それでは前回のあらすじ
龍戦もいよいよ大詰め。
崩れ行くスカイでの最終決戦。
スカイが崩れていくという制限時間以内に龍を倒すという短期決戦を強いられる黒葉とレミリア。
だが、すでに二人とも体力の限界が来ていて、黒葉はついに倒れこんでしまう。
そしてレミリアもやられてしまうのだった。
それではどうぞ!
side黒葉
姉貴は力なくただぶら下がっているだけという様子。グングニルを持つことも出来なくなってしまったのか、地面にグングニルが落下し、霧散した。
俺が離れてしまったその少しの間に姉貴はあんなにボコボコにされてしまったのか。
「僕を倒す? 奇跡を起こす? そんなのは最初から無理だったんだよ。大人しく僕に逆らおうなんて思わなければこんなに辛い結末になることはなかったのにね。それに、欲をかいて僕を倒そうなんて思わなければよかったんだよ。島を破壊できただけでも君達はとても健闘したと言っていいだろう。そこで僕から逃げたとしても誰も文句なんて言わなかっただろうさ。今君達が地面を這いつくばる結果になったのは欲をかいたからだ。昔から言うだろ? 二兎を追うものは一兎をも得ずって。君達の欲が招いた結果だ、それをしっかりを受け止めるんだな」
「姉貴ぃぃぃぃぃっ!」
龍は姉貴を持ち上げている手を島の破片の外に出すと、そのまま手を放し、姉貴を島の下へと落下させてしまった。
姉貴は一応羽があるから飛べるけど、でもあのボロボロの状態で果たして飛ぶことができるのかという問題がある。
『黒葉、さすがにもう無理よ。龍のことは諦めなさい』
「はぁ……はぁ……でも、それじゃあまた新たな犠牲者が」
『そんなことを考えている暇があったら逃げることを考えなさい。あなた達はよくやったわ。龍の言う通りよ。欲をかいたら取り返しのつかないことになるわ。冷静になりなさい、あなた達が今すべきなのはなに? あなた達の目的はいったい何? 少なくともあなた達の今の目的は龍の撃破ではない。レミリアを助けることだったはずよ。そこら辺、はき違えるんじゃないわよ』
確かにそうだ。
俺達の目的は姉貴の救出。だけど、龍を放置していたら紅魔館がまた狙われてしまう可能性がある。
俺の大切な人達が次の犠牲者になる可能性もある。
鍛冶師の人里のみんなや紅魔館、慧音先生や寺子屋のみんな。俺にとってはみんな、かけがえのない人達なんだ。
その人達が犠牲になるかもと考えるだけで俺は恐ろしくて恐ろしくて、たまらなくなるんだ。
「いい機会だから教えてあげようか。冥途の土産に僕とレミリア嬢の馴れ初めっていうやつを」
「…………」
「あれは星々がきれいな夜のことだった。僕はその日も人材探しのために下に降りていたんだ。僕はトップだけどね、現場にもちゃんと顔を出すんだよ。そして自分の足で人材を探すんだ。森を歩いているとよく妖怪を見かけるからね。妖怪は人間よりも体力があって長く働いてもらいやすいから僕はよく妖怪を起用するんだ。そして見かけた、森を抜けた先にある真っ赤な館。門前には門番が居たから近づきはしなかったけど、僕の目って言うのはとてもいいからね。見てしまったんだよ、夜の星々に映える、ベランダで優雅なティータイムをたしなむ彼女の姿を……僕は一目惚れだったんだ。彼女なら僕の隣にふさわしい、一目見てそう感じたよ。だから僕は大急ぎで彼女を迎え入れる準備を進めた。もともと僕はそろそろ結婚を考えていたから準備はすぐに整ったよ。僕は完璧をもって良しとする……未婚なんて言う弱点が僕にあってはならないんだ。だが、彼女があんなにも強欲傲慢最低だとは思わなかったけどね。やっぱり優しくしすぎたのがよくなかったのかな? 僕にあんなにも反抗するなんて、命知らずもいいところだよ……もっと恐怖を味わわせた方がよかったかな。いやぁ、僕って結構優しいでしょ? だから、好きな女の子相手だから情が湧いてしまったんだろうね。もっと徹底的にやるべきだったよ。例えば――」
一息でまくし立てた龍は一瞬にして俺の目の前にやってきた。
「こんな風にねっ」
「あがっ」
龍の蹴りが腹にめり込む。命という灯がどんどんと弱くなっていっているのを感じる。
「か、かはっ、こひゅっ」
息が、息ができない。
立てない……地面に倒れこんで、力が入らない。
そんな俺の背中を容赦なく龍は踏みつけにしてきた。
「君らみたいな、ちっぽけな存在が、どうして、僕に、逆らうことができる! 君らが、僕に、逆らうのは、大きな間違いなんだよ!」
一言しゃべる度に俺の腹を何度も何度も蹴り上げてきた。
「どうだい? 今の気持ち、悔しい? 苦しい? ……死にたい? 苦しみから解放されたいかい? どうなんだい?」
「かっ、はぁ……お、れはぁ……」
「俺は?」
「俺は……お前を殺すよ、今ここで確実に」
俺の意志は最初から変わらなかった。
逃げるということも考えなかったわけじゃない。だけど、今ここで倒さなくて、いつだったら倒せるんだよ。
今この瞬間が龍を倒せる最大のチャンスなんだ。次も同じ状態に持ち込むことができるとは限らないんだ。
龍ほどの化け物を放置していることはできない。
「そうか、分かったよ。そんなに死にたいなら、僕が今ここで殺してあげるよ!」
「いや、お前には俺は殺せない」
「はぁっ!?」
「俺は姉貴を信じているから」
その次の瞬間、超高速で飛んできた槍によって俺を殴り飛ばそうとしていた龍の右腕が切り飛ばされた。
はい!第300話終了
ついに300話ということで、いやぁ長いですね。
二次創作だけで言ったら、僕の小説の中で一番長い小説になりました。
しかもまだあと二章残っているわけです。
さて、いよいよ大詰め。
龍戦もあと数話で完結します。
最後までぜひお付き合いください!
それでは!
さようなら