前回のあれからどうなったのでしょうか。
それでは前回のあらすじ
白愛は能力者だった。その事を知った黒葉は驚きが隠せない。
そのお陰で敵は倒せた――のだが、力を使い果たして白愛は倒れてしまうのだった。
僕はお姉ちゃんの言うことがイマイチ理解出来ていなかった。
いや、理解したくなかったと言った方が正しい。
だって、その言い方だったら、まるで――
「やめてよお姉ちゃん、そう言う言い方。あ、分かった! いつものように僕をからかってるんでしょ!」
まるで、死んでしまうみたいな言い方じゃないか。
だけど、そんな現実は認めない。僕はいつも通りのテンションでからかっているのを暴いてやったぞとでも言いたげな口調で言った。
だが、自分でも気がついていた。この傷ではもう助かる確率は限りなく低い。
だからこそだろう。俺の声は震えていた。
「黒葉も分かっているでしょ? この傷じゃ助かりっこないって」
「…………ねぇ、嘘だと言ってよ。嘘だと言って元気に立ち上がって、そして明日からも稽古をつけてよ! 僕はお姉ちゃんのことを信頼していた、尊敬すらもしていた。お姉ちゃんがいなくなったらこの先、どうすればいいか分からないよ……」
縋り付くようにお姉ちゃんに抱きついて言った。
だが、そんな僕の様子を見てお姉ちゃんは僕の頭を優しく撫でるばかり。なにも、言えないのだ。
「黒葉、一つ出来たらでいいんだけど、私のお願いを聞いてくれないかな」
「うん、なんでも聞く。何でもするよ。だから、なんでも言って?」
「分かった。じゃあ、一つ。私が居なくなっても怒りで我を忘れることだけはしないで。我を忘れたら足元を掬われる可能性があるから。そしてもう一つが、私の目的であった異変解決」
「異変?」
「うん、私はこの里では一番強いかもしれない。だけど、外には私よりも強いやつなんて五万といる。だから強くなって今起こっている異変を解決する。それが私の目的であり、目標だった」
初めて聞く姉の本心に僕は心を揺れ動かしながら静かに聞いていた。
そしてある決意がふつふつと湧き上がってきた。
どうしてこんなにもいい人が死ななくちゃいけないんだろう。どうして悪人が、敵が、妖怪がのうのうと生きているんだろう。
許せない。
初めてだった。
僕は気が弱い。それ故、いつも怒ると言うよりは誰かにペコペコしているのが僕だった。
だけど、今の僕は明確な怒りと、
「黒葉、お願い。その異変の主犯を私の代わりに倒して」
「うん、任せて。その異変の主犯と妖怪は僕が殲滅する」
「あれ、ちょっと、おかしな方向に決意しているような気が……まぁ、いいか。今は考えるのがだるいし……。ねぇ黒葉、こっちに来て?」
「どうした、のっ!」
僕は何が起こったのか理解が出来なかった。
だけど、気がついたらゼロ距離にお姉ちゃんの姿があって、そして額には柔らかな感触が会った。
「
その呟きが聞こえた瞬間、僕の中に何かが入ってくるような感覚が走った。
奇妙な感覚だった。
妖怪と戦って体はボロボロだと言うのに、体力が回復していくような感覚が。
――喰らえ。
え?
――憎むもの、全てを喰らえ。
憎むもの、全てを……喰らう。
「大丈夫?」
「あ、姉ちゃん。大丈夫だ」
「え、黒葉?」
「絶対に、姉ちゃんのお願いを果たしてみせるから。だから、安らかに眠っていてくれ」
「うん、ありがとう。もう、限界だったんだ」
それを最後に姉ちゃんは僕の膝の上で力尽きてしまった。
もうピクリとも動かなくなってしまった。抜け殻のようになってしまったのだ。
そして、そんな姉ちゃんを連れ帰って埋葬しようと考えていると、左腕に衝撃が走った。
それと共に襲ってくるのはこの世のものとは思えないほどの激痛だった。
「あれ、心臓を狙ったつもりが外したか」
左腕を見てみると、僕は驚愕した。
そこには元々あったはずの左腕がなくなってしまっていたのだ。
「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
あまりの激痛に叫んで地面を転がることしか出来なかった。
「まぁ、いいか。次は外さないし」
僕は睨みつけるように言葉を発しているやつの方を見た。
そして直感で確信した。こいつが、今回姉ちゃんが死ぬ原因を作ったやつだと。
もう一発同じやつをはなとうとしているが、そんなことは関係ない。
「喰ってやる」
「あ?」
「ぜってぇにお前も、妖怪も、全て喰ってやるからな! 俺がお前らを喰ってやるからなっ!」
「出来るもんなら、やってみろ!」
そうしてもう一発攻撃を放ってくる奴。だが、俺にそれを回避する手段は持ち合わせていなかった。
姉の死に際の願いを俺は果たせずに死んでしまうのか?
そう思ったその瞬間、
「させないわよ」
どこからともなく真っ赤な槍が飛んできて、その攻撃を相殺してしまったのだ。
「酷い怪我ね、死んでいてもおかしくなかった。恐らくその子のお陰で、今は生きながらえていると言ったところでしょうね」
その人は真っ黒な翼を生やしている女性だった。
目は真っ赤で、牙を生やしている。
確実に人外だ。
「おやおや、吸血鬼さんが何用だ?」
「あんたに暴れられたら困るから止めに来たってだけよ。だけど、ちょっと遅かったみたいね」
「そうかそうか。まぁ、いいや。俺はそんな小僧に興味はないし。あんたとも戦う気はさらさらないから、ここら辺でずらかるとするか」
「させるとでも?」
吸血鬼はもう一度槍を生成するとやつに向けて放つものの、その槍がやつに当たることは無かった。
まるで火が消化するように消えてなくなったのだ。
「本当に厄介な能力ね。さて、どうしましょうか。普通に治療しただけじゃ、助かる確率は低いでしょうね。やるしかなさそう……坊主、ちょっと我慢しててくれる?」
「え、な、何を」
すると、吸血鬼はどんどんと俺に近づいてきた。
何かをされる。そう身構えたものの、抵抗することは出来ずにその吸血鬼は俺の首筋に牙を突き立てた。
「ぐっ」
鋭い痛みだ。だが、以外にもそれほど痛いというわけじゃない。注射に刺された程度の痛みだ。
だが、それでもいい気分はしない。なぜなら、俺は今、吸血鬼に吸血されているのだから。
「この、化け物が」
「ふふ、今からあなたもその化け物になるのよ」
「何っ」
ドクン。
一瞬だけ、心臓が大きく跳ねた。
そして体が焼けるように熱くなっていく。暑さを通り越して痛いほどだ。
「な、何をした」
「ちょっとね、ヴァンパイアウイルスを注入しただけよ」
「くそ、この……」
そこで俺の意識は途絶えた。
俺はこの日のことを忘れることは絶対にないだろう。
絶対に妖怪を殲滅し、あの男を喰らってやる。
はい!第3話終了
察しのいい人は最後にでてきた人物が誰なのか分かるでしょう。
それでは続きは来週です。
それでは!
さようなら