それでは前回のあらすじ
龍戦もいよいよ大詰め。
黒葉の炎は龍の霊力を喰らい、大幅に龍の霊力を減少させる。
そのことに気が付かなかった龍は真正面からレミリアの攻撃を受け止めた。
レミリアの放ったグングニルは大きく燃え上がり、龍の霊力を一気に減少させた。
そしてついにすべての霊力を使い果たした龍は《
黒葉とレミリアは龍との激戦を制したのだ。
それではどうぞ!
side黒葉
俺と姉貴は紫さんのスキマを通って地上に帰ってきた。
なんだかものすごく久々に地上に降り立ったような気がする。色々な問題からやっと解放されたという清々しい気分が俺を包み込んでくれた。
今すぐにでも踊り出したいくらいのいい気分だ。だが、身体はそうはいかない。
もう活動限界に達してしまっているため、なんとか地上に下りてくることは出来たが、歩き出したら直ぐに躓いてしまって前のめりに倒れてしまう。
だが、俺が完全に地面に倒れてしまう前に右腕が後ろに引っ張られ、なんとか倒れずに済んだ。
「黒葉、大丈夫?」
「あ、あぁ……姉貴ありがとう。ちょっとふらつくだけだから大丈夫だ」
限界ギリギリの状態で最後の力を振り絞って未来《黒天紅武》を使ったのだ。もう霊力はすっからかんで、気力だけでなんとか動いているという感じだ。
俺の身体にある力の殆どは霊力で、妖力は少ししか無いため、妖力で元気を補うことは出来ない。
「安心しなさい。私が着いていてあげるから」
「はは、頼もしいや」
この地上で、姉貴が俺の横で笑ってくれている。それだけで俺はもう感無量だ。
「さて、私も疲労困憊で、直ぐにでも休みたいくらいの気分なのだけど、その前にやるべきことがアルわね」
「やるべきこと?」
「そうよ、丁度私達が地上に降り立ったのを見て駆け寄ってきたみたいね」
言われて背後へ振り返ると、先に地上へ下りていたであろうみんなの姿がそこにあった。
誰一人として無傷な人は居ない。みんなボロボロで、本当に限界ギリギリまで頑張ってくれたのだろう。
俺は他の場所でどんな戦いがあったのかは知らないけど、でもあの姿を見るだけでどれくらいの死闘だったのかというのが目に浮かぶようだ。
「黒葉っ!」
「お兄ちゃんっ!」
いの一番に俺の胸へ飛び込んできたのはルーミアと天音。
二人共大粒の涙を流しながら俺の胸に顔を埋めてきたため、俺はそっと二人の頭を撫でる。なんだか妹が二人に増えたような感覚だ。
「黒葉、全然降りてこなくて……紫に聞いたらまだ戦ってるって言われて……どんどん島が崩れていって……もしかしたらもう会えないんじゃないかって思って……」
「お兄ちゃん、あたし達を不安にさせた責任を取って」
「せ、責任!? えっと、どうすればいいんだ?」
確かにあれに関しては俺と姉貴の独断だ。紫さんは早く降りることを奨めてきたんだ。そのせいで俺達は何度か死にかけたわけだし。
こればっかりは怒られても仕方がないと思ってるし、責任を取れというのなら責任を取るつもりではいるけど、二人は何を求めてるんだ?
「血! 血を飲ませて」
「ん? まぁ、それくらいなら別にいいが……それでいいのか?」
「うん……それがいい」
実際、ルーミアの食人衝動を抑えるために吸血させたこともあったし、あれから暫く期間が空いてしまったからそろそろまた吸血させてあげるかと考えていたくらいだ。
だから、別に責任とは言わず、求めるならいくらでも飲ませてあげるけど。
「じゃあ、天音は?」
「え、えっとねぇ」
天音には色々と世話になった。
天魔組と戦う時や、今回でのスカイの奇跡。天音が居なければここまで俺達は来ることが出来なかったと思う。
だから、俺としては実の妹ということもあるし、出来うることなら出来る限りで叶えてあげたいと思ってしまう兄心だ。
「お兄ちゃんの赤ちゃんが欲しい」
「何言ってんだお前」
天音の口からは爆弾発言が飛び出した。
こいつ、どこでそんな事を知ったんだよ。まだ八歳だろ? 俺だって子どもの作り方を知ったのはここ一・二年位だ。
いや、でも天音は小さい頃から天魔組っていう大人の中で育ってきたからそういう知識も豊富なのか?
