【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 凄まじく強くなった妖夢を見て敗北を考えた由麻は絶対に負けないよう姿をくらまし、分身に咲夜達を襲わせる。
 これじゃ由麻を倒すことが出来ない。

 そこでフランは全てを破壊したら由麻が見えなくても倒せるのではないかと考えた。

 咲夜とフランは妖夢の刀に能力を込め、強化する。

 そしてついにその刀で妖夢は像を跡形もなく木っ端微塵に破壊し、由麻を撃破してクリスタルを破壊することに成功したのだった。



 それではどうぞ!


第298話 天が割れる

side黒葉

 

「今すぐ殺す、今すぐ君達を細切れにしてあげるよぉっ! 《亢竜有悔(こうりゅうゆうかい)》」

 

 龍が腕を上に振り上げた直後、俺達の足元が影に飲まれたように真っ黒に染まった。

 クリスタルが破壊されない限り、龍の手数は無限大だ。だから、龍はこんなことも出来てしまう。

 嫌な予感がした俺は身構えるが、その直後、足元から大量のドラゴン頭が次々と飛び出してきて、俺達を攻撃していく。

 

「くっ」

 

 足元の黒い部分だったらどこからでも出てくるから全然どこから攻撃が来るのかが予想できない。俺の目で見ても全体的に霊力が渦巻いているからどこから来るかというのが予想できない。

 なんとかドラゴン頭が少しでも出てきた瞬間に反応して回避する。

 だけど、反応速度に俺の体が追い付いていなくて、かなりぎりぎりの回避になっている。

 

「っ! 姉貴」

 

 見ると、姉貴は両腕にかみつかれ、動けなくなっている状態でさらにドラゴン頭が襲い掛かってきて、姉貴にどんどんと食らいついて行っている様子だった。

 どうにか助けに行きたいが、俺もこの攻撃を対処するので精一杯。

 無理だ。

 

「最初っから諦めていればここまで辛い思いをしなくて済んだのになぁ」

「は?」

 

 気が付いた時には地面の影は消え去り、そして目の前に龍が迫ってきていた。

 ダメだ、集中しすぎて周囲に気を配れていない。龍が走ってきていたことに全く気が付かなかった。

 ここからどうやって反撃したらいいんだよ、速すぎるし、攻撃も入らない。

 

「らぁっ」

 

 やけくそで龍に刀を振るうが、その刀は龍に直撃する前にピタッと見えない壁にぶつかって止まってしまう。

 やっぱり空間を絶たれている。

 

「いやいや、攻撃がなってないよね。攻撃って言うのは、こうするんだよっ」

「がはっ」

 

 龍はほぼノーモーションで拳を俺の腹に叩き込んでくる。振りかぶったわけでもないのに、この威力……あの《龍武装(ドラグーン)》の効果で攻撃力が底上げされているのか。

 そして龍は同時に俺の背後の空間を断絶したのだろう。

 俺の体はぶっ飛ぶことができず、そのまま龍の拳がメリメリと俺の腹にめり込んでいく。

 

「どう? これで少しは僕を痛めつけてくれたこと、反省したかな? でもね、君が今まで僕を斬ってきた罪というのはこの一撃だけで終わるはずがないんだ。君はさんざん僕のことを愚弄し、嘲り、細切れにしてきた。それは決して許されることではないよ。君達のような矮小な生き物が僕に逆らうこと自体が間違いだったんだ。僕は完璧だ、僕は崇高な存在だ。そんな僕をどうにかできると思うことが大間違いなんだよ。諦めなければなんとかなる? 奇跡を起こす? そんなのはね、ありえないんだよ。神様が微笑んでいるのは僕だ。神は僕が勝つことを願っているんだ。だってそうだろう? 君達と僕とでは生物としての作りが違うんだからさ。僕は勝つように作られている。君達のようなちっぽけな存在とはわけが違うんだよ。それがわかったら、来世では大人しく、静かに暮らすことだね!」

