れるなんてことは絶対にありえない。ありえないんだよぉっ!」

 

 由麻が氷のフィールドを利用して超スピードで妖夢に急接近。鎌を振りかぶる。

 だが、すでにそこに妖夢の姿はなく、代わりに由麻の背後に妖夢の姿が見えた。

 

「うっ」

 

 その直後、由麻は膝をつき、地面に四つん這いになると、地面が真っ赤に染まっていく。

 よく見てみたら由麻の腹部から出血しており、大量に床へこぼれ落ちているといった様子だった。

 妖夢は恐らく、あの一瞬ですれ違いざまに由麻を斬ったのだ。その早業、私の目では一切捉えることが出来なかった。

 

 さっきまでよりも圧倒的に速くなっている。

 由麻が鎌で防御をする時間もなかった。

 

「っ、《タノシイ夜の道化芝居(キリングサーカス)》」

 

 すると、今度は由麻は能力を発動し、私たちに幻覚を見せてきた。

 

「僕が負けるわけがないでしょぉっ!」

「それなら、私がっ」

 

 妹様が妖夢に迫りくる幻覚を食い止めようと手を伸ばしながら走るが、足がもつれて倒れ込んでしまった。

 

「妹様!?」

 

 傷が一切塞がらない。さっきから血が流れっぱなしだ。

 さすがの吸血鬼と言えども体力の限界と言ったところなんだろう。ならば、もう妹様に無理をさせることなんてできない。

 

 この能力は妹様以外では突破が難しい。私も由麻へ接近するのはかなり苦労するのだ。

 だけど何だろう、今の妖夢を見ていたらそんな心配はいらないって、そんな気がしてくるほどになんだか頼もしい。

 まるで霊夢が目の前にいるかのように……。

 

「人符《現世斬》」

 

 ガガガガンっ!

 妖夢に迫ってきていた大量の鉄球。それに火の輪。

 それらが一瞬にして切り捨てられた。私には妖夢のその刀がただ一瞬ぶれたようにしか見えなかった。

 だけど、瞬きをして次に目を開けたその時には妖夢に迫る脅威、その全てが切り捨てられていた。

 

 さっきまでの妖夢とは全然違う。

 スピードも動きも何もかも。さっきまではドタバタ感があったのに対して、今の妖夢の動きがさっきまでの無駄な動きが無くなって洗練されているように見える。

 

「化け物がっ!」

 

 だけど、由麻はそこでやられるような奴じゃなかった。

 突如暴風が発生すると、妖夢の衣服が少し切れた。見えない風の斬撃を周囲に放っているんだ。

 私が樹海を使うことが出来ていればどこに斬撃が来ているのか把握できるだろうけど、今こんなところで探るように樹海を使ってしまったら私の頭が壊れてしまう。

 

「っ」

「まだまだ、こんなものじゃないよ!」

 

 次に由麻を中心に炎が広がった。一瞬にして氷のフィールドは解け、足場が元に戻ったがその代わりに周囲に高温の熱気が充満し、呼吸をするたびに肺が焼かれるのを感じる。

 そして風の斬撃は炎の影響を受けて高温の風の斬撃となり、中には炎を纏って炎の斬撃となって襲い掛かってくるものもある。

 

「妖夢っ!」

 

 妖夢へ迫る炎の斬撃を見て妖夢へ叫んだ。

 


 

side三人称

 

 妖夢はずっと夢を見ていた。

 自分が誰よりも強くて、霊夢の様に誰からも信頼されるようなそんなすごい剣士だったらどんな未来が待っているんだろうと。

 誰からも頼られて、誰にも負けることは無くて、助けたい人は全員助けることが出来る。

 

 でも、そんな力は妖夢にはないということを妖夢自身が一番知っていた。

 一度も祖父に攻撃を入れることは出来なかったし、自分の力に自信が無いせいで色々と考えすぎて攻撃のテンポが遅れてしまう。そんなことは妖忌に指摘されるまでもなく完全に理解していた。

 それでも、性格というのはなかなか治すことが出来ない。妖夢がこの弱点を克服するためには自分に自信を持てるようにならなければ無理だろう。

 

 でも、長年染みついてきた自身の無さはそう簡単に払拭することが出来るものではなく、妖夢がどれほど頑張って弱点を克服しようとしても無理だった。

 たった一つの方法を除いて。

 

 それは、妖夢が無意識になるということ。

 無意識になりさえすれば妖夢は頭で考えて攻撃するというテンポが悪くなってしまう原因を取り除き、瞬時に動くことが出来るようになる。

 だが、言うは易し。普通の人は気を失っている、意識の無い状態で戦うことは不可能なのだ。当然だ、意識がないということは体を動かすこともままならないのだから。

 

 だから、普通はできない。それは霊夢も例外ではなく、霊夢も完全に意識を失っている時は動けないし、戦うことなんて不可能だ。

 だが、妖夢は彼女自身の才がそれを可能にしている。

 今までの研鑽、経験、その体に染みた技術、力が無意識の身体を無意識に動かす。

 

 体が妖夢の今までの努力全てを覚えているのだ。

 

 だからこそ――

 

「はぁっ!」

「なっ」

 

 妖夢の刀は炎の斬撃を斬り、霧散させる。

 気を失うことによって妖夢は自分の弱点である、判断の鈍さを克服してしまったのだ。

 これによって実力は満ちた。集中力も申し分ない、みんなを助けたいという強い思いもある。

 

 咲夜の感じていた別種の生き物になったみたいと言う表現、それは的を射ている。

 

 妖夢は気を失い、その動きを洗練させることによってついに至高の領域に到達したのだ。

 至高の領域、それは正しく別次元の強さ。普通は到底到達することが出来ない領域で、一部の才能に恵まれた人物が稀に到達することが出来る領域。

 才能があるからと言って確実に到達することが出来るという確証はなく、自由自在に至高の領域に入ることが出来る霊夢が異常なだけなのだ。

 

「ふぅ……」

 

 至高の領域に到達し、完成した妖夢の剣術が由麻の首を狙う。

 今の由麻の気分は蛇に睨まれた蛙のようだった。




 はい!第296話終了

 えー、この作品では通算三人目の至高の領域到達者ということで。魂魄妖夢さんが三人目です。

 レミリア辺りが三人目だと思っていた人は多かったのではないでしょうか?

 妖夢は意識を失うことによって実力を底上げし、場合によっては至高の領域に到達することが出来ます。

 そして至高の領域に到達せずとも妖忌に迫るほどの実力になれるわけですが、至高の領域に到達することによって、その実力は一時的に妖忌を超えるほどのポテンシャルを引き出すことが出来ます。

 経験的に実際に戦ったら妖忌が勝つかもしれませんが。

 さて、おそらく次回由麻戦ラストです。

 この後、19時にも投稿されますよ!

 それでは!

 さようなら
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