【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 レミリアが周囲の未来を視て、龍の行動を予測することに成功。

 ついに龍を追いつめた。

 だが、龍はまだあきらめない。黒葉は動くことが出来ず、レミリアと龍の一騎打ちに。

 そこで龍はこのまま耐久戦を続けると丸一日中戦い続けることが出来るという絶望の一言を告げた。

 このままでは負けてしまう。

 そう考えたとき、黒葉は自分の炎なら龍の霊力を焼くことが出来ると思いつく。

 そして黒葉はレミリアに自分の能力を託すことにしたのだった。



 それではどうぞ!


第303話 最後の奇跡

side三人称

 

 レミリアに襲い来るドラゴン頭、それら全てをその手に握る燃え盛る刀身が華麗に焼き切る。

 今のレミリアにはちょっとやそっとの攻撃は通用しない。レミリアは黒葉の炎を纏うことによって太陽からの影響も受けない。

 黒葉は自分で気が付いていないが、黒葉は能力を使っている時はやけに調子が良くなっている。それも狂獣技(ビースト)を使用している時は尚更。

 

 それは昼間という吸血鬼が力を発揮しにくい時間帯でも変わらず。黒葉の能力は完全に太陽と同化するというものであり、太陽からの影響を完全にシャットダウンすることが出来る。

 ゆえに黒葉は狂獣技(ビースト)を使用している時は太陽に焼かれることもないし、ステータスダウンの影響を受けてしまうこともないのだ。

 そしてそれは黒葉の能力を分けてもらった者も同じ。炎帝の加護を同じく受けることが出来、太陽の影響を完全シャットダウンすることが出来る。

 

 だから、今黒葉の能力を纏ったレミリアは、このギラギラと輝く太陽の下でも太陽光に身を焼かれるということもなく、レミリア本来の実力を発揮できる。

 昼間だからと力が制限されるということはない。

 

(なんかすごい。黒葉は特に能力について言っていなかったけど、この炎を纏っている間、すごく調子がいい。何と言うか、昼間の戦いということで気だるさがこの炎を纏った瞬間に一気に吹っ飛んだ)

 

 レミリアの動きはキレが増し、さっきまでのレミリアだったら対応しきれなかったであろうというレベルの攻撃すら簡単にいなして見せた。

 初めて刀を握ったとは思えないほど、レミリア自身もスムーズに身体が動いて驚いていた。

 だが、誰もが黒葉からこの力を貰ったからと言ってこれほどの力を発揮することが出来るというわけではない。全てはレミリアが黒葉の力を信頼し、身を委ねているからこそ到達できた領域。

 

 至高の領域とは違うが、別ベクトルで黒葉の力はレミリアの限界を突破させた。

 単純に黒葉とレミリアの力を合算したという話ではない。それ以上の力をレミリアから引き出すことに成功したのだ。

 

「っ、ふざけるなぁぁぁぁ! こんなんで僕が、僕が君達に負けるわけがないだろう! 僕が最強だ、僕が完璧なんだ。僕が、僕が、この世界のトップなんだぁっ!」

「でも、あなた……第二席、なのよね」

「あ?」

 

 龍は自分自身でも驚くほどにドスの効いた声が龍の口から洩れた。

 

「あなたは五天魔王……されどその中で第二席なんでしょ? 第一席のカイ・スーガレンスにはどう足掻いても勝てない……違う?」

「黙れ、僕が最強なんだ、僕は完璧な存在なんだ。完璧な存在になったんだ。カイも僕が本気を出せば瞬殺だ。だが、彼は僕の幼馴染ということで慈悲を与えているだけなんだよ。こんなにも簡単に人の大切なものを破壊する君達にはわからないことだろうけど、僕には君達とは違って人の心というものがあるからね。僕は友達は大切にする主義なんだ。だから僕は無理にカイ争おうと思っていないだけさ……でも、そう思われているのも心外だからね……僕の本気、見せてあげるよ。これを食らったら君は嫌でも僕が最強だと、究極の存在だと認めざるを得ないだろうねっ!」

 

 ダンっと地面を蹴り壊しそうなほどの力で蹴ると、空中に足場を作り出してレミリアに急接近する。

 龍は黒葉の能力の真価を理解していない。

 ただ単に燃えるだけの能力だと楽観視している。だが、黒葉の、太陽神の能力というものはそんな単純なものではない。

 

 黒葉の能力、【日を操る程度の能力】は霊力や妖力、自分に仇為すエネルギーを燃やし尽くすことが出来る。

 