「だって、お兄ちゃんはあたしのことが大好き。で、あたしはお兄ちゃんのことが大好き……じゃあ、赤ちゃんでしょ?」
間違ってないけど、周囲のやつらから俺が妹と子作りを要求するようなレベルの変態シスコン野郎だと思われているから喋るのを止めてほしい。
あと、最後の超理論はどうしてそんな結論になったのか、数時間問い詰めたいくらいなんだが。
「あたしと〜、お兄ちゃんは〜、すっき同士〜」
変な歌を歌わないでくれ、頼む。
「好き同士がずっと一緒に居たらコウノトリが赤ちゃんを運んでくるんだよ? これはあたしの意思じゃない……運命なんだよ」
「………………」
この場が静まり返った。
いや、うん。なんというか、良かった。妹が実の兄と変態行為をしたがるようなクレイジーなやつじゃなくて。
俺も天音のことは好きだが、流石にそこまで妹がクレイジーなのだとしたら俺は自分の身を守るためにちょっと距離を置かなければいけなくなっていたかもしれない。
いずれは天音に真実を伝えなければいけないかもしれないが、今は総勘違いしていてもらおう。その方が都合がいい。
というか、天音ってちょくちょく子供何だよな。基本子供離れした言動をするのに。
「そ、そうだな〜、好き同士が一緒に居たら赤ちゃんがもらえる。だけどな、兄妹のところにはどれだけ好き同士でも貰えないんだよ」
「え〜、そんなことはないんじゃない? 赤ちゃんはね、そういう理屈とかは抜きに、愛し合えばもらえるんだよ。だって、私達、男女だし」
違う、こいつ、分かってやがる!
コウノトリっていうマイルドな言い方をすることによって俺からイエスを引き出そうとしている。
何という魔性の妹だ。我が妹ながら恐ろしいと言わざるを得ない。
ま、まずい。このままだと俺は天音に何されるか分かったものじゃないぞ。
とにかく天音の隣に居るルーミアに視線で助けを求めた。
「天音、流石にそういうのは良くないんじゃないかなぁ〜。だって二人共まだ子供でしょ? そういうのは早いよ」
ルーミア、フォローの方向性が違う。
それだと俺と天音が成長した暁には性長させられてしまうんだよ、このバカ。
「むぅ……でも、確かにまだ子供は貰えないかもね、この身体じゃ」
そう言ってお腹をさする天音。本当に色々アウトだから、勘弁してくれ。
「じゃあ、あたしと結婚して」
「なるほど……」
「なるほどじゃないよ黒葉!?」
なるほどいい手だ。
子作りと言う圧倒的高いハードルの提案をして相手に渋らせる、その後にハードルが最初の提案よりも低い結婚という提案をすることによって心理的ハードルを下げようという手口か。
なんか人里に居たときも大人達がこういうやり口で交渉をしていた気がする。いつの間に俺の妹はこんなに汚い大人の仲間入りを果たしてしまったんだろうか。
「こ、黒葉? おーい、遠い目をしてないで早くなんとか言ってよ」
「え、あぁ……悪い」
「じゃあ、あたしとお兄ちゃんは結婚するということで」
「いや、普通にしないけど」
「なんで!!」
だって、兄妹は普通結婚しないでしょ?
こればっかりはいくら心理的ハードルを下げられても無理なものは無理だよ。良い手口だとは思うけどね、うん。無理だよ。
「そうよ、天音さん。黒葉はあなたとは結婚しない」
そう割り込んできたのは姉貴。
この集収つかない状況に助け舟を出してくれるようだ。これでようやく俺はこのクレイジー妹の脅威から免れ――
「黒葉と結婚するのは私、紅魔館の主にして永遠に幼い赤い月、レミリア・スカーレットなのだから!」
ドンッ、姉貴は無い胸を張ってそう言い放った。
……どうやら俺の胃は爆発することが決定したらしい。姉貴もどうして、そうなってしまったんだよ。
はい!第304話終了
天音はやっと想っていた黒葉と会えて、しかも一緒に居られるという興奮からおかしくなってます。具体的に言うとインモラル方面におかしくなってます。
そして黒葉の予想通り、天音は大人の中で生きてきたことから子作りの知識はあります。つまり、コウノトリの話をされてイエスと安易に応えてしまっていたら黒葉はそう遠くない内に天音に食われてしまうことでしょう。
ただ、天音は確かに赤ちゃんが欲しいという気持ちはありますが、本当に純な気持ちで赤ちゃんが欲しいと言ったわけではなく、赤ちゃんが出来れば黒葉は自分からもう離れられなくなるという束縛願望から来るものでした。
一度黒葉と離れ離れになったからこそ、もう逃さないぞという強い意志を感じます。
さて、次回はレミリアがこの場を引っ掻き回します。
それでは!
さようなら
3章ではどの戦いが好きでしたか?
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天空都市スカイ突入
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力戦
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由麻戦
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龍戦