「うっ、が、だはっ、がぁっ!」

 

 俺に何度も何度も連続でパンチを放ってくる龍。

 俺の周りの空間は断絶され、俺は身動きを取ることができない。その状態で何度も何度も殴られてしまう。

 防御も回避も不可能。ただただ、俺の肉体に龍の拳がめり込む激痛がほとばしる。

 

 何度も意識が飛びそうになった。だが、その度に激痛が俺を叩き起こす。

 体中の至る所から血が流れ出し、意識がもうろうとし、つい狂獣技(ビースト)を解除してしまった。

 

「おいおいおい、さっきまでの威勢はどうしたんだぁ? もう死にそうなのか? ならば、僕がこの手でとどめを刺してあげるよ」

「あなたの言葉、聞けば聞くほど身勝手ね」

「あ?」

 

 龍が拳を振り下ろした瞬間、俺と龍の間にグングニルが差し込まれ、龍の拳が受け止められた。

 

「レミリア嬢、まだ生きていたのかい? うれしいね、これでまだ君を痛めつけることができるんだから」

「知ってたかしら? DV男って言うのは嫌われるのよ」

「DV? 今、僕の行いをDVだと称したのか? それはいくら何でもないだろう。僕はこれ以上ないくらいに君達に寄り添っていると思うけど? それをDVだなんて……心外だよねぇ! 僕は今まで何度も君達へ降伏を勧めてきた。僕は争うことが好きじゃないからね。でも、僕に歯向かってきたのは君達だ。僕はそれを迎え撃っているだけ。DVはいったいどっちなんだろうねぇ!」

「でも、残念ね……」

「どういうこと?」

「いやだって……もうあなたからのDVはもう受けなくて済みそうなんだもの」

 

 姉貴がにやりと笑ってそう言った直後、大地が揺れ始めた。

 まるで大気が泣いているよう、大地が恐怖に震えているようにも感じた。そしてビシッという音と共に地面に大きな亀裂が走った。

 あまりの巨大地震に教会が崩壊し、俺達に瓦礫が降り注いでくる。

 

「《炎舞》っ!」

 

 何とか刀で瓦礫を払い除け、対処。

 姉貴も瓦礫を回避して回避不可能な瓦礫はグングニルで破壊されていた。ただ、これによってある問題が発生してしまった。

 そう、姉貴が太陽の下にさらされてしまったのだ。なにやら俺はこの能力を使っている最中は太陽に焼かれないようだが、姉貴はそうではない。

 

 どうにか姉貴を日陰に移そうと動くと、姉貴はグングニルで己の左腕に少しだけ切り傷を付けたのが見えた。

 

「血液操作……アンブレラ」

 

 すると、姉貴の腕から流れ出た血液は姉貴の真上で凝固。まるで日傘のように姉貴の体を太陽から守り始めた。

 通常、血液も己の肉体の一部のため、太陽に焼かれるが、凝固した血液は吸血鬼の肉体判定ではないのだろう。だが、その操作権は依然、姉貴にある。

 姉貴は血液操作で一瞬にして血液を凝固させて簡易的な日傘を作り上げたんだ。

 

「いったい何が起こって!?」

 

 耳を澄ます。

 すると風を切るような凄まじく暴風と言えるような荒々しい音が耳に届き、音の聞こえる方へと視線を向けてみる。

 俺はハッとした。

 

 なんと、音の聞こえた方へと視線を向けた俺の視界には像のある場所に巨大な竜巻が発生している絵面が見えたのだ。

 そして像を中心としてどんどんと地面が崩れていく。

 それを見て俺は点と点が線でつながったような感覚になった。

 

 やったのだ、師匠達がクリスタルを破壊してみせたのだ。奇跡がまた起こったのだと。

 クリスタルが無くなったことによってこの島をとどめておいたエネルギーが無くなり、スカイがどんどんと崩れ落ちていっているのだ。

 

「師匠……みんなっ!」

 