 スピードに拳を乗せて龍のパンチが放たれる。それに合わせるようにしてレミリアも刀を振るった。

 二つの力がぶつかり合い、衝撃波が放たれる。

龍武装(ドラグーン)》で守られた龍の拳とレミリアの炎の刀。一瞬拮抗しているように思われた。

 だが、決着は意外と早く着いた。

 

「は?」

 

 その素っ頓狂な声を上げたのは龍だった。

 レミリアの刀が振り切られると真っ赤な血しぶきが宙を舞った。

 一瞬龍は理解が追い付かず、思考が停止してしまった。だが、真っ赤な血しぶきが視界に映り、ようやく龍は自分の置かれた状況を理解した。

 ようやく龍は自分が狩られる側だということを理解した。

 

「な、なんなんだ、これは!」

 

 龍は血しぶきの出どころ、自分の左拳へと視線を落とし、絶叫した。

 何とか手は辛うじてつながっている。だが、いつ千切れてもおかしくないくらいには切り傷が入っており、さっきまで纏われていたはずの《龍武装(ドラグーン)》が消失してしまっていた。

 自分が絶対的に信じていた《龍武装(ドラグーン)》が自分のことを裏切った瞬間である。

 

「あ、ありえない。こんなことは絶対にありえない。僕が、僕が負けるなんて、僕の力が負けるなんてことは絶対にありえないっ!」

 

 龍は慌ててダメージを無効化し、傷を治すため『暴食の加護』を使用する。霊力の消耗が激しい加護だが、蓄えられている霊力を引っ張り出しながら使えば腕の一本や二本、簡単に治すことが出来る。

 両腕を治癒した龍は気が付く。自分の霊力が著しく減少しているということに。

 

 それもそのはず、通常の霊力の減り方では一部的にでも《龍武装(ドラグーン)》が勝手に解除されるなんてことはありえない。

 それはつまり、《龍武装(ドラグーン)》が解けてしまうほどに急激な霊力の減少があったということ。

 

 そのことに、この一瞬で気が付くことが出来なかったのが勝負を分けた。

 

「龍、年貢の納め時よ」

「っ、どっちが! 僕が君達を跡形もなく消し飛ばしてあげるよ」

 

 空を飛ぶレミリア、地面に降り立ち、レミリアを見据える龍。

 見下ろすレミリアの手には刀ではなくグングニルが握られていた。普段のレミリアの妖力の色、紫色が出たグングニルではなく、真っ赤に燃えるような色をしているグングニルだった。

 再び《龍武装(ドラグーン)》が龍の肉体を包み込む。

 

「今まで殺してきた多くの人々に謝罪をしながら逝きなさい!」

「どっちが! 君達がくたばるんだよ!」

「神槍《スピア・ザ・グングニル》」

「その技はもう見飽きたよ!」

 

 グングニルを龍に投げ飛ばしたレミリア。それを龍は両掌をかざすことによって受け止めた。

 今の龍は攻撃をするために手を伸ばしたわけではない。防御のために伸ばした手であるため、空間断絶が肉体を覆っていて、レミリアのグングニルを阻む。

 龍の霊力がある内は龍に攻撃を届かせることは出来ない。

 

 さっきまでのレミリアだったらここからどうすることもできず、ただ攻撃を諦めるしかなかっただろう。

 でも、今のレミリアは一人の力じゃない。

 これはレミリアと――黒葉の連携攻撃だ。

 

点火(イグニッション)

 

 黒葉の声が響いた。

 グングニルへ向かって伸ばされた手のひらを黒葉はギュッと握ると、グングニルは発火、一気に轟々と燃え上がり、龍をも巻き込んで炎で包み込む。

 その炎はもちろん黒葉の能力によるものだ。霊力を喰らう炎。

 

「なっ」

 

 ジュワッと《龍武装(ドラグーン)》が溶け、空間断絶が解除されて行く。

 それを察知した龍は慌てて自分の持てる全霊力を使い、《龍武装(ドラグーン)》を維持して空間断絶を使用し続ける、その状態でなんとかグングニルを押し返そうと力を込める龍だが、その威力は凄まじく、押し返すどころかどんどんと押されて行く始末。

 

「嘘だ、ありえない、ありえない、僕が負けるなんてことあり得る物かぁぁぁぁぁっ!」

 

 溶けるようにして龍の霊力がどんどんと減っていく。貯蓄されていたはずの霊力もこれ以上ない速度で消費されて行き、《龍武装(ドラグーン)》を維持していくのが難しくなっていく。

 龍は初めての感情を抱いていた。それは絶望、恐怖といった感情。今まで自分に絶対の自信があり、敗北するなんてことは一切考えておらず、今回においても自分の圧勝に終わると思っていた。

 

 だが、いざ蓋を開けてみたらどうだろうか。

 島は破壊され、最終奥義である《龍武装(ドラグーン)》ですら今破られようとしている。

 

「ふざ、ふざけ、ふざけるなっ」

 

 この状況でもどうにか勝てる未来がないかどうか、龍は必死に未来を探った。

 


 

 違う違う違う、これじゃないこれじゃないこれじゃない! どこだ、どれだ。僕がここから生き残ることができる未来、僕がここから生き残って奴らを根絶やしにすることができる最高の未来はいったいどこだ! こんな、こんなことがあっていいはずがない。未来が見える僕に死角なんてありはしないはずなんだ! 誰よりも強く、そして賢い道を選ぶことができる存在。それがこの僕、五天魔王『第二席』桑間龍という男のはずだろう! どうしてだ、どうして僕は今追い詰められている。ただの吸血鬼娘とただの半妖の小僧だろう! 今までどんな窮地も乗り越えてきた僕に乗り越えられないはずがないだろう! だというのに、僕の見る未来はすべて僕が粉々にされて、ぐちゃぐちゃにされて、そして死にゆくだけのバッドエンド。そんなのは求めちゃいない。僕が求めているのは僕だけが勝利する最高のハッピーエンドなんだよ! 僕は間違わない。間違わず最善の道へと進むことができる存在、それが僕というものだろうが。何も間違わない僕は完璧な存在で、誰よりも完成された存在なんだよ! だというのに、お前らはなんで、なんでそんな完璧で完成された僕のことを可哀そうな人を見るような目で見るんだ。やめろ、やめてくれ。僕は可哀そうなんかじゃない。なんだ、なんなんだよ、そんな目で見るな! なんでだ、なんでなんだ。僕と関わった人たちは全員僕のことを可哀そうな人を見るような目で見てくる。あの吸血鬼娘も、あの半妖の小僧も、『禍酷』も『アルマ』も『ホロウ』も『カイ』もどうして僕にそんな目を向けてくるんだ! 違う違う、違うんだ! 僕が可哀そうなんじゃない。可哀そうなのはお前らなんだ! 僕のこの考えを理解できない可哀そうな頭と、どうやっても僕に敵うことがないその力量。圧倒的絶望を感じながら死んでいくしかないお前らの方が可哀そうなんだ! やめろ、やめてくれ! 僕を哀れまないでくれ! 病弱がそんなに可哀想なのか? そんなに哀れられなければいけないことなのか? 外に出ることができないのがそんなに可哀想なのか? 違う、それは違うんだ。哀れむな、僕は可哀想なんかじゃない。僕はただ、普通に暮らしたかった。やめろ、僕に謝らないでくれ。丈夫な子に産んであげられなくてごめんねだと? ふざけるな、僕を哀れんでいるんだろう。下に見ているんだろう! 見舞いだと? ふざけるな、そんな耳障りのいい言葉を使ってやっていることはただの哀れみじゃないか! どうしてどいつもこいつも僕を哀れむ、可哀想だと言う。僕は神に愛されているんだ、完璧であり完全。そんな僕が可哀想なわけないじゃないか。死の淵を彷徨った、狭間で加護を授かった。加護で病を喰らい、僕は真に完全な存在となった。僕は憐れまれるんじゃなく、敬われるべきなんだ。なのになんで今だにお前らは僕を可哀想な人を見る目で見る。僕は誰にも負けない、誰も届くことのない高みへたどり着いたんだ。もちろん、あの小僧たちにも! どうしてお前らはそんなに勝ち誇ったような表情を浮かべているんだ、僕はまだ死んでいないというのに! お前らは僕が最初から本気を出していれば一瞬で粉々にできたんだよ。ここまで生きていられたのは僕の慈悲だ。それを棚に上げて僕に勝った気でいるな、自惚れるな。お前らなんかよりも僕の方が圧倒的に強いし、完璧で、完全な存在なんだ。僕がお前らみたいな有象無象に負けるわけがないだろうが。ちょっと僕と似た能力を持っているからって調子に乗りやがって、あのまま従順にしていればよかったものを、小僧共が来たからって勝てるかもって調子に乗ったのか? そんなわけがないだろう。どう考えても僕に敵うはずがないだろう。どいつもこいつも嫌いだ。僕を哀れむ奴らが嫌いだ、慈悲を見せただけですぐに調子に乗る奴が嫌いだ、僕より弱い癖に講釈垂れる奴が嫌いだ、誰よりも完璧であるこの僕に反論する奴が嫌いだ、どう考えても勝てるはずがないのに勝てるかもなんて淡い希望を抱いている浅ましい奴が嫌いだ、自分の器以上のものを求める卑しい奴が嫌いだ、自分勝手な正義を振りかざして誰かに突っかかっていく偽善者が嫌いだ、勝手に人のことを批評してくる奴が嫌いだ、僕のことを勝手に可哀そうだと決めつけて救おうとしてくる奴が嫌いだ、そして何よりこの程度で勝った気になっているあの小僧と小娘が大嫌いだ。僕はまだ終わっていない、僕はまだ負けていない。『スカイ』も『魔導騎士』も失ってしまったけど、僕はまだ終わっていない。まずはこの小僧共をぐちゃぐちゃのバラバラにして華々しい再スタートを切ってやる。そしてこいつらにこう言うのさ、『ザマァ見ろ』ってな。こいつらは何も成し遂げられない、何も得ることができずにそのまま死ぬ。だけど僕は違う、こいつらとは違う一線を画した存在。ここで生き残って僕だけが残る。そして再び僕の楽園、新たなる天空都市『スカイ』を作り上げて快適な生活を送る。こいつらがどれだけ手足を伸ばそうともたどり着くことのできない高みに上り詰めて見せる。こいつらを殺すことはその為の最初の一歩だ。『禍酷』も『アルマ』も『ホロウ』も『カイ』も誰もたどり着くことのできない頂にたどり着いてみせる。この世界は僕を中心に回っているんだ。そんな僕の邪魔は決してさせない。僕が、僕こそが、この世界のルールであり、理なんだ! もう誰も僕の領域に入れさせてたまるものか。僕は、僕という存在は、能力は、力は、一つだけでいい。未来を見ることができるのは僕一人だけでいい。お前という存在はノイズでしかないんだよ。だから早く、僕の目の前から消えるんだ! そんな哀れんだ目を向けるのはもうやめるんだ! 僕は可哀そうなんかじゃないんだ! 僕は神に、世界に選ばれた存在なんだ。完璧なんだ。可哀そうな点なんてひとっつもないんだ! お前らみたいな下等生物が僕のことを哀れむ? 笑止千万、僕のような完璧で完成されて、世界に愛された存在である僕が君たちのことを哀れむというのはわかるが、お前らみたいな下等生物に哀れまれる筋合いなんてないんだよぉっ!