 クリスタルが破壊された今、いずれこの島は跡形もなく崩れ去って、龍の作り上げたこの地獄のような島は終わりを告げる。

 俺達の勝利だ、師匠達がやり遂げたのだ。

 

『黒葉、ついに咲夜達がクリスタルを破壊したわ。私はこれから次の作戦に移行するわね』

 

「了解」

 

 紫さんからの通信。

 クリスタルを破壊できた直後は龍達以外の全ての人々を紫さんのスキマを使って地上へ送り届けると言うことになっている。

 クリスタルを破壊し、姉貴を助けることが出来たのなら、後は龍達を倒すかどうかと言うのは関係ない。とにかく離脱することが出来れば俺達の勝ちだ。

 

「姉貴!」

 

 これより離脱を開始する。そのため、俺は姉貴に手を伸ばして一緒に脱出しようとする。

 出来ることはもうすべてやった。後は離脱するだけ。

 何も問題はない――

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ、よくも、君たちよくもやってくれたね。君たちのおかげで僕が今まで作り上げてきたもの、計画、そのすべてが水の泡だ。この島の圧倒的テクノロジーは一瞬にして失われ、僕の力までも奪って、こんなに僕から奪って恥ずかしいと思わないのかこの恥知らずめ。僕はただ、理想郷を作りたかった、だから人を集めた。僕は何も悪いことなんてしていない。お前らが! 僕からすべてを奪ったお前らが悪者だ! この悪人どもめが!」

 

 なんか龍が超理論を展開してこっちを責め立ててきている。

 今の状態を見ていると焼けになってあらゆるものを破壊しかねないな。追い込みすぎた。

 

「……姉貴」

「えぇ……分かっているわ」

 

 俺の言いたいこと、姉貴も理解してくれたようだ。

 本来はこのまま帰るつもりだったけど、どうやらそうもいかなくなったらしい。姉貴と意思を確認しあうと、俺は姉貴に伸ばしかけていた手を引っ込めて共に瓦礫の上に立った。

 どんどんとボロボロに崩れていく島。恐らく俺と姉貴以外の人達は既に順次避難を開始しているんだろう。

 

「紫さん、俺と姉貴を連れ帰るのはもう少し待ってくれ」

 

『な、何を言っているのよ! もうその島は崩れるのよ! もう一刻の猶予もないのよ。あなた達がどれほど頑丈でも、それだけの質量の島の下敷きに慣れば死ぬわよ! あなた達が帰ってこないでどうするのよ』

 

「俺と姉貴は龍を倒してから行く。俺達は追い込みすぎた。万が一、地上でこいつが生き延びるようなことがあれば、こいつは何をしでかすかわからない。今ここで倒しておくしか無いんだ。と言っても、姉貴はもとよりそのつもりだったみたいだけどな」

 

 姉貴の目からは強い闘志を感じる。

 クリスタルを破壊できたからと言って、そのまま退散する気は更々無かったらしい。

 

『……信じていいのね。本当に、無事に龍を倒して帰るって、信じてもいいのね』

 

「あぁ、信じてくれ。俺と姉貴の勝利を……っ!」

「おいおい、何か君達勘違いしているんじゃないかい? 確かに僕の力の源は失われたさ。島も失われ、無限の悪食も失われた。でも、僕にはまだ『未来を見る程度の能力』が残されている。別に君達は強くなったわけじゃない。それに、加護も全く使えなくなったわけじゃないんだ。君達じゃ僕には叶わないって言うことを教えてあげるよ」

 

 俺達のラストバトルが今、幕を開ける。




 はい!第298話終了

 ついに始まる三章ラストバトル。

 やっぱり三章のラスボスは桑間龍でしょ、というわけでね。

 クリスタルを破壊したことによって大幅に龍は弱体化。制限付きで『悪食の加護』を使うことが出来るとは言え、完全な無敵というのは無くなりました。

 三章も残り少し、最後までお付き合いください。

 それでは!

 さようなら
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