 


 

side三人称

 

 龍は絶望の最中、レミリアを見上げた。

 じっとレミリアは龍の動向を伺っている。だが、やがて興味を失ったのか、龍に背を向け、そして黒葉へと飛んで向かって行った。

 

(待てよ、なんで僕に背を向ける。僕はまだ死んでいない、敗北していないというのに何で僕に背を向けるんだ。僕がこのままやられるような男だと思ったのか、ふざけるな。僕は最強で、誰にも負けないんだよ。今に見てろ、僕はこれからこの槍をぶっ飛ばし、君達に引導を渡してやるからさぁ)

 

 だが、レミリアが背を向けたその理由、それはすでに決着がついていたからだ。

 龍の霊力は底を尽き、すでに《龍武装(ドラグーン)》を維持することが出来ず、空間断絶も消えた。

 空間断絶が消えてしまえばもう龍を守る物は何もなくなってしまう。止めることが出来なくなってしまったグングニルは龍の身体を貫いた。

 

 そう、すでに決着は付いていたのだ。

 そのことに気が付かないまま、龍は力を失ってしまい、そのまま下界に力なく落ちてゆく。もう龍に抵抗できるだけの力は残されていなかった。

 

「黒葉、やったわよ、私達龍に勝ったのよ!」

「うん、見てた。本当にお疲れ様……」

 

 黒葉とレミリアは共に拳を合わせる。勝利のグータッチだ。

 

【龍陣営VSレジスタンス

天空都市スカイ、天空墜とし頂上決戦

勝者、冬夏黒葉、レミリア・スカーレット】




 はい!第303話終了

 ついに龍戦が完結しました。

 ちなみに途中の龍の長い独白は2471字もあったりします。

 この一年以上、少しずつため書きしていた分を放出しました。

 この文に龍の人間性、過去が現れているかと思います。

 そして新しい名前もいくつか出てきたと思います。ただ、暫くはこの名前が本編に出てくることは無いかと思います。

 さて、龍戦が終わったわけですけど、ここから三章のエピローグという部分を何話かやって三章完結です。

 それでは!

 さようなら
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